リサイクルしやすく、単一素材からできたパッケージ
DNPモノマテリアル包材
単一素材(モノマテリアル)から作ることで、リサイクルしやすくなった環境に配慮したパッケージです。
海洋プラスチックごみ汚染などの環境問題に対して、循環型社会の実現に向けて世界中がプラスチックリサイクルを推進しており、そのなかでモノマテリアルのパッケージが注目されています。
DNPはこれまで培ってきた独自のコンバーティング技術や製膜技術、蒸着技術などを活かしてパッケージに必要な機能を付与することで、ポリエチレン(PE)仕様またはポリプロピレン(PP)仕様のモノマテリアル包材を実現しました。
目次
モノマテリアルとは?
異なる長所を持つ複数の素材を貼り合わせることで、保存性や強度などパッケージとしての機能を持たせた軟包装が広く使用されています。例えば、耐熱性が必要ならPET、酸素や水蒸気から内容物を保護するためのアルミ箔もしくはアルミ蒸着フィルム、耐衝撃性を高めるならナイロンといった素材が使われます。しかし、製品の性能が保たれる一方で、複数の素材を分離することが困難であるためリサイクルがしにくいと言われています。
この課題を解決するひとつの方法として、単一素材でありながら、保存性や強度などの機能を持たせたモノマテリアルのパッケージが挙げられます。単一素材で構成されているため、再生工程においてリサイクルしやすくなり、リサイクル材としての品質を向上させます。モノマテリアルは循環型社会の実現に向けてプラスチックリサイクルが推進される国や地域で、特に注目されているパッケージです。
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モノマテリアル化がなぜ必要か?
循環型社会を実現するモノマテリアル
現在、廃プラスチックの有効利用方法としてマテリアルリサイクル、ケミカルリサイクル、サーマルリカバリーの3つが世界では主流となっています。焼却技術や設備が普及している日本では、サーマルリカバリーの割合が多く占められています。一方で、海外では焼却技術や設備が日本よりも普及されておらず、マテリアルリサイクルやケミカルリサイクルが目立ちます。
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マテリアルリサイクルは環境負荷の点では優れており、重要な廃プラスチックの利用方法ですが、問題点としては異素材の混入によりリサイクル材の品質に影響を及ぼすことが挙げられます。
リサイクル材の品質を向上させ循環型社会に貢献する技術としてモノマテリアルは欠かせず、モノマテリアル化に取り組む国や企業が増えております。
グローバル企業のリサイクル対応は急務
欧州では、サーキュラーエコノミー(循環型経済)の提唱をきっかけとして、プラスチックリサイクルが求められるようになりました。サーキュラーエコノミーとは、”経済活動で生まれる廃棄物をリサイクルして循環させる”新しい経済システムの概念です。2015年12月にEUが政策のひとつとして公表して以来、さまざまな場面で目にするようになりました。
DNPの強み
1.グローバルな供給体制
DNPは日本、インドネシア、ベトナムにパッケージの製造拠点があります。グローバルに展開されているお客様への対応も可能です。
2.システム設計も支援
DNPはモノマテリアル包材の提供にとどまらず、充填機械にパッケージがうまく実装できるようシステム面でも支援します。
3.独自のテクノロジー
モノマテリアル化においては、従来仕様と同等レベルの機能が求められます。DNPでは、食品、日用品、医療等の分野での納入実績に加えて、物性および生産性を考慮した適正材料の選定など、DNPならではのテクノロジーでお客様のモノマテリアル化を支援します。
4.グローバル基準に準拠
欧州と米国におけるプラスチックリサイクルの基準を満たしたモノマテリアル包材を提供します。例えば、欧州では「CEFLEX」という欧州の軟包装業界で循環型経済を推進するコンソーシアムがガイドラインを定めています。DNPは同コンソーシアムに加入しており、最新のガイドラインに準拠した仕様設計、提案を進めています。
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5.数値化で客観的な効果を算出
モノマテリアルに切り替わったことによる環境負荷の低減に関して、ステークホルダーに定量的に説明することが求められる場合もあります。DNPではパッケージの原材料調達から製造・廃棄までのライフサイクル全体での環境負荷について可視化することにも取り組んでいます。
用途例
食品
- 乾燥物(食品一例)
●想定されるニーズ
外部から透過される酸素や水蒸気は内容物を劣化させます。例えば、ドライペットフード(乾燥物)は油分を多く含み、酸素や水蒸気の影響を受けやすいとされており、内容物の保護が求められます。
飲料
- ベビーフード
●想定されるニーズ
外部から透過される酸素や水蒸気は内容物を劣化させます。例えば、ベビーフードは乳幼児へ安心して飲料・食品を提供する必要があり、内容物の保護は欠かせません。
電子部材、工業製品などのインダストリアル・マテリアル部材
- インダストリアル・マテリアル
●想定されるニーズ
電子機器、電子機器に使用される中間部材の中には、酸素、水蒸気の影響を受けることがあります。影響度合いによっては電子機器がうまく稼働しない場合が発生、重大な事故の元にもなり、内容物の保護が特に重要となります。
レトルト製品
●想定されるニーズ
レトルト製品は製品の特長として長期保存が挙げられます。例えば、ウェットペットフードでは飼い主が内容物を長期間にわたって保管し、安心して食品を提供したいニーズが見受けられます。
シャンプー・コンディショナーなどパーソナルケア、日用品
●想定されるニーズ
シャンプー・コンディショナーを保管している際に、保香性や水分の蒸発による内容物重量の減少を抑えるための水蒸気バリア性などが求められます。
各用途で考えられる包材設計のポイント
DNPのモノマテリアル包材はさまざまな用途に対応したラインアップを用意しています。
複数の用途例を挙げましたが、モノマテリアルにおける包材設計のポイントとしては主に下記になります。
・酸素や水蒸気に対するバリア性など、従来仕様と同等レベルの内容物の保護性がある。
・リサイクルを容易にし、リサイクル材の品質が向上する。
DNPではバリア性の高いポリエチレン仕様またはポリプロピレン仕様など内容物に合わせたモノマテリアル包材のラインアップを用意しています。
DNPの導入実績
コスメ・ヘルスケア商品
お客様:Colgate-Palmolive Company
対象商品:シャンプー・コンディショナー用 小袋(サシェット)パッケージ
採用理由
・ アルミ箔を使わずに、既存パッケージと同等のバリア性能(酸素や水蒸気)を達成
・ アルミ蒸着PETを使用しているフィルムパッケージと、同等のメタリック調の輝きを実現
食品飲料
お客様:リプトン・ティーアンドインフュージョン・ジャパン・サービス株式会社
対象商品:リプトン「リプトン ボタニックティー」 、「リプトン キープ&チャージ」 外装パッケージ
採用理由
・ アルミ箔を使わずに、既存パッケージと同等のバリア性能(酸素や水蒸気)と高速充填性を達成
・ 既存パッケージの仕様と比較して、100万袋利用時に21.7トン(DNP試算値)のCO2削減を見込める
DNPのサポート体制
モノマテリアル化を実現するにあたっては、①内容物、②最適な充填条件、③保存試験、④賞味期限の設定、⑤輸送条件などの事項を検討する必要があります。
DNPでは下記のような開発の流れを通して、検討事項をサポートする体制を整えており、モノマテリアル化の実現を一緒に進めていきます。
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製品ラインアップ
PEアルミ蒸着仕様
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主な特徴
・PEの単一素材から作ることで、リサイクルしやすくしたパッケージです。PEがパッケージ全体の90%以上となっています。
・欧州の軟包装業界の循環型経済を推進するコンソーシアムであるCEFLEX(A Circular Economy for Flexible Packaging)のガイドラインに準拠した設計が可能です。
・独自のコンバーティング技術で開発したアルミ蒸着したPEを使用することで、アルミ蒸着したPET、アルミ箔を使用せずメタリック調の外観で意匠性を付与したパッケージです。特に意匠性が求められる日用品などの用途に適しています。
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PE仕様
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主な特徴
・ポリエチレン(PE) の単一素材から作ることで、リサイクルしやすくしたパッケージです。 PEがパッケージ全体の90%以上となっています。
・欧州の軟包装業界の循環型経済を推進するコンソーシアムであるCEFLEX(A Circular Economy for Flexible Packaging)のガイドラインに準拠した設計が可能です。
・独自のコンバーティング技術により、PEでありながら透明性のある印刷用の基材として使用でき、異種材料であるPET、ナイロンを使用したパッケージからの切替えを想定しています。
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PPアルミ蒸着仕様
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主な特徴
・PPの単一素材から作ることで、リサイクルしやすくなった環境に配慮したパッケージです。PPが包材全体の90%以上となっています。
・欧州の軟包装業界において、循環型経済を推進するコンソーシアムであるCEFLEX(A Circular Economy for Flexible Packaging)のガイドラインに準拠した設計が可能です 。
・独自のコンバーティング技術を活かし、酸素、水蒸気に対する高いバリア性と遮光性を付与することで、異種材料であるアルミ箔、アルミ蒸着したPETを使用した包材からの切替えを想定しています。
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PPボイル・レトルト対応仕様
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主な特徴
・PPの単一素材から作ることで、リサイクルしやすくなった環境に配慮したパッケージです。 PPがパッケージ全体の90%以上となっています。
・欧州の軟包装業界で循環型経済を推進するコンソーシアムであるCEFLEX(A Circular Economy for Flexible Packaging)のガイドラインに準拠した設計が可能です。
・新たに開発したPPベースの透明蒸着フィルムを使用することで、ボイル殺菌後の酸素透過度、水蒸気透過度で1㏄/m2・day・atm、1g/m2・day以下、レトルト殺菌後の酸素透過度、水蒸気透過度で2㏄/m2・day・atm、2g/m2・day以下を達成しています。
・従来では単一素材化が難しかったボイル、レトルト殺菌されるパウチやプラスチック容器用のフタ材への使用を想定しています。
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モノマテリアルFAQ集
- 冷凍食品にも使えますか?
- はい。冷凍食品にもご利用いただけます。
一般的に、食品は冷凍されていたとしても空気に触れることで酸化が進みます。いわゆる「冷凍焼け」と言われる症状で、変色して見栄えが悪くなるだけでなく、風味や食感も損なわれます。そのため、冷凍食品の包材には酸素バリア性が高いナイロンや、耐寒性と耐水性に優れたPET等が用いられます。DNPは既存製品と同程度の品質保持性能を実現しながら、モノマテリアルへ置き換えることができます。
- 採用するにあたっての注意点はありますか?
- アルミ箔やPETなど特徴が異なる素材を組み合わせたフィルムと
似た特徴をPP,PEに持たせたものがモノマテリアルフィルムになります。
ただし、同等の性能は出ない旨ご理解ください。
また、性能面では違いが生じる可能性があるため適切な評価は欠かせません。 - 日本全体におけるマテリアルの取り組みについて教えてください。
- 日本では2022年4月に「プラスチックに係る資源循環の促進等に関する法律」(プラ法)が施行されました。同法律においてプラスチック使用製品設計指針が掲げられており、製造事業者などが取り組むべき事項および配慮するべき事項が定められました。指針の中には単一素材化も含まれています。
- DNPのモノマテリアル包材はどちらで製造されているのでしょうか。
- パッケージの製造拠点は日本、インドネシア、ベトナムにあります。ご要望に沿った形で最適な製造拠点を検討いたしますので、事前にヒアリングさせていただくこととなります。
- 内容物に制約はありますか?
- 幅広い内容物に適した材料・仕様設計しておりますが、事前にご要望を十分にヒアリングさせていただき、充填試験、保存評価などさまざまな検証が必要です。
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ご依頼、ご相談やご質問は、「この製品のお問合わせ」からお気軽にお問合わせください。
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製品特性に関する詳細をご確認いただけます。(PDFファイル:14ページ)