「ハウスプリペイド」の導入で
キャッシュレスサービスのコスト最適化を図る
キャッシュレス導入時の最大の検討課題といえる「導入・運用コスト」。
コストの最適化も可能といわれる「ハウスプリペイド」についてご紹介します。
日本政府は2020年7月、「成長戦略フォローアップ」の中の「決済インフラの見直し及びキャッシュレス環境の整備」について閣議決定をしました。その中身として、2025年までに金融分野の国内総生産を25兆円、2025年6月までにキャッシュレス決済比率を4割程度とする2つのKPI(重要業績評価目標)を掲げており、さまざま施策を推し進めています。
また公正取引委員会および経済産業省は、2022年11月、さらなるキャッシュレス環境整備の一環として、国際ブランドに対しクレジットカードのインターチェンジフィーの標準料率を公開させました。これまでブラックボックス化されていた事業構造の一端を透明化し、決済事業者間の競争を活発化させることでキャッシュレス化の浸透を狙ったものです。
こうした背景を受け、クレジット決済を始めとする多くの決済ツールが拡がりを見せている中、ハウスプリペイドの導入を検討している方も多いかと思います。
キャッシュレス決済の導入検討にあたり、やはり最大の課題はそのコストにあるのではないでしょうか。
ここでは、ハウスプリペイドによるキャッシュレス化をご検討中の方に、基本情報から導入コスト・運用コストについて、そしてメリットや検討ポイントなどをご紹介します。
目次
1.ハウスプリペイドの特長
2.サービスの自由度や運用コストにメリット
3.導入にあたって検討すべきポイント
4.「コスト対策」を狙った導入も本格化
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1.ハウスプリペイドの特長
プリペイドとは、事前に一定金額を入金(チャージ)しておけば特定の店舗やECサイトで決済利用できる、いわゆる「電子マネー」の一種を指します。
プリペイドの管理には、大きく「ICカード型」と「サーバー管理型」があります。ハウスプリペイドは「サーバー管理型」で、データセンター側での残高管理となるため、カードの媒体単価が安いという特長があります。また、残高情報をスマートフォンアプリ側と連携することでカードレスでのサービスが実現できたり、店頭のPOSと通信することにより自由な入金・減算ができたりします。
プリペイドのなかでも、特定店舗名義で発行され、その店舗のみで利用することができるものをハウスプリペイドと呼んでいますが、最近ではハウスPay、ハウス電子マネー、ギフトカード等という呼び方も使われています。
2.サービスの自由度や運用コストにメリット
まず、最も決済利用総額が高い「クレジット決済」と「ハウスプリペイド決済」の事業構造の違いついて簡単に触れておきましょう。クレジット決済には、「国際ブランド」、「イシュア(クレジット発行会社)」、「アクワイアラ(加盟店管理会社)」、「クレジットネットワーク事業者」、「加盟店」というかたちで、大きく5者のプレイヤーがそれぞれの役割を担う構造になっています。
一方、ハウスプリペイド決済では、「プリペイドイシュア(発行者)」と「加盟店」のみであり、実質的には「プリペイドイシュア」と「加盟店」が同一事業者※1となるため、1者での導入が可能となります。つまり、関係するプレイヤーが他に存在しないので中間マージンも発生せず、自社のみでサービスを完結できる点が、クレジット決済など他の決済サービスとの大きな違いといえます。
残高管理については先にも少し触れましたが、従来はリアルカードの磁気やバーコードにカード情報を入れて配布・管理する「ICカード型」が多く採られてきました。しかし最近は「サーバー管理型」を採りスマートフォンアプリと連携することにより、カードレス化する企業も数多くあります。少しでも多くのお客さまに自社発行の電子マネー(=ハウスプリペイド)を利用してもらうためには、顧客利便性の高いユーザーインターフェイスの設計が重要になってきます。他にプレイヤーが存在せず自社がイシュアになれるため、このようなサービス設計を独自に行うことが可能となるのです。
ハウスプリペイドの導入にあたっては、残高管理システムの調達は必須ですが、他の決済サービスと比べて「サービス設計の自由度が高い点」や「運用コストが安価に抑えられる点」が大きなメリットといえるでしょう。
※1:自家型発行の場合
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3.導入にあたって検討すべきポイント
お客さまには、プリペイドサービスであることをまず認知してもらう必要がありますし、少しでも多くチャージ(入金)をしてもらえるようにするための施策も考えなければなりません。これまで現金払いだったお客さまに、自社のハウスププリペイドを選択してもらえるようなサービス設計が最も重要なのです。
一般的に自己利用型のハウスプリペイドサービスにおいては、入金の動機付けとして、1万円入金すると1%のバリューをプレゼントするといったインセンティブを付与しています。当然このインセンティブのコストは販促金としてかかってきますので、付与率を含め十分な検討が必要です。
加えて、入金導線の確保もプリペイドサービスでは重要な検討事項です。POSレジでの入金対応だけではなく、店頭に専用のチャージ機を設置して、お客さまに“入金の習慣をつける”また、Webへ誘導して“自身のクレジットカードや銀行口座からの入金チャネルを設けてもらう”といった施策も費用対効果を検討したうえで設計すべき施策のひとつだといえます。
また、ハウスプリペイドサービスでは資金決済法について自社で対応、準拠する必要があります。消費者保護の観点から、未使用残高が一定金額以上になると財務局への届け出や供託の必要があり、これは追加業務となるため、導入前にあらかじめ認識しておかなければなりません。
また、自社発行であるため、お客さまからの問い合わせ対応も必要となります。
4.「コスト対策」を狙った導入も本格化
ハウスプリペイド自体は決して目新しい決済サービスではありません。これまで、ハウスプリペイドの導入目的の多くは、客単価・来店周期をアップしロイヤルカスタマーを育成するという、いわゆるマーケティング施策の一環としてでした。
しかしながら昨今のキャッシュレス決済の伸長のなかで、決済コストの増大を経営課題と感じている、特に流通小売り事業者においては、ロイヤルカスタマー育成に加え、「決済コストの削減と最適化」を目的とした導入も本格化しています。また、チャージによりキャッシュが先に入ってくるというキャッシュフロー的な観点から、他の決済手段と併用してでさえもハウスプリペイドを採用する事例も増えています。
DNPは、キャッシュレスの事業領域でも多方面でサービス提供しており、ハウスプリペイドサービスについても多くの支援実績を持っています。導入企業さまにもエンドユーザーにも”使われるサービス”にするために、サービス立案のフェーズから支援させていただいております。
(2023年3月現在の情報です)
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