デジタルサイネージとは?種類やシステム、不動産業界・マンションでの活用事例を解説
デジタルサイネージとは、ディスプレイやプロジェクターなどの映像表示装置を用いて情報を発信するシステムで、駅や店舗、施設、オフィスなどに設置されているものです。デジタルサイネージを活用することで、さまざまな情報をタイムリーに発信できるため、高いマーケティング効果が期待できるでしょう。この記事では、デジタルサイネージの定義や仕組み、種類、設置場所などの基本情報や、不動産業界・マンション内でのエレベーターサイネージなどの具体的な活用事例について解説します。
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1. デジタルサイネージとは
まず、デジタルサイネージの定義や仕組み、種類、設置場所などの基本情報について説明します。
デジタルサイネージとは、ディスプレイなどの映像表示装置を用いて情報を発信するシステムの総称です。インターネットや専用のネットワークを通じてリモートで柔軟にコンテンツを更新・制御でき、効率的に素早く発信することが可能です。
また、静止画だけではなく、動画やアニメーションも表示できるため、視聴者への訴求力が高く、魅力的な情報を提供できます。さらに、タッチスクリーン型のデジタルサイネージでは、視聴者が直接操作して欲しい情報を探せるインタラクティブな体験ができます。
こうした特性から、デジタルサイネージは商業施設や交通機関、企業やイベント会場など、情報発信が行われるさまざまな場所で使われています。情報の伝達だけでなく、広告やプロモーションにも活用できるため、今後も多くの業界で導入が進むでしょう。
2. デジタルサイネージの仕組み
デジタルサイネージを活用して効果的に情報発信するためには、直接目にしているディスプレイだけではなく、その他の要素を組み合わせる必要があります。一般的には、以下の要素で構成されています。
デジタルサイネージソフトウエア(CMS:コンテンツ管理システム)
デジタルサイネージのコンテンツを管理するためのソフトウエアです。CMSを使って、テキスト、画像、動画など、発信する情報を管理し、配信スケジュールを設定します。
ネットワーク
デジタルサイネージソフトウエアとSTB・ディスプレイをつなぐ通信手段です。インターネットや専用のネットワークを利用して、データを送受信し、リモートでコンテンツを管理・更新できます。
STB
STBとはSet Top Box(セットトップボックス)の略称であり、動画や画像などの各種コンテンツを表示させるための機材を指します。デジタルサイネージにおいては、ネットワークから受信したデータをもとに、ディスプレイに情報を表示する役割を担います。
ディスプレイ
情報の最終的な出力装置であり、STBから送られてきたコンテンツを視聴者に見せる役割を果たします。デジタルサイネージで利用されるディスプレイは、液晶や有機EL(OLED)、LEDビジョンなど、高解像度で鮮明な画像を表示できるものが一般的です。また、屋外設置用のディスプレイでは、耐久性や防水性が求められます。
これらの要素を組み合わせて、配信システムを構築することにより、デジタルサイネージは効果的な情報発信が可能となります。実際にデジタルサイネージを構築する際は、想定される活用方法や求められるスペックなどに応じて構成を検討すると良いでしょう。
3. デジタルサイネージの種類
デジタルサイネージは、運用方法やディスプレイの機能によってさまざまな種類に分けられます。
運用方法
運用方法はスタンドアローン型とネットワーク型の2つがあります。
スタンドアローン型
ディスプレイに内蔵されたストレージもしくはUSBメモリーやSDカードなどの外部メモリーに保存されたコンテンツを再生するタイプです。
ネットワーク接続が不要で、設置や運用がシンプルな点がメリットですが、コンテンツの更新は手動で行う必要があります。更新を頻繁に行う必要がない場合に適したシステムといえるでしょう。
ネットワーク型
ディスプレイとPCやコンテンツ管理システムなどを、ネットワークを利用して接続するタイプです。リモートでコンテンツを管理・更新することができます。また、複数の表示機器を一括で管理・操作したり、時間や場所にとらわれず柔軟かつ迅速に情報を更新できるので、効率的・効果的な運用につながります。運用の柔軟性が高く便利ですが、ネットワーク接続やサーバー管理が必要となります。
さらに、配信方法はクラウド型とオンプレミス型にわかれます。クラウド型はインターネット上のサーバーを利用し、オンプレミス型は自社内のサーバーを使用します。
ディスプレイの機能
デジタルサイネージのディスプレイ機能は、以下のようなものもあります。
タッチスクリーン型
タッチ操作が可能なディスプレイで、視聴者が直接情報を操作できます。観光案内や商品検索、インタラクティブな広告などに利用されています。
屋外対応型
屋外で使用されるディスプレイは、防水・防塵性能や高輝度など耐候性に優れています。街頭広告や交通案内、イベント情報などに利用されています。最近では液晶ディスプレイだけではなく、高精細のLEDビジョンが選択される機会も増えています。
デジタルサイネージの種類を把握し、目的や設置環境に合わせて適切な表示方法やディスプレイの形状・サイズを選択することで、効果的な情報発信と効率的な運用が可能となるでしょう。
4. デジタルサイネージの設置場所と活用方法の例
デジタルサイネージはさまざまな業界や場所で活用されています。以下では、主な設置場所と活用方法を紹介します。
小売業界での活用事例
デジタルサイネージは小売業界において、商品の宣伝やセール情報の告知に使用されています。店舗入口や売り場の目立つ位置に設置し、魅力的なコンテンツを配信することで、来店客の認知や購買意欲を高める効果が期待できます。また、顧客の購買履歴や顧客層など、各種店舗データにもとづきパーソナライズドされたオファーや情報のタイムリーな表示にも活用できます。
交通機関での活用事例
駅や空港などの交通機関では、デジタルサイネージを時刻表や運行情報の表示に加え、広告配信、観光情報、近隣のイベント情報や天候予報などの表示にも活用されています。このように、交通機関の利用者にとって有益な情報を効果的に伝えることで、利用者の利便性を高めることが期待できます。
多言語情報ガイドの事例
観光地や国際的な会議場などでは、デジタルサイネージが多言語対応の情報ガイドとして利用されています。これにより、さまざまな国籍の外国人観光客やビジネスマンに対して情報提供が可能となります。さらに、QRコードやモバイルアプリ等を活用して、詳細な場所案内や周辺のレストラン、観光スポットの情報などを多言語でスマートフォン等に配信することもできます。
施設案内の事例
病院やショッピングモールなどの大型施設では、デジタルサイネージが施設案内に活用されています。訪れた人が目的の場所に迷わずにたどり着けるようなわかりやすい地図や、各種案内情報の提供が可能です。また、病院では待ち時間や診療情報の表示など、利用者の利便性や満足度の向上につながっているケースもあります。
これらの事例からわかるように、デジタルサイネージは多様な業界や場所で効果的に利用されており、有益な情報の伝達や顧客体験の向上などに寄与しています。今後も幅広い分野での活用が進むでしょう。
5. 不動産業界での活用事例
近年では、特に不動産業界における活用も進んでいます。
本章では、不動産業界でのデジタルサイネージの活用事例を紹介します。
ビルボード看板
デジタルサイネージを使ったビルボード看板は、従来の看板よりも容易に更新できるため、情報のリアルタイム性が高い点が特長です。最新の物件情報や告知などをタイムリーかつ効果的に伝えられます。
また、動画やアニメーションを用いることで、通行人の目を引く情報発信が可能です。これにより、問合わせや来訪者数の増加につながるでしょう。
さらに、デジタルサイネージのビルボード看板は、広告主との柔軟かつ容易な連携が可能であるため、従来の看板と比べて広告収入の向上も期待できます。設置場所や時間に応じてターゲットを設定し、そのターゲットに合わせた広告を表示することで、より効果的な広告宣伝を実施できます。
建設中の情報提供
建設現場においても、デジタルサイネージは情報提供の効果的な手段として活用されています。
建設現場の周囲にデジタルサイネージを設置すれば、通行人に対してプロジェクトの進捗状況や完成予定日などをリアルタイムで伝えられます。周辺住民や関心を持つ人々に対してアクティブな情報の共有が可能です。
また、デベロッパーは、デジタルサイネージを用いて建設物件のイメージ図や詳細な仕様、販売・賃貸情報をわかりやすく表示できます。これにより、物件への興味を喚起し、販売や入居者募集の効果が高まります。
さらに、建設現場の安全管理や労働者への注意喚起も可能です。現場内に設置されたデジタルサイネージから、安全対策や緊急時の避難手順などを配信することで、より安全な施工が可能になります。
マンションエントランス・掲示板
マンションのエントランスや共有スペースに設置する掲示板としてもデジタルサイネージは活用できます。従来の紙ベースの掲示板に比べて、デジタルサイネージですばやく手軽に更新できるので、住民にとってわかりやすく、効果的な情報提供が可能です。
例えば、管理会社からのお知らせや、物件・近隣地域のイベント情報、ゴミの収集日程など、住民に伝えるべき情報をタイムリーに発信できます。また、天気予報や交通情報など、外出時に役立つ情報も提供できます。
デジタルサイネージを活用して、住民同士のコミュニケーションを促進することも可能です。例えば、住民が開催する趣味の集まりなどの情報を提供すれば、交流の場が活性化されます。このように、マンションエントランスや掲示板でのデジタルサイネージの活用は、住民にとって便利でわかりやすい情報の提供が可能となるだけではなく、コミュニティの形成・活性化にもつながるでしょう。
エレベーター内
エレベーター内は、デジタルサイネージを活用する上で非常に効果的な場所のひとつです。通常エレベーターには、利用者が数十秒程度は滞在します。デジタルサイネージを設置することで、ビル内のイベントやお知らせ、天気予報などの情報を短時間で効率よく伝えられるでしょう。
また、企業や周辺の飲食店、各種サービスを提供する店舗と連携して情報を掲出してもらえば、地域に根差した情報発信のツールとしての価値も向上するでしょう。
6. エレベーター内での活用事例
前述したエレベーター内でのデジタルサイネージの活用事例について、「マンション」と「オフィスビル」の2つに分けてより詳しく解説していきます。
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マンション 居住者向け
マンションのエレベーター内でデジタルサイネージを効果的に活用すれば、居住者のより良い暮らしづくりに貢献できるでしょう。ここでは、マンション居住者向けにデジタルサイネージがどのように活用されているか、いくつかの事例を紹介します。
お知らせやイベント情報の配信
マンションの管理組合や管理会社からのお知らせやイベント情報を効果的に伝えられます。例えば、定期的な清掃作業や修繕工事の予定、ゴミ収集日の変更、自治会や防災訓練の開催情報などを居住者に知らせることが可能です。
天気予報や防災情報の提供
天気予報や気象警報、地震や台風などの緊急情報、防災に関する情報などをリアルタイムで提供できます。居住者は外出前に天気を確認でき、適切な対応を取れるため、より安全・安心な暮らしを送れるようになります。
コミュニティ活動の促進
デジタルサイネージを活用して、マンション内や周辺エリアで開催されるヨガ教室や子育てサークル、趣味の集まりなどのコミュニティ活動を紹介することで、居住者同士や周辺地域との交流を促進できます。
おすすめの周辺施設やサービスの紹介
エレベーター内のデジタルサイネージで、周辺の飲食店やサービス提供施設、公共施設の情報を紹介できます。居住者が新しいお店やサービスを知り、活用するきっかけとなり、地域とのつながりも深まるでしょう。
セキュリティ向上
エレベーター内に設置されたデジタルサイネージには、カメラやセンサーを備えたものもあります。これにより、居住者は安心感を得られるとともに、防犯につながる効果も期待できます。
以上のように、マンションのエレベーター内でデジタルサイネージを活用することで、居住者にとって有益な情報を効果的に提供できるほか、コミュニケーションの活性化やセキュリティの向上にも役立ちます。その結果、居住者の生活の質や満足度の向上につながるでしょう。
オフィス 入居企業向け
オフィスビルのエレベーター内でのデジタルサイネージの活用は、入居する企業にとってさまざまなメリットや効果が期待できます。具体的な活用事例は以下のとおりです。
企業情報の発信
入居企業の最新情報やイベント告知が可能です。ビル内の他の企業とのコミュニケーションや情報共有が促進され、ビジネスチャンスにつながる可能性もあるでしょう。
社内コミュニケーションの向上
社員間のコミュニケーションを活性化するために、自社のエレベーター内のデジタルサイネージで社内イベントの告知や、自社のニュースリリース情報などを提供すると効果的です。これにより、社員のモチベーション向上や、社内の一体感の醸成につながります。
緊急連絡や安全対策の情報提供
災害時や緊急事態が発生した際に、エレベーター内のデジタルサイネージを利用して迅速に情報を伝えられます。また、定期的に安全対策や避難訓練の情報を提供すれば、社員の安全意識が向上するでしょう。
環境保護への取組み
環境保護に関する情報やエコ活動の取組みを発信できます。入居企業や従業員に環境意識を高めるメッセージを伝えることで、ビル内でのエコ活動やリサイクルの推進につながります。
従業員教育・研修のサポート
従業員向けの研修情報や教育コンテンツを提供することにより、社員のスキルアップを図れます。また、業界ニュースや気になる記事をエレベーター内のデジタルサイネージで提供すれば、従業員の情報キャッチアップや知識向上に役立つでしょう。
7. まとめ
本稿では、デジタルサイネージの基本的な情報や、不動産業界・マンション内での具体的な活用事例、メリットなどについて詳しく解説しました。
サイネージ活用(エレベーターサイネージ)は、情報発信や社内コミュニケーションの向上、緊急時の情報提供、収益源としての可能性など、さまざまなメリットがあります。これらの事例を参考に、エレベーターサイネージの活用を検討してみてはいかがでしょうか。
2023年7月時点の情報です。
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