カーテンウォールとは? 活用事例や特徴、分類を紹介

近年、大型の建築物において、大きなガラス面や複雑なファサードの人気が高まっています。こうした特徴的な外観は、「カーテンウォール」を使用することにより実現可能です。カーテンウォールは、スタイリッシュなデザインを成立させるだけでなく、建築物の軽量化や、地震の揺れに強いといったメリットもあります。

今回は、カーテンウォールの種類や特徴について、詳しく解説していきます。カーテンウォールとしても活用できるアルミ外壁パネル「DNP内・外装焼付印刷アルミパネル アートテック®」も紹介しますので、カーテンウォールの採用を検討する際の参考にしてみてください。

本コラムは、壁材・床材など住空間向け製品を扱っているDNP生活空間事業部が編集しています。以下のバナーよりDNP製品・採用事例等をご覧いただけます。

カーテンウォールとは「建築構造上取り外し可能な外壁」

カーテンウォールのイメージ

カーテンウォールとは、その名の通り、カーテンのように空間を仕切る、建築構造上取り外し可能な外壁です。建築物にあとから取り付けられる非耐力壁の外壁の総称であり、建築物の荷重を直接負担していません。そのため、カーテンウォールを用いることで建築物の重量の軽量化が可能になります。

カーテンウォールを取り付ける際には、ファスナーと呼ばれる取付金物を用います。クレーンを使って施工するため、足場を組む必要はありません。そのため、工期短縮や建築コスト削減が可能です。

このような施工方法をカーテンウォール工法と呼び、近年では高層ビルで多く採用されています。特に、全面ガラス張りのような建築物では、カーテンウォール工法が主流となっています。

カーテンウォールの特徴

カーテンウォールには次のような特徴があります。

・建築物を軽量化できる
・デザインの自由度が高い
・地震や台風などによる窓ガラスの飛散を防止できる

建築物を軽量化できる

前述したように、カーテンウォールは「非耐力壁」とも呼ばれます。非耐力壁とは、建築物の強度を保つ役割を持たない壁のことです。カーテンウォール工法が開発される以前は、地震や台風など横からの力に耐えうる、頑丈な構造の外壁を設置する必要がありました。しかし、この施工方法は建築物の重量が増加するため、基礎への負担増によるリスクや建築コストの増加などの課題もありました。

一方、カーテンウォール工法では、柱や梁などの骨組みや土台が建築物の重さを支えています。そのため、外壁であるカーテンウォール自体を頑丈につくる必要はなく、軽量化が可能となりました。建築物の軽量化が実現すると、構造躯体への負荷と躯体にかかるコストを抑えられるため、施工全体の効率化が図れます。

軽量ゆえに効率的に施工可能なカーテンウォールは、建築物の改装・改修にも対応しやすい部材として期待が寄せられています。

デザインの自由度が高い

カーテンウォールは、アルミ、PC(プレキャストコンクリート)、ガラス、チタン、セラミックなど、さまざまな素材が利用できます。デザインの自由度が高く、多様なデザインが実現できることも特徴です。

デザインで建築物の価値を向上したいというニーズが高まるなか、カーテンウォールはイメージを実現できる部材として、多くの建築物で採用されています。

地震や台風などによる窓ガラスの飛散を防止できる

カーテンウォールを採用していない場合、地震や台風など外部からかかる力によって外壁がゆがみ、その影響で窓ガラスが割れ、ガラスの飛散が生じる恐れがあります。

一方、カーテンウォールは外力を吸収して受け流す構造になっているため、ゆがみの影響を最小限にとどめることが可能です。この特徴は、地震や台風といった災害時の窓ガラスの飛散防止に貢献します。

カーテンウォールの種類

カーテンウォールは使用する素材によって、大きく次の2種類に分類されます。

・メタルカーテンウォール/アルミカーテンウォール
・PCカーテンウォール

メタルカーテンウォール/アルミカーテンウォール

メタルカーテンウォールとは、金属材料を使用して作られるカーテンウォールです。用いられる金属材料には、チタンなどがあります。意匠性や耐候性に優れた外観を実現できるうえ、チタンは耐食性に優れているという特徴も有しています。

現在、メタルカーテンウォールの主流となっているのは、アルミを用いたアルミカーテンウォールです。アルミは金属のなかでも軽量であることに加え、外壁に求められる耐候性も十分に備えていることから人気を博しています。また、表面処理を施すことで色や質感を調整でき、多様なデザインのバリエーションを実現できるのも、アルミカーテンウォールの特徴です。

近年では、アルミとガラスを組み合わせたカーテンウォールも多く見られます。ガラスを用いることで採光性を高め、開放感のある空間を演出できます。

PCカーテンウォール

PCカーテンウォールは、カーテンウォール工法を取り入れたプレキャストコンクリート(PC)製品です。耐火性・断熱性・遮音性に優れているという特徴があります。

デザイン面においては、タイルや石を打ち込む、顔料で着色するなどの加工方法が用いられます。また、表面にサンドブラストや研ぎ出し、洗い出しといった仕上げ加工を施すことで、幅広い色や質感のデザインを実現可能です。特に、建築物に高級感・重厚感を持たせたいときに効果的な素材であり、美術館やオフィスビル、公共施設などで多く採用されています。

一方で、アルミカーテンウォールと比較すると重量があるため、軽量化という観点では劣る面もあります。

カーテンウォールの代表的な工法

カーテンウォールの工法として代表的なものは、下記の5つです。ここからは、各工法について解説していきます。

・マリオン方式(ノックダウン方式)
・パネル方式
・パネル組合せ方式
・柱・梁カバー方式
・スパンドレル方式

マリオン方式(ノックダウン方式)

カーテンウォールの工法のなかでも主流となっているのが「マリオン方式(ノックダウン方式)」です。マリオン(方立)と呼ばれる部材を上下階の床や天井と梁に掛け渡し、架け渡したマリオンに、ガラスやスパンドレルパネル(壁パネル)のようなカーテンウォールをはめ込んでいく工法です。垂直に架け渡したマリオンにカーテンウォールをはめ込んでいくため、建築物は縦の線が強調されるデザインになります。

近年、増加傾向にある全面シームレスガラス張りのビルの多くで、マリオンの前にガラスを取り付ける「バックマリオン方式」が採用されています。

パネル方式

マリオン方式に次いで採用されることが多いのが、上下フロアにまたがった1枚のパネルを並べてつなぎ、大きな壁面をつくる「パネル方式」です。一般的に、1枚のパネルには独立した窓が1つついています。その窓が均等に並ぶと、特徴的なファサードに仕上がります。

比較的簡単な工法ですが、パネル同士のつなぎ目に処理が必要です。

パネル組合せ方式

「パネル組合せ方式」は、パネル方式と同様に、パネルを並べてつなぐ工法です。パネル方式との違いは、全面に同じパネルを使用しない点です。並べるパネルの一部をガラスの入った金属フレームにし、パネルと同じようにつないでいくことで、デザインにアクセントをつけられます。

柱・梁カバー方式

柱や梁を包み込むような形状のパネルをつくり、組み合わせていく工法を「柱・梁カバー方式」と呼びます。パネルで柱や梁をカバーし、空いたスペースに窓ガラスを組み込むのが一般的な工法です。

デザイン的には、柱の縦ライン、梁の横ラインがそれぞれ強調されるファサードに仕上がります。

スパンドレル方式

梁の前面と腰壁部分をパネルで覆う工法を「スパンドレル方式」、または「梁型」「梁カバー」と呼びます。パネルで覆った上下のパネルの間にガラスを入れて窓にするため、窓が横に連なったようなデザインになるのが特徴です。

カーテンウォール部分に金属板を使用することで防火壁としても利用できるため、高層ビルで多く採用されています。

アートテックを採用したカーテンウォールの活用事例

アルミ外壁パネル「アートテック」は、印刷だからこそできる多層構造によって、色・柄・質感の表現を高め、多様なデザインニーズに対応できる素材です。

さまざまな形状に加工できるうえ、フッ素焼付けによる優れた耐候性を発揮するアートテックは、カーテンウォールとしても活用が可能です。例えばアートテックであれば、内外装ともに需要が高いカッパー(銅色)やコールテン鋼の再現が可能になると同時に、色や柄のバラつき、さび垂れなどの心配もありません。また、カーテンウォール調の外壁として用いると、従来のアルミカーテンウォールと比べて高意匠化を図れるため、建物の資産価値向上が期待できるようになります。

ここからは、アートテックを採用したカーテンウォールの活用事例を紹介します。

タワーマンションのファサード面にアクセント|ブリリアタワー八王子

ブリリアタワー八王子のファサード面

ブリリアタワー八王子 では、建築物の南西側にあるタワーマンション低層階のカーテンウォールにアートテックのリン酸処理風の意匠が使われています。

ブリリアタワー八王子は、北側1階のテナント部分に食品スーパーが入っている分譲マンションです。居住区への入り口がある南西側のファサード面に意匠性を持たせることで、スーパー部分とは一線を画す、重厚感のある玄関口が実現しました。

使われている技術は、カットパネル加工です。パネルのシャープなエッジを見せることにより、意匠感を際立たせると同時に、高級感のある仕上がりを表現しています。

街並みとの調和・落ち着きを演出|大東ガス本社

大東ガス本社の正面

大東ガス本社 では、カーテンウォールのガラス部分に代わる部材として、リン酸柄アートテックを採用しています。リン酸柄の美しい濃淡が建築物の美観をさらに高め、街並みとの調和・落ち着きを演出する印象的なファサードが実現しました。美しい意匠が、洗練された印象を高めるアクセントになっています。

本コラムは、壁材・床材など住空間向け製品を扱っているDNP生活空間事業部が編集しています。以下のバナーよりDNP製品・採用事例等をご覧いただけます。

まとめ

カーテンウォールを採用することは、洗練されたデザインを実現すると同時に、窓ガラスの飛散防止をはじめとする災害対策にもつながります。また、さまざまなデザインを実現できるアートテックをカーテンウォールとして活用することで、カーテンウォールの可能性をさらに広げることも可能です。

特に、高層ビルや大型建築物においては、ニーズの増加がますます期待されるでしょう。

【参考】出典元
カーテンウォール総合カタログ 不二サッシ株式会社(PDFが開きます)
PCカーテンウォールの軽量化技術 一般社団法人プレコンシステム協会(PDFが開きます)

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  • *2025年1月現在の情報です。
    *アートテックは、DNP大日本印刷の登録商標です。

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