資料の電子化 予備知識(2)〜カラーモード編

【印刷会社社員によるコラム 第6回】 対象物のスキャニング後、保存する際のカラーモードを選択します。今回はそのカラーモードについて詳しくご説明します。


このコラムのポイント

  • カラーモードは、カラーで2種類、モノクロで3種類。
  • 最も活用範囲が広いのはRGB。ただし、データ容量は最大。
  • 選択の基準は、原本における画像や文字の割合。

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対象物の内容で決まるカラーモード

カラーモードは、対象物がカラー写真や図版を含む際に選択される“フルカラー”と文字が中心のビジネス文書や帳票類で選択される“モノクロ”に大別されます。

フルカラーの場合は、2種類のカラーモードがあります。色をR(赤)・G(緑)・B(青)の光の三原色で表現するRGB形式と、C(シアン)・M(マゼンタ)・Y(イエロー)・K(キープレート=黒)の四色で表現するCMYK形式があり、主に前者はデジカメ画像やホームページの画像などディスプレイ表示で使われるもの、後者は印刷物などの紙媒体で使われるものです。スキャンしたデータ自体も、最初はRGB形式になります。

RGBのほうが広い色域をカバーするので、RGBからCMYKへの変換は可能ですが、その逆はおすすめしません。もちろん、RGBからモノクロ系のカラーモードに変換することもできるので、用途がはっきりしない場合は、スキャン画像の原本はRGBで保管しておいたほうがよいでしょう(ただし、容量はモノクロ系のモードより大きくなります)。

画像や文字の有無で3種類に分かれるモノクロ原稿

モノクロでスキャンする際のカラーモードには、「グレースケール」「二値」「誤差拡散」という3種類があり、それぞれ得意な対象物が異なります。

グレースケール

フルカラーのカラー情報を破棄した状態で、「白」から「黒」まで256段階のグレーで画像を表現します。なめらかにグレーが変化するので色の濃淡はそのまま保持され、白黒映画のような印象になります。グレーはディスプレイ上では美しく表現できますが、白と黒の境目が不明瞭になるため、印刷の際には文字がぼやけた印象になります。

グレースケール

二値

グレースケールの画像を、グレー50%のところで強制的に白と黒に分けます。白と黒の境界がしっかり出てパッキリとした印象になります。古い白黒写真のような印象です。色の濃淡が保持できないので画像表現は不向きですが、印刷したテキストだけの文書であれば二値が最も見やすいです。

二値

誤差拡散

グレースケールと二値の中間で、グレーを白と黒のまだら模様(砂目)に置き換えて表現します。白と黒の割合で擬似的に濃淡を表現するため、画像表現を維持することができます。マンガのスクリーントーンのようなイメージです。使っている色は白と黒だけなのでグレースケールよりデータ量は少なくなります。また、グレースケールに比べると白と黒の境目がはっきりしており、文字にぼやけが出にくいため、印刷したときに画像と文字の両方が見やすいところが特長となります。

誤差拡散

要は、モノクロ画像の場合、まず画像が含まれているかどうかをチェックします。含まれていれば「グレースケール」ないしは「誤差拡散」を、文字が読めれば良いのであれば「二値」をおすすめします。スキャンデータの容量としては、「グレースケール」>「誤差拡散」>「二値」の順に軽くなります。

こうしてスキャンした画像に対し、DNPでは、より見やすく、使いやすくなるよう、画像補正を加えています。本来は白のところに色が入っていたり、黒がグレーと判別されていたりするケースもあるので、それらを本来の色に近づけたり、可読性を上げるために黒を強調したりなど、さまざまな補正処理を加えるのです。ここでは、DNPが長年手がけてきた印刷事業や、文化財や美術品などをデジタルデータ化して培ったノウハウが活かされています。





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イメージ図

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スキャンをして画像補正を済ませたら、納品用データを作る工程に進みます。その際、重要となるのが解像度です。


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