ショールーム・モデルハウスにおける顧客体験のトレンドとは? 〜デジタルディスラプターの登場と業界への影響も解説〜
住宅・住設業界は現在、急速に進化するデジタル技術の波にさらされています。また、さまざまな業界でデジタルディスラプターが台頭し、従来のビジネスモデルや提供サービスに変革が起こることで、新たな競争環境が生まれています。さらに、IT技術の進化に伴う消費者ニーズの多様化も顕著です。 市場の変化に対応し、優位性を保つためには、顧客体験を時代にあわせて刷新していく必要があるでしょう。 本記事では、デジタルディスラプターの影響や業界の現状、顧客体験刷新のポイントについて詳しく解説していきます。(2024年12月時点の情報です。)
目次
1.デジタルディスラプターの登場と業界への影響
2.住宅・住設業界が抱える課題
3.住宅・住設業界における顧客体験のトレンド
4.まとめ
1.デジタルディスラプターの登場と業界への影響
本章では、デジタルディスラプターによる業界変革の潮流や、住宅・住設業界への影響について解説します。
デジタルディスラプターとは?
デジタルディスラプターとは、既存の市場や産業に革新的なデジタル技術やビジネスモデルを導入し、大きな変革を引き起こす企業や技術を指します。デジタルディスラプターの出現により、従来の企業が提供していた製品やサービスの価値提案が根本的に変わることがあります。また、市場の構造そのものが再定義されるケースも少なくありません。
例えば、音楽業界でストリーミングサービスが登場し、CD販売が急減したように、デジタルディスラプターは既存のビジネスモデルを一変させる力を持っています。
デジタルディスラプターの影響
デジタルディスラプターの影響は、特に小売業やエンターテインメント業界で顕著です。アメリカでは、Amazonをはじめとしたインターネット通販サービスの台頭により、百貨店など多くの大手小売事業者がビジネスモデルの変革が必要となりました。
同様に、Netflixのようなインターネット動画配信サービスの登場によって、大手レンタルビデオ・DVDチェーンも規模縮小や提供サービスの転換が必要となりました。
「令和3年版 情報通信白書 第1部(※)」によると、デジタル化の進展が自社の既存ビジネスの優位性や永続性に影響を与えると考える企業は、2019年度には98.8%に達し、その数値は年々上昇しています。
住宅・住設業界への影響
幅広い業界で、デジタルディスラプターは無視できない存在となりつつありますが、住宅・住設業界においては、まだ大きな影響は受けていません。
しかし、従来のビジネスモデルを維持するだけでは、今後の市場変動に対応しきれなくなるおそれがあります。既存のアナログ手法に依存せず、最新のデジタル技術を積極的に取り入れることで、進化・変化し続ける市場のニーズに応え、競争力を維持できるでしょう。
2.住宅・住設業界が抱える課題
住宅・住設業界には、さまざまな課題が存在します。特にインパクトが大きい課題や、取り組むべきことは以下のとおりです。
①国内市場規模の減少と少子高齢化
日本の住宅・住設業界が直面している大きな課題の一つは、国内市場規模の減少と少子高齢化です。特に若年層の人口が減少しており、新築住宅市場は右肩下がりの傾向にあります。
一方で、政策の後押しもあり、中古住宅市場やリフォーム市場、不動産投資市場などは成長が見込まれています。そのため、住宅・住設業界は従来の新築市場依存から脱却し、これらの成長分野へとシフト・拡充することが重要です。
②人材不足への対応
住宅・住設業界が直面するもう一つの課題は、人材不足への対応です。人口減少の影響に加え、法改正による残業規制がはじまることで、今後さらに人手不足が深刻化すると予想されます。
その一方で、ITリテラシーの高い企業を中心に、IT化による生産性向上や業務効率化が進んでいます。人手不足を解消するには、IT化・IoT化の導入により生産性を向上させ、業務の効率化を図っていくことが不可欠です。
③情報過多の社会における顧客体験の変化
情報過多の社会と、それに伴う顧客体験の変化も住宅・住設業界が抱える課題です。近年では、SNSやインターネットを利用して住宅情報を収集することが一般化しました。
そのため、従来の顧客との接点やコミュニケーション手法を見直し、情報化社会に適した新たな顧客体験を提供する必要があります。
3.住宅・住設業界における顧客体験のトレンド
顧客体験は近年大きく進化しており、特にオンライン/オフラインの垣根を越えた統合的なサービスが注目されています。この章では、ショールームやモデルハウスにおける顧客体験のトレンドについて詳しく解説します。
バーチャルリアリティ(VR)や拡張現実(AR)による体験
VRやAR技術の導入により、顧客は物理的にショールームやモデルハウスを訪れることなく、リアルに近い住宅体験ができるようになりました。
例えば、VRを使うと物件内部を仮想的に歩き回れるため、遠方に住んでいる方でも実際の物件を疑似体験できます。VRやAR技術は、時間や距離の制約を超えて顧客にリアルな体験を提供し、住宅購入の意思決定をサポートする強力なツールです。
オンラインでの住宅のカスタマイズシミュレーション
3Dモデリング技術を活用したオンラインでの住宅カスタマイズシミュレーションもトレンドの一つです。顧客は自分の理想とする住宅をリアルタイムでカスタマイズでき、色や素材の変更をシミュレーションすることで、完成イメージを即座に確認できます。
自分の好みに合わせて細部まで設計できるため、住宅購入における満足度が高まるとともに、実際の契約につながる確率も上がります。
インタラクティブコミュニケーション
ショールームやモデルハウスでは、タッチパネルやディスプレイを使ったインタラクティブな展示も増えています。顧客は自分自身で情報を検索したり、興味のある部分を重点的に確認できます。
こうしたインタラクティブなアプローチは、顧客へのより深い情報提供を実現します。情報の質や効果を高めることで、顧客の購買意欲を刺激できるでしょう。
データ活用
顧客の嗜好(しこう)や行動データを活用し、個別にカスタマイズされた提案を行う取組みも進んでいます。データ分析にもとづいた個別提案は、顧客のニーズを的確にとらえ、満足度を向上させるだけではなく、購買意欲を高める効果もあります。
4.まとめ
本記事では、ショールームやモデルハウスにおける顧客体験のトレンドについて解説しました。
近年では、オンラインとオフラインの垣根を越えた統合的な顧客体験が求められています。デジタル技術の進化により、VRやAR、オンラインシミュレーションなど、よりリアルでパーソナライズされた体験を提供できるようになったためです。
効果的なセールス・マーケティング施策を実施するためには、こうした変化に応じて、従来のカスタマージャーニー自体を見直す必要があるでしょう。
当社では、顧客体験のトレンドに対応し、デジタルとリアルの両面で一貫した支援をご提供できます。市場の変化に素早く対応し、顧客にとって価値のある体験を提供したい企業さまは、ぜひ一度お問合わせください。