公正な事業慣行
DNPは、会社としてはもちろん、社員の一人ひとりが法令を守ることに加えて、社会が求めている以上の高い倫理観のもとで、常に公正かつ公平な態度で事業活動を行うことが大切だと考えています。秩序ある自由な競争市場の維持・発展に寄与し、社会の期待に応える事業活動を続けるため、DNPはグループ全体に企業倫理の一層の浸透・定着を図っていきます。
中長期ビジョン
法令および社会倫理にもとづいて、常に公正かつ公平な態度で、秩序ある自由な競争市場の維持発展に寄与する。
対応するSDGs
達成状況を測る指標および実績
中長期ビジョン達成状況を測る指標 | 目標値 | 実績 |
---|---|---|
|
|
最新年度実績へ |
- ※1DNPグループすべての事業活動が適正に行われるよう、コンプライアンス体制を推進するための内部統制統括組織。本社各部を担当する取締役・執行役員で構成し、毎月定例的に開催する委員会にて、グループ全体のコンプライアンス体制に関する方針や、各種活動の実施計画の立案、決定をしています。また、実施計画にもとづく体制構築や運用の総合的な検査・指導、見直しを担っています。
- ※22003年より継続して行っている研修で、各部門のトップが自部門の社員に対し、ビジネスの基盤としての企業倫理について、自部門の業務に沿った内容で取り組むべき課題やその対応方法を講義します。
マネジメントシステム
マネジメント推進体制および研修
DNPは、コンプライアンスの統括組織として、本社各部門の担当取締役および執行役員で構成する「企業倫理行動委員会(委員長:代表取締役副社長)」を設置しています。また、それぞれの事業部、グループ会社の業務執行部門にも企業倫理行動委員会を設置し、COSOのフレームワークなどをベースとしたマネジメントに則り、企業倫理の多面的な活動に取り組んでいます。
DNPでは、コンプライアンスに関するマネジメントを進めるうえで「継続性」「自主性」「ポジティブ性」「効率性」を大切にしています。年間を通じてさまざまな研修をグループ全体に行い、こうした組織風土の醸成、マネジメントの基盤強化を図っています。
-
1人事評価制度
-
人事評価制度の評価処遇項目の前提として企業倫理を据えています。社会の期待に誠実に応える人材の育成に取り組んでいます。
-
2法・ルールの自主点検
-
本社主管部が策定した点検項目を、事業部・グループ会社が自ら点検・評価し、改善に取り組んでいます。“自分の組織は自分で守る”を合言葉に、1997年から行っています。
-
3コンプライアンス評価制度
-
本社主管部が事業部・グループ会社を共通の指標で評価する制度として2005年に導入し、毎年定期的に実施しています。
-
4企業倫理研修
-
社員一人ひとりの意識の高さと正しい理解が、企業倫理への取り組みをより確かなものにするとの考えのもと、さまざまな教育研修の場を設けています。
-
5オープンドア・ルーム※3
-
企業倫理にかかわる相談・通報の窓口として2002年に設置しました。2015年に弁護士が相談・通報を受け付ける外部窓口も設置し、2022年には、公益通報者保護法の改正に合わせ、社内規程を改定して、より安心して相談・通報できる制度としています。
-
6グローバル内部通報制度※3
-
海外拠点における内部通報の制度・仕組みを見直し、多言語に対応した新しい通報窓口として2020年に設置しました。より迅速かつ適切な対応により、海外拠点のコンプライアンス強化を進めています。
-
7コンプライアンス・ホットライン※3
-
調達先および委託先の皆様が、DNPグループとの取引において、社員等による法令等の違反行為(または、そのおそれがある行為)を認識した場合に、情報を提供していただくための窓口として2009年に設置しました。2022年には、提供いただく情報の内容を明確にするとともに、退職者等からの通報も受け付けるため、「サプライヤー・ホットライン」から「コンプライアンス・ホットライン」に名称を変更しています。
- ※3これらの各相談・通報窓口に提供頂く情報には、人権・労働、贈収賄を含む汚職・腐敗などに関わる問題も含みます。
DNPの主な取り組み
法令と社会倫理の遵守に向けた取り組み
2007年、DNPは取締役会で、企業活動において全ての社員がとるべき行動を「DNPグループ行動規範」として制定し、その中で「法令と社会倫理の遵守」など10の規範項目を定めています。その後も社会環境の変化に合わせて定期的に見直しを行い、「階層別研修」や国内外の全グループ社員に対し実施している「自律的企業倫理研修」の機会を通じて浸透を図っています。
また、「コンプライアンス・アンケート」の実施を通して、社員に対するコンプライアンスの重要性の意識づけを強化し、会社として社員の声を分析することで、「誠実な企業文化の醸成」に向けた新たな気づきを得て、企業倫理の浸透・定着・徹底に向けた多様な施策を展開し、一層のガバナンスの充実を図っています。社員が万が一不正行為等に遭遇した際、上長や周囲の社員への相談や、自部門だけでは解決できない場合の相談・通報の窓口として、2002年に「オープンドア・ルーム」を設けました。2015年には、弁護士が相談・通報を受け付けるオープンドア・ルームの外部窓口を、2020年には、多言語に対応した「グローバル内部通報窓口」を整備し、組織の自浄能力をDNPグループ全体でさらに適正に機能させるよう努めています。これらの窓口の運用に当たっては、公益通報者保護法を踏まえた「DNPグループ オープンドア・ルーム運用基準」を策定しており、通報者が安心して相談・通報できる内部通報制度としています。2022年度には同法の改正に対応し、基準の改定・制度の充実を実施しました。そのほか、社員が抱えるさまざまな悩みを専門家に相談できる「相談室」や、すべてのステークホルダーに向けた「お問合せ窓口」も運用しています。それぞれの窓口等に寄せられた相談や、通報によって顕在化した課題については、通報者が不利益を被らないよう、情報の機密性や通報者の匿名性を保護した上で、必要な是正措置を取るなど、常に適切に対応しています。2023年度は、国内外のDNPグループ全体で102件の内部通報を受け付け、その全てに適切かつ誠実に対応するとともに、必要に応じて再発防止に向けた対策を講じました。
このような取り組みの結果、2023年度も重大な違反行為は認められませんでした。
関連当事者取引について
DNPは、取締役会規則において、取締役の競業取引や利益相反取引を取締役会の決議事項としており、該当する場合は、取締役会において、取引の合理性や事業上の必要性、取引条件の妥当性等を踏まえて決議しています。また、毎年、財務諸表規則等に則り、各取締役から関連当事者に該当する取引(競業取引や利益相反取引を含みます)の状況を聴取し、その内容につき外部会計監査人の監査を受けており、取締役会が適切に監督できる体制としています。
贈収賄防止の取り組み
近年、企業活動が国・地域を越えて拡大していくなかで、より公正かつ自由な競争市場を確保するため、各国・地域で贈収賄に対する規制が強化されています。DNPはかねてより、贈収賄その他の不正な手段によって利益を得ることを禁じ、行動規範でもそれを規定しています。この取り組みをさらに強化するため、2018年に「DNPグル―プ贈収賄防止方針」を取締役会で決議し、「DNPグループ贈収賄防止規程」「贈収賄防止ガイドライン」などの方針・規程類を制定しました。併せて、社外に「贈収賄防止方針」を開示して、当社の考え方や姿勢を示すとともに、社内に向けては各組織への説明会のほか、全てのDNPグループ社員を対象にeラーニングを実施するなど、周知・徹底を図っています。また、その後の社会情勢の変化を受け、企業が社会から求められる贈収賄防止の内容がより明確化されたことを踏まえ、2021年10月に本方針を一部改定して、内容を充実させました。経営陣が本方針を率先して推進するとともに、全ての社員が遵守することにより、贈収賄防止の取り組みをさらに進めていきます。同時に、「贈収賄防止自主点検表」に基づき、対象拠点ごとに該当事案の有無、申請手続実績、教育啓発活動実績等の項目を毎年点検しています。
政治献金、反社会的勢力への対応について
DNPは、政治的な中立を保つため、直接・間接を問わず、政治献金を行わないことを基本方針としています。2023年度までの過去3年間でも、政治献金を行った事例はありませんでした。また、社会的秩序や健全な活動に悪影響を与える反社会的勢力への不適切な利益供与を禁止しています。
適正な納税について
DNPグループは、各国・地域の租税関連法令等及び社会倫理を遵守し、適正な納税をすることで、各国・地域の経済及び社会の発展に貢献していきます。
地域別納税額(2023年3月期)
(単位:億円)
国/地域 | 納付税額 | 構成比 |
---|---|---|
日本 | 223 | 89.38% |
アジア | 13 | 5.40% |
その他 | 13 | 5.22% |
合計 | 249 | 100.00% |
マルチステークホルダー方針
DNPが社会とともに持続的に成長していくためには、従業員や取引先をはじめとするあらゆるステークホルダーとの信頼関係の構築が重要であるという認識のもと、マルチステークホルダー方針を策定しました。
パートナーシップ構築宣言
DNPは、サプライチェーン全体の取引先やスタートアップを含む多様な企業・団体等との取引において、全社員が高い倫理観にもとづいた誠実な行動をとるよう、「パートナーシップ構築宣言」を宣言しています。
- ※[パートナーシップ構築宣言]
経団連会長、日商会頭、連合会長及び関係大臣(内閣府、経産省、厚労省、農水省、国交省)をメンバーとする「未来を拓くパートナーシップ構築推進会議」において創設。サプライチェーン全体の取引先や価値創造を図る事業者等との連携・共存共栄を進めることで、新しいパートナーシップを構築することを社内外に明確に示すものです。