住宅・住設業界におけるBPRの進め方とは?PIMを活用して業務変革をめざそう
昨今、住宅・住設業界におけるデジタルトランスフォーメーション(DX)が急速に進んでいます。一方、DXを推進しようとする企業では、以下のような課題に直面しているケースもあるのではないでしょうか。
・各部門での情報共有が十分に行われず、顧客への提供情報にばらつきが生じる
・各種物件や製品情報、設備情報などの管理が煩雑で、効率的に営業や顧客サポートができずに商機を逃してしまう
・見積作成や提案に時間がかかり、営業活動の迅速性が欠けてしまう
これらの課題に対応するためには、まず最適なビジネスプロセスを再定義した上で、業務フローを改善することが効果的です。そして、新たに定義されたプロセスを最大限に活用するには、適切なシステムの導入も欠かせません。
本記事では、PIMシステムの導入プロセスや実際の活用例、当社が提供するサービスについて詳しく解説します。
(2024年12月時点の情報です)
目次
1.BPRの重要性
2.BPRのプロセス
3.当社が取り扱うPIMシステム
4.当社の支援サービス
5.まとめ
1.BPRの重要性
ビジネスプロセスの最適化は、企業競争力を高めるために欠かせない取組みです。最適化の方法として、業務プロセス自体を根本から見直す「BPR(Business Process Reengineering)」の重要性がますます増しています。
住宅・住設業界特有の以下のような課題を解決するためには、業務プロセスの再定義が第一歩となります。
<業界特有の課題>
- 各種物件や製品情報、設備情報の収集・確認作業が煩雑化しており、業務負担が増大している。
- 物件データの不備や不整合が原因で、ビジネスリスクが高まっている。
- 住設機材や資材の履歴などの一元的なデータベースがなく、場当たり的な対応となっている。
- 物件・工事などの見積作成・提案の際、提供する情報が各チャネルで異なり、顧客の混乱を招くことがある。
そして、再定義されたプロセスを最大限に活用するのに有効な手段が、PIM(Product Information Management)システムの導入です。PIMシステムは、複雑化した各種物件や製品情報、設備情報などを一元的に管理する仕組みです。これらの情報が明確になることで、各部門での情報の不整合を防ぎ、営業活動の迅速な対応を行えるなど、ビジネス全体の効率化につながります。
PIMを導入するメリット
PIMシステムの導入によって得られる具体的なメリットは以下のとおりです。
- 各種物件や製品情報、設備情報の一元管理
- 住宅・住設業界における複雑な各種物件や製品情報、設備情報を一元化できます。異なる部門間での情報不整合がなくなるため、スムーズな情報共有が可能です。
- データのリアルタイム更新
- 各種物件や製品情報、設備情報がリアルタイムで更新されるため、営業部門は常に最新のデータにもとづいた 迅速な対応が可能です。これにより、顧客対応のスピードが向上し、信頼性も高まります。
- 自動化によるミスの削減
- データ入力の自動化により、従来の手動での入力作業による人的ミスが大幅に減少します。その結果、安定した業務運営や、正確なデータを用いた効果的な施策立案などが実現します。
2.BPRのプロセス
住宅・住設業界では、複雑な各種物件や製品情報、設備情報の管理や、多岐にわたる部門間との連携が必要です。業務効率の向上とビジネスインパクトを得るためには、業務プロセス自体の抜本的な見直し(BPR)が欠かせません。ここでは、BPRのプロセスを4つのステップで解説します。
①ゴール設定
BPRを成功させるためには、業務のどの部分をどのように最適化するのか、具体的な目標を定める必要があります。業務全体の現状を把握し、プロセス改善のゴールを明確にすることが、企業の競争力を高める第一歩です。
<ゴールの例>
複数の部署に分散して管理している商品情報各種物件や製品情報、設備情報を一元化し、設計から営業までシームレスなデータ連携を実現する
②As-Is業務プロセスの可視化
業務の流れを視覚的に把握し、どこに問題点や効率化の余地があるかを特定します。住宅・住設業界では、各部門が別々の各種物件や製品情報、設備情報を管理しているケースが多く、情報の重複や矛盾が生じやすくなります。業務プロセスと各種物件や製品情報、設備情報の流れを可視化することで、問題点を洗い出し、改善につなげます。
以下で、可視化におけるポイントを2つ紹介します。
- コア業務とノンコア業務の切り分け
- 業務プロセスを見直す際、コア業務とノンコア業務を明確に区別することも重要です。例えば、設計や施工などのコア業務は外部に委託することが難しい一方で、事務作業やデータ管理などのノンコア業務は、BPO(Business Process Outsourcing)による外部リソースの活用も可能です。
- BPRを支援するサービス
- 自社のみでBPRプロジェクトを推進することに不安がある場合は、コンサルティングサービスの活用も有効です。業務プロセスの見直しからシステム導入、運用までの一貫したサポートを受けられるサービスもあります。
③To-Be業務プロセスの設計
あるべき業務プロセスの姿や導入システムの具体的な活用法、組織体制、BPOなどの包括的な内容が検討されます。
PIMなどのシステムを導入すると、各種物件や製品情報、設備情報がリアルタイムで更新され、社内の各部門が常に最新のデータを共有できるようになるため、そのシステム活用を行うにあたって最適な体制や業務プロセスを構築する必要があります。これにより、設計部門から営業部門までの情報連携が大幅に改善され、業務効率が飛躍的に向上します。
ノンコア業務をBPOにより外部へ委託し、社内リソースをより重要なコア業務に集中させることも、業務プロセス再設計における重要なポイントです。住宅業界では、契約書管理や在庫データの更新などを外部に委託することで、設計や営業、顧客対応にリソースを注力でき、全体の生産性を高められます。
④新規プロセスの導入・実行
新たに設計されたプロセスを導入・実行します。システム導入プロジェクトを遂行したあとは、現場の従業員に対して新しい業務フローやシステムの使い方を教育し、実際の業務での運用を開始します。
BPRの効果を最大限に発揮させるためには、従業員への理解促進とプロセス定着が重要です。各部門が新たなプロセスを適切に運用できるように教育やサポートを行い、定着化を図りましょう。
3.当社が取り扱うPIMシステム
当社では、お客さまの課題や用途に応じて、最適なパッケージをご提案できます。以下は、当社が提供しているPIMシステムの概要・特長です。
ContentservPXC
開発元 | Contentserv社(スイス) |
導入実績 | グローバル450社以上、国内141社 (当社) |
データ管理規模 | 数百万件 |
特長 | ・導入しやすいスタンダードモデル ・アドオン開発基盤を搭載 ・高いユーザビリティ |
おすすめ企業 | ・ユーザーにとっての使いやすさを重視したい企業 ・小~中規模の企業 |
Pro-V
開発元 | Stibo Systems社(デンマーク) |
導入実績 | グローバル500社以上、国内12社 (当社) |
データ管理規模 | 数千万件 |
特長 | ・大規模データ管理に適したエンタープライズモデル ・充実した標準機能 ・高度で柔軟なデータ管理 |
おすすめ企業 | ・自社状況に応じてさまざまな機能を使いたい企業 ・大規模での管理が必要な企業 |
4.当社の支援サービス
当社にはシステム構築だけではなく、業務運用も含めた豊富な導入実績や業務ノウハウがあり、一気通貫でサービス提供が可能です。
BPRコンサルティング
当社では、As-Is業務の可視化・分析からTo-Be業務の設計まで、BPRを一貫して支援しています。部門間での情報の断絶や、各種物件や製品情報、設備情報管理の煩雑化など、住宅・住設業界特有の課題をコンサルタントが把握し、最適な業務設計をリードします。
PIM導入支援
住宅・住設業界において、複雑な商品マスタ管理やデータの更新は、業務効率を大きく左右します。当社では、お客さまの状況に合わせてご支援可能な3つのサービスをご用意しています。
サービス | 概要 | おすすめのお客さま |
---|---|---|
導入検討支援サービス | 導入前の要件整理を行い、業務整理やデータモデル整理、トライアル運用を実施 | 導入判断に悩むお客さま向け |
構築導入サービス | 要件定義から設計、構築、導入、保守運用まで一貫してプロジェクトを推進 お客さまのご状況・ご要望に応じて、アジャイル型での導入も可能 |
導入作業を委託したいお客さま向け |
自社構築支援サービス | 導入方法の教育やトレーニング、プロジェクト支援を行い、構築スキルの教育・支援を実施 | 自社で構築するプロジェクトを支援してほしいお客さま向け |
BPO(業務代行)
住宅・住設業界では、商品マスタの登録や更新、在庫データの管理といった作業が複雑となり、担当者に大きな負担がかかるおそれがあります。
当社のBPOサービスは、こうしたデータの突合や登録作業、データ差し替え作業を代行し、業務の効率化を実現します。例えば、定期的な商品情報各種物件や製品情報、設備情報の更新や在庫管理にかかる工数を削減することで、コア業務に集中できる環境を提供可能です。
詳しくはこちら(BPO:ビジネス・プロセス・アウトソーシング)
5.まとめ
住宅・住設業界におけるDX推進において、業務プロセス自体を抜本的に見直すBPRは、企業競争力を強化するための最適な手段です。BPRを通じて、業界特有の複雑な業務フローを最適化し、効率的で透明性の高いプロセスを構築できます。
そして、BPRを支える有力なツールとなるのがPIMシステムです。各種物件や製品情報、設備情報の一元管理や、複数部門間でのスムーズなデータ連携が可能となることで、業務効率が飛躍的に向上するでしょう。ただし、PIMシステムの導入はあくまで手段であり、まずは業務プロセスそのものの再構築が、真のDX推進には欠かせません。
当社が提供するBPR支援サービスでは、スムーズなプロセス再設計からPIMシステム導入・運用まで、一貫してサポートいたします。これにより、企業の競争力強化とデジタル化の実現が可能です。
今後のデジタル化と企業成長を見据え、まずはBPRを通じて業務プロセスを最適化し、その上でPIMシステムの導入を検討してみてはいかがでしょうか。
このコラムで紹介した製品・サービス
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企業の収益力を強化/戦略的な商品情報の管理と活用を支援
MDM/PIMソリューション
デジタルシフトが加速し、多様化する”ニューノーマル”な社会への適切かつ柔軟な対応が急務になっています。製品のデジタル資産およびその他の非構造化データを効率的に収集・一元管理できるMDM/PIM(※)を導入することで、デジタルトランスフォーメーションを加速し、グローバル化対応やさまざまなメディアへのシームレスな情報連携を実現し、業務の省力化や売上の拡大に貢献します。DNPはシステム導入にとどまらず、導入検討の段階からご支援いたします。
※MDM=Master Data Management / PIM=Product Information Management -
【BPOサービス】~業務を分析し、ノウハウを活かした最適な業務プロセスを提案します~
BPRコンサルティングサービス
業務最適化を見極め、運用までプランニング。業務負荷を軽減し、コア業務に注力できる環境を整備します。AIやRPAなどの先端技術も効果的に導入し、業務改革を強力にバックアップします。