住設不動産・建設業向けペーパーレス化実現の道筋とは?手段や具体的な事例をご紹介
2022年1月に施工された改正電子帳簿保存法では、「電子帳簿等保存・スキャナ保存・電子取引のデータ保存」の3つの保存区分が設けられ、区分に沿った対応が必要となりました。また、住設不動産業・建設業では「2024年問題」に直面しており、働き方改革関連法にのっとった業務の遂行が求められています。これら複数の課題に対応するためには、デジタル化・ペーパーレス化の仕組みを構築するとともに、業務プロセスを改革する必要があります。
しかし、技術革新が急速に進む中ソリューションも多岐に渡って登場しています。ペーパーレス化にどう取り組むべきか、どのような手段が存在するのか、何を導入すべきかわからない方も多いのではないでしょうか。そこで本記事では、ペーパーレス化を実現するための手段や成功事例、プロジェクトの進め方をご紹介します。(2023年11月時点の情報です。)
目次
1.住設不動産業・建設業でペーパーレス化が必要な理由
2.
ペーパーレス化プロジェクトを推進するためのステップ
3.
ペーパーレス化を実現するための手段
4.不動産業界におけるペーパーレス化の事例紹介
5.まとめ
1.住設不動産業・建設業でペーパーレス化が必要な理由
住設不動産業・建設業では商習慣や業界構造などにより、紙の運用を中心とした業務が多くありました。しかし、電子帳簿保存法や働き方改革関連法への対応が必要となる中、紙ベースの業務からデジタル化へのシフト、すなわちペーパーレス化が必須となっています。ペーパーレス化は、単なる法令対応だけではなく、データ管理や検索性の向上、物理スペースの節約、災害時のデータ保全など多くのメリットをもたらします。
ここでは、ペーパーレス化が必要となる主な理由を解説します。
理由1:電子帳簿保存法に対応した文書管理が必要
国税庁の電子帳簿保存法には、「タイムスタンプ要件緩和」「検索要件の緩和」「承認制度の廃止」「電子取引のデータ保存義務化」など、複数の改正ポイントが示されています。特に注目すべきは、2024年1月1日から、電子取引に関する紙の保存が廃止され、電子保存が必須となる点です。
理由2:建設業の業態・ピラミッド構造
元請け業者の下には下請け業者が存在し、一つの工事には多くの業者が関与します。そのため、会社間で書類のやり取りが頻繁に行われます。また、自治体への提出書類や工程管理書類が必要であり、その管理が課題となっています。
理由3:2024年問題
2024年問題とは、住設不動産業や建設業、物流業などに求められている労働環境改善により生じる課題です。「働き方改革関連法」が適用開始される2024年4月までに改善を行う必要があり、課題対処のためにはペーパーレス化が欠かせません。
2.ペーパーレス化プロジェクトを推進するためのステップ
ペーパーレス化を実現するためには、計画的かつ適切なアプローチが欠かせません。具体的なステップは以下のとおりです。
ステップ1:現状分析と要件検討
紙文書や業務フローの状況を確認し、ペーパーレス化の要件を洗い出します。現状をもとに具体的な課題を明らかにすることや、電子化すべき文書・達成すべき目標を検討・設定することも重要です。
ステップ2:ソリューション選定と導入計画作成
要件にもとづいてソリューションを選定します。機能やセキュリティ面、予算、使いやすさなどを考慮し、自社のニーズに合うものを選びましょう。選定後は、ベンダーと協力して導入計画を立案します。
ステップ3:導入実行と評価
計画にしたがってソリューションの導入を進めます。ペーパーレス化は、組織の業務フローに大きな影響を及ぼす可能性があるため、ベンダーや社内と綿密なコミュニケーションをとりながら進めることが重要です。
導入後は効果を定期的に確認・評価しましょう。改善すべき点があれば、速やかに対策を講じる必要があります。成功した手法は、他の部署や業務にも展開することで、さらなる効果が期待できます。
3.ペーパーレス化を実現するには
近年では、さまざまな業界でペーパーレス化の動きが急速に進んでいます。ペーパーレス化によって、業務効率の向上や環境への取組み、データ管理の最適化など多くのメリットを享受できるためです。
以下では、企業がペーパーレス化を実現するための手段を5つご紹介します。
手段1:バックオフィス業務の外部業者への委託
バックオフィスサービスの外部委託は、ペーパーレス化を加速させる有効な手段です。特に、人事や経理、営業支援など、紙ベースの業務が多い部門の作業をデジタル化すれば、業務効率が飛躍的に向上するでしょう。特に大量の書類を抱えている企業の場合、外部専門業者にデジタル化の作業を委託することで、社内リソースを圧迫することなくペーパーレス化を実現することが可能です。また電子帳簿保存法の要件を満たすには検索機能の確保が必須となる為、対応業務を外部業者へ委託することも有効な手段です。
手段2:クラウドストレージやe-ドキュメントシステムの導入
情報の電子データとしての保管は、クラウドストレージやe-ドキュメントシステムで実現可能です。書類の管理が一元化されるほか、情報のアクセス性も向上します。なお、導入の際には、電子帳簿保存法の要件を満たすJIIMA認証ソフト(※)を採用すると良いでしょう。
※JIIMA認証ソフトは、電子帳簿保存法に準拠したソフトウエアです。電子帳簿を保存・管理するために使われ、法的に有効なものとされています。企業や個人が電子帳簿を保存する際には、JIIMA認証ソフトを使うことが推奨されています。
手段3:デジタルワークフローや電子署名の活用
デジタルワークフローを導入することで、承認や署名が必要な業務フローの効率化につながります。各フローでの待機時間を削減し、全体の業務プロセスをスムーズに進行させることが可能です。
手段4:モバイルデバイスの利用
スマートフォンやタブレットの利用は、情報へのアクセスの自由度を大幅に向上させます。場所を選ばずに情報を活用でき、紙ベースの資料の携行や管理の手間・リスクも軽減されます。
手段5:AI-OCRソリューションの活用
AI-OCRソリューションを活用すれば、紙の文書をスキャンした画像データからテキスト情報を簡単に抽出可能です。手間のかかるデータ入力作業を大幅に短縮し、ペーパーレス化を進められます。
4.不動産業界におけるペーパーレス化の事例紹介
ここでは、実際にペーパーレス化を進めることで大きな成果をあげた企業の事例をご紹介します。
不動産業界では紙文化が強く残っています。総合不動産会社A社では、紙での契約書や請求書のやり取りが一般的でした。具体的には、7〜9名の社員が年間3,000枚の契約書、9,000枚の請求書の入力処理に追われ、長時間かかることやヒューマンエラーのリスクが問題視されていました。
こうした課題を解決するためにAI-OCRを導入したところ、業務効率が飛躍的に向上しました。
以前はマンション1棟の契約書入力に5~6時間かかっていましたが、わずか30分で完了し、請求書のデータ化も2時間から20分へ大幅に短縮されました。
その他のAI-OCR事例については、以下の記事もご参照ください。
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▼上記を含む導入事例はこちら
AI-OCRによる業務効率化~不動産・住宅設備業界における導入事例~ | コラム・記事 | ソリューション/製品・サービス | DNP 大日本印刷
5.まとめ
この記事では、ペーパーレス化の必要性や実現するための手段、成功事例などを解説しました。バックオフィスサービスやクラウドストレージ、AI-OCRソリューションなど、ペーパーレス化の方法はさまざまです。本記事の内容を参考に、自社に合ったペーパーレス化の取組みを進めましょう。ペーパーレス化導入の際は、ぜひDNPが提供する各種サービスをご検討ください。
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