包装材の脱アルミ箔を実現

DNPハイバリアアルミ蒸着フィルム IB-FILM®

軟包装の分野では、これまで高い酸素バリア性・水蒸気バリア性が必要な時はアルミ箔を使用するのが一般的でした。
しかし、アルミ箔は製造時の環境負荷が高いことや地政学リスク、脱炭素化に向けた自動車用途など新規需要拡大による供給懸念もあり、今後の安定的な使用に課題があります。
これらの課題に対応するため、DNPはアルミの使用量を大幅に削減したハイバリアアルミ蒸着フィルムを開発しました。

目次

アルミ蒸着フィルムとは

アルミ蒸着フィルムの一般的な製造方法は、高真空状態においてアルミニウムを加熱し、気化させ、その蒸気をフィルムの表面に吹き付けて定着させます。
吹き付けられたアルミニウム蒸気は、冷却によって再凝縮し、極めて薄いアルミニウム膜を形成します。
アルミニウムの薄層によってバリア性能が得られ、幅広い用途に使用されるフィルムになります。

アルミ箔を使用し続けるデメリット

■将来的なアルミ調達不安
地政学リスクや脱炭素化に向けた自動車用途の需要拡大による価格上昇、供給懸念が課題となっており、今後のアルミ箔供給に影響を与える影響があります。

■環境負荷が大きい
アルミは、鉱石のボーキサイトから白いアルミナという粉を作り出し、アルミナを大量の電気エネルギーを使い電解精錬することで作り出されるアルミニウム地金を使用します。
アルミ缶やアルミを使用した製品をリサイクルした「再生地金」は、比較的環境負荷が小さく製錬可能ですが、アルミ箔の製造時には、電解精錬で電力消費が大きく、CO₂排出量も多いことから環境への負荷が大きいといえます。
また、軟包装に使用されているアルミ箔は異素材との貼り合わせにより、アルミ単体として取り出しにくくリサイクルが困難です。

■コスト増加
工業用途でのアルミ箔需要の高まりにより、供給が不足し、価格への影響を与えてしまうことも懸念されます。
さらに、アルミニウム地金を生成する時に大量の電気消費があり、世界中でエネルギー不足が深刻化する中、電気料金の高騰がアルミの価格へ影響を与える可能性も十分に考えられます。

「DNPハイバリアアルミ蒸着フィルム IB-FILM」とは?

上記のような課題に対して、アルミ箔の代替手段として開発されたフィルムが「DNPハイバリアアルミ蒸着フィルム IB-FILM」です。

ハイバリアアルミ蒸着フィルムとは

DNPが開発した「DNPハイバリアアルミ蒸着フィルム IB-FILM」は、高いバリア性と遮光性を持ち合わせています。
「DNP透明蒸着フィルムIB-FILM」の開発や提供により培った、技術やノウハウをアルミ蒸着へ活用しました。
その結果、一般的なアルミ蒸着PETフィルムと比べて、約10倍のバリア性と遮光性を持ち、アルミ箔を使った包装と比べて約16%のCO2排出量を削減したアルミ蒸着ハイバリアフィルムを開発しました。(DNP算出)

製品の特長

特長1:高いバリア性・遮光性
酸素や水蒸気の透過を抑える能力が高く、ガスバリア性が高いことから、さまざまな用途で使用ができます。さらに、一般的なアルミ蒸着フィルムより光線透過率は低く、遮光性も優れています。
バリア性と遮光性においてアルミ箔には及びませんが、用途に応じてはアルミ箔の代替としてご検討いただけます。

特長2:圧倒的に少ないアルミ使用量
「DNPハイバリアアルミ蒸着フィルム IB-FILM」は、アルミ箔と比較し使用量が1%以下と大幅な減少を実現しています。
アルミ箔の厚みが7〜9μm(マイクロメートル)に対して、アルミ蒸着ハイバリアフィルムのアルミ層は10〜100nm(ナノメートル)と薄層です。(1μm=1,000nm)
アルミ箔の使用量は少ない中で高いバリア性を有することは、今後起こりうるアルミ箔供給不足への不安を解消できます。
さらにアルミ箔の使用率の低さは、環境負荷低減にもつながります。

特長3:金属探知機にも対応
「DNPハイバリアアルミ蒸着フィルム IB-FILM」は、アルミ使用量がごくわずかであるため、アルミ箔を使用したパッケージでは使用できなかった金属探知機を使うことができます。

主な活用分野・用途

上記の特長から、アルミ蒸着ハイバリアフィルムはさまざまな用途で使用可能です。
ドライ品への使用を推奨しますが、液体品でもご検討いただけます。主な用途の事例を紹介します。

食品向け

食品に使用する場合、酸素や水蒸気の高いバリア性や保香性などが、従来アルミ箔を使用していた以下の製品で活かせます。
● 粉末全般
● 固形調味料
● キャンディー
● プロテイン など

医薬品・化粧品向け

化粧品や医薬部外品などの製品だけでなく、成分の変質や変化に気を遣う医薬品分野でも、ご採用を検討いただいております。内容物が液体でも、内容物適性に問題がないことの確認を行い、実用性の可否について検証いただいています。
● サプリメント
● 顆粒・錠剤・分包
● パップ剤 
● シャンプー・コンディショナー
● マウスウォッシュ など

その他産業(化学品・農薬など)向け

業務用・産業用途でも以下の製品で、使用事例があります。
● 化学材料
● 金属粉
● 農薬 など

関連製品の紹介:DNP透明蒸着フィルム IB-FILM

IB-FILMは1998年から量産を開始しているDNP独自の透明蒸着フィルムです。
真空コーティング技術とウェットコーティング技術の融合により誕生した、透明性とハイバリア性が特長です。

酸素に触れることや湿度があることで劣化が進みやすい食品や建築部材など暮らしに関わるさまざまな用途で使用可能です。
IB-FILMには、グレードにより酸素透過性や水蒸気透過性、レトルト対応などの違いがあり、必要な用途の種類を選べます。
IB-FILMは、ガスバリア性だけでなく保香性、電波透過による電子レンジへの使用やICタグなどの付加機能性、ハロゲンフリーフィルムでの廃棄性、透明性が高いことによる安全・安心の5つの特長を持ちます。

アルミ箔ほどのバリア性が必要ない製品では、IB-FILMまたはアルミ蒸着ハイバリアフィルムを検討し、脱アルミ箔化を進めていきましょう。

  • IB-FILMは、DNP大日本印刷の登録商標です。

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