ARフィルム

• ARフィルムの原理
• ARフィルムとAGフィルムの違い
• ARフィルムの用途
• DNPのARフィルム 開発・製造における強み
• 製品ラインアップ

反射防止層の表面で反射する光と、反射防止層は透過して反射防止層とベースとなるフィルム基材との界面で反射する光が、同振幅かつ逆位相になるように材料を設計します。このように設計することによって、2つの反射光が干渉して打ち消しあって弱まり、目に届かないようになります。

似たような効果を狙ったフィルムとして、AGフィルム（AG：Anti-Glare）があります。AGフィルムはベースとなるフィルム基材の表面に粒子を配置させたハードコート層を塗布することで表面凹凸を形成させ、入射光を凹凸面で乱反射させて外光の映り込みを軽減させるもので、光の干渉を利用するARフィルムとは仕組みが異なります。
もちろんARとAGを組み合わせることも可能で、外光の映り込みをさらに軽減させることができます。

ARフィルムは、テレビやPC、タブレット、スマートフォンのディスプレイ最表面に使用されています。
他のディスプレイに用いられるフィルム同様、透過率やヘイズの他、最表面で用いられるため耐擦傷性や耐薬品性、防汚性、帯電防止といった機能も求められます。

■反射色のコントロール
下のグラフは、「光の反射率」と「光の波長」の関係を示したものです。ARフィルムから反射する光の色は、反射率が高い波長の色が支配的になります。反射防止層の膜厚が①から②のように厚くなると、分光反射スペクトルがシフトし、反射色が変化してしまいます。また、ディスプレイ面内で膜厚のブレがあると反射色のばらつきが大きくなり、ディスプレイの表示に不自然な印象を与えてしまいます。
そのため、ディスプレイが発する色味に影響を与えないようにするには、反射率と膜厚の精密な制御が必要です。例えばコーティングの厚みが数nm違ってしまうと、想定した機能を発揮できず製品になりません。DNPは、高い製品設計技術とプロセス技術によって膜厚の精密コントロールを実現することで、最適な製品をご提供いたします。

■反射率（光干渉）のコントロール
反射率を下げるためにはARフィルムの屈折率を下げることが重要です。しかし屈折率低下だけを追い求めると、水やアルコールによって劣化したり、透明性や耐擦傷性などを維持することができなくなります。そのため、使用するシチュエーションに合わせて最適な設計が必要となります。

■低反射（反射率0.1%）を実現
ARフィルムの製造方法には、「真空蒸着法」や「スパッタ・CVD法」、「ウェットコーティング法」などがあります。DNPでは、比較的生産性の高いウェットコーティング法を採用しておりますが、硬度も兼ね備えた反射率0.1％の高機能な製品の生産を可能にしています。

■高い品質を実現するためにインク設計から対応
ARフィルムでは硬度と屈折率を両立するために、さまざまな粒子や樹脂、添加剤を開発し、さらにそれらの材料をバランスよく配合することで、フィルムの機能を最大限にまで高めています。また生産性の高いウェットコーティング法においても精密に塗布できるよう、粘度・表面張力などインクの物性の最適化も行っております。

■最大3層の多層コーティングが可能な製造設備を保有
高品質な製品を、より低コストで提供するためには、多層コーティング技術が必要となります。DNPでは最大3層の多層コーティングが可能な製造設備を保有しており、帯電防止、ハードコート性、低反射性など複数の機能を保有した多層ARフィルムを大量生産することが可能です。

■超広幅2500mmでも均一にコーティングが可能
液晶ディスプレイの大型化により、広幅フィルムの需要が高まっています。DNPでは最大広幅2500mmの生産ができる製造ラインを保有しており、また高いプロセス技術を駆使することにより、広幅の製品でも均一なコーティングをすることが可能です。

■帯電防止機能
ARフィルムの特性に応じて最適な帯電防止剤を組み合わせることにより、高い透明性や硬度を保ちつつ、ほこりなどが静電気によって付着することを防止します。

■傷つき防止機能
最表面として用いられるARフィルムには、ひっかき傷などが付かないようにする機能も重要になります。DNPでは画面の表面反射や映り込みを抑える機能と、耐擦傷性機能の両立を実現するべく、最適な製品設計を行っております。

■防汚機能
指紋やインクなどの汚れを付きにくくすると同時に、汚れを拭き取りやすくする機能です。タッチパネルディスプレイ最表面に用いられるフィルムとして必須の機能となっています。

反射率や硬度が異なる複数の製品ラインアップを取り揃えております。

より詳細なデータに関しては、お問合わせください。

DNPではARフィルムの設計・製造に関するノウハウを多数保有しています。ARフィルムの開発・製造はDNPにお任せください。