コミュニティマーケティングの成功事例
メリット・デメリットや効果的に行うポイントを紹介!

顧客間のコミュニティを作り、そこから得た情報をマーケティングに活かすことを「コミュニティマーケティング」と呼びます。しかし、具体的な内容についてよく知らないという方も多いのではないでしょうか。
そこで、こちらではコミュニティマーケティングの概要や具体的な事例を紹介します。コミュニティマーケティングを会社のビジネスに活かすために役立つ情報を解説しますので、ぜひ参考にしてください。
2023年2月公開

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コミュニティマーケティングとは

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コミュニティマーケティングとは、商品のファンになってもらうことで顧客のコミュニティを作り、そこから得た情報をマーケティングに活かしたり、コミュニティを通じて新規顧客を獲得したりする方法のことを指します。

一般的なマーケティング施策のひとつである広告は、幅広い消費者の興味を惹き、顧客になってもらうのが主な目的です。一方で、コミュニティマーケティングはすでに商品やサービスを愛用し、コミュニティに参加しているユーザー(コミュニティメンバー)を通じてニーズを汲み取り、新たな顧客を増やすことを目的としています。

コミュニティメンバーのタイプ分類

コミュニティメンバーは、商品が好きでコミュニティに参加している「メンバー(Member)」、商品を利用すると共にSNSなどに投稿して周知に努める「コミッター(Comitter)」、コミュニティの中で積極的に他ユーザーを取り込む活動を行っている「リーダー(Leader)」の3タイプに分けることができます。

なお、まだコミュニティには参加していないものの、商品が好みだと自覚している人を「ライカー(Liker)」、商品を消費するだけの人を「ユーザー(User)」と呼ぶことがあります。

コミュニティマーケティングが注目される理由

注目される理由のひとつとして挙げられるのは、人口減少による市場の縮小です。日本では、15歳以上64歳未満の生産年齢層は1995年から減少傾向を辿ってきました。生産年齢層が減れば積極的に商品を消費する人が減り、顧客獲得の難易度も上がりますので、ユーザー1人あたりの収益を上げることが重要です。

ユーザー1人の収益を上げるためには、満足度を高め、商品のファンになってもらう必要があります。コミュニティマーケティングは、ユーザーの満足度に直結する有効な手段であることからマーケターの間で注目を集めるようになりました。

また、多くの情報が行き交う現代において商品の情報を幅広い消費者へ伝えるのは困難になりつつあります。自社のコミュニティがあれば効率的な情報のやり取りが可能になると共にユーザーとの関係が深まり、長期的な利益の獲得を見込めるのも重要なポイントです。

コミュニティマーケティングの手法

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オンライン・オフラインに関わらず、コミュニティマーケティングにはさまざまな方法があります。近年はインターネットの普及によりライブ配信やコミュニティサイトなどが注目されていますが、オフラインイベントの開催など対面の活動を行うことも大切です。

商品やサービスに合わせて最適なマーケティング手法を取り入れることで、新たな顧客獲得へと繋げられるでしょう。主な手法は以下の通りになりますので、企業の目的や戦略に合わせて最適なものを取り入れるようにしてください。

主な手法

■ライブ配信をする:YouTubeやInstagramなどのSNSでライブ配信を行い、会社の商品担当者と顧客がやり取りしたり、顧客同士で交流を深めたりします。
■コミュニティサイトを作る:会社の商品や関連テーマをメインにしたコミュニティサイトを作り、顧客同士の交流を活性化させてファン層を広げます。
■SNSのハッシュタグを活用する:商品名や会社名、ブランド専用のハッシュタグを使った投稿を呼びかけることで顧客同士の共通の話題が盛り上がり、コミュニティの深化に繋がります。
■オフラインのイベントを開催する:ユーザー限定のファンイベントなどを開催し、顧客同士の交流を深めます。
■コミュニティメンバー限定の商品販売や特典を用意する:限定の商品や特典で特別感を演出し、コミュニティの繋がりを強くします。

コミュニティマーケティングには、この他にも多種多様な手法が生まれています。マーケティング戦略の多様化により、今後もさらなる手法の発展が見込まれるでしょう。

コミュニティマーケティングのメリット

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コミュニティマーケティングのメリットは、主に3つあります。ここからは各メリットについて詳しく解説します。

【コミュニティマーケティングのメリット】
■コアなファンが増える
■口コミによる新規顧客が増える
■ユーザーの声を拾いやすい

商品への愛着が強いコアなファンが増えれば、収益アップと積極的な口コミの拡散に繋がります。また、顧客との交流を深めることでユーザーの声を直に聞き、新たな商品開発に役立てられるのも大きなメリットです。

コアなファンが増える

商品のコアなファンが増えると1人あたりの単価が上がり、結果的に全体の売上アップに繋がると言われています。例えば「ひとつの商品を購入する際に関連商品もあわせて買う」「より高価な商品を求める」「同じ商品をリピートする」といった行動を取ることが多いのがコアなファンの特徴です。

このようにコアなファンが全体の利益を生み出す現象を「20:80の法則」と呼びます。全顧客のうち上位20%が売上の80%を生み出すという、イタリアの経済学者ビルフレッド・パレート氏が導いた法則です。

例えば、トマトジュースで有名な企業Aは売上減少の原因を分析したところ、売上を支えるコアファンが離れ始めていることが発覚しました。そこで、コミュニティサイトを立ち上げることでコアファンを囲い込み、全体売上の向上へと繋げることに成功しています。

口コミによる新規顧客が増える

コアなファンが増えると「この商品の良さをもっと知ってもらいたい」という気持ちが芽生え、商品に関する良い口コミを積極的に拡散するようになります。すると、口コミを見た消費者が商品を購入してファンになり、新たな顧客が増えるという好循環が生まれるでしょう。

SNSが普及した現代では、口コミによる商品情報の拡散力は増大化しています。実際に商品を使用した人の感想にもとづいているため信頼性があり、ユーザーの消費意欲を掻き立てられるのがメリットです。口コミが広がるごとに新規顧客が増え、さらなる商品の売上アップを見込めるようになります。

ユーザーの声を拾いやすい

ユーザーの声を拾うことで商品開発に活かし、よりニーズに見合った商品の誕生に繋げられるのも大きな利点です。ファン同士で形成されたコミュニティは企業と顧客の距離が近く、他のマーケティング手法と比べても本音を聞き出しやすいと言われています。コミュニティのメンバーは顧客である一方でファンでもあるため「より商品を良くしたい」という気持ちが強く、積極的にアイデアを出してくれることが多いでしょう。

例えば、作業服で知られる企業Bは実際に商品を愛用している顧客をアンバサダーに任命して意見を聞き、商品開発に取り入れた結果として数多くのヒット商品を生み出しました。そのため、顧客の率直な意見は商品の収益に直結する重要な情報になると考えられます。

コミュニティマーケティングの課題

さまざまな利点を期待できるコミュニティマーケティングですが、意識しておきたい課題もあります。続いては、主な課題についてチェックしましょう。

【コミュニティマーケティングの課題】
■成果が出るまでに時間がかかる
■コミュニティを盛り上げる担当者のスキルが必要

確固たるコミュニティを作るためには時間がかかるため、即効性は期待できません。また、コミュニティが活性化するか否かは担当者のスキルが大きな影響を与えます。こうした課題をクリアすることで、より効果的なマーケティング活動に繋げることが大切です。

成果が出るまでに時間がかかる

コミュニティマーケティングでは、ユーザーに商品のファンになってもらい「コミュニティに参加したい」「商品の良さをもっと他の人に知ってもらいたい」という気持ちを起こしてもらう必要があるため、成果が出るまでには時間がかかります。できるだけ早く成果を出すためには、参加するメンバーにとって有意義となるコミュニティづくりが必須です。

例えば、自社でコミュニティサイトを立ち上げたトマトジュースの企業Kでは「企業の商品を使ったレシピの交換」「トマトを育てている人の情報交換」など、ユーザー同士が楽しく交流できるコンテンツが揃っています。ユーザーが積極的に関わりたいと思えるコミュニティ作りを意識してみると良いでしょう。

コミュニティを盛り上げる担当者のスキルが必要

コミュニティの企業担当者にスキルがないとユーザー同士の交流が盛り上がらず、コアなファン形成に至らないことがあるのも注意したい点です。特に他の業務と兼任している場合、コミュニティ形成が片手間になることも考えられますので、気をつけてください。

コミュニティマーケティングの担当者には、ユーザーを巻き込んで商品の魅力を伝える力や、ユーザーの声をしっかりと聞き取る力が必要です。また、時代の変化を察知し、柔軟にコミュニティへ反映するためのスキルも求められます。時には、コミュニティメンバーの間に入って課題解決に取り組んだり、交流を促したりといった工夫も重要です。適切なスキルを持った担当者なら、効果的なマーケティング活動が期待できるでしょう。

コミュニティマーケティングの成功事例

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コミュニティマーケティングを成功に導くためには、過去の事例から学ぶことが重要です。どのような方法でコアなファンコミュニティを形成したのか、コミュニティを持続させるためにはどのような努力が必要なのかなど、細かくチェックすることで自社のマーケティング活動に活かせるようになります。また、マーケティングがうまくいかない時も、成功事例を役立てれば新たなアイデアが生まれるかもしれません。ここで代表的な成功事例を紹介しますので、ぜひ参考にしてください。

株式会社ヤッホーブルーイングのファンベースの取り組み

“ビールに味を!人生に幸せを!”をミッションに掲げるクラフトビールメーカー、ヤッホーブルーイング。オウンドメディアやSNSでの積極的な交流、ビールファンが一堂に会するイベント「超宴」の開催などの施策を数多く打ち出し、熱量の高いファンに支持されています。同社はSNSを活用したオフラインイベントなどのファンコミュニケーションを継続し、ファンの声を最大限に活用する取り組みに挑戦しています。

コミュニティマーケティングを成功させるポイント

コミュニティマーケティングを成功させるには、ポイントをふまえた上で戦略を練る必要があります。ここからは、どのような点が成功のポイントになるのかチェックしましょう。

【コミュニティマーケティングを成功させるポイント】
■成果ばかりを優先しない
■コミュニティメンバーのニーズを把握する
■コミュニティメンバー同士が仲良くなれる場を提供する

具体的な内容については以下で詳しく解説していますので、ぜひ参考にしてください。

成果ばかりを優先しない

商品の売上アップなど目に見える成果ばかりを優先していると、ユーザーとの相互コミュニケーションがおろそかになる可能性があります。コミュニティマーケティングでは、イベントに新しく参加した人の比率や実施イベントの拡大数、コミュニティのアイデアによって誕生したコンテンツの量などをKPIとし、コミュニティ内の盛り上がりを注視することが大切です。

成果ばかり求めすぎることでユーザーのサポートが行き届かず、コミュニティ形成が失敗してしまうリスクはゼロではありません。コミュニティ形成のために長期的な目線を持ってユーザーとの関係を作り、成果優先主義にならないよう気をつけてください。

コミュニティメンバーのニーズを把握する

コミュニティに参加するメンバーの適確なニーズを把握することも重要です。商品に対する問題や需要を細かく汲み取り、改善を続けることで顧客満足度の向上へ繋げ「もっとこの商品を応援したい」という気持ちを引き出すように意識すると良いでしょう。

ニーズを把握するためには、コミュニティの意見をタイムリーかつ積極的にチェックするのがポイントです。コミュニティメンバーの意見を常に意識することで、商品に対してどのような気持ちを抱いているのか把握できるようになります。

コミュニティのメンバー同士が仲良くなれる場を提供する

ユーザー同士が仲良くなれる場を提供すれば自然と交流が始まり、企業側が介入せずともコミュニティが盛り上がりやすくなります。コミュニティが盛り上がれば商品への熱量も高まり、コアなファン層の形成に繋がるでしょう。

例えば、コミュニティサイト内に掲示板やチャット機能を搭載し、ユーザー間の交流の場を作る方法があります。初期段階で急にコミュニティが盛り上がるのは難しいため、管理者がユーザーへ積極的に返答したり、新しく参加した人は丁寧にサポートしたりといった工夫が大切です

DNP ファンメディアプラットフォームでできること

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DNPが提供する「DNP ファンメディアプラットフォーム」では、コミュニティメンバーのニーズに合わせたさまざまな手法を用い、効果的なコミュニティサービスを実施します。DNP ファンメディアプラットフォームが提供する主な項目は、以下の通りです。

【DNP ファンメディアプラットフォームでできること】
■有料会員登録(サブスクリプション)
■Web記事の配信
■会員ポイント付与
■ポイント景品交換
■デジタル会員証
■電子書籍ビューア
■ユーザーの写真投稿
■ユーザー間のグループチャット
■メール配信
■決済代行
■ライブ配信機能(動画配信プラットフォーム「ULIZA(ウリザ)」との連携)
ライブ配信に関するコラムはこちらから
■EC サイト機能(ECプラットフォーム「Shopify」との連携)
ECサイトやソーシャルコマースに関するコラムはこちらから

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DNP ファンメディアプラットフォーム
ファンとは、企業活動におけるビジョンや価値観に共感する大切なお客さまです。ときにファンは自ら発信者となり、さらなるファンを呼び込んでくれる可能性があります。 つまり、ファンが集い、ファンを広げ、ファンを育てる場所を持つことで、ファンがメディアとなり、ビジネスをより強くします。 DNP ファンメディア・プラットフォームは、低コストで手軽に課金対応、会員制メディアを構築するサービスです。

まとめ

コミュニティマーケティングは、顧客満足度を上げて商品のファンを増やし、収益を上げるために役立つマーケティング戦略です。コミュニティを形成するためにはライブ配信やオフラインイベントの開催などさまざまな手法があり、長期的な目線でファンを定着させる必要があります。

コアなファンが集まるコミュニティになれば収益の安定に繋がり、口コミによる新規顧客の獲得も見込めるのがコミュニティマーケティングのメリットです。DNPではコミュニティマーケティングに最適なメディアプラットフォームの提供も行っていますので、ぜひコミュニティ形成にお役立てください。

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