外装ルーフフィルム|自動車の意匠性向上と塗装工程削減を実現
外装ルーフ加飾フィルム
外装ルーフフィルムは、自動車の意匠性や生産性向上のために使用されます。外装ルーフフィルムにはさまざまな色があり、ボディカラーとの組み合わせを考えたカラーリング展開が可能となります。また、保有する多様な柄による印刷表現やテクスチャー表現も可能です。
自動車は時代とともに変化する商品の一つであり、環境性能はもちろんのこと意匠性も年々進化しています。自動車のカラーリングといえば、カーボン素材などを用いた一部のスポーツカー以外は単色が基本でした。しかし、近年ではボディカラーと異なる色をルーフに採用した2トーンカラーを選べる車種もあります。
外装ルーフフィルムとは
2トーンカラーの自動車の中には、塗装ではなくルーフにフィルムを貼って色を表現しているものもあります。自動車の意匠性や生産性向上のために使用されるのが「外装ルーフフィルム」です。
外装ルーフフィルムにはさまざまな色があり、ボディカラーとの組み合わせを考えたカラーリング展開が可能となります。また、保有する多様な柄による印刷表現やテクスチャー表現も可能です。
外装ルーフフィルム導入のメリット
外装ルーフフィルムを導入する3つのメリットを紹介します。
- ■ 意匠性(デザイン性)の向上
もっともわかりやすいメリットは、自動車の意匠性向上です。ルーフを2トーンカラーとして、例えば、暖色系にするとやさしい印象になり、黒などシックな色にすると引き締まった印象になるなど、車種やターゲットとする顧客層に合わせた選択が可能です。
昨今採用が増えている2トーンカラー車両に対して、塗装ではできない意匠表現ができます。具体的には、印刷による絵柄表現やエンボス加工によるテクスチャー表現が可能になります。
従来の塗装では実現できなかった柄を表現できるのも、外装ルーフフィルムの大きなメリットです。自動車の外観に今までなかった「柄」という概念を取り入れることができます。
- ■ フィルム化による環境負荷低減
自動車は走行時だけでなく、製造時にもCO2を排出します。そして、製造時のCO2排出量の約25%を占めるのが塗装工程です。2トーンカラーの塗装では、ボディ全体を塗装したあとさらにルーフを塗装します。そのため、単色のカラーリングに比べてより多くのCO2を排出します。
従来の塗装工程ではCO2だけでなく、VOC(揮発性有機化合物)や汚泥・排水など、他にも環境の負荷となる物質を排出します。そのため、外装ルーフフィルムを導入することで環境負荷低減が可能です。
- ■ フィルム化による生産効率化
ボディの塗装完了後、ルーフを塗装するためにはボディのマスキングや、塗装後の乾燥など関連する工程も必要です。しかし、外装ルーフフィルムを使用することで関連工程そのものを削減できる他、それらの工程で使用されるエネルギーや排出されるCO2の削減もできます。
ルーフを塗装する場合と比べて、塗装ラインの占有時間を短くすることが可能です。そのため、空いた塗装ラインを他の車の塗装に使えるだけでなく、製造にかかるリードタイムを短縮できます。
フィルムはあらかじめボディ形状にあわせてプレカットされているため、ロール状のフィルムをカットして使用する場合と比較して、高い施工性(作業性)を実現可能。容易に位置決めができるような工夫も施されています。
DNPの外装ルーフフィルム
DNPが展開する外装ルーフフィルムの特徴を3つ、そしてその他の外装加飾フィルムについても紹介します。
動画:外装ルーフ加飾フィルム(3分21秒)
■ 多彩な意匠表現・カラーバリエーション
外装ルーフフィルムは多彩な意匠表現が可能です。豊富に用意されたカラーバリエーションだけでなく、これまで塗装では実現できなかったエンボス加工による凹凸表現や、印刷によるリアルな柄表現も可能です。
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柄は暖かい生地を想像させるようなツイード、ソリッドでありながら迷彩柄を連想させるようなラインブロック、三角形を規則正しく並べたトライアングルブロック、また六角形を規則正しく並べたヘキサグラデカモなども選択可能ですし、オリジナルの柄を制作することも可能です。もちろん、塗装のようなソリッド(柄なし=単色カラーフィルム)も選択できるため、シンプルな2トーンカラーを楽しみたい人に向いています。
同じ柄でも色を変えることにより、印象が異なります。例えば、黒のヘキサグラデカモはシックで土のようなイメージですが、緑を選べば草原のようなイメージになります。フィルムでありながら、色の濃淡を利用した立体感の表現も可能です。
■ フィルム伸縮シミュレーション
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自動車のルーフは3D CADで設計されており、実際の形状も3D曲面となっています。しかし、フィルムの実際の形状はあくまでも2Dです。そのため、3Dデータから2Dデータへ変換する技術を利用しています。
一般的なロール状のフィルムの場合、フィルムカットの手間がかかります。しかし、DNPの外装ルーフフィルムはプレカットしてあるため、カットの手間がかかりません。もちろん、フィルムのカットミスやボディへのカッターによる傷付けなどの失敗もありません。また、フィルムの伸縮をシミュレーションした設計、位置合わせが容易になる工夫により短い時間での施工が可能です。
■ 耐久性について
外装ルーフフィルムは自動車の外観に使用する製品であるため、耐久性向上にも力を入れています。紫外線や風雨に対する耐候性はもちろん、走行時に飛翔してくる小石などに対する耐チッピング性も有しています。自動車メーカーにてルーフの加飾(2トーンカラー)に採用された実績もあり、市場でも信頼されている製品です。シャークフィンアンテナ付きの車種にも採用実績があります。
■ その他、外装加飾フィルム
ピラーカバー加飾(ピアノブラック)
ピラーカバー加飾(カラー、テクスチャ)
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DNPは外装ルーフフィルム以外の外装加飾フィルムも取り扱っています。樹脂パーツ成形時(射出成形時)に、あらかじめ金型の中に外装加飾フィルムをセットしておくことで、成形と同時にハードコート機能を転写可能です(インモールドハードコートフィルム)。
ウェットハードコート(液体塗料を使用するコーティング)の代替手法として、漆黒感の高いピアノブラックのピラーに仕立て、前後のウィンドウの一体感を演出し、デザインの意図を忠実に表現できるメリットがあります。
ピラーカバーもルーフと同様に、さまざまなカラーバリエーションの展開が可能です。また、フィルムの柄を変えることで、1つの金型で多様な意匠に対応できます。
導入事例紹介
外装ルーフフィルムの導入事例を紹介します。
DNPの外装ルーフフィルムは、ある自動車メーカーのコンパクトカー(2トーンカラー)に採用された実績があります。これにより2トーンカラーの自動車製造時におけるCO2排出量の削減や、塗装ライン占有時間削減による効率化を達成しました。
DNPは外装ルーフフィルムの表面形状によって、光の反射方向と強度をコントロールするようアプローチし、新たな意匠を開発しました。
よくある質問
最後に外装ルーフフィルムについてのFAQを紹介します。
Q1:どのようなカラーでも対応可能ですか?
基本的には対応可能です。しかし、彩度の高いものや原色系の場合は、信頼性を確保するため十分な検証が必要です。
Q2:グロスタイプも対応可能ですか?綺麗に貼れますか?
グロスタイプについては現在、開発を進めています。もちろん綺麗に貼れるような対策を施した商品にする予定です。
Q3:貼り付けの所要時間はどれくらいですか?
おおむね20~30分あれば貼れます。
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