2020/7/1

ICT活用のポイントが見えた、休校中の学習取り組み
~家庭学習ドリルを使って、まず「学習の保障」を~
和歌山県有田市教育委員会

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◆取材先:有田市教育委員会 教育総務課 田中康元係長、中西朋子指導主事、上野山倖平主事

新型コロナウイルス感染症対策に伴う休校措置を教訓に、「GIGAスクール構想」が一気に加速する機運が高まっています。しかし、たとえ1人1台端末が整備されても、一足飛びにICT利活用が進むわけではありません。そこには、普段の授業で慣れているアナログの良さを残しつつ、無理なくデジタルへと移行していく段階的なステップが必要になります。
そこで、今回の休校時における「学習の保障」から見えてきたICT活用のポイントと展望について、有田市教育委員会にお聞きしました。

子どもの状況把握に、家庭へのネット環境の貸与も

有田市の公立小中学校では、国の全国一斉臨時休業要請を受けて3月から休校措置を実施しました。始業式・入学式以外は休校が続く中で、4月中旬から各学年週1回程度の分散登校を開始。その後、感染状況を見守りながら登校回数を増やしていき、6月1日からは給食を含めた短縮授業(1時間程度)を実施、第3週以降はほぼ通常授業ができるまでに戻っています。

「休校中は、まず学習を保障する取り組みを大事にするとともに、子どもたちの状況が見えにくい部分があることから、生活習慣の把握にも力を入れました。ネット環境が不十分な家庭にポケットWi-FiやiPadを貸し出して、朝のホームルームを行えるようにしたのもその1つです。こうしたICTの活用は、学校に登校できない中での子ども同士のつながりを意識させる手段として有効だったと思います」と振り返ります。

また、共働き家庭への配慮や子どもの居場所となる学童保育との連携、特別支援学級、不登校など配慮の必要な子どもたちの心のケアも欠かせなかったとし、学校が休校中に取り組むべき課題の多さを指摘しました。

教科書に沿った教材を家庭に配布、課題は活用状況の把握

一方、学習の保障としては、一部の学校では授業動画(スライド)をつくってWEB上にアップするとともに、日本コスモトピアの教材「みんなの学習クラブ®」を自宅で取り組む課題として活用しました。本システムは、学校内のパソコンやタブレット端末を活用するインターネット配信のプリント教材で、3万点以上の豊富なプリントとわかりやすい動画解説により、子どもたちが自分の学習状況に合わせて学習に活用できるのが特長です。

「普段から授業の補助教材として活用しているドリルであり、子どもたちも慣れていることから自由課題として取り組みやすいこと。しかも、教科書の単元に沿って問題が作成されているので、先生方が新たに1から教材を作る必要がないことがメリットでした」と話します。

さらに、今回の休校時は同社の協力により、各家庭で教材をダウンロードできるよう、児童生徒にIDを配布しました。
活用方法は学校に委ねられましたが、プリント配布でなくWEBでの活用を中心にした学校のうち、アクセスの多い学校では、3月~5月の休校中に15,000回以上のアクセスがあるなど、積極的に活用がなされました。学校により使われ方に違いがあり、復習教材中心の使い方をした学校や、発展的な問題にも取り組ませた学校もありました。動画と合わせて学習の補助に役立てた学校もあるのが利用ログから分かったといいます。

「ただし、せっかく子どもたちがオンライン上で学習に取り組んでも、先生方が紙で受け取るのと違って、どんな問題をどれくらい解いたかといった内容の把握ができない点が残念でした」と課題を口にしたほか、休校中の宿題についても、量が多いと感じる子と物足りないと思う子がいて、何をどれくらい与えるかといった個の違いによる”さじ加減”が難しかったことを挙げました。

学習履歴を個別学習につなげるICT活用へ

そのため、同市では今後また同じ状況になったときにホームルームだけでなく、学習にもオンラインを有効に活用していけるよう、個人のアカウントを取得して課題の配布を行うことを検討しています。「例えば、みんなの学習クラブ®からアクセス状況や習熟度を把握できれば、1人ひとりの個別指導により一層生かせるようになります。個別最適化学習を実現するEdTechの活用も見据える中で、ぜひトライしてみたいと考えています」と意欲を示しました。

今回の休校措置では、ICT活用が学習の保障に役立つことが証明されるとともに、今後は新学習指導要領で目指す1人ひとりに合わせた対応が課題になることがはっきりしました。そのカギを握る学習履歴の活用が、これをきっかけに全国の学校現場で早期に進むことが期待されます。

各教科書に対応した人気のプリント教材がAIドリルに!

株式会社日本コスモトピア マーケティング本部 公教育課 今本恒太郎 様
学校の授業で身につけたことを、放課後や家庭学習で定着させ学力向上させる目的で「みんなの学習クラブ®」は、全国で活用が進んできました。
教材は基本学習の定着、個々のつまづき対策、習熟度の定着など、学習の目的に合わせて各教科書に対応した「定着」「標準」「発展」のプリントを出力して活用できます。先生方の教材作成の手間を削減できるだけでなく、児童生徒が自分でプリントを選択して学習をしていくことで主体的な学習にも役立つことから、全国の小中学校で好評を頂いています。
今回DNPがGIGAスクール構想に向けてリリースする、リアテンダント®デジタルドリルシステムの教材として提供させて頂きます。

未来のあたりまえをつくる。®