隔て板がマンションの個性を活かす
-施工事例と役割を解説
マンションやアパートなどの共同住宅を建築する際に
・隔て板の設置にはどのような決まりや基準があるのか
・隔て板にはどのような種類があるのか
・建物の雰囲気に合った隔て板はあるか
と考える人も多いのではないでしょうか。
共同住宅に設置されている隔て板(へだていた)は、プライバシー保護や緊急時の避難経路を確保するなど、非常に重要な役割を果たしています。一方で、隔て板が議論の中心になる機会は少ないかもしれません。
今回は、マンションの印象を左右する要素でもある隔て板をテーマに、その役割や施工事例について解説します。おすすめのアルミ製隔て板の特徴も紹介していきますので、ぜひ隔て板採用の参考にしてみてください。
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隔て板はプライバシー保護や区画境界だけでなく、避難経路を確保する役割も持つ
マンションやアパートのバルコニーに設置されている隔て板は、平常時は隣の部屋との空間を仕切るパーティションとして機能し、隣人同士の生活が見えないようにしてプライバシーを守っています。また、非常時にはバルコニーが避難経路として機能するように、破りやすくなっている点が特徴です。
隔て板の分類・素材
隔て板には、主に次の3種類があります。使われている素材と特徴を表にしました。
分類 | 素材 | 特徴 |
---|---|---|
ケイカル板 | ケイ酸カルシウム | 強度はフレキシブル板に劣るが軽い。 低層マンションやアパートに用いられることが多い。 |
フレキシブル板 | セメント | 強度が高く重さがある。 高層マンションに用いられることが多い。 |
アルミ板(アートテック) | アルミ | 密度あたりの強度が高い。 耐候性に優れており軽い。 低層から高層マンションまで幅広く利用できる。 |
隔て板の設置基準
隔て板の設置基準は、消防庁告示第三号第三の四
で「隣接するバルコニー等が隔板等によって隔てられている場合にあっては、当該隔板等が容易に開放し、除去し、又は破壊することができ、かつ、当該隔板等に次に掲げる事項が表示されていること。」と定められています。
告示文中の「次に掲げる事項」とは具体的に次のとおりです。
・非常時にバルコニーやベランダが避難経路として使用されること
・隔て板を除去や破壊、解放する方法
・隔て板のそばに避難上支障となる物の配置を禁止すること
つまり、隔て板は次の条件を満たす必要があります。
・避難経路の確保が容易にできる
・バルコニーやベランダが非常時に避難経路として使われることがわかる
・いつでも避難経路が即座に確保できる
また、隔て板のサイズは、各自治体で基準が定められています。建造物が位置する自治体の基準に沿うようにしましょう。
一方で、バルコニー等に金属製避難はしごや救命袋等の避難器具が設けられており、避難階まで避難できる場合には、上記の限りではありません。なお、避難階の直上階・直下階の居室等で、屋外への出口に至る歩行距離が20m以下のものについては避難経路の対象外とされるため、バルコニーが避難経路とならない場合もあります。
参考例:福岡市
、大分市
、川口市
アルミ製隔て板のアートテックの特徴
「DNP内・外装焼付印刷アルミパネル アートテック」は、DNPが提供するアルミパネル内外装材料です。アートテックのアルミ製隔て板は、他素材と比べ、耐候性・意匠性に優れています。
また、頑丈な隔て板だけでなく、蹴破りできる隔て板も提案可能です。外観デザインや用途に合わせてカスタマイズできるのも、アートテックの魅力です。
耐候性
アルミは、軽量で不燃性に優れた素材です。アートテックはアルミの表面にフッ素焼付印刷
を施しているため、アルミの特徴と雨風や日差しへの高い耐久性を合わせ持っています。
耐候性に優れるため、強風が心配な高層マンションのバルコニーやベランダの隔て板としても利用できます。
意匠性
アートテックはDNP独自の印刷・塗装技術により、建物のコンセプトに合わせて質感やデザイン、カラーをオーダーメイドできます。
・タイル調
・大理石調
・テラコッタ調
・コールテン鋼調
・木目調
など、金属でありながら、質感・デザインのバリエーションが豊富に用意されています。また、建築用途に合わせた、さまざまな形状への加工も可能です。
アートテックは高い意匠性によって、建物全体の印象の統一を可能にしました。「建物は高級感があるのに、隔て板でチープな印象を与えてしまう」「外観を見たときに、隔て板だけ悪目立ちしてしまう」といった課題も回避できるでしょう。
施工事例1 木目調のバルコニー隔て板が個性と高級感を演出する川崎Treem
ここからは、アートテックの木目調バルコニー隔て板の2つの施工事例を紹介します。まずは川崎Treem です。ぜひイメージの参考にしてみてください。
外観印象
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木目調の隔て板にすることで、建物全体の雰囲気と調和がとれているのがわかります。隔て板が悪目立ちすることなく、高級感の漂う外観になっています。
ディテール印象
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施工と加工
隔て板は、金属であることを感じさせない美しい木目調です。バルコニーのフェンスの色と合っていて、雰囲気にまとまりと高級感があります。ケイカル板やフレキシブル板とは異なる豊かな表情を演出し、金属特有の冷たい印象はなく、まるで木のような温かみや落ち着いた印象を与えています。
また、シートで意匠仕上げした隔て板は張替えメンテナンスが必要ですが、アートテックはメンテナンスを必要としません。アートテックは耐候性があり経年変化も少ないので、建物の景観を損ねず、資産価値を高めてくれます。長期的な観点から見ても、コストパフォーマンスが高い建材といえます。
施工事例2 水面の揺らめきと木の温もりを感じる隔て板へとリデザイン「maruei6・maruei7」
次は、川崎市の登戸駅前、多摩川と生田緑地の間の再開発エリアにある「maruei6・maruei7 」を見ていきましょう。maruei6・maruei7は、「高輝アルミ」と本物の木材「杉板」と杉板の意匠に合わせた「アートテック」の隔て板を使用しています。
外観印象
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maruei6・maruei7は、隔て板をリデザインすることで、新しい街の景観を創出するプロジェクトです。多摩川から生田緑地に向け、「高輝アルミ」から「杉板」へと移り変わっていくグラデーション仕様となっており、隔て板の意匠性が活きた作品となっています。
ディテール印象
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本物の杉板を使用しているため、木の素材本来の手触り残したまま耐久性のある隔て板となっています。これまでの発想になかった隔て板と景観を調和させた新しいデザインです。今後は、外壁や屋根だけでなく、隔て板にも意匠性が求められる時代かもしれません。
まとめ|マンションに付加価値を付けるアートテックの隔て板
今回ご紹介したように、隔て板には、主に以下の3種類があります。
・ケイ酸カルシウム(ケイカル板)
・セメント(フレキシブル板)
・アルミ(アートテック)
それぞれ特徴が異なるため、用途に合わせた素材選びが大切です。
アートテックのアルミ製隔て板は、アルミの特性を活かしつつ、DNP独自の印刷・塗装加工技術による高い意匠性と優れた耐候性を実現しています。豊富な質感・デザインから、建物のコンセプトに合わせてオーダーメイドでき、マンションに付加価値をつけることもできます。マンションの個性を活かすために、アートテックのアルミ製隔て板の採用を検討してみてはいかがでしょうか。
アートテックに関してより詳しく知りたい方はアートテックのWebサイト
をご覧ください。
【参考】出典元
隔板はどんな役割があるの?交換方法や素材選びのポイントも解説 白水興産株式会社
よくあるご質問への回答 DNP(大日本印刷)生活空間事業部
事業紹介 株式会社DNPエリオ
建築作品集 Treem Rental housing 外壁・外装建材のアートテック
建築作品集 maruei6・maruei7 外壁・外装建材のアートテック
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*2024年2月現在の情報です。
*アートテックは、DNP大日本印刷の登録商標です。