高品質な製品を連続的に大量生産が可能な「ロールtoロール」プロセスを実現
ロールtoロール技術による光学フィルムの量産
DNPでは、独自に培ってきた高レベルの「ウェブハンドリング」技術と、高生産性の「インライン多層コーティング」技術を駆使し、高品質な光学フィルム製品を連続的に大量生産が可能な「ロールtoロール」プロセスを実現しています。
ロールtoロールとは
ロールtoロールとは、ロール状のフィルム基材から巻き出したフィルムを加工装置に通した後、再びロールに巻き取って製品とする生産方式です。この方式では、それぞれの工程でフィルムは連続的に処理されるため、個別に切り出した枚葉状態のフィルム基材を加工する場合に比べると、低コストで大量生産を可能とした、非常に生産性の高い方式になります。
一方で、すべての工程が連続的に行われるため、プロセス条件に制約が存在し、生産の難易度は高くなりますが、DNPでは高レベルの「ウェブハンドリング」技術と、高生産性の「インライン多層コーティング」技術を駆使することで、「ロールtoロール」プロセスを実現しています。
ロールtoロールの生産性を高める2つの技術
長尺フィルムの挙動を制御する技術 「ウェブハンドリング」
ウェブハンドリングとは、フィルムなどの長尺で薄い材料(ウェブ)を、巻き取りや加工の過程で効率的かつ正確に操作するための技術です。この技術により、ウェブの破断やシワ、伸縮などを抑制し、高速かつ安定した加工と搬送を実現します。
ウェブハンドリング技術はロールtoロール工程において、ウェブの加工と搬送から巻き取りや保管に至るまで、シワや傷をつけることなく、また巻きずれを防ぐことができるため、製品品質を維持しながら効率的な生産を可能にします。
DNPでは、ロールtoロールプロセスにおけるウェブの品質を維持するため、搬送時の「搬送張力」、ニップの「押し付け圧」、巻き取り時の「巻き取り張力」について、理論的解析に基づいた技術を開発してきました。これにより、ウェブがガイドロール上でスリップしたり傷つくことを防ぎ、高速でのロール巻き取りにも対応する独自技術を開発し、基材となるフィルムの厚さや種類に応じて最適なプロセス条件を実現しています。
このようにウェブハンドリングは、ロールtoロールプロセスの生産性と製品品質を支える基盤技術として機能しています。
効率的で高品質なコーティング技術 「インライン多層コーティング」
インライン多層コーティングとは、巻き出しから巻き取りまでの間に、複数層を連続してフィルム基材にコーティングする生産方式です。1つの生産ライン上で連続的に行われるため、高い生産効率と均一なコーティング品質を実現します。
ロールtoロールの工程において、インライン多層コーティング技術は、巻き出しから巻き取りまでの間に複数層を連続してフィルム基材にコーティングする重要な役割を担います。
DNPの製造ラインでは、この技術を活用することで、フィルムを製造ラインに1回通すのみで、高品質な多層コーティング製品を効率的に生産することが可能です。この方式により、異物の付着リスクを低減し、製造ラインに複数回通す必要がある従来の方法と比べて大幅に生産性を向上させています。
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DNPの光学フィルム 製造工程における強み
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光学設計
DNPは、これまでに蓄積してきた独自の光学設計技術によって、透過性や反射率、コントラストといった光学フィルムに求められる性質を、最適な状態に調整することができます。光学フィルムに求められる機能には、他にも硬さや傷つき防止機能、密着性や耐久性、帯電防止などさまざまなものがありますが、DNPではお客様の使用用途に応じた機能をフィルムに付与することが可能です。
材料設計
インキの材料設計も重要な要素です。フィルムの機能だけを追及しているとインキが弾かれる、厚みムラが出る、硬度が足りない、などの問題が発生することがあります。インキに所定の物性を持たせることはもちろん、高品質かつ高速でも塗工ムラなどの欠点が出ないような、生産性の高い塗液を設計するためには、インキ粘度などのインキ自体の特性にも留意することが必要になります。DNPでは、多層コーティングなど難易度の高い製品についても、高品質な積層を可能にしたインキを独自に設計していますので、お客様の要望に沿った製品をスピーディかつ高品質で開発いたします。
インライン多層コーティング
AR/AGフィルムなどの光学フィルムにおいて、高性能で高品質な製品をより安価に提供するためには、インライン多層コーティング技術が必要となります。DNPでは最大3層の多層コーティングが可能な製造設備を保有しており、映り込み防止、コントラスト向上、帯電防止、ハードコート性、低反射性など複数の機能を有した多層光学フィルムを大量生産することが可能です。
超広幅コーティング
2500mm幅でも対応可能
液晶ディスプレイの大型化により、広幅フィルムの需要が高まっており、DNPでは最大広幅2500mmの生産ができる製造ラインを保有しています。一般的には広幅になればなるほど、幅方向で塗布膜厚の均一性を保つのが難しくなりますが、DNPは高いプロセス技術によって、広幅の製品でも均一なコーティングをすることができます。
大量生産でも高い品質
DNPは広幅の光学フィルムをロールtoロールで大量生産しています。高い生産性を追求していながらも、各工程における高いプロセス技術と、わずかな欠点も検知する検査機の導入によって高い品質を保っています。
クリーンな環境で製造(クリーン度)
光学フィルムの機能層は膜厚が数百nm~数μm程度と薄く、微小な塵埃が混入すると不良品となってしまうため、厳格な品質管理が求められます。DNPでは巻き出しから巻き取りまで入室管理が厳重なクリーンルームで製造しており、特に塗布・乾燥工程の設備は高いクリーン度を維持しています。
DNPの光学フィルム
ARフィルム
ARフィルムまたはLRフィルム(AR:Anti-Reflection、LR:Low-Reflection)とは、反射防止層の付いた光学積層体です。AR 層による光干渉を利用することで反射光を低減させ、画面への映り込みを抑えることができ、透過率も向上します。
ARフィルムを採用することにより、ディスプレイ画面に外から光が当たっても、その影響を軽減して画面がきれいに見えるようになります。
AGフィルム
AGフィルム(Anti-Glare Film)はベースとなるフィルム基材の表面に粒子を配置させたハードコート層を塗布することで表面凹凸を形成させ、入射光を凹凸面で乱反射させて外光の映り込みを軽減させるもので、光の干渉を利用するARフィルムとは仕組みが異なります。
もちろんAGとARを組み合わせることも可能で、外光の映り込みをさらに軽減させることができます。
光学フィルムの開発・製造ならDNPへ
DNPでは、ARフィルムやAGフィルムなど光学フィルムの設計・製造に関するノウハウを多数保有しています。光学フィルムの開発・製造はDNPにお任せください。
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