バルコニーの可能性を広げるアートテック
-マンションの外壁アルミパネル建築事例

マンションやアパートなど集合住宅を建築する際に

・他の住宅と差別化を図りたい
・見た人が「住みたい」と思えるおしゃれな印象にしたい
・街のランドスケープとなるような個性を出したい

と考える設計者や事業主も多いのではないでしょうか。

バルコニーは、集合住宅の外観の印象を左右するだけでなく、街の景観にも影響を与えやすい部分です。

今回はバルコニーをテーマに、使用される主な部材と役割、施工事例について解説します。バルコニーの新たな可能性を引き出した事例や、バルコニーに最適な素材である「DNP内・外装焼付印刷アルミパネル アートテック®」についても紹介します。ぜひ集合住宅のデザインをする際の参考にしてみてください。

本コラムは、壁材・床材など住空間向け製品を扱っているDNP生活空間事業部が編集しています。以下のバナーよりDNP製品・採用事例等をご覧いただけます。

バルコニーや外観デザインのアクセントなどに使われる主な部材

まずバルコニーや建物の外観デザインにアクセントとして使用されるパネルにはどのような建築部材が使われているのか紹介します。バルコニーに使われる主な部材は、次の6つです。

・笠木
・軒天
・床
・手すり
・隔て板
・外壁パネル

それぞれの特徴と役割を見ていきましょう。

笠木

笠木のイメージ

笠木(かさぎ)は、塀や手すりなどの最上部に設置されている建築部材です。バルコニーにおいて笠木は腰壁の上部に設置されます。

笠木の主な役割は、次の2つです。

・壁内部への雨水の侵入を防ぐ
・デザイン性を高める

バルコニーは雨風にさらされやすく、雨水が壁の内部に入り込むと、建物の腐食や雨漏りを引き起こす危険性があります。そのため、笠木を用いて雨水の侵入を防ぎます。

笠木は、その素材や色によって、建物全体の印象を変えることも可能です。例えば、白色の建物に白い笠木を合わせれば、建物のデザインに統一感を持たせられます。反対に、ダークカラーの笠木を合わせれば、メリハリのあるデザインに仕上げられるでしょう。

笠木に使用される主な素材は、下表のとおりです。

素材 特徴
屋内で使われることが多い。
自然の風合いを活かし、温かみのある雰囲気を持たせられる。
定期的なメンテナンスが必要。
金属 アルミ、ガルバリウム鋼板、ステンレスなどがある。
シンプルでモダンな印象を演出できる。
耐久性に優れる。
セメント系 セメント、モルタル(セメントに水と砂を混ぜたもの)、コンクリート(セメントに水と砂と砂利を混ぜたもの)がある。

軒天

軒天のイメージ

軒天(のきてん)とは、屋根の一部が建物から外側に突き出た「軒」の裏面のことです。バルコニーの場合、下から見上げた際に見える天井部分を指します。

軒天の役割は、次の3つです。

・建物の劣化を防ぐ
・建物の延焼を防ぐ
・デザイン性を高める

建物は、日差しや雨風にさらされることで次第に劣化していき、外壁に色あせやひび割れなどが発生します。軒天は、外壁に当たる直射日光や雨風を遮ることで、建物の劣化を防ぎます。

また、軒天に不燃材料を使用することで、火災時に建物の延焼を防ぐことが可能です。

軒天は、形状や素材によって、建物の雰囲気にも大きく関わります。例えば、木目調のもので温かみを演出する、鮮やかな色を用いて外観のアクセントにするといった使い方ができます。

軒天の主な素材は、次のとおりです。

素材 特徴
安価に使用できる。
耐久性、防火性が低いため、近年では軒天への使用は減少している。
ケイ酸カルシウム板 ケイカル板と呼ばれる。
豊富なデザインで防火性に優れる。
スラグ石膏板 エクセルボードとも呼ばれる。
法定不燃材に認定されている。
金属 軽量で耐久性に優れる。
近年ではガルバリウム鋼板の使用が増えている。

バルコニーの床のイメージ

バルコニーの床は、外部からは目につきにくい部分ですが、居住者の生活に大きく影響します。床に使われる素材には、次のようなものがあります。

素材 特徴
自然な風合いで温かみを演出できる。
腐食やシロアリ対策、定期的なメンテナンスが必要。
タイル デザインが豊富で耐久性に優れる。
重量があるため施工できる場所が限られる。
樹脂 木の風合いを再現した人工木がよく用いられる。
天然木よりも耐久性に優れる。
金属 木の床材より安価。
メンテナンスしやすく耐久性が高い。

手すり

手すりのイメージ

手すりは外部から目に付きやすく、建物の外観の印象を大きく左右する部分です。手すりには、主に次のようなタイプがあります。

素材 特徴
腰壁 コンクリートでできた腰壁タイプ。
外からの視線を遮り、プライバシーを確保しやすい。
パネル ガラスのパネルタイプ。
透明と半透明のものがあり、日差しが入りやすく明るい印象になる。
格子/スリット 樹脂や金属でできた格子やスリットタイプ。
風通しがよく、日差しも入りやすい。

さらに詳しく手すりのことを知りたい方は、こちらの記事も参照してみてください。

隔て板

隔て板のイメージ

隔て板とは、マンションやアパートなどのバルコニーにおいて、隣の部屋との境目にある板のことです。隣人同士のプライバシーを守るパーティションの役割を持っています。

隔て板は消防庁告示第三号第三の四 において設置基準が定められています。非常時にバルコニーが避難経路として使用する場合は、避難経路を即座に確保できるように設置基準を守らなければなりません。

また、隔て板のサイズは各自治体によって基準が異なるため、設置の際には自治体の基準を確認するようにしましょう。

さらに詳しく隔て板のことを知りたい方は、こちらの記事も参照してみてください。

外壁パネル

外壁パネルのイメージ

外壁パネルは、マンションやアパートなどの単調になりがちな建物の外壁に彩りを添え、個性を演出する役割を持ちます。デザインや質感、色合いのバリエーションが豊富で、建物の雰囲気を一変させたり見る人に強い印象を与えたりすることも可能です。例えば、建物のメインカラーと異なるアクセントカラーを一部に取り入れることで、視線を誘導し、建物の特徴を際立たせます。

近年では、光沢感や立体感のあるパネルや、複数の色や質感を組み合わせたパネルなど、より独創的なデザインが続々と登場しています。

本コラムは、壁材・床材など住空間向け製品を扱っているDNP生活空間事業部が編集しています。以下のバナーよりDNP製品・採用事例等をご覧いただけます。

アートテックはバルコニーにも最適

建物の印象を左右しやすいバルコニーには、建物のコンセプトに合わせてオーダーメイドできるアートテックが最適です。アートテックは、基材であるアルミの表面にフッ素塗料を焼付印刷しており、意匠性や機能性など、幾つもの優れた特徴を有しています。

自由度の高いカスタマイズ

アートテックは自由度の高いカスタマイズが特徴です。

・色柄
・表面仕上げ

の組合わせで、多様なデザインを表現できます。木目調やメタル調、石目調などさまざまな柄があり、建物のコンセプトに沿った特注の柄の製作や、同じ柄の複数色展開も可能です。

関連ページ:製品の特長 デザインカスタマイズ性 外壁・外装建材のアートテック

豊富な仕上げと多彩な質感

アートテックは、DNPの持つ高い印刷技術により、豊富な表面仕上げと多彩な質感の表現ができます。建築コンセプトに合わせた新質感のデザイン作成も可能です。

アートテックの質感には

・基材であるアルミを活かしたもの
・自然素材を再現したもの

などがあり、

・金属感を演出するフラット仕上げ
・マットで高級感を演出するサテン仕上げ
・自然素材の繊維や凹凸を再現するグロスマット仕上げ

といった表面仕上げを組み合わせることで、今までにない質感を持ったデザインで建物にオリジナルの表情を与えられます。

関連ページ:製品の特長 表面仕上げ・質感表現 外壁・外装建材のアートテック

さまざまな形状が作れる加工性

軽量で加工性に優れたアルミを使用している点もアートテックの特徴です。建築のコンセプトに合わせ

・ルーバー
・R加工
・曲げ加工
・パンチング
・ハニカム

など、さまざまな形状に加工できます。

アルミに直接印刷を施すため、加工しても色や模様が途切れず、折り目にもしっかりとデザインが表現されます。パンチングの形状は、丸や三角形など、建築のコンセプトに合わせて変更可能です。

関連ページ:製品の特長 加工性 外壁・外装建材のアートテック

優れた耐候性と高いメンテナンス性

アートテックは3コート3ベイク製法で、フッ素塗料をアルミに直接印刷・焼き付けることにより、優れた耐候性と高いメンテナンス性を実現しました。

また、アートテックは、防火材料として不燃認定番号を取得しています。促進耐候性試験では1万時間以上でも「著しい変退色無し」という結果が出ており、屋外で20年以上の使用実績もあります。

色落ちや変色がしづらいため、アートテックを使用することで塗り替えや張り替えなどのメンテナンス費用を削減可能です。

関連ページ:製品の特長 高耐候性と高メンテナンス性 外壁・外装建材のアートテック

高い環境配慮性

近年は、建築業界においても環境への配慮が求められており、省エネルギー性能の高い建材や設備の開発、自然エネルギーの利用、廃棄物削減など、さまざまな取組みが進められています。

アートテックの主要素材であるアルミは、リサイクルが容易な素材で再利用率が高いため、廃棄物として処分する場合でも環境への影響を最小限に抑えられます。アートテックは、資源を循環させて環境負荷を低減しながら、持続可能な社会の実現に貢献するサステナブルな建材といえるでしょう。

関連ページ:製品の特長 サステナブルな建材 外壁・外装建材のアートテック

施工事例1 グランリビオ浜田山

グランリビオ浜田山の外観

ここからは、アートテックが実際に使用されている建物を紹介していきます。最初に取り上げるグランリビオ浜田山 は、鉄筋コンクリート造地上3階地下1階建の分譲マンションです。

使用部位とポイント

グランリビオ浜田山では、バルコニーのマリオンと軒天にアートテックが使用されています。木目柄にデザインされたアートテックを用いることで、周囲の自然と調和した上質な空間を演出しています。

グランリビオ浜田山ではマリオンと軒天にアートテックを使用

デザインと技術

アートテックはアルミ板に直接印刷されており、曲げ加工をしてもデザインの色柄を鮮明に表現できます。グランリビオ浜田山で採用されている木目調の柄も、無機質で人工的な仕上がりではなく、温かい色調が天然木のような雰囲気を醸し出しています。まさに緑地や公園が隣接する立地に調和した外観といえるでしょう。

施工事例2 川崎Treem

Treemの外観

続いて紹介するのは神奈川県川崎市にある川崎Treem です。2023年に完成した、川崎駅から徒歩7分の市街地にある全90戸のRC造マンションです。

使用部位とポイント

川崎Treemでは、バルコニーの隔て板にアートテックを使用しています。バルコニーのフェンスに調和した隔て板は、まとまりと温かみを感じられる外観に貢献しています。

また、耐候性に優れたアートテックは、メンテナンスの手間がかからず、定期的な塗装の必要もありません。低コストで長期に渡って美しい外観を維持できます。

川崎Treemの木目調バルコニー隔て板

デザインと技術

木目が美しいスモークオンホワイトコントラスト柄が、使い込まれたアンティークの風合いを演出しています。光が当たる角度によって表情が変化することで、奥行きのある立体感も感じられます。まさにアートテックに施される印刷・加工技術が光る事例といえるでしょう。

施工事例3 ウィルローズ北浦和

ウィルローズ北浦和の外観

次に取り上げるのは、さいたま市浦和区にある地上5階建て総戸数28戸のウィルローズ北浦和 です。

使用部位とポイント

ウィルローズ北浦和では、アートテックがバルコニーのパネル部分に使用されています。ガラスパネルとアートテックがランダムに配置された外観は、遠くからでも目を引きます。

内側から見たアートテックの様子

デザインと技術

木目柄でマットな表面仕上げを施したカットパネルタイプのアートテックは、一見すると天然木かと思うほどリアルな柄・質感を感じられるでしょう。アートテックが敷地内の植え込みの緑と調和することで、建物と敷地に一体感が生まれています。

また、ガラスパネルと木目柄のアートテックを組み合わせることで、洗練された雰囲気のなかに温かみも感じられるデザインに落とし込んでいます。

施工事例4 maruei6・maruei7

maruei7の外観

最後の事例はmaruei6・maruei7 です。神奈川県川崎市の登戸駅が最寄りで、多摩川と生田緑地の間に挟まれた自然と再開発エリアが融合した立地となっています。

使用部位とポイント

アートテックは、天然木に合わせたファザード部分に使用されています。maruei6とmaruei7のアートテックは、多摩川方面から生田緑地方面に向け、「高輝アルミ」から「杉板」へと移り変わっていくグラデーション仕様となっています。立地の特性を活かした作品といえるでしょう。

デザインと技術

本物の杉の突板(つきいた)を使用した隔て板は、単なる空間の仕切りを超え、自然の温もりと生命力を肌で感じさせてくれます。また、アートテック部分は、高耐久のアルミ素材でありながら、杉本来の風合いを十分に演出しています。斬新な発想と素材本来の特性を活かす技術が見事に融合した、新しいデザインです。

応用事例1 U:up四ツ谷

U:up四ツ谷の外観

バルコニーだけでなく、外観のアクセントとしてアートテックを活用した応用事例も紹介します。

新宿区四谷にあるU:up四ツ谷 は、アートテックを外壁パネルとして使用しています。丸ノ内線四谷三丁目駅より徒歩5分、多くのビルが立ち並ぶ新宿通りに面した場所にある、地上12階建ての賃貸マンションです。

隈研吾氏がデザインを監修したこの建物は、木目を活かした特徴的な外観で、都会の風景のなかでひと際目を引く存在となっています。

使用部位とポイント

ランダムに配置したパネル部分にアートテックを採用

U:up四ツ谷でアートテックが使用されているのは、外観にランダムに配置されたパネル部分です。外観のデザイン性を高めるだけでなく、木漏れ日の効果により、穏やかな室内環境を生み出すことにも貢献しています。自然な雰囲気を持った木目柄を用いることで、コンクリートや鉄筋でできたビルにはない温かみを演出し、建物を見た人に安らぎを与える効果もあります。

デザインと技術

U:up四ツ谷では、曲げ加工を施した木目柄のアートテックが使用されています。

アートテックはアルミに直接印刷・焼付けを施すため、曲げ加工をしても色や柄が途切れることはありません。どの角度からパネルを見ても木目が途切れることはなく、まるで天然木を使用しているかのような高い再現性を持つことがわかります。

応用事例2 UR洋光台団地

UR洋光台団地の外観

最後に紹介するのは、アートテックが室外機の目隠しのアクセントとして使用されているUR洋光台団地 です。建物の老朽化や少子高齢化の影響で失われた活況を取り戻すために、エリア自体のリニューアルに合わせて団地のリノベーションも行われました。

使用部位とポイント

室外機の目隠しとしてアートテックを採用

UR洋光台団地では、外壁に露出した室外機の目隠し部分にアートテックが使用されています。バルコニーを下から見上げた際の生活感をなくし、建物に統一感を持たせました。また、3色の木目柄アートテックを使用することで、白一色だった外壁に豊かな表情を与えています。

デザインと技術

UR洋光台団地では、木目柄のアートテックにパンチング加工を施しています。木目柄でマットな質感によって木の温かみや安らぎ感を演出しつつ、パンチング加工でデザインに遊び心を加えています。

まとめ

バルコニーは、笠木、軒天、床、手すり、隔て板、外壁パネルといった部材で構成されています。バルコニーに使用される部材は、建物の外観の印象を左右するだけでなく、住人のプライバシーを守ったり建物の劣化を防いだりする役割を持っているため、目的に合わせて素材を選択する必要があります。

アートテックは、高い耐候性とデザイン性を兼ね備え、発想次第でバルコニーのさまざまな部材への応用が可能です。自由なデザインを実現し、建築の可能性を広げるアートテックを採用してみてはいかがでしょうか。

アートテックについてより詳しく知りたい方は、資料請求・ダウンロードページ より施工事例集などをご覧いただけます。

本コラムは、壁材・床材など住空間向け製品を扱っているDNP生活空間事業部が編集しています。以下のバナーよりDNP製品・採用事例等をご覧いただけます。

  • *2024年5月現在の情報です。
    *アートテックは、DNP大日本印刷の登録商標です。

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