資料の電子化 予備知識(3)〜解像度編
【印刷会社社員によるコラム 第7回】
スキャンをして画像補正を済ませたら、納品用データを作る工程に進みます。その際、重要となるのが解像度です。今回は解像度について詳しくご説明します。
このコラムのポイント
- 画質を左右する解像度。ただし、データ量も大きくなる
- ファイルの保存形式は、汎用的なPDFがおすすめ
- 最適な組み合わせは、サンプルでご提案
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画質とデータ量のトレードオフで考える解像度
データを閲覧のみに使用するか、または、印刷物として使用するかといった目的によって必要な解像度と、最適な保存形式が異なります。
解像度(dpi)とは、1インチ四方にどのぐらいのドットが入っているかを示す数値で、数が大きくなるほど高精細になり、その分、データ量は大きくなります。写真データの場合、パソコンやスマホのディスプレイで表示させるのであれば72dpi程度、印刷物の出力であれば350dpi程度必要と言われます。
ただし、解像度を上げれば高精細にはなりますが、その分データ量も大きくなり、開く際に動作が遅くなったり、ネットワークを圧迫したりと、運用面で使いづらくなってしまいます。高解像度低圧縮データが必要かどうか決められない場合は、閲覧用の低解像度高圧縮データも用意して、セットで納品するケースもあります。
ちなみに、第3回でご紹介した「e-文書法」のガイドラインでは保存文書の解像度は200dpi以上としています。ただ、拡大すると小さい文字が潰れてしまって、読みにくい場合があるので、DNPでは600dpiを基準として、原本の内容や用途に合わせた解像度をご提案しています。
用途を問わず使いやすいPDF形式
ファイルの保存形式は、圧縮することでデータ容量が軽くなる「JPEG」形式や、非圧縮の「TIFF」形式などの選択肢がありますが、文字が含まれている場合は、文字情報を保持できる「PDF」形式がおすすめです。PDF形式はAdobe社が開発した電子文書形式で、Web上で共有される資料や電子マニュアルなどに使われています。PDF形式の主な特長は、以下のとおりです。
- レイアウトや文字情報などを保持できる
- 画像も保存できる
- PCやスマホのOSを問わず閲覧できる
- 任意の基準で圧縮し、データ量を少なくできる
- セキュリティ設定ができる
先ほどの「e-文書法」においても、このPDF形式での保存が推奨されています。つまり、文書を共有しやすい形で保存するならPDF形式が最適といえるでしょう。DNPでは、特にファイルの保存形式についてご指定をいただいてない場合は、汎用性が高いPDF形式で納品データを作成しています。
最適な組み合わせは、サンプルでご提案
ここまでご紹介してきたように、スキャンデータの納品形態は、色味に影響する「カラーモード」、画質に影響する「解像度」、汎用性に影響する「ファイルの保存形式」などを最適な形で組み合わせてご提案します。とはいえ、実際にご覧いただかないと決められないと思いますので、DNPでは、最適と思われる組み合わせでサンプルを複数ご用意し、確認していただくようにしています。
その他「お役立ちコラム」はこちら
対象物のスキャニング後、保存する際のカラーモードを選択。カラーとモノクロ、それぞれの特徴を紹介していきます。
DNPのデジタルアーカイブは電子化しただけでは終わりません。最後に「使いやすいデータ」に仕上げるための大切な工程があります。
DNPのデジタルアーカイブソリューション
DNPでは、膨大な資料のデジタル化やデジタルアーカイブシステム構築に関する多数の実績を有するのはもちろんのこと、貴重な文化財の超高精細撮影や、高精細データを活用した複製の制作、3DCG、VR、ARといった最先端技術によるコンテンツ制作や、鑑賞システム開発を行っております。デジタルアーカイブに関する課題解決のヒントをお探しください。