校正・校閲業務を効率化するには?
「DNP AI審査サービス™(校正・回覧業務)」がDXを支援
チラシ・パンフレット・パッケージなどの印刷物の校正・校閲業務は、複数人による目視確認のため多大な時間を要したり、人為的なミスが発生するリスクがあったりと負荷が大きい業務です。「DNP AI審査サービス(校正・回覧業務)」は、このような校正・校閲業務をAI技術で支援し、業務効率化を推進します。 今回のコラムでは、「DNP AI審査サービス(校正・回覧業務)」の特長や機能について紹介します。
2023年11月27日公開
1.「DNP AI審査サービス(校正・回覧業務)」とは?
「DNP AI審査サービス(校正・回覧業務)」は、印刷物の制作工程における校正・校閲業務をAIが支援するサービスです。もともとは、飲料・食品メーカーなどのパッケージや広告販促物の校正・校閲業務の効率化を目的に、2021年にサービスリリースしました。その後、金融機関や生命保険業界のチラシ・パンフレット・契約書などの校正・校閲業務にも活用を広げ、さらに自治体・教育・家電メーカーなど他業界での活用も視野に入れ、サービスを展開しています。
当サービスを導入することで、ポスターやチラシ、パンフレットといった広告販促物のデザインや契約書の文面など、複数人が目視でチェックしている校正・校閲業務において、作業時間の短縮や人員の削減といった業務効率化が期待できます。
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通常、製品パッケージやポスター・チラシ・パンフレットなどの広告販促物といった印刷物の校正・校閲業務では、複数人による目視確認や読み合わせ確認が行われ、多大な時間と人件費、工数がかかり、人為的なミスのリスクがあります。また、複数部門にまたがったチェックが必要なことも多く、ステータス管理や修正履歴の管理が煩雑になります。
「DNP AI審査サービス(校正・回覧業務)」では、画像文字認識機能、校正・審査機能、ワークフロー・審査結果管理機能の3つの機能を提供することで、目視で行っていた校正・校閲業務の効率化を支援します。
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① 画像文字認識機能(文字認識機能)
人が「ものを見る」部分に相当し、画像データからAIで文字を読み取ります。さまざまなデザインデータから文字を読み取るだけでなくテキスト付PDFからテキストを抽出することもでき、文字認識については2パターンに対応しています。2パターンへの対応は、「DNP AI審査サービス(校正・回覧業務)」ならではの機能です。
②校正・審査機能
画像文字認識機能で読み取ったデータもしくはテキスト付PDFから抽出した文字データを、AIが原稿やレギュレーションとの付け合わせ確認を行い、原稿やレギュレーションと合致しない箇所を提示します。人による目視確認や読み合わせ確認に代わり、AIが校正・校閲を実施するため、人はAIが提示した箇所を最終確認するだけで校正・校閲業務を完了できます。そのため、今までかかっていた多大な人的労力や作業時間を削減することができ、業務効率化が実現されます。また、AIが確認することで、属人化しがちな校正・校閲業務における人的ミスの削減も図れます。
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③ワークフロー・審査結果管理機能
クラウド上で複数担当者にまたがった校正・校閲を実現し、デジタルワークフローで回覧できる機能です。ステータス管理や修正履歴管理をデジタルで管理することができます。クラウド上で複数人による校正・校閲業務や承認プロセスが完了するため、従来の赤字入れや回覧のための紙出力が不要になり、ペーパーレス化も実現されます。
2.「DNP AI審査サービス(校正・回覧業務)」のAIの特長
「DNP AI審査サービス(校正・回覧業務)」では、先述の画像文字認識機能と校正・審査機能を、画像文字認識AIと自然言語処理AI の2つのAI技術を活用することで実現しています。
①画像文字認識AI <校正の対象となる文字を抽出>
画像文字認識機能を実現するAI技術で、校正・校閲したい対象物のデザイン画像データからテキストを抽出します。この技術は、食品パッケージを起点にサービス開発されました。そのため、通常の文字に加え、図のような食品パッケージの「麺」「ポテトチップス」などのデザイン性の高い文字をテキストデータとして抽出することも可能です。画像化された文字を認識することができるため、パッケージ画像の最終確認にも活用できます。
画像文字認識AIは、長年、DNPが印刷会社として数多くの印刷物のデザイン・制作を手掛けてきた実績とノウハウの蓄積により、実現されています。各企業で制作されている多種多様な形状・デザインを分析し、画像文字認識精度を飛躍的に高めることで、高精度な画像文字認識AIを実現しています。DNPだからこそ実現できたこの技術は特許取得しており、アウトライン化されたデータから文字の読み取りができる技術は他社製品にはない最大の特長です。
②自然言語処理AI <校正・チェック作業を行う>
校正・審査機能を実現するAI技術で、画像文字認識AIで抽出した文字もしくはテキスト付PDFから抽出した文字の校正・チェックを行います。校正・チェックには原稿比較とレギュレーション審査の2つの方法があります。
原稿比較
原稿比較では、あらかじめ正しいデザイン・成果物が定まっている場合、正解の原稿データ(Excel)と比較して、間違いがないかをチェックすることができます。この機能は、飲料・食品メーカーでよく使用され、主にパッケージデザインの校正・校閲において、商品名/価格/成分表記などのチェックに活用されています。
例えば、図のような商品パッケージの校正・校閲において、パッケージ表面の文字から裏面の成分表示の文字までをすべて確認し、正解の原稿データと比較した結果を表示することができます。これにより、人はAIがNG判定や判定不可能と表示した箇所をチェックするだけで、校正・校閲業務が完了します。
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レギュレーション審査
レギュレーション審査では、企業独自のレギュレーションに則しているかをチェックすることができます。レギュレーションのルールは、企業ごとに事前に定義し、AIに学習させます。使ってはいけない表現や記載しなければいけない注釈表記、掲出しなければならないロゴなどをチェックすることが可能です。審査対象物にルール違反があった場合は、当該箇所にアラートを表示して注意を促します。
例えば、図の保険会社の広告販促物について、事前に学習したルールに反している表現がないかを確認し、正しくは「問い合わせ」と表記しなければならない箇所が「問合せ」と記されていることや、不適切な表現などが指摘されます。人はAIが指摘した箇所をチェックするだけで、校正・校閲業務を完了できます。
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3.「DNP AI審査サービス(校正・回覧業務)」の機能拡充
「DNP AI審査サービス(校正・回覧業務)」では、幅広い業界での活用や利用用途の拡大に向けて、さまざまな機能の追加を行っています。
2023年6月には、「日本語の誤用などのチェック」「表組みの校正・校閲チェック」「多言語対応」の新機能の提供を開始しました。
①日本語の誤用などのチェック
広告販促物に文法の間違いや誤字・誤入力、表記のゆれなどがある場合に指摘する機能です。例えば、文法の間違いチェックでは「見れる」などの「ら抜き言葉」、誤字・ご入力チェックでは「対応でkない」いった入力ミスや「今日は私は走る」といった二重助詞、表記ゆれチェックでは「引っ越し」と「引越し」の同時使用などを確認することができます。
②表組みの校正・校閲チェック
生命保険会社・損害保険会社・メーカー等、料金表の表組みは、商品の価格やスペックといった重要な情報が多く含まれ、文字も細かいため、複数人が読み合わせを行うなど、校正・校閲業務の負荷が高くなります。この機能では、表組みの中から文字情報を抽出し、用語等の一覧データや正しいデータと照合して、一致しない箇所を自動的に判別することができます。
③多言語対応
海外に展開している製品・サービスでは、広告販促物やパッケージ等を多言語で制作する必要があるため、校正・校閲の難易度が高く、間違いが発生するリスクも高くなります。「DNP AI審査サービス(校正・回覧業務)」は英語・中国語・韓国語に対応し、各言語のテキストデータを抽出して、正しい情報と比較してチェックします。その他の言語は、順次実証実験を行っていく予定です。
また今後、ChatGPTなどの生成AIを活用し、校正・校閲を行う文章が読みやすいかどうかといった定性的な評価機能の実装も検討しています。
4.まとめ
「DNP AI審査サービス(校正・回覧業務)」は、飲料・食品メーカーを中心に、生命保険会社や損害保険会社や銀行など、さまざまな業界で幅広く活用されています。カタログやチラシ、パンフレットといった広告販促物をはじめ、マニュアル・教材・製品パッケージ・契約書・各種手続き申請書類等、さまざまな印刷物の校正・校閲の業務効率化を支援することが可能です。
実際に「DNP AI審査サービス(校正・回覧業務)」を導入した飲料メーカーA社では、校正・校閲業務のDXにより、チェック作業の省力化や印刷出力などの付帯作業の削減が実現され、業務時間が30%削減されました。
このように、「DNP AI審査サービス(校正・回覧業務)」ではアナログな作業をAIの技術を使って、属人的な業務をルール化して知識をためることで、誰が行っても一定のチェック結果・クオリティが担保できるようにし、業務効率化・DXを支援しています。
パッケージ・チラシ・ポスターなどの印刷物や契約書などの校正・校閲業務の効率化・DXを検討されている、「DNP AI審査サービス(校正・回覧業務)」についてもっと詳しく知りたいなどございましたら、ぜひお気軽にお問合わせください。