ニューノーマル社会の課題に応えて進化を続ける「EBテクノロジー」
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私たちが生活している住宅やオフィスの屋内ドア・床・家具などの表面に、汚れや傷をつきにくくする機能だけでなく、抗菌・抗ウイルスの機能を付加できることをご存知ですか? それを支えているのが、電子線(EB:Electron Beam)を用いて製品の表面樹脂を硬化させるDNP独自の「EBテクノロジー」です。世の中のニーズの変化に合わせて、さまざまな機能を付加し、人々の生活をより快適にする「EBテクノロジー」について紹介します。
目次
コロナ禍で高まる抗菌・抗ウイルスのニーズ
新型コロナウイルスの感染防止対策として、ソーシャルディスタンスが求められるなか、家庭をはじめ、学校や職場、移動空間など、日々の暮らしにおけるあらゆる生活空間での抗菌・抗ウイルス対策は、最も重要な課題のひとつです。
抗菌・抗ウイルスの機能を持つ製品や素材等の需要は、コロナ禍の広がりとともに急激に高まっており、関連製品の市場規模も大きく拡大。抗菌・抗ウイルスの性能認証機関として代表的なSIAA※1に登録する企業の数も、2019年の約400社から2020年には約800社と倍増しています。
- ※1:SIAA(抗菌製品技術協議会)とは、適正で安心できる抗菌・防カビ加工製品の普及を目的として、抗菌剤・防カビ剤および抗菌・防カビ加工製品のメーカー、抗菌試験機関が集結してできた団体です。業界だけでなく、消費者代表、専門家および行政など幅広い意見を聞きながら、抗菌加工製品に求められる品質や安全性に関するルールを整備し、且つそのルールに適合した製品の安心のシンボルSIAAマーク表示を認めています。
こうしたニーズを受け、DNPでは高い抗菌・抗ウイルス性能と、耐傷・耐汚染等の各種機能を併せ持つ化粧シートなどの製品群「Pure Effects TM」シリーズを開発、SIAAの性能認証を取得しました。建具・床・家具・什器など空間全体の表面材に展開できるラインナップを備え、住宅やオフィス、医療・福祉施設などさまざまな場所で導入が進んでいます。
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この「Pure Effects」シリーズを支えるDNPのコア技術が「EBテクノロジー」です。DNPの建材事業分野で、約30年にわたって多くの製品を生み出してきたこの技術の秘密を少しだけご紹介します。
多彩な機能を支える「EBテクノロジー」
EBテクノロジーは、DNPが長年培ってきた印刷技術を応用・発展させることで、1990年代に建装材で実用化した表面加工技術です。
基材の表面に塗布した樹脂に電子線(EB)を照射することで、分子が架橋※2する反応が起こり、樹脂が液体から固体へと変化します。その際、使用する樹脂の種類やEBの照射条件をブレンドすることによって、多彩な機能を付加できるのが「EBテクノロジー」の特長です。一般的な加工技術である熱硬化やUV硬化よりも短時間で工程を完了できます。
- ※2:分子を結合させて固体を強靭にする化学反応。
さらに、生産工程での省エネ化やCO2排出量削減を実現するなど、環境にも配慮しています。
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電子線の照射を利用することで、加工のプロセスにおいてさまざまな機能性材料を混ぜることが可能になり、抗菌・抗ウイルスや耐傷性・耐汚性・耐候性といった多様な機能を付加することができます。「Pure Effects TM」シリーズの開発においては、意匠や性能を損なうことなく抗菌・抗ウイルスの機能を付与するため、100種類以上の機能性材料の配合を設計し、実用化に成功したのです。
生活空間のイノベーションをめざして
さまざまな機能付加を実現してきた「EBテクノロジー」ですが、特に近年拡大しているSDGs等の社会課題の解決に向けて、DNPはその価値をさらに高めていきたいと考えています。感染防止対策や衛生管理の徹底、環境負荷の低減や脱炭素社会の実現に向けた取り組みなど、私たちの日常生活は変容しており、新たな価値の開発が求められるからです。
これらのニーズに応えるための技術開発を支える取り組みとして、DNPは社会課題やトレンドの調査と未来予測に力を入れてきました。例えば、人手不足の問題に応える「省施工化」、共働き世帯の増加などによる家事負担の軽減に貢献する「メンテナンスの簡便性」などの機能開発。また、希少な木材の保護のために「リアルな木目意匠表現」を付加した製品も、こうした取り組みから生み出しています。
生活者を起点としたトレンド把握と技術開発によって、社会のさまざまな課題を解決する製品・サービスを生み出してきたDNP。これからも世の中のニーズに合わせて、多様な機能を付加できるEBテクノロジーを発展させ、人々の生活をより快適にする新たなイノベーションに挑戦し続けていきます。
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