【初心者向け】東南アジアでの主婦層・ママ層向けプロモーション基礎知識と事例
東南アジアにおいて、主婦層やママ層が使用する日用品や家庭での消耗品、子育てに便利な商品、衛生用品、食品やお菓子などの販売を効率良く、効果的に行いたいと考えている方向けに、「主婦層・ママ層向けプロモーション」の基礎知識についてご理解いただくためのコラムです。
東南アジアでは、家庭内における商品の購買をほとんど女性が行っており、「家族のために最善の選択をしたい」という傾向があります。
プロモーションを成功に導くためには、彼女たちが十分に安心できる方法によって失敗への恐れを払拭しなければなりません。
この記事では、ママ層の購買に対する心理、購入行動の流れを通じて、SNSを利用して信頼感を築くプロモーションの基礎知識を解説し、さらに具体的な事例をあわせてご紹介します。
2023年5月公開
1.東南アジアのSNS事情
この章では、ママ層・主婦層の購買行動に大きな影響を与えるソーシャルメディアのなかでも、特にSNSにフォーカスし、利用時間やインスタグラマーの種類などを解説いたします。
1-1.東南アジアでのSNSの利用に関して
まずはSNSの利用時間について、東南アジアの人々がSNSに費やす時間はとても長いことが知られています。日本の平均利用時間51分という数値に比べて、フィリピン・インドネシア・マレーシアは3時間から4時間を費やしています。
1.フィリピン 4時間06分
2.インドネシア 3時間17分
3.マレーシア 3時間2分
4.タイ 2時間59分
5.シンガポール 2時間31分
6.ベトナム 2時間28分
【図:東南アジアにおける一日のうちに占めるSNSの利用時間】
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次に、SNSのなかでも人気なものや、その使われ方について解説いたします。
圧倒的な人気を誇るのはFacebookです。次いでInstagram、YouTubeが並び、Twitterに関しては日本やアメリカに比べて伸び悩んでいます。
また、チャットアプリの人気も高く、インスタントメッセージングアプリで最も使用されているのは「WhatsApp」です。カテゴリーがさまざまに分類されており、特に国家統一、ビジネスグループ、イスラムグループ、ゲーマーグループ、サッカーファン、ドラマの愛好家などのグループが注目を集めています。
参照:100+最も完全で最新のWhatsAppグループリンクリスト2022 |ストリートティクス (jalantikus.com)
※上記リンクは海外サイトへリンクします。
チャットアプリがいかに重きをおかれているかということがよくわかる事例として、インドネシアでは、チャットアプリの返信を待てる時間が他の国と比較しても特に短く、常に繋がって情報を得ていることがわかります。
チャットアプリでのコミュニケーションは密に取られ、インドネシアではとても重要なのです。
【表:LINE What's app などチャットアプリの返信を待てる時間 4ヵ国比較】
各国のSNSの最新動向は「東南アジアでの主婦層・ママ層向けマーケティングの基礎知識と事例」でも詳しくご覧になれます。
1-2.インスタグラマー・インフルエンサーに関して
インスタグラマー・インフルエンサーには階級があり、フォロワーの数やリーチ力などによって決まってきます。
【図:インフルエンサーの種類と特徴】
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このうちで、ママ層・主婦層に最も大きな影響を与えるのは「ナノインフルエンサー」です。リーチ力は小さいもののエンゲージメント率が高く、インスタグラマー、ユーチューバーなど、さまざまなSNSに存在しています。
特に、ママ層・主婦層にとっての購入決定の大きな後押しになっているのが、「ママインフルエンサー」です。
インフルエンサーのなかでも特に「ママ」に特化した存在で、家事や育児、子どもがいるママのファッションなどを紹介しており、ママ層・主婦層にとっては自分たちの代弁者でもあり、同じ「ママ」のなかでも指標にしたい人という印象を持っています。
また、ママインフルエンサーでなくても、有名なインフルエンサーの与える影響力は大きなものです。多くの人から支持を得ている人の言うことであれば、信憑性が高いと思う心理は少なからず働くでしょう。
2.東南アジアのプロモーション事例
この章では、実際に行われたプロモーションの事例をご紹介いたします。
2-1.TVコマーシャル(大塚製薬 ポカリスエット)
大塚製薬のポカリスエットは、現地の地域・文化に根ざした丁寧な販売活動とテレビCMによってプロモーションを成功に導きました。
インドネシアは圧倒的にイスラム教徒が多く、イスラム教にはラマダンと呼ばれる断食の期間があります。このラマダン明けに、甘いシロップや水を摂取していることを知って、ラマダンの時期限定のCMを放送することを始め、礼拝帰りの人にサンプルを配布するなどの活動を行いました。
おかげでポカリスエットはラマダンの時期の水分補給として需要が高まり、CMの効果もあいまって、売り切れさえ出るまでに。
また、他にも現地の学校へ販売員が出向かい、運動の後など、水分が失われているところでポカリスウェットの摂取が効果的であることを熱心に宣伝したり、AKB48の人気アイドルと、その姉妹グループにあたり、インドネシアで多くの人から人気を集めるJKT48メンバーとを起用したCMを放送したことも、インドネシア全土への浸透に大きく貢献しました。
2-2.人気急上昇中のバーチャルインフルエンサーの起用
タイではバーチャルインフルエンサーの人気が上昇しています。
アニメ風なVTuberに対し、より人間的でリアルなバーチャルインフルエンサーには、「コストが安い」、「スケジュールの制限がない」、「炎上の可能性が低い」、「ターゲットを作り込むことができる」など、さまざまなメリットがあるため、コカ・コーラなどの大企業も積極的に宣伝に取り入れ始めており、今まさに発展中の技術と言えるでしょう。
タイで人気のバーチャルインフルエンサーの代表格は、愛ちゃんです。
フォロワーは2.7万人と多くはありませんが常に話題の人物となっており、資生堂ともコラボを行いました。
2-3.SNSインフルエンサープロモーション
日常的にSNSがかなりの長時間利用されるインドネシアにおいて、SNSインフルエンサーの持つ影響力は多大なものです。
ブランドや企業ではSNSインフルエンサーを起用したさまざまなプロモーションが行われており、政府もその有効性を認識して、コロナウイルスのパンデミックを経たのちのインドネシアの観光促進のために、インフルエンサーサービスを利用したプロモーションに予算を使用しています。
例えばビューティー系インフルエンサーでは、TASHYA FARASYA(タシャ・ファラシャ)さんという人が、インドネシアを代表する有名人です。インスタグラムのフォロワー数は590万人、YouTubeは390万人という数を誇り、メイク、スキンケア、ファッション等のコンテンツを投稿しています。
https://youtu.be/hZEDMTnJfkw
TashyaさんがSNSで紹介し、使用した商品は元の値段が跳ね上がるようなこともあり、彼女の影響力の大きさが伺えます。
また、フォロワーとの関係性を高めるために「giveaway」という、無料で消費者に商品やサービスを提供するプロモーションも頻繁に行っており、高額な化粧品~プチプラな化粧品までさまざまな商品を紹介し、フォロワーにランダムに配布したり、特定の要件を満たした人に配布したりする、そのイベント性が大きな人気を呼んでいます。
2-4.Web広告(theAsianparent)
theAsianparent(TAP)は、インフルエンサープロモーション、Giveawayを、購買決定権を多く持つ主婦層・ママ層にターゲットを絞ってできるプロモーションです。
TAPは東南アジアの子育てママたちが見る情報サイトで、月間3,000万人ものユーザー数がいます。子育て中に欲しい情報が多く掲載されており、困ったらTAPで調べるという流れもできているほどです。
日本のあるトイレタリーメーカーは、このTAPにおいてプロモーションを成功させました。
手洗いの重要性や正しい洗い方を医師の監修のもとで紹介し、それはコロナウイルスのパンデミックによって敏感になっているママたちに対して効果的な訴えかけになりました。TAPのユーザーは首都圏在住・高学歴・高収入など、衛生その他への意識が高いママたちの割合も多く、いつでもサイト上で見返せる記事は定番となりそうな予感を見せています。
2-5.学校での施策
学校という場を使用した子供たちへの啓発は現在の社会への貢献だけでなく、将来の消費者を育てることにも繋がります。
事例として、インドネシアでの花王の取り組みがあります。
インドネシアにおいては、月経に関する人々の考え方がまだ後進的です。学校はおろか政府もその点について子どもたちに十分な教育をするために協力的ではなく、月経に関する正しい知識や、基盤となる衛生環境も十分に整ってはいません。
大手トイレタリーメーカーの花王は日本ユニセフ協会とパートナーシップを組み、2018年〜2020年の3年間に渡って、子供たちが月経衛生に関する正しい知識を持ち、健康的な生活を送れるよう、支援を行いました。
花王 | インドネシア月経衛生管理プロジェクト (kao.com)
製品を通じて、現地の月経に対する意識啓発~正しい情報を提供することで、社会課題を解決しつつ、その上で、自社製品を選んでもらえるように、選択肢を提供しているのです。
これは、製品の機能・価格だけでなく、提供する企業の社会貢献性やSDGsへの取り組みなども洗濯要素とするコンシャスコンシューマーへのブランディングであり、企業姿勢を訴えるための取り組みでもあるのです。
社会貢献を果たしつつ、ママ層への訴求、将来の消費者を育てることに繋がるのが学校での啓発施策と言えます。
東南アジアにおける主婦層・ママ層向けプロモーションお役立ち資料
東南アジアにおける主婦層・ママ層の購買行動をマクロ的にとらえ、アプローチしていくために何が必要か。東南アジアの生活者について調査データをもとに解説している資料です。ぜひ、ご活用ください。
【資料内目次】
1.東南アジアの家事分担・購買決定者について
2.東理想の女性像とマミーギルド
3.ママ層・主婦層の購買行動
4.ソーシャルメディアとインフルエンサーの推薦
5.親子の会話
関連サービス
東南アジアママ向けリーチ施策「theAsianparent」
theAsianparent(TAP)は、アジア12カ国を中心に月間3,000万人超のユーザーが利用しているWebサイトです。 我が子や家族に良いものを提供したい出産を控えたママ・子育て真っ最中のママが情報を求めて閲覧しています。 高学歴で首都圏在住、多忙で時間のない働くママが主なオーディエンスです。
東南アジア向け啓発的企業ブランディング「Asia kids’ Experience®」
CSR活動・SDGs推進を通じた「企業ブランディング」の新しい選択肢として注目されつつある「啓発的企業ブランディング」。子どもを通じて保護者、特にママのブランド好感度を高めることまで見据えています。日本国内の小学校17,700校、東南アジア6カ国・地域(インドネシア・タイ・ベトナム・台湾・マレーシア・インド)約3,600校にて実施可能です。
東南アジアの生活者へリーチ「WhatsAPPクラス」
インドネシア限定サービスであるWhatsAPPクラスは、現地普及率の高いメッセンジャーアプリWhatsAPPを利用したテキストベースのウェビナーです。商品・サービスの特性に合ったターゲット層向けに、現地の生活課題・生活者のお悩みを解決するコンテンツを発信するサービスです。参加者からの質問を受けたり、アンケートを取るなど企業・ブランドと参加者のより良いコミュニケーションで、深い繋がりを構築し参加者のエンゲージメント向上に貢献します。