マネーロンダリング・テロ資金供与・拡散金融対策にて返信率を18%向上させた施策とは
DNPは2019年から「継続的顧客管理※1 汎用サービス」を提供しています。
このコラムでは継続的顧客管理に関する課題を、どのような仕組みで解決してきたのかを中心に解説します。
1.継続的顧客管理における課題
継続的顧客管理を実施する際にさまざまな課題があります。対象顧客の正当性・リスク評価をするお客さま情報確認DMの発送コスト。その他、お客さま情報確認DMの返信率、不備率、不着率、回答結果の管理方法などが挙げられます。そのなかでもお客さま情報確認DMの返信率は多くの金融機関や企業で共通の課題となっているのではないでしょうか。
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2.課題解決の取組み
DNPでは対象顧客データ受領からお客さま情報確認DMの送付・回答システム・結果の納品(現物&データ)までワンストップで対応しています。このサービスをご利用いただいている企業様のなかでも返信率の向上は共通の課題となっています。
返信率を向上するためにはまず対象顧客の継続的顧客管理に対する理解が必要です。金融庁の広報活動などで国民への認知が進んでいますが、まだまだ理解されていないのが現状です。このような状況に対して疑問に答える動画を用意。対象顧客が納得した上でお客さま情報確認DMの返信ができるように環境を整えました。
動画リンク:マネーロンダリング対策動画 お客様ご本人の再確認のお願い(03:16)
さらにDNPでは、59行の実績をもとに定期的に分析を実施。返信率だけでなく、Web回答時の離脱箇所や不備率・不着率などを分析集計、サービス利用企業様に多角的な分析結果をフィードバックし、改善提案を実施しております。
また、返信の簡便性も重要です。お客さま情報確認書類を記入し、返信封筒に入れる手順が面倒に感じたり、高齢者の方はWeb回答が難しく感じてしまうこともあります。この問題に対しては、往復はがきをご提案しています。
往復はがきは封書に比べて回答、返信の手間が軽減されるため、実際に返信率が18%向上したケースもございます。お客さま情報確認書類の回答項目を減らすことで審査費用の圧縮、さらに封書と比較して郵券代のコスト圧縮にもつながります。
3.まとめ
お客さま情報確認DMの返信率は、優先度の高い課題としてとらえています。今回は、対象顧客の理解を得るための動画提供、簡便性を上げて返信率を向上させる往復はがきの採用を、課題解決の一例として紹介しました。
この他にも未回答の顧客にはAIを使った自動応答での督促、回答、インターネットバンキングへの接続、アプリ連携、ATM連携等、さまざまなチャネルを検討しています。
今後もお客さまのコスト圧縮かつ顧客目線で、確実な実施方法をめざしていくことが大切だと考えています。
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4.継続的顧客管理 汎用サービスの特長
DNPでは継続的顧客管理業務のサポートを2019年から開始いたしました。今では、2024年3月現在59社にご採用をいただいております。DM製造・発送業務、審査業務に加えて問合わせコールセンターなど、継続的顧客管理業務にとどまらない範囲でご利用いただいております。
各業務それぞれ、実績経験豊富な人員を配置しておりますので、アウトソーシングすることで、内部の業務負荷を軽減し、リソースの適正配置が実現可能になります。
※1 継続的顧客管理とは
国際組織「金融活動作業部会(FATF:Financial Action Task Force)」*1の行動計画にともない、金融機関や企業は、マネーロンダリング(資金洗浄)*2やテロ組織等に対する資金供与・拡散などを防止する対策をとる必要があります。
その対策の一つとして、継続的顧客管理があります。継続的顧客管理の目的は、顧客の正当性を確認し、そのリスクを評価することです。これにより、金融機関や企業は、顧客が合法的な取引を行っているかどうかを判断し、不正行為や法的な問題を未然に防ぐことができます。
*1 金融活動作業部会(FATF):経済協力開発機構(OECD)加盟国を中心に、2024年3月現在、38の国・地域と2つの国際機関が加盟。マネーロンダリング対策やテロ資金対策などの国際的な協調指導や協力促進などを目的とする。
*2 マネーロンダリング:不当な手段で入手した金を正当な手段で得たものと見せかけること。
2024年5月時点の情報です。