「プラスチック資源循環促進法」成立!化粧品パッケージのこれからの環境配慮トレンドとは?
DNPは1月に開催された第12回 化粧品開発展[東京] -Cosme Tech 2022 [TOKYO]にて、環境に配慮した製品を出展し、ご来場の皆さまから多くの関心をいただきました。会場全体でも、“環境配慮化”を採用した多くの化粧品パッケージが出展されていました。
その背景の一端として、2022年4月より施行される「プラスチックに係る資源循環の促進等に関する法律(プラスチック資源循環促進法)」の成立が挙げられます。
そこで今回は、今後の環境に配慮したパッケージの潮流についてご紹介します。
※2022年4月時点の情報です
目次
プラスチック資源循環促進法とは?読み解きとポイント紹介
2021年6月に可決されたプラスチック資源循環促進法とはどのような法律なのでしょうか。以下では、プラスチック資源循環促進法の全体像をご紹介します。
法律のベースとなった「プラスチック資源循環戦略」とは
今回成立したプラスチック資源循環促進法の内容は、2019年5月に環境省が策定した「プラスチック資源循環戦略」が基となっています。プラスチック資源循環戦略では「3R+Renewable」※を基本原則とし、数値目標を設定しました。日本が掲げている資源循環のための指針であり、企業にとっては重要な指標となります。
同戦略では、「3R+Renewable」のそれぞれの項目について、以下のマイルストーンを設定しています。
- リデュース
- ・2030年までにワンウェイプラスチックを累積25%排出抑制
- リユース・リサイクル
- ・2025年までにリユース・リサイクル可能なデザインに
・2030年までに容器包装の6割をリユース・リサイクル
・2035年までに使用済プラスチックを100%リユース・リサイクル等により有効利用 - リニューアブル
- ・2030年までに再生利用を倍増
・2030年までにバイオマスプラスチックを約200万トン導入
- ※3R+Renewable=製品を作る際に使う資源の量や廃棄物を減らす「Reduce(リデュース)」、使用済み製品を繰り返し使う「Reuse(リユース)」、廃棄物等を原材料やエネルギー源として有効利用する「Recycle(リサイクル)」の頭文字をとった3Rに、再生資源を積極的に利用する「Renewable(リニューアブル)」を加えたもの。
「プラスチック資源循環促進法」の内容とポイントまとめ
プラスチック資源循環戦略の指針にもとづき、製品の設計からプラスチック廃棄物の処理までにおけるプラスチック資源循環等の取り組み(3R+Renewable)を促進するため、プラスチック資源循環促進法が国会にて成立しました。同法は容器包装だけでなくプラスチック全般に関する法律で、日本から排出される廃プラスチック約900万トンを徹底的に資源化することを目的としています。
プラスチックの製造、販売、回収などのすべての段階において、各事業者に以下のような取り組みを求めています。
- 設計・製造段階
- 製造事業者等向けのプラスチック使用製品設計指針(環境配慮設計指針)を策定するとともに、指針に適合したプラスチック使用製品の設計を認定する。
- 販売・提供段階
- コンビニ等でのスプーン・フォークなどの、消費者に商品やサービスとともに無償で提供されるプラスチック製品を削減するため、提供事業者に対しポイント還元や代替素材への転換の使用の合理化を求める措置を講じる。
これにより、消費者のライフスタイル変革を促す。 - 排出・改修・リサイクル段階
- 市町村が行うプラスチック資源の分別収集・リサイクルについて、容器包装プラスチックリサイクルの仕組みを活用するなど効率化する。
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※環境省:「プラスチック資源循環法関連ページ」より引用
https://www.env.go.jp/recycle/plastic/circulation.html
化粧品パッケージへの影響は?
プラスチック資源循環促進法の成立・施行に伴い、化粧品パッケージにはどのような影響があるのでしょうか。以下で解説をします。
プラスチック資源循環促進法が製品設計に与える影響
環境省は、同法に関する政令として「プラスチック使用製品設計指針」を定めています。同指針では、プラスチック使用製品製造事業者等が取り組むべき事項として以下を定めています。
- 構造
- 減量化、梱包の簡素化、長期使用化・長寿命化、再使用が容易な部品の使用と部品の再使用、単一素材化、分解・分別の容易化、収集・運搬の容易化、粉砕・焼却の容易化
- 材料
- プラスチック以外の素材への代替、再生利用が容易な材料の使用、再生プラスチックの使用、バイオプラスチックの使用
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※環境省:「プラスチック資源循環法サイト」より引用
https://plastic-circulation.env.go.jp/about/pro/seido
本指針は義務ではないものの、指針にもとづき対応を行う事業者に対して「プラスチック使用製品設計指針適合認定」を行う予定となっており、多くの事業者による取り組みが進むと想定されます。
紙化への潮流加速
このような背景から、従来のプラスチックを用いたパッケージからの代替素材への移行が進んでいくでしょう。そこでいま、包装分野でプラスチックを代替するパッケージとして注目を集めているのが「紙容器」です。カーボンニュートラルが成り立つ紙資源を利用する「紙化」の動きは、ひとつのトレンドとなりつつあります。
当社では、紙化の動きに対応した製品として、紙マークが付与できるバリア性の高いパッケージである「DNPスーパーハイバリア紙包材」や、チューブ容器の一部を紙へと置き換えることができる「DNPラミネートチューブ 紙仕様 (開発中)」を提供しており、パッケージとして活用することができます。
単一素材化への潮流加速
さらに、パッケージの単一素材化の流れも、今後加速していくと考えられます。単一素材からなるパッケージはリサイクルしやすい点が特徴であり、上述したプラスチック使用製品設計指針でも推奨されています。
当社では、このような単一素材化への対応のため、リサイクルしやすく、単一素材からできたパッケージである「DNPモノマテリアル包材」を提供しています。
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よりリサイクルしやすいプラスチック容器の採用加速
加えて、プラスチック容器を利用する場合でも、よりリサイクルしやすい製品の採用が進んでいくと予想されます。ボトルなどの容器についても、よりリサイクルしやすいものが求められるでしょう。
当社では、PETボトルと機能性フィルムを一体成形することで、高いバリア性と意匠性を実現した「DNP機能性フィルム複合型PETボトル COMPLEX BOTTLE(コンプレックスボトル)️」を提供しています。本製品は、外側のフィルムに着色することで意匠性を確保しつつ、廃棄する際はフィルムを剥がし、透明なペットボトルとして排出することが可能です。また、今後構築が予想される化粧品パッケージのリサイクルスキームに適合しやすい、環境に配慮した容器です。
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まとめ
この記事では、プラスチック資源循環促進法の概要とポイント、および化粧品パッケージへの影響について解説を行いました。記事中で紹介した「紙化」「単一素材化」「リサイクルのしやすさ」などのキーワードは、プラスチック資源循環促進法の施行を背景として、ますます一般化していくと想定されます。化粧品パッケージにおいても、これらの潮流に遅れることなく対応していくことが必要です。