サステナビリティメッセージ
「より良い未来」の実現に向けて、変革をさらに加速させていく
私たちは、健全な社会と経済、快適で心豊かな人々の暮らしは、サステナブルな地球の上で成り立つと捉えています。近年は特に、環境・社会・経済が急激に変化し、経営に影響を与えるリスク(変動要素)もますます多様化して広範囲に及んでいます。
こうしたなか、さまざまなリスクに柔軟かつ機動的に対応するだけでなく、変化を先取りして自らが変革を起こすことで、“より良い未来”をつくり出していきます。
2024年3月には、DNPが「より良い未来」としてめざす、それぞれ相互関係にある「4つの社会」の実現に向けて、何をすべきか、どのような価値をつくり出していくのかを具体化し、社会と共に成長し続けるために重要なこととして「マテリアリティ」を特定しました。
私たちは今、マテリアリティに基づく活動として、中期経営計画における「事業戦略」「財務戦略」「非財務戦略」に沿った取り組みを推進しています。また、事業活動による社会や環境への負の影響の最小化に向けて、サプライチェーン全体を見据えたリスクマネジメントの徹底を図っています。「価値の創出」とそれを支える「経営基盤の強化」により、社会課題を解決するとともに人々の期待に応える新しい価値を創出し、DNPグループの持続的な成長を図っていきます。
環境(E:Environment)に関する取り組み
経済成長と地球環境の両立
DNPは常に、事業活動と地球環境との共生を考え、サプライチェーン全体で環境を強く意識した活動を推進し、ネイチャーポジティブの実現をめざしています。近年は特に気候変動や海洋汚染、生物多様性の損失などが深刻化するなか、環境関連の課題解決に向けた取り組みを加速させています。
重要課題のひとつである気候変動への対応については、2050年のカーボンニュートラルの実現に向けて、事業ポートフォリオの転換、省エネルギー活動の強化、再生可能エネルギーの積極的な導入などを進めています。また、廃棄物の削減とリサイクルを重視し、循環型経済の実現に努めています。2024年3月には、これらの取り組みをさらに加速させるため、環境目標をより挑戦的なものに更新しました。
サプライチェーン全体での生態系を保全するための取り組みも進めており、次世代モビリティ社会や脱炭素社会の実現に欠かせない製品・サービスの開発や、低炭素な材料・素材の開発・活用、製品単位でのCO2排出量の削減にも注力しています。
引き続き、さまざまな環境課題の解決に取り組むことで、ネイチャーポジティブの実現につなげていきます。
社会(S:Society)に関する取り組み
価値創出の原動力である社員の活躍を支援
DNPがより良い未来をつくり出すための「重要な基盤」であり「強みの源泉」は、社員一人ひとりの存在にほかなりません。私たちは、人に対する普遍的・基本的な考え方として定めた「人的資本ポリシー」に基づき、価値創出の原動力であり、かけがえのない財産である社員の活躍支援に力を入れ、人的資本の強化・最大化を加速させています。
従来の延長線上にない変革を進めるには、社員一人ひとりが自立し、必要な知識や技術を主体的に身につけ、自身の役割を最大限に果たし、強みを伸ばすことが重要だと考えています。DNPは「価値創造に向けた社員のキャリア自律」を支援し、「社内・社外で活躍できる人財」の育成を進めています。こうした「人への投資」を企業価値向上に明確に結びつけるため、「人的創造性(付加価値生産性)」をグローバルで飛躍的に高めていきます。
一人ひとりの「違い」を尊重し、互いを受け入れ、多様性を活かす
「人的創造性」を飛躍的に向上させていくために、私たちは「多様性と包摂(ダイバーシティ&インクルージョン:D&I)」を積極的に進めています。多様な社会で生きる多様な人々に最適な価値を開発・提供していくためにも、社員全員のあらゆる「違い」を尊重し、その違いを互いに受け入れ、それらを強みとして掛け合わせることで、組織の力を最大限に発揮していきます。例えば、女性の活躍推進に関しては、女性役員の比率を2030年までに30%にすることをめざし、次世代リーダーの育成に取り組んでいます。
また、事業活動をグローバルに広げていくなかで、人権の尊重がこれまで以上に重要になっています。この認識に立って、人権方針の策定や人権デュー・ディリジェンスの推進など、人権尊重を前提としたマネジメント体制を強化しています。
ガバナンス(G:Governance)に関する取り組み
社会から信頼されるレジリエンスな組織であり続ける
DNPが価値を提供し続けていくには、自身の企業価値を向上させ、あらゆるステークホルダーから信頼される企業であり続けなければならないと考えています。そのため、コーポレート・ガバナンスの一層の強化・充実に取り組んでいます。的確な経営の意思決定、それに基づく適正かつ迅速な業務執行、並びにそれらの監督・監査を可能とする体制を構築・運用するとともに、個々人のコンプライアンス意識を高めるための研修・教育を徹底しています。
このような基本的な考え方に基づき、DNPでは監査役会設置会社の機関設計を採用しつつ、社外取締役や執行役員制度の導入に加えて、独立性を有する社外役員で構成される諮問委員会を設置・運営しています。
また中長期的なリスクを管理して事業機会の把握や経営戦略への反映につなげるための「サステナビリティ推進委員会」、自然災害等の発生時でも社員の安全を確保して生産活動を維持するための「BCM推進委員会」、社員のコンプライアンス意識を向上させてリスクを低減するための「企業倫理行動委員会」の3つの組織の連携をさらに強化しています。DNPは引き続き、全社リスクに適時・適切に対応し、自らがより良い未来をつくり出す取り組みを加速させていきます。
代表取締役社長
サステナビリティ推進委員会委員長
北島義斉