「DNP AI審査サービス™(校正・回覧業務)」の
具体的な活用例を業界別に徹底解説!
多様化する生活者ニーズに応えるため、商品・サービスの多品種化やライフサイクルの短期化が加速しています。それに伴い、カタログやチラシといった広告販促物をはじめ、商品パッケージ・教材テキスト・マニュアルなど、さまざまな印刷物の校正・校閲作業はその頻度や煩雑さが増しており、多くの企業ではその業務効率化・DX化が求められています。
「DNP AI審査サービス(校正・回覧業務)」は、従来目視で行っていた校正・校閲作業をAIにより行うサービスで、修正履歴や承認ステップをデジタル上で進捗管理することができます。飲料・食品メーカーの商品パッケージにおける校正・校閲作業の業務効率化を起点に、数多くの業界で導入されています。「DNP AI審査サービス(校正・回覧業務)」導入後、校正・校閲作業にかかっていた時間を約30%も削減することに成功したケースもあり、導入企業からは担当者の作業負荷や心理的ストレスの軽減につながったという声をいただいております。
今回のコラム記事では、代表的な6つの業界におけるサービス活用例をご紹介します。自社における業務効率化・AI活用によるDX化の参考にしてください。
2023年11月29日公開
目次
1.【飲料メーカー】商品パッケージにおける活用例
生活者や市場ニーズの変化がスピードを増していく中、商品の多品種化・プロダクトライフサイクルの短期化が進み、校正・校閲にかかる業務負荷は増加しています。一般社団法人全国清涼飲料連合会によると、2022年のミネラルウォーター類・茶系飲料・炭酸飲料などの清涼飲料水の新商品数は1,339品となっており、前年より108品増加したと発表されています。平均すると毎月100品以上の新商品が発売されている換算となります。
[出典]一般社団法人全国清涼飲料連合会「清涼飲料統計2023」
あるメーカーでは、年間10,000件以上の商品パッケージの校正・校閲作業が発生しており、10~20名のチェック体制を整えた上で計3回の校正・校閲を実施しているそうです。これら校正・校閲作業の業務効率化・DX化に課題を抱える企業は多いのではないでしょうか。
商品パッケージを制作する場合のチェック例
(1)栄養成分などが記載されたもととなる原稿とパッケージデザインPDFデータを、担当者による読み合わせでチェック。
(2)業界ルールのほか、企業ロゴやリサイクルマークなどのレギュレーションをチェック。
商品パッケージの印刷データはアウトライン化(画像化)されたPDFデータが大半です。商品パッケージには多種多様なデザインや文字が使用されており、アウトライン化(画像化)されたデータから文字を自動認識することが困難であったため、機械化・自動化が進みづらい側面がありました。この課題に対しDNPは、AI-OCR(※)と独自の技術を組み合わせ、アウトライン化(画像化)されたデザインデータから文字データを抽出する「画像文字認識AI」技術を開発しました。さまざまな商品パッケージデザインによるテストを繰り返し、その認識精度を高めています。
商品パッケージには、栄養成分表示やリサイクルマーク・識別マーク等のマーク表示が必要です。これらが正しく掲載されているかどうかのチェックもAIを活用することで作業負荷を軽減しています。
また、グローバル展開している商品・サービスは、広告販促物やパッケージ等を多言語で制作する必要があります。「DNP AI審査サービス(校正・回覧業務)」は、英語・中国語・韓国語にも対応しています。
- ※AI-OCRとは、OCR(Optical Character Recognition/光学文字認識)に、AI技術を融合させ、スキャナなどで読み込まれた画像データから文字をテキストデータに変換する技術のこと。
2.【生命保険会社】チラシ・パンフレットなど広告販促物における活用例
次に、生命保険会社での活用イメージを紹介します。全国各地に支店・営業所がある生命保険会社では、保険募集資料と呼ばれるチラシ・パンフレットなどの制作物が非常に多く、確認作業が追い付かないという課題をよく耳にします。また、法令違反・不適切表現や人権配慮に欠けた表現がないかなどチェックしなければならない校正ルールが膨大で、校正・校閲にかかる作業負荷が非常に高くなっています。
チラシ・パンフレットを制作する場合のチェック例
(1)表記・表現のチェックは、自社マニュアルやチェックシートを使って実施。
(2)保険料金表は、もととなる正解データとチラシ・パンフレットのデザインPDFデータを、担当者による読み合わせでチェック。
チラシ・パンフレットといった広告販促物はテキスト付PDFデータである場合が多く、テキスト付PDFデータであれば直接文字を抽出することができます。このように、「DNP AI審査サービス(校正・回覧業務)」はテキスト付PDFデータからもアウトライン化(画像化)されたPDFデータからも、文字を自動抽出することができるのが大きな特長となっています。
また、DNPは2023年6月に表組みチェック機能を追加しました。商品・サービスの料金表には価格やスペックといった重要な情報が多く、文字も非常に細かいため、複数担当者が読み合わせを行うなど校正・校閲作業の負荷が非常に高い作業です。今回の新機能では、表組みの中から文字情報を自動抽出し、正しいデータと照合・一語一句チェックをし、一致しない箇所を自動的に判別し教えてくれます。
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3.【銀行】契約書類の審査における活用例
銀行が法人融資を行う際に必要となる書類は10種類以上にも及び、必要書類が不足していないか・各書類に記載されている企業名や住所等は一致しているか・申請添付資料に不一致はないか・記入漏れがないか・日付の矛盾はないか・捺印漏れがないかなど、そのチェック内容は多岐にわたり確認作業に非常に手間がかかります。契約書類不備により手戻りが発生してしまうことも多く、これらの手戻りをなくし工数を削減したいと考える銀行は数多くあります。このようなお客様と締結する契約書のチェック・審査業務を効率化するためにも「DNP AI審査サービス(校正・回覧業務)」をお使いいただくことができます。
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融資審査を行う場合のチェック例
審査チェック対象 | 不備内容 | |
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1 | 契約書類の種類・数 | 過不足 |
2 | 日付 | 書類間の不一致、入力漏れ |
3 | 契約者情報(氏名・肩書・住所) | 書類間の不一致、入力漏れ、お客様情報の不一致 |
4 | 契約情報(金額) | 入力漏れ、契約情報の不一致 |
5 | 捺印 | 捺印漏れ |
DNPでは校正・校閲作業だけでなく、その前後作業となる必要な契約書類を管理するドキュメント管理やオンラインで契約書への記入や署名を行う電子契約もセットでご提供することができます。これにより、業務全体のフロー最適化・DX化をトータルで支援しています。
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まずはドキュメント管理サービスから必要な契約書フォーマットを取得し、お客様用の契約書を作成します。その次に、「DNP AI審査サービス(校正・回覧業務)」で契約書類に不備がないかチェックをします。不備がないことを確認できたら、電子契約サービスを使ってオンラインで契約を締結するという流れとなります。このようにDNPではさまざまなサービスを組み合わせて、最適な業務効率化・DX化を支援しています。
4.【自治体】各種行政手続きにおける活用例
2020年総務省は「デジタル社会の実現に向けた改革の基本方針」を決定し、“デジタルの活用により、一人ひとりのニーズに合ったサービスを選ぶことができ、多様な幸せが実現できる社会~誰一人取り残さない、人に優しいデジタル化~”をめざすと発表しています。このビジョン実現のためには、行政を担う自治体の役割は極めて重要となります。
自治体における転入・転出届、各種児童・介護関連手続きなどについてオンライン手続きを可能にするとともに、それ以外の各種行政手続きについても積極的にオンライン化を進めるよう総務省から指針が発表され、いわゆる「自治体DX」が推進されています。
DNPでは、これら各種行政手続きのデジタル化と審査業務の効率化も支援しています。まずは、郵送や窓口に持ち込まれた申請書類をAI-OCRによりデータ化し、そのデータを「DNP AI審査サービス(校正・回覧業務)」でチェックします。問題がなければ後続処理へ進むという流れとなっています。
各種手続きを審査・確認する場合のチェック例
(1)目視による必須記載項目の記載漏れ・本人確認書類との一致確認。
・氏名・住所・電話番号などの申請者情報と基幹システム・稟議書・申請添付資料と内容が一致しているか。
(2)目視による申請審査。
・申請添付資料が揃っているか。
・申請条件を満たしているか。
・契約条件(金額・利率など)が稟議書で承認された内容と一致しているか。
DNPは、課題や要望をヒアリングし、行政手続きに特化した管理画面を提供しています。ある自治体では、審査業務に必要となる各種申請書類をデータ化し、システムにて申請管理することで、大幅に業務効率化を実現した例もあります。
5.【教育関連会社】教材テキストにおける活用例
次に、学習塾や通信教育などの教育関連会社における活用例をご紹介します。教材テキスト制作における校正・校閲作業は、学年別学習漢字にもとづく使用可能漢字のチェックや誤った日本語チェックなど、その内容が煩雑で業務負荷がかかります。
DNPでは、学年別漢字配当表を辞書化し「DNP AI審査サービス(校正・回覧業務)」でチェックを行うとともに、日本語チェック機能により文法チェックを実施することができます。
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- ※[出典]文部科学省 学年別漢字配当表
教材テキストを制作する場合のチェック例
(1)学年別学習漢字に則しているかのチェック。
(2)日本語文法が間違っていないかのチェック。
・ら抜き言葉
・逆接の接続助詞
・二重助詞
・二重否定 など
「DNP AI審査サービス(校正・回覧業務)」では、テキスト付PDFデータだけでなく、画像文字認識AIにより画像データからテキストデータを抽出することもできるため、
・紙の教材テキスト:テキスト付PDFデータから文字を抽出。
・タブレット端末:画像文字認識AIにより文字を抽出。
のように、どちらのパターンにも対応することができます。
6.【電気機器メーカー】商品カタログにおける活用例
数百ページもの商品カタログの場合、その校正・校閲作業には集中的に人員が集められ、数日かけて行われるなど、非常に作業負荷・ストレスのかかる作業となります。型番・価格等のチェックを目視確認で一つひとつ行っている企業も少なくありません。廃版商品の削除漏れや新商品の価格・型番情報の記載ミスが発生してしまうこともあり、人力で対応するには非常に負荷がかかる上にリスクが高い点が課題となっています。
商品カタログを制作する場合のチェック例
(1)廃版商品・旧型番の残存を商品データベースと照らし合わせてチェック。
(2)新商品の型番やスペックを商品データベースと照らし合わせてチェック。
校正・校閲作業はひとつの誤表記が命取りとなることがあり、結果印刷物の刷り直しやカタログ回収作業などが発生してしまうことがあります。そのため校正担当者にかかるストレス・作業負荷は想像を超えるほど大きいものであることも多く、「DNP AI審査サービス(校正・回覧業務)」により校正・校閲作業を自動化することで本来のコア業務に集中できるというメリットも生まれます。
7.まとめ
多くの企業では、社内の複数部門にまたがる人員が制作物の校正・校閲作業に携わっており、その作業工数は実に膨大です。制作物の校正・校閲作業は、多くの業界で行われており、業務効率化・ミス削減は共通の課題となっています。
DNPは、長年多くの印刷物を取り扱い、校正・校閲作業に携わってきた経験を活かして「DNP AI審査サービス(校正・回覧業務)」を開発しました。テキスト付PDFデータからだけでなくアウトライン化された画像データからでも、文字情報を抽出することができるため多種多様な制作物に対応することができます。印刷会社だからこそ、制作物の入稿データには多くの知見・ノウハウを有しておりますので、校正・校閲作業の業務効率化・DX化のための最適な仕組みをご提案することができます。
「DNP AI審査サービス(校正・回覧業務)」は、搭載機能・使い勝手の改善・AIの精度についてなど都度バージョンアップしており、校正・校閲にかかる作業時間の大幅な削減を実現することができます。さまざまな企業からチェックしたい内容のヒアリングをしていく中で、文章が読みやすいか・わかりやすいかといった表現の定性的なチェック・評価をできないかと相談をいただくことも多くあります。これらのニーズに対応するべくチャットGPTなどの最新技術を活用できないか現在検討を進めております。
今回のコラム記事では、代表的な6つの業界における活用例をご紹介しましたが、活用範囲はこの限りではありません。自社で行っている「この業務に活用することはできないか」「作業負荷がどのくらい削減できるのか」など、ご要望・ご相談がありましたら、ぜひお問合わせください。
このコラムで紹介した製品・サービス
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校正・校閲・審査業務を効率化するDX支援ツール
DNP AI審査サービス™(校正・回覧業務)
カタログやチラシといった広告販促物をはじめ、マニュアル・教材・製品パッケージ・契約書・各種手続き申請書類等、さまざまな印刷物の校正・校閲・審査作業の業務効率化をサポートします。従来目視で行っていた各種印刷物の文字や画像等のチェック作業をAIを活用して行うことで、ミスの軽減・作業時間の短縮を実現することができます。 -
ドキュメントの管理・改訂時の業務負荷軽減およびリスクを低減
DNPドキュメント制作・管理システム PROMAX NEO (プロマックス ネオ)
金融機関や保険会社などが保有する大量のドキュメント(規程・マニュアル・契約書類など)を効率的に運用・管理できるシステムです。「制作・改訂」から「承認」「管理」「公開」まで、ドキュメントに関係する業務プロセス全体を統合し、効率的なワークフローを運用実現します。