イベントレポート
第4回デジタル化・DX推進展「メタバース役所」

2024年11月に開催された第4回デジタル化・DX推進展で、DNPは特別講演『自治体メタバース最新事例「メタバース役所」における三重県桑名市との2度の実証から見えたDXの可能性や今後の展望』を実施。講演はDNPの山川と桑名市役所の田端氏の対談形式で行われ、それぞれの立場からメタバース役所の実証結果や今後の展望について語りました。その様子をご紹介します。

『自治体メタバース最新事例「メタバース役所」における三重県桑名市との2度の実証から見えたDXの可能性や今後の展望』
特別講演

講演の様子

メタバース役所は「誰でも、いつでも、どこからでも行政サービスを利用できる」コミュニティプラットフォームです。パソコンやスマートフォンのブラウザで簡単にアクセスでき、市民交流の場、各種相談、電子申請のサポートの3つの基本メニューを提供しています。特に交流会と相談が市民から高評価を得ており、子育てや介護、福祉の相談、移住の交流会、学童同士の交流会などが行われています。

桑名市との実証の経緯

桑名市はデジタルファースト宣言を掲げ、民間企業からの提案を積極的に受け入れる『コラボ・ラボ桑名』を通じて、メタバース役所の実証に参加しました。田端氏は「新しいことにチャレンジする精神があり、メタバースもその一環として取り入れた」と述べています。

実証結果と市民の反応

今年の2月から3月、8月から9月にかけて2回の実証が行われました。8月・9月の実証では、桑名市と新潟県三条市の共同利用モデルが試され、約1,600名のユニーク来場者がありました。特に50代以上の利用者が約4割を占め、高齢者にも使いやすいサービスであることが確認されました。

また、役所の開庁時間を広げ、平日の夜間や休日にも利用できるようにしたことで、約3割の利用者がこれらの時間帯にアクセスしました。市民からは「平日は忙しいので夜や休日に利用できて助かる」との声が寄せられました。

課題と今後の展望

実証を通じて得られた課題として、桑名市側からは広報活動の弱さや操作の難しさが挙げられました。田端氏は「市民に新しい取り組みを知ってもらうための広報活動が課題」と述べ、操作に慣れていない市民へのサポートが必要であると指摘しました。

一方で、メタバース役所の利点として、アバターを使ったコミュニケーションの活性化や、時間を気にせず利用できる点が挙げられました。今後私たちでは、メンタルヘルスやダイバーシティアンドインクルージョン、婚活、孤独・孤立対策などのテーマにも広げていく予定です。

桑名市の取り組みと呼びかけ

田端氏は「桑名市は何でもやってみる精神があり、DXを推進している。市民に刺さるソリューションやアイデアがあれば、ぜひ提案してほしい」と述べ、企業や団体に対して協力を呼びかけました。

山川も「桑名市はオープンフィールド構想を掲げており、スタートアップだけでなく、一般の企業も関係なく、桑名市をフィールドにして実証事業を共創していきたい」と述べました。

この講演を通じて、メタバース役所の可能性と課題が明らかになり、今後のDX推進に向けた具体的な方向性が示されました。私たちは桑名市との協力を通じて、さらなる発展に取り組んでいきます。今後もメタバース技術を活用し、自治体や企業とともに新しい価値を創造していくことをめざします。

登壇者

三重県桑名市役所の田端氏

田端 克臣氏
三重県桑名市市役所
スマートシティ推進課

大日本印刷の山川

山川 祐吾
大日本印刷株式会社
XRコミュニケーション本部

未来のあたりまえをつくる。®