二次創作で拡がるアート市場に向けて-ブロックチェーンで証明するイメージアーカイブ・ラボ®の取り組みとは

近年注目されている美術作品のデジタルアーカイブ。こんなことにお悩みではないでしょうか。

・取り扱う美術作品や重要文化財などをもっと広く知ってもらいたい
・アーカイブされた画像を活用したい
・美術館、博物館の来館者施策につなげたい

経済産業省が19年度にまとめた調査*1では、日本国内のn次創作市場は1兆2,000億円とも試算されています。
一方で、個人クリエイターが「n次創作」を公開・販売する際の権利許諾が障害となっており、その機会損失による潜在市場は1兆4,000億円と推定されています。

DNPは、これらの課題を解決するため、アート画像のライセンス処理を簡便化、安全・安心なライセンス発行と管理により、アーカイブの利活用を促進する「イメージアーカイブ・ラボ」の実証実験を2021年12月に開始しました。

本コラムでは、「イメージアーカイブ・ラボ」を活用した新しい販路、顧客市場の開拓に向けた施策をご紹介します。

目次

「イメージアーカイブ・ラボ」とは

「イメージアーカイブ・ラボ」は安全・安心な権利処理を通じて、アートの利活用を促進する取り組みです。

DNPグループではImage Archives(R)という国内最大級のアートと歴史資料の専門フォトエージェンシーを20年以上運営しており、国内外の美術館・博物館の所蔵するアート画像を取り扱っています。この既存サービスを発展させ、コンテンツ領域やユーザーを拡張していくことを出発点として、「イメージアーカイブ・ラボ」のプロジェクトが立ち上がりました。

ここでは絵画や文化財をはじめ、マンガやアニメなどのポップカルチャーと呼ばれるようなコンテンツも含め「アート」と表記します。ブロックチェーン技術を活用し、個人クリエイター等に対してアート画像の二次創作を許諾することで、アーカイブされた画像の利活用を新たな形で促進させる試みです。

「イメージアーカイブ・ラボ」ご利用の流れ

イメージアーカイブ・ラボ利用イメージ

「イメージアーカイブ・ラボ」の画像ライセンス証明書利用イメージ

1. 権利元様と「イメージアーカイブ・ラボ」との間で、アート画像の貸出における条件や価格を決め、登録します。

2. アートの権利元様から許諾いただいた画像は、「イメージアーカイブ・ラボ」を通じて、ブロックチェーン証明書とともに、ハンドメイド作家をはじめとする個人クリエイターに提供されます。

3. 個人クリエイターの方には証明書発行の際に、権利元様が設定する利用規約や注意事項に同意のうえ、ルールを守って二次創作作品の販売をしていただきます。販売時に証明書を提示することで、第三者も正式な許諾を確認できます。

4. アート画像をもとに制作された作品が販売サイトや実店舗で広く販売されることで、その作品の購入や閲覧を通じてアート作品への興味関心を引き出し、新たな顧客層との接点を生み出します。

2022年5月に実施した実証実験について

概要

2022年5月26日(木)~2022年8月31日(木)の間、アート画像をGMOペパボが運営する国内最大*2のハンドメイドマーケット「minne(ミンネ) byGMOペパボ」(https://minne.com/ )の作家・ブランドを対象に、二次創作に利用することを許諾するライセンスを販売しました。

今回権利許諾を行なったのは、フランス国立美術館連合(RMN-Grand Palais)*3が管理し、DNPグループである株式会社DNPアートコミュニケーションズが提供するダ・ヴィンチの「モナ・リザ(ラ・ジョコンダ)」やゴッホの「星降る夜、アルル」等の画像データです。

作家・ブランドは、「二次創作」したハンドメイド作品を「minne byGMOペパボ」で販売することができ、出品する際に、エイベックスが提供するデジタル証明書サービス「A trust (エートラスト)」を利用して、ブロックチェーン技術を使った証明書にリンクすることで、正規に画像の利用許諾を受けていることを証明できます。

実際に制作されたハンドメイド作品

実際に制作されたハンドメイド作品

左:ゴッホの「星降る夜、アルル」をもとにHELI ヘリクリサムさんが制作した作品
中: クロード・モネの「睡蓮(第一室、朝)」をもとにpu・pu・puさんが制作した作品
右: レオナルド・ダ・ヴィンチ「モナ・リザ」をもとにharapecoraさんが制作した作品

実証実験に参加された作家・ブランドの方の声(一部抜粋)

今後について

多様なクリエイターによる「n次創作物」が世界的に広がっています。DNPは「イメージアーカイブ・ラボ」の取り組みを通じて、多くのみなさまがアートをより身近に感じて創作活動を活発に行うことを支援します。また、適切なライセンス処理がなされることで創作作品を安全・安心に販売できるホワイトマーケットの醸成を図り、アート市場の活性化に寄与したいと考えています。

関連ニュースリリース

  • *1出典: 経済産業省の令和元年度知的財産権ワーキング・グループ等侵害対策強化事業n次創作活動に関する調査
  • *2ハンドメイド作品の販売を主軸とするハンドメイドマーケット運営会社2社の作家・ブランド数と作品数に関するIR資料公表数値及びサイト公表数値を比較。2022年5月末時点、GMOペパボ調べ。
  • *3フランス国立美術館連合 : ルーヴル美術館やオルセー美術館など30以上の美術館による、美術品の保存や美術館の運営支援を行う組織。

※イメージアーカイブは、DNP大日本印刷の登録商標です。
※イメージアーカイブ・ラボは、DNP大日本印刷の登録商標です。
※本コラムは、2022年10月時点の情報です。

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