光学フィルムに機能性の薄膜を連続的に形成

薄膜コーティング(薄膜形成)技術

薄膜コーティングとは、ベースとなるフィルム基材の上に薄膜層を作り、さまざまな機能をフィルムに付与する技術です。DNPではフィルム基材に液体を塗布する「ウェットコーティング技術」を磨いています。

薄膜コーティングとは

薄膜コーティングとは、ベースとなるフィルム基材の上に薄膜層を作り、さまざまな機能をフィルムに付与する技術です。薄膜を形成することで、フィルムの表面を保護したり、特定の性質を付加することができ、DNPではAG(Anti-Glare)やAR(Anti-Reflection)といった反射防止をはじめとした、さまざまな機能をフィルムに付与することに応用しています。
また、光学フィルムにおいて塗膜の厚みは、透明度はもちろん反射率や色味にも関わる重要なパラメータになります。DNPでは、塗工方式、インキ、乾燥条件などを使い分けることにより、nm~μmの膜厚を調整することが可能です。

薄膜コーティングの種類

薄膜コーティングの塗工方式にはさまざまな種類がありますが、代表的なものとして「リバース方式」「グラビア方式」「ダイコート方式」の3つが挙げられます。使用する塗液や膜厚の他、生産速度などの観点から、生産する製品に応じて使い分けられており、DNPでは各塗工方式において、インキ設計、ノズル、ロールの形状を最適化することにより、高速コーティングを可能にしています。

リバース方式

リバース方式

搬送されるフィルムに対して、逆方向に回転するロールによって塗液を塗布する方式です。膜厚を非常に薄くすることができるだけではなく、さまざまな種類の塗液を使用することができます。2つのロールの隙間やロールの速度により膜厚が決まるため、ロールの組み付け不良による回転のぶれや隙間の精度などに注意が必要です。

グラビア方式

グラビア方式

グラビアロール(凹版彫刻されたロール)に塗液を付着させ、ドクターブレードで余分な塗液をかき落とすことで塗布量を調整して塗布する方式で、比較的粘度の低い塗液を使用する際に向いています。リバース方式と同様、搬送されるフィルムに対して逆方向に回転させるため、回転速度比の調整が膜厚や品質に大きく影響します。

ダイコート方式

ダイコート方式

スリット状にインキを押し出すダイノズルに塗液を供給して塗布する方式です。供給した塗液の分だけ塗布されるため、プロセス条件を管理しやすく高効率な塗工が可能です。
また空気が混入しないため、ピンホールと呼ばれる塗布欠陥を減らすことができます。塗液を循環させず、ポンプで送った分だけ使用するので、凝集などで劣化してしまう塗液に向いています。

DNPの薄膜コーティング(薄膜形成)技術

薄膜コーティング技術の中でもDNPが得意とするのは「ウェットコーティング技術」です。フィルム基材に機能付与する材料を混合させた液体をコーティングするもので、以下のような工程になります。
①樹脂や粒子などの機能付与する材料を溶媒に溶解(または分散)
②溶解(または分散)させた液体をフィルム基材にコーティング
③溶媒を乾燥させて硬化することで機能性薄膜がフィルム上に形成される
DNPではウェットコーティング技術と、基材を連続的に供給する「ロールtoロール」を組み合わせることにより、光学フィルムの大量生産を可能にしています。

DNPの光学フィルム 製造工程における強み

DNPでは「薄膜コーティング技術」以外にも、光学フィルムの設計・製造に関するノウハウを多数保有しています。

膜厚をコントロールできる製造技術

光学設計

DNPは、これまでに蓄積してきた独自の光学設計技術によって、透過率や反射率、コントラストといった光学フィルムに求められる性質を、最適な状態に調整することができます。光学フィルムに求められる機能には、他にも硬さや傷つき防止機能、密着性や耐久性、帯電防止などさまざまなものがありますが、DNPではお客様の使用用途に応じた機能をフィルムに付与することが可能です。

材料設計

インキの材料設計も重要な要素です。フィルムの機能だけを追及しているとインキが弾かれる、厚みムラが出る、硬度が足りない、などの問題が発生することがあります。インキに所定の物性を持たせることはもちろん、高品質かつ高速でも塗工ムラなどの欠点が出ないような生産性の高い塗液を設計するためには、インキ粘度などのインキ自体の特性にも留意することが必要になります。DNPでは、多層コーティングなど難易度の高い製品についても、高品質な積層を可能にしたインキを独自に設計していますので、お客様の要望に沿った製品をスピーディかつ高品質で開発いたします。

インライン多層コーティング

AR/AGフィルムなどの光学フィルムにおいて、高性能で高品質な製品をより安価に提供するためには、インライン多層コーティング技術が必要となります。DNPでは最大3層の多層コーティングが可能な製造設備を保有しており、映り込み防止、コントラスト向上、帯電防止、ハードコート性、低反射性など複数の機能を有した多層光学フィルムを大量生産することが可能です。

超広幅コーティング

2500mm幅でも対応可能
液晶ディスプレイの大型化により、広幅フィルムの需要が高まっており、DNPでは最大広幅2500mmの生産ができる製造ラインを保有しています。一般的には広幅になればなるほど、幅方向で塗布膜厚の均一性を保つのが難しくなりますが、DNPは高いプロセス技術によって、広幅の製品でも均一なコーティングをすることができます。

大量生産でも高い品質
DNPは広幅の光学フィルムをロールtoロールで大量生産しています。高い生産性を追求していながらも、各工程における高いプロセス技術と、わずかな欠点も検知する検査機の導入によって高い品質を保っています。

クリーンな環境で製造(クリーン度)

光学フィルムの機能層は膜厚が数百nm~数μm程度と薄く、微小な塵埃が混入すると不良品となってしまうため、厳格な品質管理が求められます。DNPでは巻き出しから巻き取りまで入室管理が厳重なクリーンルームで製造しており、特に塗布・乾燥工程の設備は高いクリーン度を維持しています。

乾燥技術

薄膜コーティングの製造においては、塗布工程だけではなく乾燥工程も重要です。乾燥の初期と後期では最適な乾燥速度が異なるため、DNPでは乾燥室を複数のゾーンに分け、それぞれのゾーンで熱風の温度や風速を制御することにより、最適な製造条件に設定するなどの工夫を施しています。その結果、ロール全面における品質(光学特性、外観特性)を安定することができるため、高品質な光学フィルムの提供を可能にしています。

DNPの光学フィルム

ARフィルム

ARフィルム

ARフィルムまたはLRフィルム(AR:Anti-Reflection、LR:Low-Reflection)とは、反射防止層の付いた光学積層体です。AR 層による光干渉を利用することで反射光を低減させ、画面への映り込みを抑えることができ、透過率も向上します。ARフィルムを採用することにより、ディスプレイ画面に外から光が当たっても、その影響を軽減して画面がきれいに見えるようになります。

AGフィルム

AGフィルム

AGフィルム(Anti-Glare Film)はベースとなるフィルム基材の表面に粒子を配置させたハードコート層を塗布することで表面凹凸を形成させ、入射光を凹凸面で乱反射させて外光の映り込みを軽減させるもので、光の干渉を利用するARフィルムとは仕組みが異なります。
もちろんAGとARを組み合わせることも可能で、外光の映り込みをさらに軽減させることができます。

光学フィルムの開発・製造ならDNPへ

DNPでは、ARフィルムやAGフィルムなど光学フィルムの設計・製造に関するノウハウを多数保有しています。光学フィルムの開発・製造はDNPにお任せください。

関連ページ

未来のあたりまえをつくる。®