ストアDX
DNPのストアDXで
企業のマーケティング活動、
そして生活者のお買い物体験を変革する
- マーケティングコミュニケーション
プロフィール
PROFILE
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- 情報イノベーション事業部
営業 - 2009年入社。商印事業部(現・情報イノベーション事業部)配属。営業として多様な業界の課題解決に取り組む。2019年よりストアDX関連のリテールメディアビジネスの仕事が活発化し、流通やメーカーに対してデジタル戦略を中心に提案活動を行う。
- 情報イノベーション事業部
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- 情報イノベーション事業部
企画 - 2007年入社。C&I事業部(現・情報イノベーション事業部)配属。外資系企業や家電メーカーを中心にマーケティング・プロモーション領域でのプランニング業務に従事。2019年より新サービスの創出・販売にも取り組む。
- 情報イノベーション事業部
これからのお買い物における CX(Customer Experience)を描き、 リアルとデジタルを掛け合わせて実現する
- 浅野
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DNPはこれまで多くのメーカーや流通・小売企業の販促支援を行ってきました。チラシや店頭POPの制作、キャンペーンの実施、イベントの運営など、その業務内容も多岐にわたります。しかし昨今のデジタル化傾向や顧客体験の重要性の再認識から、これからの時代における「お買い物体験(CX)」を描き、それを実現するためのDX(Digital Transformation)が求められるようになってきています。リアルとデジタルを掛け合わせて変革していく取り組みが、DNPのストアDXです。
- 新村
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「店頭」には大きな変化が訪れています。一つ目はデジタル化や環境への配慮によって紙のPOPによるコミュニケーションが減少傾向にあること。二つ目はさまざまなセンシング技術や、Beacon(※)等のデータ取得デバイス、デジタルサイネージ活用によるコミュニケーションなど、新しい技術が活用されていること。三つ目は労働人口の減少や働き方改革の推進などを背景として、一層の業務効率化が求められていること。こうした大きな変化の中、メーカー側と流通・小売側の双方と関係しているDNPが第三者として関わり、つないでいくことで、生活者視点に立った「CX」を実現するビジネスをつくりたい、と考えました。また、これまでのように顧客企業ごとに製品・サービスを生み出す受注形態のビジネスではなく、「第三者としてつなげる」という役割を活かしてプラットフォームビジネスを立ち上げたいという想いで、取り組みをスタートさせました。
※Beacon:赤外線や近距離無線通信の電波などを発して、周囲に機器の現在位置や識別情報などを知らせる小型の発信機メーカー側や流通・小売側のデジタル戦略や最新シーズ等を研究する部門と接触を重ね、PoC(Proof of Concept)を行い、スピード感を持って検証を繰り返しました。私自身、初めての取り組みで常に手探りの状態でしたが、検証とヒアリングを数多く実施する中で、新しいビジネスの輪郭を固めていきました。
- 浅野
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新村さんのプロジェクトは、DNPがメーカー側と流通・小売側、そして生活者に対して提供できる価値は何か?を考え、それを具現化していく取り組みであり、そこに大きなチャレンジがあるのですね。関係者が多いという点にも難しさがありそうですね。
- 新村
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そうですね。関係する顧客企業がいつも以上に多く、調整には苦労しています。また、DNPのリソースを多く投入しているので、プレッシャーも感じます。ただ、挑む価値は高いと思っています。この取り組みによって、店舗を訪れる生活者の行動データの取得と活用が上手くできれば、メーカーと流通・小売、DNPがより良い商品や売場の開発を実現できるようになります。また生活者に対しても、一人ひとりにフィットした情報を届けることができるため、「お買い物における新しいCX」を生み出すことができます。
具体的に、顧客行動・属性データを取得するには、Beaconやカメラを使用しています。そのデータを活用したサービスの一例として、店外ではWeb広告やアプリ、店内では棚の前などに設置したデジタルサイネージ等のメディアを通じて、生活者個人の志向に応じたコンテンツ提供を行っています。デジタルサイネージの持つ「可変性」の強みを活かし、日付や時間帯・店舗立地・棚の位置、そして生活者の志向に応じたコンテンツを商品のすぐ近くで表示することで、購買の「最後のひと押し」を実現しています。これは紙のPOPにはできないコミュニケーションです。
また、店外と店内の双方でコミュニケーションすることによって、店外でコミュニケーションをした結果、「お知らせした商品の棚の前に立ち寄ったか」「その商品を購入したか」ということを計測できるようになります。そのデータはアプローチ施策の効果測定・改善に活用できますし、流通業界等の人手不足の解消にも寄与できる可能性があります。棚の機能・役割が高まることで、値段表示の変更や在庫管理などの業務負荷を減らし、生産性向上にもつながるためです。
- 浅野
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生活者には「新たなお買い物体験」を提供し、企業には「マーケティングの高度化や生産性の向上」という価値を提供していく。それぞれに対してしっかりと価値を提供する、それが重要であり、それこそがDNPならではの存在意義ですね。
- 新村
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そうですね。生活者のお買い物体験がより便利で豊かなものになっていくのは喜ばしいことだと思います。ただ、それを持続可能な形で社会実装していくには、企業側にとってのメリットが必要です。DNPは企業と生活者をつなぐ立場にあるからこそ、双方にとっての価値を見据えることができ、このプロジェクトを理想や夢物語で終わらせず、実現に向けて進められるのだと思います。
DXによって生まれるリアル店舗の新たなカタチ
- 浅野
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私が携わった「DNPショールーミング店舗boxsta(ボクスタ)」は、「ネットショッピングがこれだけあたりまえになった社会でのリアル店舗の提供価値は何か?存在意義とは何か?」という問いからスタートしています。多種多様なメーカーや流通・小売企業のマーケティング・プロモーションを数多く支援いるDNPだからこそ、解くべき問いだと思っています。
「boxsta」は、さまざまな未来のプロダクトに出会い、触れることができるショールーミング店舗です。生活者には未来の新しいプロダクトに触れる機会を提供し、出品いただく企業には店舗内に設置するカメラとマイクで取得した生活者の行動データや接客会話データを、マーケティングデータとしてフィードバックします。これが「boxsta」の最大の特長であり、独自性です。
- 新村
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「boxsta」オープン時の反響はとても大きかったですよね。
- 浅野
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そうですね。店舗でのリアルな反応・声がマーケティングデータとして提供されることへのメーカー等の反応は、非常に大きかったです。「購入したお客様の情報」は比較的これまでも得やすかったのですが、「検討したけれど購入しなかったお客様の情報」というのは、非常に貴重なものとして評価されました。さまざまな業種・業界の企業から、自社店舗への導入の問い合わせも多数いただきました。そこから、「boxsta」で活用したデータ取得・分析の仕組みを商材化する検討も開始し、2021年5月に「DNP店舗内CX解析サービス」としてリリースしました。この新サービスは、店舗内のカメラで生活者の行動データを、マイクで生活者と店員の接客会話データを取得し、分析した上で企業にマーケティングデータとしてフィードバックします。導入企業は、得られたデータをマーケティングや商品開発、店舗改革、接客向上などに活かすことで、生活者の「お買い物体験」に大きな変化が生み出されていきます。
立ちはだかる困難こそが 「未来のあたりまえ」へとつながる証
- 新村
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「DX」や「CX」という一見カッコいい言葉が並びますが、実際は地道な活動も多いです。プランを練り、さまざまな関係者と対話を重ね、改善することの繰り返しです。検証の過程では、開店前のスーパーで、並んでいた商品を撤去し、機材を設置後、陳列し直すなど、DNPに入社した当初は想像しなかった経験もたくさんありました。プロジェクトメンバーのみんなが、地道な仕事を厭わず、いつも前向きに取り組んでくれること、また事業部門全体でこの新しいチャレンジを後押ししてくれていることが、励みになっています。
- 浅野
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「未来のあたりまえをつくる。」というDNPのブランドステートメントは、「誰も実現できていないことを実現する」ということだと思っています。そこには大きな「挑戦」が存在します。もし簡単に突破できてしまう「挑戦」であれば、それはきっと独自性にはなりづらく、もしかすると陳腐化も早いかもしれません。新たなお買い物体験を提供する「ストアDX」の実現には、いくつもの課題や壁が存在しますが、「簡単には実現しえない難しさ」こそが「未来のあたりまえ」へとつながっている証だと思っています。その難しさの先に、より良い「未来のあたりまえ」があると信じて、これからもストアDXに関する取り組みを進めていきます。
※掲載内容は全て取材当時のものです。