メタバース運用ガイドVol.01
企業や公共サービスのDX推進に役立つXR技術の活用事例を紹介。AR、VR、MR、SRの具体例を通じて、その可能性を探ります。
DXを加速するXR技術
一般企業が販売促進活動に積極的に取り入れている拡張現実(AR)、仮想現実(VR)、複合現実(MR)、代替現実(SR)などのXR技術は、現実世界にデジタル情報を重ね合わせ、業務の効率化や新たな体験を提供する革新的な技術です。公共性の高い事業のDX推進においても、これらの技術は多くの可能性を秘めています。
これら技術の違いは、こちらで詳しく説明しています。
企業の取り組みを通じて、公共性の高い事業がどのようにこれらの技術を活用できるか、AR技術の実例を参考にその可能性を探ってみましょう。
XR技術を使った事例
仮想現実(VR)の事例として、ある大手スーパーマーケットチェーンでは、従業員の研修にVRを導入し、トレーニング時間を40%削減しました。また、医療分野では、心臓手術のトレーニングにVRを活用し、専門医の育成に貢献しています。さらに、スポーツ用品メーカーでは、シューズの機能をVRで体験できるプロモーションを展開しています。
複合現実(MR)技術を導入した自動車メーカーでは、製造工程のシミュレーションにMRを活用し、コスト削減と安全性の向上を実現しています。
代替現実(SR)では、研究機関が過去の映像を現在の映像に重ね合わせるSR技術を活用し、認知機能の研究を進めています。この技術は、現実と非現実の境目を曖昧にすることで、新たな映像体験を提供します。
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そして、意外と身近な拡張現実(AR)技術の活用方法を詳しく見てみましょう。
ARとはAugmented Realityの略で、現実世界にCG映像を重ね合わせて体験できる技術です。
ある飲食チェーンでは、毎年春に「桜」をテーマにしたARキャンペーンを実施しています。店内のポスターやレシートに記載されたQRコードをスマートフォンで読み取ると、桜が舞い上がるアニメーションやデジタルキャラクターが現れるAR体験が楽しめます。この取り組みは、特別なアプリを必要とせず、スマートフォンのカメラ機能だけで体験できるため、多くの顧客に手軽に楽しんでもらえます。
さらにSNSでの情報共有を促進するためにハッシュタグを活用し、顧客が体験を共有することでプロモーション効果を高めています。このようなAR技術の活用で、顧客のエンゲージメントが向上し、ブランド価値の向上にも寄与しています。
DNPのXRへの取り組み
DNPでは生活者の利便性向上や社会・企業の課題解決を行うために、XR技術を活用してさまざまなサービスを提供しています。今後もますます期待される技術です。そして、当社ではXRの技術を駆使した多様なソリューションを開発しています。
その一つに、CADデータを活用し、静止画・動画・AR/VRコンテンツを高品質に制作、さらに、XR技術を駆使して現実とデジタルを融合した新しい体験の提供を可能にしてくれる『3DCGソリューション』があります。
CADデータから変換して作成されたハイクオリティな3DCGをベースに、各種メディア・デバイスに適したさまざまな画像・映像コンテンツを制作するサービスです。
XR技術を活用した公共サービスのDX推進
企業が行うXR技術を活用した取り組みは、自治体や行政といった公共サービスのDX推進にも応用可能です。
例えば公共施設では、ARを活用して来訪者に施設内の案内を行うことができます。スマートフォンをかざすと、施設の歴史や展示物の詳細情報が表示され、訪問者の理解を深めることができます。このようなAR技術の活用により、住民サービスの質が向上し、施設の利用促進につながります。
このAR技術を活用した災害対策を行っている団体として、『一般社団法人AR防災』の取り組みをご紹介します。
『AR防災』は、AR技術を活用した防災訓練を提供し、日常的な場所でのリアルな災害体験を通じて、防災意識を高めることをめざしています。
火災、浸水、地震などのシミュレーションを行い、参加者が実際の災害時に適切な行動を取れるよう支援しています。また、自治体や企業、教育機関と連携し、幅広い導入実績を持っています。住民は、スマートフォンを使って避難経路を確認し、実際の避難行動をシミュレーションすることで、緊急時の対応力を向上させることができます。
このシミュレーションにより、住民の安全意識が高まり、災害時の被害を最小限に抑えることが期待されています。この活動は、より多くの人々が防災の重要性を理解し、備えることを意識する手助けとなっています。
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このように、AR技術は自治体や行政のDX推進において、住民サービスの向上や業務効率化に大いに役立つ可能性があります。AR技術を活用することで、より魅力的で効果的なサービスを提供し、人々の満足度を高めることができるでしょう。
当コラムに掲載された事例は、DX推進に取り組むDNPの事例だけでなく、企業や団体のケースを2024年12月時点の情報を基にまとめたものです。
DNPのXRコミュニケーション®
あらゆる年齢・性・言語などの多様な人々が、互いに分け隔てられることなく、リアルとバーチャル双方を行き来できる「XRコミュニケーション」を実現。新しい体験価値と経済圏を創出します。
※ XRコミュニケーションは、DNP大日本印刷の登録商標です。