サードパーティークッキー(3rd Party Cookie)廃止への対策:主要な代替ソリューションをご紹介

デジタルマーケティング業界では、欧米諸国を中心にサードパーティークッキーを規制する動きが進んでいます。 日本でも2023年6月に改正電気通信事業法でクッキーに関する規制が施行され、今後より規制が進んでいくことが予想されます。 サードパーティークッキーの廃止は企業のマーケティング活動に大きく影響しますが、いまだサードパーティークッキーの代替策について検討が進んでいない企業もあるのではないでしょうか。 この記事では、サードパーティークッキー廃止の影響や代替ソリューションについて詳しくご紹介します。(2024年5月時点の情報です。)

目次

1. サードパーティークッキー廃止による影響
2. ポストクッキーソリューションとは
3. DNPのマーケティングサービスのご紹介
4.まとめ

1.サードパーティークッキー廃止による影響

この章では、サードパーティークッキー廃止の動きと、企業や消費者への影響について解説します。

サードパーティークッキー廃止の動き

サードパーティークッキーが消滅することによる影響度合いの比較表

近年、ユーザーのプライバシーをより保護するために、サードパーティークッキーに関する新しい法律が導入されています。

(例)ヨーロッパ連合の一般データ保護規則(GDPR)
(例)カリフォルニア州の消費者プライバシー法(CCPA)

これらの法律は、特にオンライン上でのユーザー行動に関するデータの収集と使用に関して、厳格な規制を設けており、インターネットにおけるプライバシー保護について、多くの企業に影響を及ぼす重要なテーマとなっています。

このような背景から、Googleをはじめとする主要なブラウザ提供者が、ユーザーのオンライン追跡を制限する目的で、サードパーティークッキーの使用を段階的に廃止する方針を打ち出しています。これは、オンライン広告業界におけるデータ収集や利用の方法に大きな変革をもたらしています。

企業・消費者への影響

サードパーティークッキーが廃止されると、企業は今まで行ってきた広告効果の測定やターゲティング広告の実施が困難になるため、デジタルマーケティング活動において大きな変更が必要となります。
一方で、消費者にとってはプライバシー保護が強化されるというメリットがありますが、広告の適切な配信が難しくなることで、興味のない広告が表示されるようになってしまうなど、オンラインでの体験に間接的に影響が及ぶ可能性があります。基本的な内容や廃止に関する動き、廃止が企業や消費者にもたらす影響までの詳細については、以下の記事で詳しく解説しています。

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2.ポストクッキーソリューションとは

サードパーティークッキー廃止の影響を受け、企業は新たなソリューションを模索する必要性に迫られています。
この章では、ポストクッキー時代に注目される主要な代替ソリューションを詳しくご紹介します。なお、当社ではここで紹介する全てのソリューションを取り扱っております。具体的なサービス・ツールについては3章でご紹介いたします。

①確定IDソリューション

ユーザーの同意を得た上で個人を特定できる情報(例:メールアドレス)を利用して、オンライン行動を追跡する方法です。
このアプローチは、プライバシー保護の観点からユーザーの同意が前提とされています。個人情報は暗号化され、ユーザー識別のための一意のIDが生成されます。

ユースケース
特にEメールマーケティングや顧客リレーションシップ管理(CRM)の分野で活用されています。企業は、顧客が提供したEメールアドレスをもとに、その顧客のオンライン行動や購買履歴を追跡し、よりパーソナライズされたマーケティング活動を展開することができます。

②推定IDソリューション

複数のWebサイトやアプリケーション間で共通のIDを使用してユーザーを識別する方法です。
これにより、ユーザーのオンライン行動を複数の媒体を跨いで追跡し、より精密な広告ターゲティングを可能にします。プライバシーに配慮し、ユーザーの同意のもとに運用されることが多いです。

ユースケース
特にデータ管理プラットフォーム(DMP)と連携している場合において効果を発揮します。
広告主はDMPを通じて、IPアドレスやOS情報、アクセス元の地域などのユーザー行動データを一元化し、その情報にもとづいてより効果的な広告戦略を立てることができます。
この方法により、広告主はユーザーのニーズや関心にもとづいてパーソナライズされた広告を提供し、マーケティングの成果を最大化することが可能になります。

③文脈(コンテクスチュアル)ターゲティング

ユーザーの行動や履歴に依存せず、コンテンツの内容にもとづいて広告を配置する手法です。Webページや動画のテキスト、画像、音声などのコンテキストを分析し、関連性の高い広告を表示することが可能です。

ユースケース
特にニュースサイトやブログ、動画プラットフォームなど、コンテンツが豊富で多様なジャンルをカバーしているメディアにおいて有効です。
例えば、スポーツ関連の記事にはスポーツ用品の広告が、料理関連のコンテンツにはキッチン用品の広告がナチュラルにマッチします。
この方法を上手く活用することにより、ユーザー体験を損なうことなく広告効果の最大化が可能です。

④ブラウザ完結型ソリューション

ユーザーのデータをブラウザ内で処理し、外部に送信することなく広告のパーソナライズを実現する手法です。
このアプローチでは、個人情報の提供が不要となり、プライバシー保護に大きく寄与します。ユーザーのオンライン行動を直接的に追跡することなく、広告の効果を高めることが可能です。

ユースケース
ユーザーが訪れたサイトの内容にもとづいて、興味を持たれるトピックを推定し、それに合わせた広告を提供します。これは、プライバシーに配慮しつつ、効果的な広告配信を求める企業にとって特に有効なソリューションです。

3. DNPのマーケティングサービスのご紹介

この章では、当社が提供するマーケティングサービスの特徴と、取り扱っているサードパーティークッキー代替ソリューションについてご紹介します。

DNPのマーケティングサービスの特徴

当社のマーケティングサービスは、プランニングからバイイング、運用、分析・レポーティングまでをワンストップでサポートしています。
オンライン(デジタル)・オフライン(リアル)の横断プロモーションも得意領域であり、チャネルを問わず企業のマーケティングをご支援します。
メディア選定からクリエイティブ制作、データ分析に至るまで、さまざまなニーズに対応することが可能であり、サードパーティークッキー廃止の課題にも柔軟に対応することができます。

取り扱っているクッキー代替ソリューション

当社では、クッキー代替ソリューションについても幅広くご提供が可能です。
以下は各代替ソリューションの概要です。

①確定IDソリューション

MAGNET for Ads
・メールアドレス、電話番号など、顧客に紐づくあらゆるデータを自動統合し、高精度なターゲットリストをノーコードで抽出可能
・広告媒体に高精度の顧客リストを連携することで広告効果を最大化

VATIC AI
・確定IDを活用した高精度ターゲティング
・Webサイトのコンテンツ内容+検索される可能性の高いキーワードでCookie規制を回避しながら効果的な広告配信が可能
・広告枠を保有するWebサイトのコンテンツや来訪者集団の共通属性(コホート)からWebサイトの“パーパス(文意)”を解析し、生活者に訪問される可能性が高い検索キーワードを推定する独自アルゴリズムを活用

②推定IDソリューション

LOTAME ID
・個人を特定しない仮想IDを作成し、そのIDに対してAIを活用しさまざまな要素を付加、精度を向上
・LOTAME IDで構築したオーディエンスデータをDSPに連携することで、高精度なターゲティングによる広告配信が可能

③文脈(コンテクスチュアル)ターゲティング

gumgum
・独自のAI技術によりWebコンテンツの文脈を画像と文字の両方で識別。文脈を正確にとらえることで記事単位でのターゲティングを実現
・ユーザーの興味関心が高まっているタイミングで、適切な広告を掲出することにより、広告配信効果を高めることが可能

UNIVERSE Ads
・約3,000のコンテンツカテゴリに分類されたキーワードをもとに、キーワードに応じた配信コンテンツを特定し、閲覧者全員に広告を表示

④ブラウザ完結型ソリューション

Chrome Topics API(※提供予定 )
・Googleが提唱する「プライバシーサンドボックス」の提案のひとつで、ユーザーを追跡せずユーザーの関心に合わせた広告を配信するためのAPI

4.まとめ

サードパーティークッキーの廃止は、企業のデジタルマーケティング活動に大きな影響を与え、さまざまな代替ソリューションが登場しています。
確定IDソリューション、推定IDソリューション、文脈ターゲティング、ブラウザ完結型ソリューションといった多様な手法は、プライバシーを重視しつつ効果的な広告配信を実現します。
本記事を参考に、クッキーに依存しない代替ソリューションを検討してみてはいかがでしょうか。

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