ミラノデザインウィーク2023レポート Vol.2

イタリアで4月中旬に開催された今年のミラノデザインウィーク。DNPでは社員が実際に現地にて、100件を超えるブランドの視察・取材を行いました。各ブランドの新作や、ミラノデザインウィークでの展示の様子について、Vol.1~Vol.4まで4回に分けてご紹介します。(Vol.1、Vol.3-4はページ下部「関連記事」にリンクがあります)

2023年ミラノデザインウィークの様子、各ブランドの新作紹介

B&B ITALIA ブランドサイトヘリンク
ドットやストライプのパターン、原色を大胆に使用し、イタリアらしい明るく楽しい雰囲気溢れるショールームがお披露目されました。左の画像は、Piero Lissoniデザインの新作ソファDambo。不規則な五角形や長方形のモジュールで構成されるシーティングシステムで、用途に合わせて組み合わせが可能です。中央、右の画像は大城健作デザインのスモールテーブルLemante。海でのんびりと優雅に泳ぐマンタの群れのように、リビングでくつろいで欲しいというデザイナーの思いがこめられたこの製品は、複数のテーブルを組みあわせることで、天板と脚のフレームが45°ずれて描くジオメトリックなパターンをそれぞれ楽しむことができます。

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Text by Chihori Kunito



Cassina ブランドサイトヘリンク
Patricia Urquiolaがデザインした新作ソファMONCLOUDは、木製の構造体で、布張りのフォルムを地面から浮かせ、心地良い軽さと、まるで雲のような柔らかな感覚を与えてくれます。また循環性に目を向けることで快適さを謳歌しています。ポリウレタンの使用を最小限におさえ、再生PET繊維が使われています。TABLE MONTAはCharlotte Perriandが自宅で使用していたテーブルのデザインを再編集してリリースされました。流れるようなラインが特徴的な天板は、8つの対称的なパーツで構成された外側のリングが、カッシーナ社の精巧な技によって組み立てられ、貴重な大理石の天板を縁取っています。アズールバイア花崗岩とウォールナット材の仕様は30台のリミテッドエディションです。

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Text by Chihori Kunito



Flou ブランドサイトヘリンク
Flouは今年、Salone del Mobileで内と外がシームレスに組み合わされた解放感のある空間でFlouとNativoのプロダクトを展示。屋外を想起させる芝生の上に展示されていたのはEmanuela Garbinのデザインによる “BAIA”。Flouの得意とする巧みな技巧を象徴するやわらかいシルエットが、軽やかな金属の脚によって浮かび上がります。心地よさとコンテンポラリーなスタイルを併せ持ったベッドです。

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Text by Hidehiro Anzai



Giorgetti ブランドサイトへリンク
創立125周年を迎えるGiorgettiは今年、ミラノ市内のファッションブランドやアートギャラリーが集まるSpiga通りに “Giorgetti Spiga - The Palace” をオープンしました。17世紀に建てられた建物を利用したこの場所は、家具だけではなくアート作品、アンティーク等による演出によってGiorgettiのブランド哲学を総合的に伝える新しい形のショールームです。その空間を象徴する新作の一つがCarlo Colomboによるモジュラーソファ“KARPHI”。ミニマルなスタイルをベースにしながら、キルティングパターンや大理石、レザー、アッシュから素材を選べる6角形のテーブルエリアが、親しみやすさの中にコンテンポラリーな印象を加えます。

Giorgetti01

Text by Hidehiro Anzai



Minotti ブランドサイトへリンク
MinottiはMILANO SALONE 史上最大規模となる5000㎡の2階建てブースで出展しました。会場全体に計28ものインドアシーン、アウトドアシーンをちりばめ、さまざまなシリーズを混在したコーディネーションによって「Minottiブランドのアイデンティ」が空間として表現されました。右の画像はロドルフォ・ドルドーニによるデザインの新作ソファDYLANです。バックレストが低いのが特徴で、快適性はそのままに空間の視線を遮らないデザインになっています。

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Text by Chihori Kunito



Natuzzi Italia ブランドサイトヘリンク
地中海のアイデンティティで世界的に知られるイタリアのライフスタイルブランドNatuzzi Italiaは、Natuzziのスタイルの基本要素である、「力を与えるもの」という意味の古代フランス語のconfortを意味する「comfort」を、社内外のさまざまな国際的に著名なデザイナーと組み、このテーマを表現する新しいコレクション「サークル ・オブ・ハーモニー コンフォートネス」を発表しました。

現代デザイン・建築分野で現在最も注目を浴びている人物の一人であるBIG Studioの創設者兼クリエイティブディレクター、ビャルケ・インゲルスとNatuzziの初代モデルからインスピレーションを得て生まれたソファプロジェクト、「Colle」を生み出しました。このモデルは、アプリアと地中海の生活のリラックスした雰囲気を表現し、自分自身や人々との時間を充実させることで、最も親密で社会的な瞬間を楽しむことができる物理的および精神的な場所を提案しています。

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また、世界中のNatuzzi Italiaショールームのリテールコンセプトを開発した建築家・デザイナーのファビオ・ノヴェンブレがデザインした「Tempio」は、現代のパルテノン神殿のように、空間の絶対的な中心となるようにデザインされた珍しいコーヒーテーブルを発信しました。

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Paola Lenti ブランドサイトへリンク
Paola Lentiはミラノにオープン予定の新しいフラッグシップストアにてプレビューイベントを開催しました。年末に、ショールーム、レストラン、ギャラリー、ホテルやデザインオフィスが融合した施設が正式にオープン予定です。

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アウトドア向けの新作Baiaは、日本の伝統的なカゴ編みからインスピレーション受けた防水性の高いマテリアルで覆われています。美しい色の組み合わせと網目のデザインを楽しむことができます。チェア、ソファ、パーティションがリリースされたKioriは、Abonos™ のエルム材が使われています。 Abonos™は、数千年ものあいだ川底に埋められ、化石化のプロセスが促進した木材を再利用したもので、高い耐久性のあるサステナブルな素材です。

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Text by Chihori Kunito

編集後記

2020年、パンデミックで世の中が混乱する中、印象的だった出来事があります。私が拠点とするドイツで政府が「アートは生命維持に必要」という声明とともに芸術家への大規模支援を発表したことです。その翌年の2021年、2022年、2023年と、世の中の大きな変化の中で開催されてきたミラノデザインウィーク。通年で訪れて感じるのは、まさに欧州におけるアートやデザインの力強さです。社会の閉塞感や暗いムードに対し、アートやデザインは何ができるかという積極的で前向きな提案、またそれを見に訪れる人々でつくられる現地のいきいきとした空気感は、先に述べたドイツ政府の声明を象徴しているようでした。まだ、先行き不透明な世の中ですが、だからこそクリエイティブに期待し、学ぶ点は今後もたくさんありそうです。

Text by Hidehiro Anzai



Editor

ミラノサローネなどの海外展示会や北欧のライフスタイルをリサーチし、トレンド情報を発信するセミナーやWebでのレポート記事を執筆している。またDNP 5Stylesの企画やコーディネイト提案にも携わる。
関連資格:インテリアコーディネーター、プロモーショナルマーケター

ドイツ・デュッセルドルフを拠点として欧州市場のデザインマーケティングを担当。現地駐在員として市場調査やデザイナーとの対話を通じ、ヨーロッパトレンド情報の収集、及びその発信活動に従事。

  • 2023年6月時点の情報です。

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