マテリアリティの特定

DNPグループは、企業理念に基づき、サステナブルな経営の考え方として「持続可能なより良い社会、より心豊かな暮らし」の実現をめざしており、自らが主体となって「より良い未来」をつくり出すための事業活動を展開しています。2024年3月、「より良い未来」としてめざす、それぞれ相互関係にある「4つの社会」の実現に向けて、2030-35年を見据えて、DNPが何をすべきか、どのような価値をつくり出していくのかを具体化することで、DNPが社会とともに成長し続けるために重要なこととしてのマテリアリティを特定しました。

DNPがめざす「より良い未来」

DNPが実現していくより良い未来のイメージ

より良い未来

DNPグループの理念体系は、上から順に、企業理念、サステナブルな経営の考え方、DNPグループのマテリアリティ、中期経営計画(事業戦略、財務戦略、非財務戦略を含む)の4階層で構成されています。4階層の上から2番目のサステナブルな経営の考え方には、2050年までとして、「持続可能な社会と心豊かな暮らしの実現をめざす」と明記し、「DNPがめざす「より良い未来」」として、4つの社会が挙げられています。それが①「安全・安心かつ健康に心豊かに暮らせる社会」、②「快適にコミュニケーションができる社会」、③「人が互いに尊重し合う社会」、④「経済成長と地球環境が両立する社会」です。4階層の上から3番目のDNPグループのマテリアリティには、2030~2035年までとして、「DNPグループが成長し続けるために重要なこと」と明記し、4つのマテリアリティが挙げられています。それが①「自ら変化を生み出し、変化に柔軟に対応することで環境・社会・経済の持続可能性を高めていきます」、②「リアルとデジタルをつなぐことで体験価値の質を高め、人々の活動の機会を拡げていきます」、③「相互に理解を深め認め合うことで誰もがいきいきと活躍できる場をつくっていきます」、④「環境保全・環境負荷の低減に取り組むことでネイチャーポジティブなバリューチェーンを実現していきます。」です。DNPがめざす「より良い未来」とマテリアリティはさきほど述べた数字どうしで、対応した色がつけられています。DNPグループの理念体系は、上から順に、企業理念、サステナブルな経営の考え方、DNPグループのマテリアリティ、中期経営計画(事業戦略、財務戦略、非財務戦略を含む)の4階層で構成されています。4階層の上から2番目のサステナブルな経営の考え方には、2050年までとして、「持続可能な社会と心豊かな暮らしの実現をめざす」と明記し、「DNPがめざす「より良い未来」」として、4つの社会が挙げられています。それが①「安全・安心かつ健康に心豊かに暮らせる社会」、②「快適にコミュニケーションができる社会」、③「人が互いに尊重し合う社会」、④「経済成長と地球環境が両立する社会」です。4階層の上から3番目のDNPグループのマテリアリティには、2030~2035年までとして、「DNPグループが成長し続けるために重要なこと」と明記し、4つのマテリアリティが挙げられています。それが①「自ら変化を生み出し、変化に柔軟に対応することで環境・社会・経済の持続可能性を高めていきます」、②「リアルとデジタルをつなぐことで体験価値の質を高め、人々の活動の機会を拡げていきます」、③「相互に理解を深め認め合うことで誰もがいきいきと活躍できる場をつくっていきます」、④「環境保全・環境負荷の低減に取り組むことでネイチャーポジティブなバリューチェーンを実現していきます。」です。DNPがめざす「より良い未来」とマテリアリティはさきほど述べた数字どうしで、対応した色がつけられています。

マテリアリティの特定プロセス

マテリアリティの特定にあたっては、「環境・社会・経済」関連の社会課題やメガトレンド等を網羅的に把握し、自社事業活動への影響や提供できる価値、自社の強みなどから、中長期的なリスク(変動要素)と事業への影響を評価・分析しています。

これらの外部動向を踏まえ、DNPがめざす4つの社会を具体化し、その実現に向けて、DNPがすべきこと、提供する価値を整理し、マテリアリティとして特定しました。

マテリアリティの特定プロセスを3段階で定義します。初めに、社会課題の把握。市場の変化やメガトレンド、各ステークホルダーにおける重要性、SDGsやGRIスタンダード、ESG社会評価項目などの国際的枠組み等から社会課題を網羅的に把握します。次に、社会課題の特定・優先付け。企業理念・事業戦略との関連性、短・中・長期的なリスクと機会の特定、経営への影響評価により、DNPと社会・ステークホルダーにとって重要性の高い社会課題を特定し、優先順位付けを実施します。最後に、マテリアリティの特定。社内関連部門、外部有識者、社外役員との意見交換を実施。サステナビリティ推進委員会、経営会議、取締役会での議論・承認を経て、DNPにおけるマテリアリティを特定します。

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マテリアリティに基づく事業活動

マテリアリティに基づく事業活動として、DNP独自の「P&I」(印刷と情報)の強みの進化・深耕により、注力事業領域を中心に、横断的に新しい価値の創出を進めています。同時に、企業価値向上と事業競争力強化の両面で、経営基盤の強化とリスクマネジメントの徹底を図り、マイナスの影響を最小化しています。

抽出したリスク(変動要素)に対する事業活動への影響と事業機会への反映

経済関連 社会関連 環境関連
事業活動に関連深いリスク(変動要素) • 市場の変化、新規製品・技術の開発加速
• DXやグローバルネットワーク等の加速
• 地政学的影響、経済指標の急変動
• 金融・情報インフラの変動
• 資源の枯渇・供給不足・制限 など
• 労働力不足、雇用流動化
• 多様性、心地よく生きるための条件変化
• サプライチェーンのグローバル化、地政学的リスク など
• 気候変動による災害の激甚化、水リスクの高まり
• プラスチック汚染・生物多様性の損失の加速
• ネイチャーポジティブ・カーボンニュートラル・循環経済への移行の加速
• 環境ポジティブな市場拡大、技術革新加速 など
想定される事業への影響 • 事業構造の変化、新規事業・開発の競争激化
• AI活用における人権侵害、偽情報の発信
• 景気・消費動向の低迷・急変、需給バランス変化
• 情報セキュリティの脅威の激化
• 安定調達への影響、物価高騰 など
• 専門人材確保・育成の困難、人件費の増大
• 価値観の多様化、ダイバーシティの認知
• 人権等サプライチェーンリスクの高まり
• 規制強化、地政学リスクによる影響顕在化 など
• 社会インフラ損壊による操業停止、サプライチェーン寸断
• GHG排出量等の規制強化
• リユース・リサイクルの拡大、代替素材切替要請の高まり
• ネイチャーポジティブに向けた事業構造の変革
• 新規事業・開発の競争激化、市場動向変化 など
事業機会への反映 • 注力事業領域を中心とした価値創出、パートナー連携強化
• AI革新による事業化・効率化、AI活用の加速
• サイバー空間とフィジカル空間の融合
• 信頼性・透明性の高い情報の提供
• ITガバナンス強化、高度なセキュリティ対策 など
• 強靭な人材ポートフォリオ構築
• 業務効率化による人材不足の解消
• D&Iの推進、多様な人材活用、労働環境・人権への配慮
• サプライチェーンの透明化による信頼性向上 など
• BCP・BCMによる自然災害への対応、生産拠点複数化
• 低炭素製品・サービス・代替素材製品の提供、資源の有効的な利活用
• 早期技術開発・製品設計変更による市場拡大 など

DNPがめざす「より良い未来」への取り組みを説明する図です。まず、縦軸にはDNPがめざす4つの社会と、それに対応する4つのマテリアリティが置かれています。「安全・安心かつ健康に心豊かに暮らせる社会」にむけて、DNPはマテリアリティとして「自ら変化を生み出し、変化に柔軟に対応することで、環境・社会・経済の持続可能性を高めていきます。」と宣言しています。以下同様に、「快適にコミュニケーションができる社会」にむけて、DNPはリアルとデジタルをつなぐことで、得られる体験価値の質を高めるとともに、人々の活動の機会を拡げていきます。「人が互いに尊重しあう社会」にむけて、DNPは相互に理解を深め、認め合うことで、誰もがいきいきと活躍できる場をつくっていきます。「経済成長と地球環境が両立する社会」にむけて、DNPは環境保全・環境負荷の低減に取り組むことで、ネイチャーポジティブなバリューチェーンを実現していきます。これに横ぐしを指す形で、横軸に6つの内容を記載しています。それは価値の創出をする「スマートコミュニケーション部門」「ライフ&ヘルスケア部門」「エレクトロニクス部門」の3つの部門と、経営基盤の強化の軸とする「人的資本の強化」「知的資本の強化」「環境への取り組み」の3つの取り組み、計6つです。この図では、4つの縦軸と6つの横軸が交差しています。つまり、価値の創出と経営基盤の強化が、「安全・安心かつ健康に心豊かに暮らせる社会」「快適にコミュニケーションができる社会」「人が互いに尊重しあう社会」「経済成長と地球環境が両立する社会」の4つのめざす社会とマテリアリティに、どのように関わるかを説明します。まず、価値の創出について説明をします。「スマートコミュニケーション部門」の「コンテンツ・XRコミュニケーション関連」は「快適にコミュニケーションができる社会」をメインに4つの社会全体に価値を創出します。「ライフ&ヘルスケア部門」の「メディカル・ヘルスケア関連」は「安全・安心かつ健康に心豊かに暮らせる社会」をメインに4つの社会全体に価値を創出します。「モビリティ・産業用高機能材関連」は、「経済成長と地球環境が両立する社会」と「安全・安心かつ健康に心豊かに暮らせる社会」をメインに4つの社会全体に価値を創出します。「エレクトロニクス部門」の「デジタルインターフェース関連」は「快適にコミュニケーションができる社会」をメインに4つの社会全体に価値を創出します。「半導体関連」は「経済成長と地球環境が両立する社会」と「快適にコミュニケーションができる社会」をメインに4つの社会全体に価値を創出します。次に、経営基盤の強化について説明をします。「人的資本の強化」では、「社員のキャリア自立支援と組織力の強化/人材ポートフォリオに基づく採用・人材配置・リスキリング」と「社員の幸せを高める健康経営」と「多様な個を活かすD&I推進」を行います。「社員のキャリア自立支援と組織力の強化/人材ポートフォリオに基づく採用・人材配置・リスキリング」は4つの社会全体に対して貢献します。「社員の幸せを高める健康経営」は「安全・安心かつ健康に心豊かに暮らせる社会」に、「多様な個を活かすD&I推進」は「人が互いに尊重しあう社会」に対して貢献します。「知的資本の強化」では、「新規事業創出と強み技術の強化/強み技術のグローバル展開/基盤技術の強化と風土改革」および「DX基盤の高度化」を行います。「新規事業創出と強み技術の強化/強み技術のグローバル展開/基盤技術の強化と風土改革」は、「安全・安心かつ健康に心豊かに暮らせる社会」「快適にコミュニケーションができる社会」「人が互いに尊重しあう社会」に対して、「DX基盤の高度化」は「快適にコミュニケーションができる社会」に対して貢献します。「環境への取り組み」では「脱炭素・循環型・自然共生社会の構築」を行います。「脱炭素・循環型・自然共生社会の構築」は「経済成長と地球環境が両立する社会」に対して貢献します。最後に、上記のすべての取り組みの基盤として、持続的な成長を支えるリスクマネジメントの徹底にも取り組みます。持続的な成長を支えるリスクマネジメントのテーマとしては、公正な事業慣行、人権・労働、環境、責任ある調達、製品の安全性・品質、情報セキュリティ、企業市民の7つが挙げられています。

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事業化事例 (DiscoverDNP記事)