2025年建築基準法改正で何が変わる?改正ポイントの概要まとめ

2022年6月に公布された改正建築基準法は、2025年からすべての建築物を対象に施行される予定です。この改正は、近年さまざまな業界で加速しているカーボンニュートラルの実現を見据え、建築業界における対策が本格化することを意味します。 このコラムでは、建築基準法の改正によって何がどのように変わるのか、そのポイントと概要を解説します。

本コラムは、壁材・床材など住空間向け製品を扱っているDNP生活空間事業部が編集しています。以下のバナーよりDNP製品・採用事例等をご覧いただけます。

INDEX:
2025年改正建築基準法の背景と目的
 建築物分野の省エネ対策
 吸収源対策としての木材利用拡大
ポイント1 建築確認・検査の対象となる建築物に関する変更
 建築確認審査と建築確認の対象となる建築物の規模
 4号特例‐建築士が設計した4号建築物に対する審査
 小規模伝統的木造建築物等に係る特例
ポイント2 階高の高い木造建築物等の増加を踏まえた構造安全性の検証法の合理化
 階高の高い3階建て木造建築物等の構造計算の合理化
 構造計算が必要な木造建築物の規模の引き下げ
ポイント3 中大規模建築物の木造化を促進する防火規定の合理化
 3,000m2超の大規模建築物の木造化の促進
 階数に応じて要求される耐火性能基準の合理化
ポイント4 部分的な木造化を促進する防火規定の合理化
 大規模建築物における部分的な木造化の促進
 防火規定上の別棟扱いの導入による低層部分の木造化の促進
 防火壁の設置範囲の合理化
ポイント5 既存建築ストックの省エネ化と併せて推進する集団規定の合理化
 建築物の構造上やむを得ない場合における高さ制限に係る特例許可の拡充
 建築物の構造上やむを得ない場合における建蔽率・容積率に係る特例許可の拡充
ポイント6 既存建築ストックの長寿命化に向けた規定の合理化
 住宅の採光規定の見直し
 一団地の総合的設計制度等の対象行為の拡充
 既存不適格建築物における増築時等における現行基準の遡及適用の合理化
木材利用促進に応える「DNP内・外装焼付印刷アルミパネル アートテック®」
 高い印刷技術によって建築設計の幅が広がる
 高い環境配慮性
 耐候性も安心
本物の木材と耐候性のある外壁材を利用した高輪ゲートウェイ駅の建築実例
まとめ

2025年改正建築基準法の背景と目的

2025年の建築基準法改正は、2050年カーボンニュートラルの実現と、2021年10月の地球温暖化対策計画の閣議決定により設定された、2030年度の温室効果ガス46%削減目標(2013年度比)の実現に向けた取組みの一環です。

日本におけるエネルギー消費の約3割、国内の木材需要の約4割を、建築分野が占めています。そのため、建築分野での省エネ対策の徹底と木材利用の拡大が、脱炭素社会の実現に大きく寄与すると期待されています。

この改正によって定められた目標は、以下のとおりです。

・2030年までに、新築建築物でZEH・ZEB水準*の省エネ性能確保を達成
・2050年までに、ストック平均ですべての建築物でこの水準を達成

これにより、建築業界では、抜本的な取組み強化が求められています。
* ZEH・ZEB水準: ZEHは「Net Zero Energy House」の略称で、太陽光発電などエネルギーを創出する機能を持つことで「エネルギー収支をゼロ以下にする住宅」を意味する。ZEBは「Net Zero Energy Building」の略称で、快適な室内環境を保ちながらも、高効率な設備などを用いて消費する一次エネルギーの年間消費量を大幅に削減することをめざした建物のこと。

建築物分野の省エネ対策

前提として、建築物に係わる既存の法律では、建築物の省エネ対策を促進するための取組みが実施されています。

例えば、建築物省エネ法では、省エネ性能の底上げや省エネ設備の導入促進をめざしています。2025年度までに、省エネ基準適合の義務化や省エネ性能表示の推進など、さまざまな制度や特例が施行される予定です。

住宅金融支援機構法では、省エネ改修の低利融資制度を創設しました。500万円を上限に、10年以内の返済で担保・保証なしの融資を行います。そして、2023年4月に施行された改正建築基準法では、再生可能エネルギー設備設置に伴う高さ制限などの形態規制について、市街地環境を害さない範囲で特例を創設しました。

このように、法律を通じて省エネ対策が強められる流れに従い、4号特例*縮小をはじめとする2025年の建築基準法改正も、省エネ対策をさらに後押しする内容となっています。

* 4号特例: 延べ面積500m2以下、2階建て以下等の条件を満たす木造住宅は、建築確認の構造審査を省略することが可能になる特例制度。建築基準法第6条第1項第4号に定められた住宅が該当するため、このように呼称されている。

吸収源対策としての木材利用拡大

木造建築のイメージ

今回の建築基準法の改正では、木材利用拡大に着目しています。防火規制や構造規制が合理化され、建築物に木材を利用しやすくなる環境整備が行われました。

木材には、空気中の炭素を固定する働きがあります。建築における木材利用の拡大によって、炭素の吸収源が増加し、カーボンニュートラルの実現に大きく寄与することが期待されています。

一方で、大空間を活かした木造建築の増加や、省エネ設備の重量化などのために、構造的な安全性にも配慮が必要になってきました。そこで、改正建築基準法では、木造建築物の構造規定などの審査・検査対象を非木造建築物と同等にし、2階建て木造住宅等の安全性確保を図っています。

木造建築物の普及と安全性の向上を同時にめざすことが、今回の改正の主旨といえるでしょう。

ここからは、2025年の建築基準法改正のポイントを6つに分けて見ていきます。

ポイント1 建築確認・検査の対象となる建築物に関する変更

今回の改正は、省エネ基準への適合や構造安全性の確保を審査プロセスで担保し、消費者が安心して建築物を整備・取得できる環境の構築を目的としています。

現状では、都市計画区域等区域外にある一定規模以下の建築物は、建築確認・検査の対象外です。また、区域内では審査省略制度が設けられています。

法律の改正により、建築確認審査の対象となる木造建築物が、2階建て以上または延べ面積200m2超に見直されることになりました。審査省略については、平家かつ延べ面積200m2以下の建築物が対象となります。

これにより、建築確認および審査の対象が非木造と統一化され、省エネ基準の審査対象も同一規模になります。

建築確認審査と建築確認の対象となる建築物の規模

建築確認審査の対象となる建築物の規模について、改正の前後で表にまとめると次のようになります。

<都市計画区域、準都市計画区域、準景観地区等内>

木造:改正前
延べ面積:200m2まで 延べ面積:500m2まで 延べ面積:500m2
階数:3以上 2号:審査対象 2号:審査対象 2号:審査対象
階数:2 4号:一部審査省略 4号:一部審査省略 2号:審査対象
階数:1 4号:一部審査省略 4号:一部審査省略 2号:審査対象

木造:改正後
延べ面積:200m2まで 延べ面積:500m2まで 延べ面積:500m2
階数:3以上 新2号:審査対象 新2号:審査対象 新2号:審査対象
階数:2 新2号:審査対象 新2号:審査対象 新2号:審査対象
階数:1 新3号:一部審査省略 新2号:審査対象 新2号:審査対象
木造以外:改正前
延べ面積:200m2まで 延べ面積:200m2
階数:2以上 3号:審査対象 3号:審査対象
階数:1 4号:一部審査省略 3号:審査対象

木造以外:改正後
延べ面積:200m2まで 延べ面積:200m2
階数:2以上 新2号:審査対象 新2号:審査対象
階数:1 新3号:一部審査省略 新2号:審査対象

4号特例‐建築士が設計した4号建築物に対する審査

現状の4号特例では、2階建て以下の木造住宅等の小規模建築物について、建築士が設計・工事監理を行った場合、建築確認時の構造耐力関係規定等の審査・検査を省略できます。対象となる建築物は、木造の場合「2階建て以下」かつ「延べ面積500m2以下」「高さ13m・軒高9m以下」、非木造の場合「平家」かつ「延べ面積200m2以下」です。

改正後は、4号の区分がなくなり、審査対象や省略可能な範囲が変更されます。この改正により、建築物の安全性確保と審査プロセスの効率化のバランスが調整されたといえます。

小規模伝統的木造建築物等に係る特例

現状では、小規模建築物でも伝統的構法等で一部の仕様規定を満たせない場合、高度な構造計算と構造計算適合性判定が必要です。

しかし、法改正により、小規模な伝統的木造建築物等について、構造設計一級建築士が設計または確認を行い、専門知識を持つ建築主事等が建築確認審査を行う場合、構造計算適合性判定が不要となります。

これにより、伝統的構法を用いた小規模建築物の審査プロセスが簡素化され、伝統的構法の普及促進が期待されます。

ポイント2 階高の高い木造建築物等の増加を踏まえた構造安全性の検証法の合理化

近年、大空間を活かした木造建築が増加していますが、従来の構造計算方法では制約が大きく、木材利用の促進につながる木造建築物の普及を阻害する可能性が考えられました。そこで、今回の改正では、階高の高い木造建築物等の構造安全性を合理的に検証する方法が新たに導入されました。

階高の高い3階建て木造建築物等の構造計算の合理化

現状では、高さ13m超または軒高9m超の木造建築物は、高度な構造計算と一級建築士による設計・工事監理が必要です。その一方、近年の建築物における断熱性の向上等により、階高を高くした建築物へのニーズが高まっています。これを受け、耐火性能が求められる木造建築物の規模基準が見直されました。

今回の改正では、階数3以下かつ高さ16m以下の木造建築物については簡易な構造計算(許容応力度計算)で建築可能とし、二級建築士による設計も認められるようになります。これにより、階高の高い3階建て木造建築物の設計・施工が合理化されます。

構造計算が必要な木造建築物の規模の引き下げ

スパン建築のイメージ

2014年に起こった日本各地での豪雪被害を受け、大スパン等の要件に当てはまる建築物において、2018年に積雪荷重割増が導入されました。その一方で、2階建以下で延べ面積500m2以下の木造建築物は、大スパンでも構造計算が不要のままです。そのため、近年増加する大空間を有する建築物にも対応できる構造安全性の確保が求められていました。

こうした状況をふまえ、今回の改正では、木造建築物の構造計算を必要とする規模が引き下げられました。階数に関わらず、300m2超の木造建築物では構造計算が必要となります。

ポイント3 中大規模建築物の木造化を促進する防火規定の合理化

建築物の省エネ化や、環境負荷を低減させる木造建築の推進が求められる社会情勢に対し、従来の建築基準法では中大規模建築物には厳しい防火規制が設けられており、木造化の普及が阻まれていました。

そこで、今回の建築基準法の改正には、中大規模建築物の木造化を促進するために、防火規制の合理化も盛り込まれています。

3,000m2超の大規模建築物の木造化の促進

現在、3,000m2超の大規模木造建築物には、壁・柱等の耐火構造化や3,000m2ごとの耐火構造体による区画が求められています。これにより、木材を露出させることが難しく、木の良さを実感しづらい、あるいは設計上の制約が大きいという課題がありました。

この状況を改善するため、今回の改正では、構造材が見える状態で仕上げる「あらわし」という方法で木材を使用しながら、火災時の周囲への危害を制御できる構造方法が導入されます。例としては、大断面木造部材の使用と防火区画の強化により、延焼を抑制・制御する方法などが検討されています。

これにより、大規模建築物における木材利用の促進と、木の良さを活かした設計の実現が期待できるでしょう。

階数に応じて要求される耐火性能基準の合理化

現在、建築物の耐火構造の要求性能は、階数に応じて規定されています。求められる耐火性能は、最上階から階数4以内は1時間、最上階から階数5以上14以内は2時間、最上階から階数15以上では3時間と定められています。しかし、この基準は階数5の建築物と階数14の建築物の最下層に同じ耐火性能を要求するなど、細やかさに欠けるという指摘がありました。

この状況を改善するため、木造による耐火設計ニーズの高い中層建築物に適用する耐火性能基準が合理化されます。例えば、階数5以上9以下の建築物の最下層について90分の耐火性能で設計可能とします。

これにより、中層建築物への木材利用が促進され、より柔軟な木造建築の設計が可能になると期待されるでしょう。

ポイント4 部分的な木造化を促進する防火規定の合理化

3000m2を超える大型の建築物を木造にする場合は、厳しい耐火構造が求められていましたが、2025年の改正により、防火上有効な区画で区切られた部分のみ木造化することが可能となります。これは、デザインやコストの自由度を高めることを目的としたものであり、造建築の表現の幅を広げ、建築設計の自由度の向上が期待されます。

大規模建築物における部分的な木造化の促進

現状では、耐火性能が要求される大規模建築物は、すべての構造部材を耐火構造とする必要があります。そのため、部分的な木材使用が困難でした。

しかし、法改正により、防火上・避難上支障がない範囲内で部分的な木造化が認められます。例えば、壁・床で防火上区画され、区画外に火災の影響を及ぼさない範囲内では、木造化が可能です。これにより、大規模建築物への木材利用の促進が期待されています。

防火規定上の別棟扱いの導入による低層部分の木造化の促進

現状では、耐火性能が要求される大規模建築物の木造化において、求められる規制を建物全体に適用する必要があります。このことが、建物を部分的に木造化する際の制約にもなっています。

改正後は、高い耐火性能の壁や、十分な離隔距離を有する渡り廊下で分棟的に区画された高層部・低層部を、防火規定上の別棟として扱えるようになります。これにより、低層部分の木造化が可能となり、大規模建築物への木材利用がさらに促進されるでしょう。

防火壁の設置範囲の合理化

現状は、耐火建築物・準耐火建築物でない木造建築物の場合、1,000m2ごとに防火壁を設置しなければなりません。また、非耐火木造部分と一体の耐火構造部分にも、同様の要求がありました。

しかし、改正後は、他の部分と防火壁で区画された1,000m2超の耐火・準耐火構造部分には、防火壁の設置が不要となります。これにより、設計の自由度が高まり、より効率的な木造建築が実現できます。

ポイント5 既存建築ストックの省エネ化と併せて推進する集団規定の合理化

過去に建設され、現在も存在している建築物を「既存建築ストック」と呼びます。日本の建築物は、その約8割で築30年以上が経過しており、省エネ性能が低い建物も少なくありません。そのため、既存建築ストックの省エネ化は大きな課題となっています。

既存建築ストックの省エネ化には、断熱材の追加や太陽光パネルの設置など、外壁や屋上の改修が必要になることがあります。その際に課題となるのが、建築基準法で定められていた「集団規定」の考え方です。

都市計画における「集団規定」は、建物の配置や高さなどを制限することで、街並みの秩序や採光、通風などを確保する役割を果たしてきました。この規定は、街の景観や住環境の維持・向上のために効果を発揮します。一方で、既存の建物の外壁や屋上を改修する際に建蔽率や容積率を超えてしまうと、集団規定によって許可を得ることが難しく、省エネ化の妨げとなる側面もありました。

そこで、2025年の建築基準法の改正では、既存建築ストックの省エネ化を促進するため、集団規定が合理化されることになりました。

建築物の構造上やむを得ない場合における高さ制限に係る特例許可の拡充

太陽光パネルのイメージ

現状の建築基準法では、屋根の断熱改修や屋上への再生可能エネルギー設備を設置する場合に、建築物の高さが増加し、高さ制限に抵触して改修が困難になることが考えられます。

この問題に対応するため、第一種低層住居専用地域等や高度地区における高さ制限について、屋外に面する部分の工事により高さ制限を超えることが構造上やむを得ない建築物に対する特例許可制度が創設されます。これにより、屋外における省エネ改修などの円滑化が図られ、建築物の環境性能向上の促進が期待されるでしょう。

建築物の構造上やむを得ない場合における建蔽率・容積率に係る特例許可の拡充

現状の建築基準法では、外壁の断熱改修や日射遮蔽のために庇(ひさし)を設置する際、建築物の床面積や建築面積が増加して容積率や建蔽率の制限に抵触することにより、改修が困難になる場合があります。

この課題に対応するため、屋外に面する部分の工事により容積率や建蔽率制限を超えることが構造上やむを得ない建築物に対する特例許可制度が創設されます。これにより、外壁の断熱改修や日射遮蔽のための庇の設置などの改修が円滑化され、既存建築物の省エネ化の促進につながるでしょう。

ポイント6 既存建築ストックの長寿命化に向けた規定の合理化

上述したように、既存建築ストックが多い日本では、建築物の老朽化による安全性や機能の低下が懸念されています。しかし、建築物の解体や新築には、多大な費用と時間がかかり、環境負荷も大きくなってしまいます。

既存建築ストックの長寿命化を促進し、持続可能なまちづくりを進めるには、既存建築物に対する規定を合理化することが必要です。

今回の建築基準法改正では、次の3つの柱を中心に、既存建築ストックの長寿命化に向けた規定の合理化を推進しています。

・安全性の確保
・利便性の向上
・景観の保全

住宅の採光規定の見直し

窓の採光のイメージ

現状では、住宅の居室に必要な採光面積は、床面積の1/7以上と規定されています。なお、事務所やホテル等の場合には、この採光規定は適用されません。

近年は、コロナ禍による業務形態の変化に伴って、事務所やホテルから住宅に用途変更するニーズが高まっています。その際に、採光規定が障壁となることが課題となっていました。

今回の改正では、住宅の居室における採光面積を原則1/7以上としつつ、一定条件下では1/10以上まで緩和することが可能になります。具体的な条件は、本稿の執筆時点では検討が進められている状況ですが、これにより既存建築ストックの活用促進と省エネ対策の推進が期待されています。

一団地の総合的設計制度等の対象行為の拡充

現行の一団地の総合的設計制度・連担建築物設計制度は、建築(新築、増築、改築、移転)のみを対象としており、大規模な修繕や模様替えは対象外でした。

改正後は、大規模な修繕・模様替えも対象行為に追加されます。これにより、無接道敷地を含む一団の土地において、既存建築物の修繕等による省エネ性能向上が可能となり、より柔軟な既存ストックの活用が促進されると期待されます。

既存不適格建築物における増築時等における現行基準の遡及適用の合理化

現状では、既存不適格建築物の増改築や大規模な修繕・模様替えの際、建築物全体を原則として現行基準に適合させる必要がありました。これを「遡及適用」といいます。遡及適用は所有者等にとっては、時間や費用の面での負担の大きさが課題です。

今回の建築基準法改正では、安全性確保等を前提とした上で、防火・避難規定や集団規定(接道義務・道路内建築制限)の遡及適用を合理化します。例えば、建築物の長寿命化・省エネ化等に伴う一定の改修工事を遡及適用対象外とします。

これにより、既存建築物の長寿命化や省エネ化が促進されることに期待が集まるでしょう。

木材利用促進に応える「DNP内・外装焼付印刷アルミパネル アートテック®」

2025年の建築基準法の改正では、木材利用を促進する動きが見られることがわかりました。

しかし、耐候性やデザイン面における課題から、木材を利用できないケースもあります。木材で対応しづらい場面では、デザインの自由度が高く、環境配慮性に優れた内外装用アルミパネル「アートテック」が注目されています。

高い印刷技術によって建築設計の幅が広がる

アートテックは、高度な印刷技術によって、木材、石材、金属など、さまざまな素材の質感や色合いを忠実に再現できます。アートテックを用いれば、耐火・防火が必要な部分でも「木材の温かみを表現したい」という要求を満たせるでしょう。

建築基準法の改正により木材の利用が促進される一方で、アートテックをはじめとする新たな素材も登場しています。これにより、今後の建築設計の幅は、ますます広がっていくと期待できるでしょう。

関連ページ:製品の特長 デザインカスタマイズ性 外壁・外装建材のアートテック

高い環境配慮性

アートテックは、地球環境への負荷を最小限に抑えながら美しい空間を創出する、サステナブルな建材です。その特長は、主要素材であるアルミニウムのリサイクル性の高さによりもたらされたものです。何回もリサイクルできるため、廃棄時の環境負荷を軽減できます。

昨今、建築業界では環境問題への関心が高まり、サステナブル社会の実現に向けた取組みが加速しています。建築物そのもののエネルギー消費や廃棄物排出が環境に大きな負荷をかけているという認識が広がるにつれて、省エネルギー性能の高い建材や再生可能エネルギーの利用が求められるようになりました。

このような環境配慮の観点からも、アートテックの活躍が期待できるでしょう。

関連ページ:製品の特長 サステナブルな建材 外壁・外装建材のアートテック

耐候性も安心

アートテックは、耐候性にも優れており、長期にわたって美しい外観を維持できます。この特長は、特に外壁といった厳しい自然環境にさらされる部位への利用時に活かされるでしょう。建物の寿命が延びることでメンテナンスコストを大幅に削減できるだけでなく、従来の外壁材に比べて塗装の剥がれや腐食などのトラブルが少ないため、建物の美観を長期間保つことが可能です。

関連ページ:製品の特長 高耐候性と高メンテナンス性 外壁・外装建材のアートテック

本物の木材と耐候性のある外壁材を利用した高輪ゲートウェイ駅の建築実例

木材を用いて和のエッセンスを創出した高輪ゲートウェイ駅

建築基準法は、デザインや使い勝手だけでなく、地球環境への負荷軽減も重要な課題としています。それに応える事例として、革新的な建築技術とサステナブルな建材の融合を実現した高輪ゲートウェイ駅 を紹介します。

高輪ゲートウェイ駅は、隈研吾氏のデザイン監修のもと、2020年3月に開業しました。従来の駅舎とは一線を画す、温かみのある空間で注目を集めています。

高輪ゲートウェイ駅の駅舎は、一見すると、木材が多用されているように見えるでしょう。しかし、実際は、本物の木材と木目調の印刷パネル「DNP内・外装焼付印刷アルミパネル アートテック®」を巧みに組み合わせています。

駅舎の外壁や軒天には、耐候性に優れたアートテックが使用され、工業的なイメージの強い駅舎に自然な風合いを与えています。また、特筆すべきは、日本の伝統的技法「大和張り」を模した凹凸のあるデザインです。ホームやコンコース、改札など、さまざまな場所に適用され、和のエッセンスを感じさせる空間を創出しています。

この取組みは、サステナビリティの観点からも注目されています。隈氏は、これからは数値的な環境性能だけでなく、直感的にサステナブルと感じさせる材料の使い方が重要になっていくと指摘しています。

高輪ゲートウェイ駅は、本物の木材とアートテックを巧みに組み合わせることで、耐久性と環境配慮、そして日本らしさを兼ね備えた新しい駅舎のあり方を提示しているといえるでしょう。

本コラムは、壁材・床材など住空間向け製品を扱っているDNP生活空間事業部が編集しています。以下のバナーよりDNP製品・採用事例等をご覧いただけます。

まとめ

2025年までにすべての制度が施行される改正建築基準法は、建築物の省エネ化と、建築物における木材利用の促進をめざしたものです。カーボンニュートラルの実現を後押しするために公布されました。

ただし、建築物は機能面だけでなく、デザインや風合いなど感覚に訴える部分も重要な要素です。木材利用を促進しながらも、意匠性と持続性を持つ木材に代わる素材も組み合わせることで、ライフサイクル全体を通じた環境性能とデザインを両立できます。

アートテックは高い耐候性とデザイン性で、デザインとサステナビリティを両立しうる部材です。自由なデザインを実現し、建築の可能性を広げるアートテックを採用してみてはいかがでしょうか。

【参考】出典元
改正建築基準法について 国土交通省(PDFが開きます)
2025年4月(予定)から4号特例が変わります 国土交通省(PDFが開きます)

本コラムは、壁材・床材など住空間向け製品を扱っているDNP生活空間事業部が編集しています。以下のバナーよりDNP製品・採用事例等をご覧いただけます。

  • *2024年7月現在の情報です。
    *アートテックは、DNP大日本印刷の登録商標です。

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