「色」のスペシャリスト集団が生んだDNPのカラーチャート。進化し続けるカラーマネジメントとは
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みなさんは「カラーチャート」や「カーネーションガール」をご存知ですか? これらは映像や印刷物を作る際、正確な色が再現できているかを判定する “色の基準”となるもの。実は、DNPのカラーチャートは、カラーテレビの誕生とともに生まれ、その頃からテレビ放送の業界スタンダードとして使われています。近年では、放送の現場だけではなく、医療の現場でもそのカラーマネジメント力を発揮しています。さて、その知られざる進化とは?
目次
- カラーチャート誕生の裏には、1964年開催の東京オリンピックの影響が!
- 高度な色再現が可能なDNPのカラーチャートが、業界のスタンダードに!
- 進化する4K、8K対応カメラ・モニター用のカラーチャートとは
- 医療用のカラーチャートを使えば、より正確に病気を診断できる!?
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登場人物
活じい…金属活字じいさん。活字としてのキャリアは144年。長い経験で培われてきたDNPグループに関する豊富な知識で、いろいろなことを教えてくれる生き字引的な存在。
トンボちゃん…印刷物の見当合わせ※トンボから生まれたキャラクター。きっちりした性格で、曲がったことが大嫌い。細かな気遣いで活じいをサポートします。
- ※【印刷用語:見当合わせ】見当とは、多色印刷において各色版の重ね合せる際の位置精度のこと。版面にトンボといわれるレジスターマークを入れて、見当を合わせるようにしている。
カラーチャート誕生の裏には、1964年開催の東京オリンピックの影響が!
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DNPが作る「カラーチャート」は、テレビカメラなどで撮影した映像が、実際の色を再現できているかを確認するための色見本ツールです。例えば、テレビ番組収録などで、複数のカメラで同じ対象を撮影しても、カメラごとに微妙に色が異なると、つなぎわせた映像に違和感が出てしまいます。そこで、収録の前には、すべてのカメラでカラーチャートを撮影し、撮影した映像がカラーチャートと同じ色を再現できるよう、機器を調整します。写真右の「カーネーションガール」は、人が違和感を覚えやすい「肌の色」を合わせるのに特化したもので、主に日本国内で使うことを想定し、日本人がモデルになっています。
DNPは、1958年にカラーテレビに必要なシャドウマスク(※1)を開発しました。そこから、「色再現のプロ」である印刷会社として、カラーテレビで正しい色再現ができるよう、色の基準を作ったのが、DNPのカラーチャートの始まりです。
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その後、1960年初頭にカラー放送が開始され、1964年に東京オリンピックが開催されるとカラーテレビが普及しました。これに伴い放送の規格化が進み、DNPが製造するカラーチャートは、一般社団法人映像情報メディア学会や日本電子機械工業会によって標準規格として認定され、多くのテレビ局やカメラメーカーで使用されるようになりました。
このカラーチャートは、透明なガラスに着色した「透過型」と言われるものです。ビュアー(光源)にセットして使用することで、より高い精度で色を再現できます。DNPはビュアーも独自に開発するなど、「色」と「光」の両方を研究しています。
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高度な色再現が可能なDNPのカラーチャートが、業界のスタンダードに!
DNPのカラーチャートは、映像業界団体の標準チャートに選ばれたことで多くのテレビ局で使われるようになり、映像カラーマネジメントのスタンダードになっていきました。その理由のひとつに、DNPの優れた色再現技術を活かし、色の「スペクトル(※2)」まで考慮して設計した“モノづくり”があります。
色の「スペクトル」とは、色ごとにある固有の詳細情報。人間でいえばDNAのような情報から色の設計を行うことで、非常に高い精度で色を再現したカラーチャートを製造しているのです。
- ※2:電磁波の一部である可視光の波の長さ(波長)の状態をスペクトルという。視覚が、スペクトルの違いを色の違いとして認識している。
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異なるスペクトルでは、一見同じ色に見えたとしても光源等の条件によって見え方が変わる可能性がありますが、同じスペクトルなら異なる光の環境でも常に同じ色を表現できます。DNPは、このスペクトルの設計から色の再現を行うことができる、日本でも数少ない“カラーマネジメントのスペシャリスト”です。
進化する4K、8K対応カメラ・モニター用のカラーチャートとは
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全体が人の見える色の範囲。ピンクやブルーの線に囲まれているのが、4K、8Kカメラ・モニター用の色の規格範囲。〇や※部分の色をカラーチャートに反映させている。 |
徐々に普及が進む「4K」や「8K」に対応したカメラやモニターは、より精緻な映像を映し出すことができ、表現できる色の範囲も大幅に広がっています。8Kともなると映し出す映像が人間の視覚とほぼ同じ情報量になるため、求められるカラーマネジメントも非常にレベルの高いものになります。DNPでは、すでに4K、8Kカメラやモニターに対応したカラーチャートを開発しており、標準化に向けて準備を進めています。特に8Kの分野は世界に先駆けて日本がリードしているため、DNPの開発した規格が、“世界のスタンダード”になる可能性さえあるのです。また、1960年代から長らく使われてきた「カーネーションガール」に代わり、4K、8Kカメラやモニターに合わせて、新たに「和傘」というカラーチャートが登場しています。
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医療用のカラーチャートを使えば、より正確に病気を診断できる!?
高性能な情報機器が普及し、次世代通信「5G」への期待が高まるなか、映像の役割もますます大きくなっており、忠実に色を再現するカラーマネジメントの重要性が一層高まっています。DNPは映像の医療分野での活用を視野に入れ、医療用の顕微鏡で使用するプレパラート状のカラーチャートを開発しました。
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これまで、医療用の顕微鏡で撮影した画像は、顕微鏡ごとに色調が異なっていました。そのため、色から異常を判定することが難しく、例えば遠隔医療において、ネットワーク経由で送付した画像データから診断することは困難でした。しかし、DNPが開発した医療用カラーチャートを「色の基準」として使えば、どの顕微鏡でも同じ色調に補正できるようになります。それによって、現在、検体などの対象物を大きな病院に送って解析しなければならないケースでも、色補正された画像データを送るだけで、より正確に診断できるようになり、遠隔医療の拡大にも貢献すると期待されています。
さまざまな場面に利用領域を広げてきているカラーチャート。DNPの技術革新は、私たちの生活をより便利にする可能性を秘めているのです。
カラーチャートって初めて聞いたけど、実は私たちの暮らしに深く関わっていたのね〜。
そうじゃな!古くからDNPが“色”に関する研究・開発をしてきた成果なのじゃ!
- ※製品の仕様などの掲載内容は取材時のものです。予告なしに変更されることがありますので、あらかじめご了承ください。
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