欧州家具2020 新作レポート
ミラノデザインウィーク2020は新型コロナウイルス感染拡大の影響により、残念ながら2021年に延期となりました。そのため各ブランドはSNSやWebを活用して、新作のリリースやプロモーションを行いました。また2020年9月28日~10月10日にはMilano Design Cityが開催され、一部のブランドはショールームをリニューアルし、新作の世界観を表現した空間を発表しています。
DNPでは約30ブランドの新作情報を収集し、それらのCMFトレンドやカラートレンドを分析しました。その結果の一部をご紹介致します。また各ブランドの新作情報についても合わせてご紹介しておりますので、是非ご覧ください。
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index
■ 01 CMF Report
# ProductType# Material# Wood / Wood Color# Stone Color# Accent Color
■ 02 欧州ブランド2020
# B&B ITALIA# Cassina# Flexform# Giorgetti# Minotti# Molteni&C# Poliform# Poltrona Frau# porada
■ 03 北欧家具ブランド2020
# Carl Hansen & Søn# Fritz Hansen# GUBI# HAY# muuto# Normann Copenhagen
■ 04 まとめ
01 CMF Report
欧州の家具ブランド30件からリリースされた2020年新作に関してCMF(カラー・マテリアル・フィニッシュ)のリサーチを行いました。新作295点、カラー・マテリアルバリエーションを含む379点を対象に分析した結果をご紹介します。
#Product Type
新作295点のうち約8割がインテリアファニチャー、2割がアウトドアファニチャーでした。数年前からインテリアとアウトドアの境界がゆるやかになった空間提案が増えており、アウトドアファニチャーのリリースが加速、多様化しています。
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チェアやソファの新作リリースがインテリア、アウトドア共に大きな割合を占めています。アウトドアファニチャーは、屋外でもインテリアと変わりない意匠性を表現する素材の技術が日々向上しています。お天気の良い日にはテラスに出て、ソファやデイベッドでのんびりと寛げるライフスタイル提案が増えていると感じます。コロナ禍でアウトドアへの需要が高まり、アウトドアコレクションは今後更に加速するでしょう。
#Material
数年前から木質、石、金属、ガラス、レザー、ファブリックなど様々なマテリアルで構成するマテリアルミックスの空間が増えています。2020年は、木質が4割強、石は3割強となり、2019年とほぼ同じ傾向でした。
# Wood / Wood Color
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二大樹種と言われているウォールナット(以下、WN)とオークですが、2020年はそれをアッシュが上回る結果となりました。新作に対応するマテリアルとして、アッシュの幅広いカラー・仕上げの提案が増加したことが理由と考えられます。オークがアッシュに置き換わってきている傾向も感じます。
2019年はグレーが減少し、ライト、ミディアム、ダークが増加しましたが、2020年も同じような傾向でした。グレー基調の空間トレンドから変化を感じた2019年でしたが、トレンドはややブラウン方向に移行していると考えています。
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# Stone Color
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例年と同じく最も多いのはホワイトカラーの大理石。やや増加していたのはブラウンカラーの大理石、エンペラドールでした。ミックスマテリアルスタイルの中で必須のマテリアルである大理石は、石でありながらその重さを感じさせない繊細な使い方がトレンドです。
# Accent Color
レザーやファブリックを含めた全てのマテリアルに関して、有彩色のトレンドカラーを考察してみました。空間を彩るアクセントカラーとして、今後の動向に注目です。
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ディープトーンを中心に、ブルーやレッド系のカラーが多く見られた。自然界に存在する色からインスピレーションを受けているようなコンセプトやプロダクトが多く見られていましたので、カラーの名前も自然にちなんだもので命名してみました。
こういったカラーがアクセントカラーとすると、アソート、ベースカラーとしては、2020年もグレーが多く見られていました。グレーは多様化し、クールなグレーとブラウンよりの温かみのあるグレーがありますが、特にここ数年はブラウン系のトープグレーがトレンドとなっています。更に今後は、自然との調和を意識したベージュ・ブラウン方向に移行すると予測しています。
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02 欧州ブランド2020
ここからはイタリアを中心とした欧州ブランドからいくつかピックアップして、2020年の新作情報をご紹介致します。
*掲載はブランド名のアルファベット順です
# B&B ITALIAhttps://www.bebitalia.co.jp
Piero Lissoni氏デザインのサイドボード“Liagò”。 Liagòはヴェネチアの伝統的な建築様式で、建物の上部に取り付けられた屋外ロッジを意味します。Lissoni氏はこの伝統的な様式を再解釈してデザインを考案しました。画像はカナレットウォールナット、スモークブルーのラッカーの表面仕上げです。
Mario Bellini氏デザインのテーブル“Blitz”はつり橋を連想させるデザインです。フレームは軽くて、成長が早い竹が使用されています。大きな板を折り紙のように両端を折り畳んだ形状は、日本らしい繊細さを感じるシルエットです。モダンでありながら、和の要素も感じるデザインになっています。
Photos by B&B ITALIA
# Cassinahttps://www.cassina-ixc.jp/
2020年6月に発表された新作コレクション、および同年9月開催のミラノデザインシティに合わせて追加発表されたアイテムを合わせ、”The Cassina Perspective”のテーマのもとリビング、ダイニング、ベッドルーム、アウトドアと住空間のトータル提案を行い、Web上でもショールームが体感できるようになっています。
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快適な眠りの場を提案するベッドコレクション “The Cassina Perspective at Night” が発表されました。
Patricia Urquiola氏デザインの“L60 BIO-MBO ”は、寝室の小さな楽園として、くつろげる雰囲気の概念を新しく取り入れるデザインです。羽根のような両サイドのヘッドボードは収納性も高く、隠れ家のような空間を演出します。
また快適な眠りのために、ゼロエミッションの空気浄化と騒音吸収の機能が備わっています。見た目のデザインだけでなく、機能やサスティナビリティの点でも、常に最先端を駆けるCassinaのデザインです。
同じくUrquiola氏デザインのチェスト“558 RONDOS “。
L60 BIO-MBO と共にベッドルームにコーディネートすることができるデザインです。
扉はカナレットウォールナット、天板はネオマルキーナが使われています。ウォールナットのもつ大らかでゆるやかな縞目模様は、空間の中で自然の力強さと高級感を感じさせます。
Cassinaは2020年初めて本格的にアウトドアコレクションをリリースしました。テーマは“a lifestyle collection of relaxed elegance”です。”239 FENC-E NATURE“はPhilippe Starck氏のデザイン。木質部分にはナチュラルな印象のサンドブラスト加工が施されたチークが使われています。軽やかな印象のチークはインテリアとしても可能性の高いマテリアルではないでしょうか。
ラウンジチェア“058 KANGAROO”はチャンディガールにある総合病院のホール用に製作されたデザインです。側面は3つの三角形が連なって「Z」を形作っています。当時のインドで使われていた素材を使い、フレームはチーク、座面と背面は籐を編み込んだもので構成されています。
Cassinaは2020年初めて本格的にアウトドアコレクションをリリースしました。テーマは“a lifestyle collection of relaxed elegance”です。”239 FENC-E NATURE“はPhilippe Starck氏のデザイン。木質部分にはナチュラルな印象のサンドブラスト加工が施されたチークが使われています。軽やかな印象のチークはインテリアとしても可能性の高いマテリアルではないでしょうか。
Urquiola氏デザインのアウトドアコーヒーテーブル”554 BOWY OUTDOOR “。天板にはリサイクル素材である強化ガラス繊維RFM®を使用しています。サスティナビリティの観点からも、テラゾーやテラゾー風のデザインは世界的にも注目を集めていますが、そのきっかけはUrquiola氏と言っても過言ではないでしょう。
Photos by Cassina
# Flexformhttps://www.flexform.jp/
Christophe Pillet 氏のデザイン”Any Day”。メタル素材の直線的で細い脚が特徴のコーヒーテーブルとコンソールです。天板は、カラカッタ オーロやエンペラドールなどの大理石、アッシュやカナレット ウォルナットから選択することができます。画像はアッシュのステイン塗装です。このようなアッシュの仕上げやカラーはシンプルでありながら高級感を感じ、トレンドのマテリアルです。
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Flexformは2019年にアウトドアファニチャーを本格的に発表しました。2020年もインドアだけでなく、アウトドアの家具も多くの新作をリリースしています。
その一部から、Pillet 氏デザインの“Echoes”シリーズ。
画像左側はインドア用、右側はアウトドア用のチェアです。インドアとアウトドアで限りなく意匠が近いマテリアルを使い、インドアとアウトドアの境界なくシームレスに屋内外を結んでくれるデザインです。
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2020年にFLEXFORM TOKYOが東京 青山に移転オープンしました。移転前はインドアコレクションのみの展示でしたが、移転に合わせてアウトドアコレクションとモードコレクションの展示も開始致しています。3つのコレクションに共通したテーマ“Home at last” のもと、地下1階から3階までくつろぎの空間が表現されています。2020年の新作も展示されていますので、是非足をお運びください。
Photos by Flexform
# Giorgettihttps://www.giorgettimeda.com/ww/en/
日本人デザイナーのSetsu & Shinobu itoとのコラボレーションにより発表されたサイドボード”KIRI”。女の子が生まれると庭に桐の木を植え、その子が結婚する時にその桐で作った箪笥を持って嫁がせる、という日本の風習にちなんで生まれたこの作品です。緩やかな波を描く扉のデザインは、シンプルでありながら、繊細な抑揚を感じさせます。扉はナチュラル、グレー、ダーク仕上げのウォールナット、天板はカラカッタやポルトロなどの大理石が使用されています。
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異なるマテリアルを異なる厚さで組み合わせた小さなサービステーブル”SUMMA”。大理石、ガラス、メタルといった異素材を組み合わせた個性的なアイテムです。
見る角度によって異なるマテリアルの質感を楽しめ、空間のアクセントになりそうです。
Photos © Giorgetti by Sergio Chimenti
# Minottihttps://minotti.jp/
2018年からnendoとのコラボレーションが始まりましたが、2020年も新作がリリースされました。日本の神社の鳥居からインスピレーションをうけた"TORII"コレクション。TORIIのチェア、ソファ、コーヒーテーブルでコーディネートされた空間は、繊細な脚のフレームの重なりが現れ、千本鳥居を連想させます。ふわっとしたラグとも相性がよく、上品なエレガント空間を表現することができます。
Marcio Kogan氏デザイン "BOTECO"。サイドボードはタバッコカラーステイン仕上げのオーク、あるいはマット・ポリエステルラッカー仕上げのパリサンダーとサハラノワールを組み合わせた、高級感と重厚感のあるデザインです。上質な木質のパターン、質感を味わえるサイドボードになっています。
コーヒーテーブルは低めに設計され、厚みのある天板が特徴です。ユーカリ、パリサンダー、オロビコグレーマーブルから選ぶことができます。
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Rodolfo Dordoni氏デザインの"SOLID" コレクション。シンプルな立方体のフォルムは、どんな空間にもコーディネートしやすいデザインです。
ラッカー仕上げの艶感のある仕上げは空間のアクセントにもなるアイテムです。カラーはCorten、 Moss、 Petroleum、Moka等があり、カラーの組み合わせも楽しむことができます。
Minotti AOYAMAでは、2020年の新作で構成されたコーディネートを実際に見ることができます。2019年はイエローやパープルをアクセントに取り入れた空間提案を行っており、ミラノサローネでもとても印象に残る空間でした。2020年はグレーやブラウンを基調に、全体的にカラーが穏やかに調和した、温かみのある空間になっています。新作の家具はもちろんのこと、ラグや照明にもこだわり、Minottiが提案する最新のトータルコーディネートを体感することができます。是非、訪れてみてください。
Photos by Minotti
# Molteni&Chttps://www.molteni.it
Molteni&C のクリエイティブディレクターを務めるVincent Van Duysen氏の新作"Louisa"。丸みを帯びたエレガントなフォルムと左右非対称のシルエットは空間の中で軽やかなリズムを生むアクセントになります。天板の仕上げは、アッシュ・ブリックレッドのセメント仕上げと、放射線状に構成されたユーカリがあります。 そのほかの樹種も検討されたなか、この構成に一番美しいユーカリが選ばれました。
同じくVincent Van Duysen氏のデザインのブックシェルフ“Hector”。空間の中央に配置することでパーティションとして使用することもできます。垂直方向の支柱は、天板の中央に位置せず、交互に前後に配置されています。空間にリズムを生みならも、どちらの方向からでも美しく見えるフォルムになっており、空間に華やかさをもたらします。
Michael Anastassiades氏デザインのダイニングテーブル“HALF A SQUARE”。天板と脚をつなぐところに、真鍮仕上げの三角形のプレートが装飾されていて、エレガントな要素を付与しつつ、耐久性も高めています。天板はユーカリ、グラファイトオーク、ガラス、大理石から選択可能。こちらの画像はMolteni&Cに今年新たに加わったグリーンの大理石Green Alpineが使われています。大きな天板にグリーンの大理石が映え、ダイナミックなアイテムです。
さらにMolteni&Cに新しく加わった大理石Silver Dune、Silver Waveを天板に選べる、Matteo Nunziati氏デザインのスモールテーブル“ALISEE” 。木質の種類や仕上げと同様に、大理石もそのブランドを表す重要なマテリアルの一つとなっています。画像左はSilver Dune、右はSahara noirを天板に使用しています。美しいバランスとそれぞれの構成要素を厳密な比率で追求した作品です。
東京 青山のMOLTENI&C TOKYOでは新作を中心としたコーディネートを体感することができます。 Vincent Van Duysen氏がディレクションを務めるデザイン・空間の感性を感じながら、Molteni&Cならではの、機構など細部にわたる美しさを見ることができます。是非ショールームに足をお運びください。
Photos by Molteni&C
# Poliform
Jean-Marie Massaud氏デザインのアームチェア“LE CLUB”。ボリューム感のあるエレガントなフォルムですが、同時に軽やかさや繊細さも感じるデザインです。昔から培われてきたクラフトマンシップと、現代のテクノロジーの融合が感じられます。
同じくJean-Marie Massaud氏デザインのコーヒーテーブル“KOISHI”。日本の小石からインスピレーションを受けて、自然のもつ滑らかなラインと有機的な形が表現されています。天板は、ガラス、木質、大理石から選ぶことができ、今年は新たに加わったマテリアルであるブラックライムストーン“Ebano Stone”も選択可能です。
ミラノのショールームでは、LE CUBEとKOSHIがコーディネートを組み合わせたリビングスペースを表現しています。ホワイトやベージュを基調とした明るく、エレガントな空間になっています。
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Photos by Poliform
# Poltrona Frauhttps://www.poltronafrau.com/ja
Poltorona Frauを代表するアームチェア”Vanity Fair”。
このデザインの誕生90周年を記念して、サイズや座り心地を再検討し、“Vanity Fair XC”が発表されました。張地は、後述するColorSphere®を含む128種類のレザー、またはファブリックから選択できます。
“Kyoto”はデザイナーのGianfranco Frattini氏が京都に訪れた際、影響受けた技術・感性が表現されたテーブル(1974年発表)です。Poltrona Frauはオリジナルデザインを尊重しながらリメイクしました。巧みな職人技によって構成された格子パターンと、それらがもたらす美しい陰影も楽しむことができるデザインです。
Giulio Ridolfo氏 とChiara Novello氏のコラボレーションでデザインされたクッション“Journery”。旅の間に得られた風景の記憶や感覚からインスピレーションを受けてデザインされています。 “Pier1”はグリーン、“Tannery”はナチュラルな皮革カラー、“Gion”はパープルとネイビーの組み合わせです。
またPoltrona FrauはColorSphere®という新たなカラー提案を発表しました。 ColorSphere®は色彩ロジックによって整理されたトーンのグラデーションが、7つのカテゴリーで構成されています。それぞれのカラーテーマから、Poltrona Frauの提案するライフスタイルやカラートレンドをイメージすることができます。
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・Into the Black (greys and blacks)
・Milky Way (whites)
・Foundation (blushes and beiges)
・Tierras (browns)
・Red Memories (reds)
・Winter Garden (blues and greens)
・ Back in Town(a metropolitan and international chromatic inspiration )
レザーを中心としたインテリアを彩るカラーの新しいトレンドを常に発信するPoltrona Frauの提案は、日本の市場にも影響を与えそうです。
Photos by Poltrona Frau
# poradahttps://www.porada.it/en-us
Nava+Arosio デザインスタジオによるサイドボード”Bilbao”。カナレットWNをベースに、左側にはカーブを描いた異素材の扉が取り付けられています。レザー、ブロンズ、アルミニウムラッカー仕上げから選ぶことができます。
G. & O. Buratti氏デザインのエレガントなカーブを描いたテーブル“ALAN”。天板、脚はポルトロ、グリジオカルニコなどの大理石、ガラス、カナレットWN、など幅広いマテリアルから選ぶことができます。天板、脚と繊細な薄さが特徴のデザインです。
Photos by porada
03 北欧家具ブランド2020
北欧ブランからは、ミッドセンチュリーのビビッドカラーを想起させるようなカラー、ブラックを取り入れたプロダクトがリリースされました。北欧インテリアは、ホワイト基調のインテリアにエレガントなペールトーンのアクセントカラーを組み合わせる空間がイメージしやすいですが、トレンドスタイルのベースカラーはグレーやブラウンに移行しています。またミッドセンチュリーの時代へのオマージュにより、その時代の印象をモダンに再解釈した空間が増えています。そういった空間に合うように、アクセントカラーも色味がはっきりとしたカラーが新たなトレンドとして出現している、と言えるのではないでしょうか。
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そして、このようなビビッドなアクセントカラーと組み合わせられるのが、トープグレー、クラウドグレー、そして濃いグレーのアイロングレーや、艶を感じるようなアンバーブラウンです。ウォームな木質空間にも相性が良いカラーとなっています。
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Photos by Carl Hansen & Son, Fritz Hansen, HAY, GUBI, muuto, Normann Copenhagen
北欧インテリアにおいてもマテリアルミックスは加速しています。その中で、温かさと冷たさ、硬さや柔らかさなどマテリアルのコントラストを空間の中で映えさせる特徴があります。シンプルで機能的でありながら、それぞれのカラーやマテリアルの質感を楽しめるスタイルは、南ヨーロッパそしてアジアにも影響を与えています。日本にもなじみやすい北欧スタイルは、今後もトレンドが続くと予想します。
# Carl Hansen & Sønhttps://www.carlhansen.com/
1958年にBorge Mogensen氏によってデザインされた”BM0865デイベッド“が復刻されました。オーク材とグレー・ベージュのファブリックの組み合わせは、トレンドのアースカラーの空間に心地よく馴染みます。組み合わせ次第で、さまざまなくつろぎを提案してくれるデザインです。
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Carl Hansen & Sønは2020年9月にデンマーク コペンハーゲンで開催された3 Days of Designに出展しました。
Linda Weimann氏による現代的なカラーと形の新しい文脈のなかで、伝統的な家具、アクセサリー、クラフトマンシップを表現しました。
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Photos by Carl Hansen & Søn
# FRITZ HANSENhttps://fritzhansen.com/
Arne Jacobsen氏の有名デザインSeven Chairに16色が新たに加わりました。“A Sense of Colour(色彩感覚)”というテーマのもと、Carla Sozzani 氏とのコラボレーションにより誕生したカラーです。全ての色に少しだけレッドが入っています。一つの空間で異なるカラーを組み合わせても調和し、明るい空間を演出してくれます。
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Photos by FRITZ HANSEN
# GUBIhttps://www.gubi.com/
“PACHA COLLECTION”は雲の上に座っているかのようなフォルムのデザインです。1970年代にPierre Paulin氏デザインしたものですが、現代の技術をもって復刻されました。まるっとした可愛らしいフォルムは、ミニマルでありながら懐かしさや安心感を感じ、思わず座ってくつろぎたくなるデザインです。
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GUBIは3 Days of Designに出展しました。
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Photos by GUBI PR
# HAYhttps://hay.dk/en
HAYは2020年9月にデンマーク コペンハーゲンで開催された3 Days of Designに出展しました。
下記リンク先より、ショールームの動画を視聴することができます。
ANDREAS ENGESVIK と DANIEL RYBAKKENによるデザインのソファ”ARBOUR “。北欧の持続可能性エコラベルである” NORDIC SWAN ECOLABEL“を取得しています。フレームはFSC認証の木材を使用し、カラーの塗装は水性ラッカーで仕上げています。フレームとクッション、それぞれの質感やカラーのコントラストを楽しみながら、座っても横になっても、安心してくつろげるアイテムです。
1950年代にFriso Kramer がデザインしたREVOLTが復刻しました。オリジナルと同じプロセスで再現され、ミッドセンチュリー先駆者の機能性と弾力性のある構造を保持しています。座面と背面はABS樹脂製で、7割が使用済みのリサイクルされたABS、3割は新しいABSを複合して使用しています。またこのチェアは100%リサイクル可能。すべての部品が完全に分離してリサイクルすることができるサスティナブルなデザインです。
Photos by HAY
# muutohttps://www.muuto.com/
Stacked Storage System/2.0から新しいカラーが加わりました。深みのあるミッドナイトブルーは様々なコーディネートに合わせやすいカラーです。好みのサイズを組み合わせられる機能的なデザインです。
環境にやさしい水性の塗料をつかったダークブラウンステイン塗装が新たな木質の仕上げとして加わりました。アースカラーがトレンドの中、ベージュやブラウンを基調とした空間はもちろんのこと、ヴィンテージやスタイリッシュな空間にも合わせやすい仕上げカラーです。
Photos by muuto
# Normann Copenhagenhttps://www.normann-copenhagen.com/en
包み込まれるような曲線を描いたシェルチェアの新しいコレクションはデンマークのライフスタイルHYGGEをテーマにした”Hygシリーズ”。Simon Legald氏のデザインです。柔らかなラインと取り囲むような丸みを帯びた形は、まさしくHYGGEな居心地の良いスペースを作ることができます。
2020年3月にリニューアルしたコペンハーゲンのショールームはfantastic transformationsがテーマになっています。1つのフロアは、エレクトリックなエネルギーと心を落ち着かせるブルーで床から天井まで覆われています。その中で柔らかいカラーの家具が明るく映える展示空間です。もう1つのフロアでは、質感を追求したマテリアルがトーンオントーンで壁面にディスプレーされ、多くのカスタマイズオプションを見ることができます。
Photos by Norman Copenhagen
まとめ
マテリアルミックスはインテリアコーディネートのスタンダードな手法として定着しています。
木質のカラートレンドは2019年から変化の兆しがみられ、ミディアム、ダーク、ディープカラーの増加しています。
樹種は、二大樹種と言われたウォールナット、オークに次いで、アッシュへの注目が高まっています。
一方で、ファブリック系はグレーが多い印象です。そのグレーは多様化し、ここ数年は温かみのあるトープグレーがトレンドとして出現しています。
また様々なブランドからアウトドアファニチャーのリリースが加速しています。コロナ禍で屋外で過ごす時間が長くなり、屋外でも室内のインテリアと同じようにくつろぎを得られるデザインが今後も増えてくると思います。
Modern interior
# ミックススタンダードスタイル
#アッシュのバリエーション増加
# アッシュやオークのダークカラー
# ナチュラルな表現のウォールナット
#ウォームグレーの空間
#アウトドア家具リリースの拡大
Nordic Interior
# ミッドセンチュリーへのオマージュ
# ビビッドなアクセントカラー
# マテリアルコントラスト
取材、撮影 & テキスト
- Chihori Kunito (大日本印刷株式会社 生活空間事業部)
大学・大学院で心理学・認知科学・色彩心理学などを学ぶ。学生時代は内装の色彩が人間の心理に与える影響や、肌がきれいに見える壁紙の色彩などについて研究。日本色彩学会 2011年学会大会にて発表奨励賞を受賞。2012年DNPグループに入社し、壁紙の企画デザインを担当。2016年より現在の部署にて、ミラノサローネなどの海外展示会や北欧のライフスタイルをリサーチし、トレンド情報を発信するセミナーやWebでのレポート記事を執筆している。関連資格:インテリアコーディネーター、プロモーショナルマーケター
ミラノの滞在中は街中に新しく誕生したスポットにも足を運んでいます。2019年はイタリア1号店となったStarbucks Reserve Roastery Milanに訪れました。郵便局だった歴史的建造物で、非常に重厚感のある佇まいでした。インテリアはPatricia Urquiolaが手掛け、イタリアのマテリアルや建築様式を多用しています。主にウォールナット、チーク、真鍮、大理石で構成され、ミラノの歴史を思わせるクラシカルな要素と、新しいトレンドを発信するミラノならではのモダンさを兼ね備えた空間となっていました。