熱を制御する

CONDUCTING HEAT

外気を遮断し、中空構造を形成できるフィルムの活用によって、熱伝達の促進・拡散を自在に制御することが可能になります。DNP は、高度なフィルム製造技術に関連技術を組み合わせることで、物流向け断熱ボックスやモバイル端末の放熱部品など、画期的な製品を生み出しています。

製品・サービス一覧

多機能断熱ボックス製品写真

常温トラックでの冷蔵品(冷凍品)の長時間輸送を非電源で実現し、混載によるトラック台数削減効果を実現します。

ベイパーチャンバー製品写真

CPU やスマートフォン向けの放熱部品。DNP 独自のエッチング技術によって内部構造を小型化し、従来品と同等の熱伝導能力をもちながら薄型化を実現しています。

耐熱粘着フィルム製品写真

高温プロセスを必要とする電子部品や半導体などの製造に適した粘着フィルム。基板の保護や耐薬品性、糊の移行防止などに役立ちます。



技術紹介

真空状態で封止し熱伝達を防ぐ<真空断熱>技術

熱伝導や対流を生まない真空状態の特性を活かし、ガス透過性の低いフィルムを製造する技術と、異種素材を均一に貼り合わせるラミネート技術によって高い断熱性をもたせる技術です。これを応用したDNP の真空断熱パネルは、グラスウールなどの通常の断熱材と同等の性能を約1/20 の薄さで実現します。

真空断熱断面図



毛細管構造による循環で温度上昇を防ぐ<熱拡散>技術

ウィックと呼ばれる金属メッシュと作動液を封入し、その液体を冷媒とする気化~拡散~凝縮~還流の循環で熱源部分の温度上昇を防ぐ技術です。他の放熱技術に比べ、高い熱伝導能力を持ち、瞬時に熱を拡散させることができる点が特徴です。

熱拡散説明図



コラム [熱を制御する]×物流分野

真空断熱技術と熱設計技術で物流における社会課題の解決に寄与

生鮮食品や工業品、医薬品といった温度管理が求められる荷物の輸送には、冷凍・冷蔵機能を備える専用車が必要になり、通常よりも手間とコストがかかる課題がありました。DNP が開発した「DNP 多機能断熱ボックス」は、非電源で内部温度を長時間一定期間に保つことができ、常温トラックでもコールドチェーンを分断することなく輸送が可能です。また、社会問題となっている人手不足やドライバー不足などの課題に対し、本製品を置き納品に活用することでドライバーと荷受けの負荷を軽減できます。
高断熱性能の仕組みは、医療用の高機能保冷ボックスなどに使われていた真空断熱パネルと高度な熱設計技術によって生み出されました。物流における社会課題を解決する製品として、国内外で多くの受注実績があります。

「DNP 多機能断熱ボックス」の現行タイプ。パレットサイズ(左上)、ロールボックスパレットサイズ(右上)、台車サイズ(左下)、ミニチュアサイズ(右下)。



コラム [熱を制御する]×モバイル分野

エッチング技術で微細な流路を形成し、ベイパーチャンバーの薄型化を実現

5G 時代の到来によるデータ処理量の増大や搭載部品の増加を見据え、スマートフォンなどのモバイル端末における発熱対策とバッテリースペースの確保が急がれています。これらの課題を解決する次世代の放熱部品として開発されたのが、DNP の「ベイパーチャンバー」です。
ウィックと呼ばれる金属メッシュと作動液を内蔵し、毛細管現象を利用して熱拡散を図る仕組みで、従来はノートPC のCPU などに使われていましたが、DNP では、独自の精密なエッチング加工技術によってウィックを極小化し、従来品より薄い0.25mm 厚を実現。5G 世代のスマートフォンへの搭載が見込まれるほか、自在に曲げられる構造特性を活かし、車載部品やウェアラブルデバイスなどでの利用も期待されています。

DNP の「ベーパーチャンバー」(上)。銅板との温度変化の違いを可視化するテスト(下)では、ベーパーチャンバーの方が熱の分散効果が高いことがわかる。



その他関連ページ

フィルムを利用して外気を遮断することで、熱伝達の促進・拡散を自在に制御することができます。

熱や電気を加えることで溶融・硬化する特性を活かし、2つの異種材料を接着できます。

内部に微細な電極を配置することで、タッチパネル用透明フィルムなどの電子部材に応用できます。

ガスバリア性、ヒートシール性、非吸着性といった特性により、内容物を保護します。

光の進む方向を制御することで、特定の場所に集めたり、拡散したりといった機能を発揮します。

熱を加えたり、光や電子線を照射することで耐傷・耐侯・防汚・抗菌・抗ウイルスといった機能を付与します。

印刷や転写の技術を進化させることで、意匠を自在に変化させることができます。



未来のあたりまえをつくる。®