マイナンバーカードってこれからどうなる?
今後の活用範囲の見通しについても解説

マイナンバーカードは身分証明書としての提示だけでなく、さまざまな機能を有しています。近年では、オンライン本人確認(eKYC)で利用されることもあり、どんな機能があるのか、自社の事業に活かすことができるのか、これからどうなるのか気になる方もおられるでしょう。 この記事では、マイナンバーカードの基本機能や今後の展望について詳しくご紹介します。マイナンバーカードの民間利用についても触れるので、ぜひ最後までご覧ください。

2022年10月11日公開

1.2016年に始まったマイナンバー制度

疑問イメージ

そもそもマイナンバー制度がどのような制度なのか、気になる方もおられるでしょう。ここでは、マイナンバー制度の基礎知識やマイナンバーカードの役割について解説します。諸外国に同様の制度があるのか、どのように活用されているのかについてもあわせてご紹介するので参考にしてみてください。

マイナンバー制度とは

2016年1月に始まったマイナンバー制度は、行政手続きにおいて個人を特定・識別するための制度です。この制度により、住民票を持つ日本国内の全住民個人に12桁の個人番号、法人には13桁の法人番号が付与されました。この個人に付与された個人番号をマイナンバーと呼びます。

マイナンバー制度の目的は、「行政の効率化」「国民の利便性の向上」「公平・公正な社会の実現」です。行政機関と地方自治体などがマイナンバーを共有することで、個人の特定が容易になります。これにより、行政側は情報の照合・転記・入力などの負荷が削減でき、事務作業の効率化が図れます。国民にとっても行政手続き時の添付書類の削減など、利便性が高まります。他にも公平な税負担や不正受給の防止など、適正な社会保障の提供が実現可能となります。

マイナンバーカードの役割

マイナンバーカード券面イメージ

マイナンバー制度に伴って発行されたのがマイナンバーカードです。マイナンバーカードは「個人番号を証明する書類」や「身分証明書」としての役割があり、本人確認を求められた際に提示することで個人を特定・識別することができます。表面には氏名・住所・生年月日・性別が記載されており、顔写真付き身分証明書として利用できます。裏面にはこれらを機械的に読み取るためのICチップがあり、個人番号が記載されています。

マイナンバーカードは本人の申請により無料で交付され、カードの有効期間は、発行日から10回目の誕生日(未成年者は5回目)までとなっています。また、マイナンバーカードに書き込まれた電子証明書の有効期限は、年齢問わず発行日から5回目の誕生日までに設定されています。

マイナンバーカードは公的な身分証明書として利用できますが、個人番号が記載されている裏面のコピーや番号の書き写しは法律で禁止されています。コピー・保管が許可されているのは、行政機関や雇用主など法律で認められた者に限定されています。例えば、会社が従業員に対してマイナンバーの提供を求めることができるのは、社会保障・税および災害対策に関する特定の事務を行う場合のみとなります。従業員や顧客の情報を管理する目的でマイナンバーを利用することはできません。

住民票・印鑑登録証明書イメージ

またマイナンバーカードがあれば、コンビニエンスストアなどに設置されているキオスク端末で住民票の写しや印鑑登録証明書が発行できます。行政手続きのオンライン窓口であるマイナポータルでは、妊娠時の届出や子ども医療証の交付申請など、子育てや介護に関する手続きも可能です。このように、マイナンバーカードは行政サービスの利便性向上に寄与しています。

諸外国におけるマイナンバー制度

数字イメージ

諸外国では日本が開始する前からマイナンバー制度と同様の番号制度が運用されています。日本においてマイナンバーは「個人番号」が正式名称ですが、他国では「個人識別番号(スウェーデン)」「社会保障番号(アメリカ)」という名称となっています。

また、国によってはひとりに対して2つ以上の番号が割り当てられるケースがあり、例えばオーストラリアでは「納税者番号」「個人ヘルスケア識別番号」というように、行政サービスごとで違う番号が使用されています。国民ひとりにつきひとつの番号を付与する日本のマイナンバー制度と違い、各行政機関で連携されていないケースもあります。

各国のマイナンバー制度を見ていきましょう。

スウェーデン

成功モデルとしてよく紹介されるのが、福祉大国として有名なスウェーデンです。スウェーデンでは「Personal Identity Number(PIN)」という名称の個人番号制度が1947年に導入されました。各個人に10桁の個人識別番号が発行されており、この個人識別番号に紐づけられている情報には、氏名・住所・出生地・未婚/既婚の別などの他、既婚者の場合には、配偶者・子供の氏名・所有不動産・死亡後の埋葬場所などがあります。銀行口座の開設、病院の受診、電気・ガス・水道の契約、住宅の賃貸契約など、生活のあらゆるシーンで個人識別番号が必要となるので、スウェーデンでは個人識別番号なしでは生活できないとさえいわれています。

韓国

韓国では、1968年に日本のマイナンバー制度に当たる「住民登録番号制度」が施行されました。住民登録番号は生年月日・性別など13桁の番号で構成されています。住民登録番号を記載した「住民登録証」は、17歳以上は発給を受ける義務があります。住民登録番号は各種行政サービスを利用する際に必要となるだけではなく、高校や大学の出欠確認や成績証明、卒業証書などの発行にも使われています。新型コロナウイルス対策にも利用され、給付金の支給はもちろん、マスクの需給管理にも活用されました。生まれた年の末尾によってマスク支給曜日を定め、マスク購入時に住民登録番号を本人確認として利用することで、品不足の状況であったマスクの適正支給を行いました。

インド

インドでは2009年に国民IDシステム「Aadhaar(アドハー)」を導入しました。総人口約14億人のうち9割を超える12.5億人以上がすでにこのIDシステムに登録しており、身分証明カード「アドハーカード」を発行しています。指紋・顔・虹彩の生体認証も組み合わされており、この制度導入により公共福祉サービスが効率的に支払われるようになり不正行為が激減しました。新型コロナウイルスのワクチン接種手続きでも効果を発揮したといわれています。

このように各国さまざまな取組み・活用をしており、日本のマイナンバー制度・マイナンバーカードの活用の参考となる点があります。

2.マイナンバーカードってこれからどうなる?

マイナンバーカードの発行は義務ではないため、すべての国民が持っているわけではありません。政府は「2022年度末までにほぼ全国民に行き渡らせること」をめざしていますが、現在の普及率はどのようになっているのでしょうか。その点もふまえつつ、マイナンバーカードで利用可能な行政サービスと今後の政府の動きについて解説します。

マイナンバーカードの普及率

マイナンバーカードの普及率は、2023年4月時点で約76.5%となっています。制度を開始して間もない2017年では10%程度の普及率でしたが、制度が徐々に浸透してきた現在では国民の約7割以上に行き渡っていることになります。

マイナポイント第2弾イメージ

政府は普及率アップのために、2022年6月30日から「マイナポイント第2弾」をスタートしました。マイナポイント第2弾ではカードの発行だけでなく、健康保険証としての利用申込み・公金受取口座の登録を促進しており、最大2万ポイントのマイナポイントを付与します。マイナポイント第2弾のポイントをもらうためのマイナンバーカードの新規交付申請期限は2023年2月末までで終了となりました。すでにマイナンバーカードを持っている方は、登録・申請を行うことでポイント付与の対象となります。

マイナンバーカードで利用できる行政サービス

マイナンバーカードで利用できる行政サービスは、市町村などの自治体により異なります。マイナンバーカードの基本的な機能については以下をご覧ください。

・個人番号(マイナンバー)の証明ができる
・行政サービスのオンライン申請が利用できる
・コンビニエンスストアなどで各種証明書が発行できる
・登録した公金受取口座で給付金を受け取ることができる
・役所での手続き時に公的な身分証明書として利用できる
・公的アプリから新型コロナワクチン接種証明書が取得できる

このようにマイナンバーカードを発行することで、行政サービスの利用が便利になります。ただし、提供エリアやサービス内容は各自治体によって異なるため、利用する際には事前に確認しておきましょう。

マイナンバーカードにまつわる今後の政府の動き

政府はマイナンバーカードの利便性をより向上するためにさまざまな検討を進めています。マイナンバーカードの機能をスマートフォンに搭載する施策や、運転免許証をマイナンバーカードに一体化する施策などです。

スマートフォンへの搭載

スマートフォンイメージ

マイナンバーカードの機能をスマートフォンに搭載する施策については、総務省は「2022年度中のAndroidスマートフォンへの搭載実現をめざすとともに、iPhoneについても早期実現をめざす」と宣言しています。

これまではマイナポータルへログインする際に毎回マイナンバーカードを読み込む必要がありましたが、スマートフォンにマイナンバーカードの機能を搭載することでその必要がなくなります。つまり、スマートフォンだけでいつでもどこでもさまざまな行政手続きやサービスを利用することができるようになるのです。また、スマートフォンの紛失・盗難時のセキュリティ対策や機種変更時の簡単なアプリ操作による変更手続きなど、安心・安全と利便性を確保する対策が検討されています。

運転免許証との一体化

運転免許証イメージ

運転免許証との一体化については、2024年度末の実現をめざしています。2022年3月4日には道路交通法の改正案が閣議決定され、国会にも提出されました。実際に運用がスタートすれば、マイナンバーカードが運転免許証の役割を果たすことになります。運転免許証情報はマイナンバーカードのICチップに記録され、更新・住所変更・返納などの手続きはマイナンバーカードの情報を変更するだけでできるようになります。

どちらも実用化が開始されれば便利である一方、デメリットや懸念点がないとは限りません。例えば、マイナンバーカードの機能をスマートフォンに搭載する場合、事前にマイナンバーカードの申し込みと受け取りが必要です。マイナンバーカードがないとスマートフォンへの登録ができないためカードレスとはなりません。

また、マイナンバーカードと運転免許証の一体化については、現在のカード型の運転免許証を併用し続ける場合は、マイナンバーカードと運転免許証の両方とも同時に更新申請が必要となります。さらには、それぞれの有効期限がバラバラであったり、免許停止処分となったりした際にどのように対応するかも懸念されます。

3.マイナンバーカード普及によるメリット

メリットイメージ

説明してきた通りマイナンバーカードを発行することで、私たち国民は行政サービスが容易に受けられるなどのメリットがあります。事業者においてマイナンバーカードの普及はどのようなメリットがあるのでしょうか。利用者側のメリットとあわせて、ここではその点について詳しくご紹介します。

利用者側のメリット

オンライン申請イメージ

マイナンバーカードを所持していると、マイナポータルを介してオンラインで行政手続きが行えます。例えば、確定申告や年末調整の手続きをオンラインで行ったり、年金の情報を確認したりすることができます。他にも、コンビニエンスストアなどで印鑑登録証明書などの各種証明書の発行も可能です。

行政サービスだけでなく日常生活においてもメリットがあります。昨今では若年層の運転免許証の保有率が下がっているといわれていますが、マイナンバーカードは顔写真付き身分証明書としての利用が可能です。今後はマイナンバーカードの提示が本人確認の主流になるかもしれません。

事業者側のメリット

対面だけでなく、企業がオンライン上で利用者の本人確認を行う際にもマイナンバーカードが役立ちます。マイナンバーカードを使用したオンライン本人確認(eKYC)には、公的個人認証サービス(JPKI)を利用した認証方式があります。これはマイナンバーカードの署名用電子証明書を使った方式で、なりすましやデータ改ざんに強いという特徴があります。マイナンバーカードの普及によってこれらのサービスがより利用しやすくなります。

また、マイナンバーカードに搭載されているICチップの空き容量を活用することも可能です。空き容量は主務大臣の認定を受けることで利用できます。例えば、自社のセキュリティルームへの入退館やパソコン認証などに利用することができます。

4.マイナンバーカードの課題

マイナンバーカードの課題点として、「発行に時間がかかる」「暗証番号を忘れる」「専用機器がないと利用できない」の3つが挙げられます。

マイナンバーカード申請イメージ

マイナンバーカードは申請してから届くまで、混雑度合いによって変動しますが1カ月程度かかります。また、有効期限を迎えると更新手続きが必要です。年齢や条件により5年と10年の有効期限が定められていますが、利用頻度があまりない場合は更新が面倒に感じる場合もあるでしょう。

またマイナポータルにログインする際、申請時に設定した4桁の暗証番号(PIN)とICチップを読み込む端末が必要です。暗証番号を忘れてしまった場合や暗証番号の入力を連続3回(署名用電子証明書は5回)間違えてロックがかかってしまった場合は、お住まいの市区町村窓口で暗証番号の初期化・再設定が必要になります。ICチップを読み込む端末については、パソコンの場合はICカードリーダーが必要になります。スマートフォンの場合はNFC対応スマートフォンであれば専用機器がなくても利用できます。

ただ、先述した通りスマートフォンにマイナンバーカードの機能が搭載されるようになれば、いずれ暗証番号を入力する代わりにスマートフォンの指紋認証・顔認証が活用される日が来るかもしれません。

5.マイナンバーカードは民間利用できる?

マイナンバーカードは主に行政サービスで利用されていますが、民間においても活用できる場面はあります。それは、医療機関やオンライン本人確認(eKYC)での利用です。ここでは、マイナンバーカードと健康保険証・eKYCの関係性を解説します。

健康保険証としての利用

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マイナ受付ポスター

2021年10月20日よりマイナンバーカードの健康保険証利用が本格運用されました。医療機関では健康保険証の提示が求められますが、マイナンバーカードを健康保険証としても利用できるようになりました。事前に利用登録を行う必要があり、「マイナ受付」のポスター・ステッカーが貼ってある全国の医療機関・薬局で利用可能です。

利用方法はシンプルで、受付カウンターなどに設置されている顔認証付きカードリーダーにマイナンバーカードを挿し込みます。その後、本人確認のために顔認証もしくは暗証番号を入力します。使われている顔認証はマスク・メガネ・帽子を付けていても認証できる精度を誇ります。

病院の受付では健康保険証情報をもとに患者情報の入力を行っていますが、手入力だと忙しい時など入力ミスが発生しがちです。しかし、マイナンバーカードを用いることで自動的に入力・確認ができます。窓口業務の負担も減るため人員配置にも効果があるでしょう。また、健康保険証としての利用登録をすることで、患者はマイナポータルで薬剤情報・医療費・特定健診情報の閲覧をすることができます。就職・転職・引越しをしても、健康保険証の発行を待つことなく保険者での手続きが完了次第利用できる点もメリットです。

オンライン本人確認(eKYC)での利用

eKYCイメージ

eKYCとは、オンライン上で本人確認が完結する仕組みのことです。詳しくは後述しますが、eKYCにはいくつか手法があり、マイナンバーカードは運転免許証よりも多くの手法で利用できます。しかも、マイナンバーカードのICチップは運転免許証と違って電子証明書が保存されているため、eKYCでの利便性が高いとされています。

【関連コラム】マイナンバーカードを用いたオンライン本人確認(eKYC)の手法とは?

6.マイナンバーカードを用いた本人確認の仕組み

ネット銀行やネット証券の口座開設をする時や、オンラインで携帯電話回線を契約しようとした時に、「eKYC」というワードを目にした方もおられるのではないでしょうか。ここでは、eKYCが多くのサービスで導入されている理由と、犯罪収益移転防止法(犯収法)にもとづくeKYCの4つの手法について紹介します。

さまざまなサービスでeKYCの利用が広まっている

人材紹介イメージ

eKYCは現在、金融機関のオンライン口座開設や中古品買い取りなど、さまざまなサービスで活用されています。eKYCを導入すると本人確認を非接触かつスピーディに終わらせることが可能です。

本人確認が法的に義務付けられている金融業・古物商などで多く導入されていますが、なかにはeKYCを自主的に取り入れているサービスもあります。例えば、オンライン上で人と企業をつなぐマッチングサービスなどです。人を企業に紹介するには事前の本人確認が必須ですが、郵送などのオフラインで行うと時間がかかってしまいます。しかし、オンラインで本人確認をすれば、利用者も事業者もともに時間の面でメリットがあるのです。

このように、業種やサービス形態によってeKYCを取り入れるメリットがあるため、eKYCの利用は広まってきています。

犯収法にもとづく本人確認の4つの方式

犯収法にもとづいたオンライン上での本人確認の手法には、「ホ」方式・「ヘ」方式・「ト」方式・「ワ」方式の4つがあります。これらの方式では本人の容貌写真と本人確認書類の画像などの2つの画像を照合することで本人確認をしています。

・「ホ」方式:本人の容貌写真 + 写真付き本人確認書類の画像
・「へ」方式:本人の容貌写真 + 写真付き本人確認書類のICチップ情報
・「ト」方式:写真付き本人確認書類の画像もしくはICチップ情報 + 外部顧客情報
・「ワ」方式:署名用電子証明書 + 暗証番号

マイナンバーカード読み取りイメージ

マイナンバーカードは上記4つの方式のすべてで利用できます。特にマイナンバーカードのみが持つ電子証明書を使った本人確認方式が「ワ」方式です。マイナンバーカードのICチップ情報を読み取り、事前に設定した暗証番号(PIN)を入力することで本人確認を行います。顔写真などの撮影の必要がないため利用者の負担が少なく、公的個人認証サービス(JPKI)を利用することからなりすましがしにくいセキュアな方式とされています。

7.DNPではマイナンバーカードを用いたeKYCを提供

eKYCの導入を検討する際、サービスの形態にあわせて手法を選択することが大切です。DNPでは、さまざまなサービスへ柔軟に対応できる「オンライン本人確認(eKYC)総合サービス」を提供しています。

主に代表的な2つの方式でeKYCを提供

スマートフォンでの読み取りイメージ

DNPのオンライン本人確認(eKYC)総合サービスは、主に「ホ」方式と「ワ」方式に対応しています。

「ホ」方式は、顔画像と本人確認書類を撮影・送信する方法です。本人確認書類は運転免許証・マイナンバーカード・在留カードの3種類に対応しています。送信された顔画像と本人確認書類を見比べて同一人物であるかどうかを確認する審査業務が必要ですが、DNPはBPO拠点があり審査業務まで一括して請け負うことが可能です。

「ワ」方式は、マイナンバーカードのICチップを読み込み、暗証番号を入力するeKYCの手法です。公的個人認証サービス(JPKI)を利用しており、マイナンバーカードの署名用電子証明書の有効性はJ-LIS(地方公共団体情報システム機構)という認証局が判別します。「ホ」方式のような審査業務は必要ありません。

引越しワンストップサービスにおけるeKYCの活用

ドンドンパ画面イメージ

引越しは役所での住所変更手続きとともに、電気・ガス・水道といったライフラインの切り替え手続きが発生します。他にも、携帯電話会社や金融機関などに住所が変わることを伝えなければなりません。

そこで注目されるのが、引越しに必要な手続きを軽減する引越しワンストップサービスです。引越しワンストップサービスは、引越しに関する手続きのオンライン化・ワンストップ化のためにデジタル庁が推進しているサービスです。DNPは2020年の実証実験に参加しサービス検証を行いました。

その後DNPは、「DNP引越し手続き一括連携サービス ドンドンパ®」としてサービス提供を開始しました。このサービスを利用することで、生活者は電気・ガス・水道などのライフライン手続きや金融機関への諸届けといった、引越しに伴うさまざまな手続きを、受け手事業者それぞれにアクセスすることなく一括で行うことができます。対象となる受け手事業者は順次拡大中です。将来的には、オンライン本人確認(eKYC)機能を追加し、より安心・安全に利用していただけるようサービスを拡充する予定です。

マイナンバーカードの活用シーンはさらに拡がる!

健康保険証としての利用などマイナンバーカードの活用シーンは徐々に広がってきています。ご説明したスマートフォンへの搭載や運転免許証との一体化以外にも、大学での職員証・学生証としての利用やハローワークカードとしての利用が検討・推進されています。マイナンバーカードで現在できること・今後検討されていることを調べてみましたので参考にしてください(各自治体によって異なる場合がございます)。

■2020年
e-Taxでの利用 2020年1月~
年末調整や確定申告手続きに必要な情報のマイナポータル一括取得開始
(以降順次サービスを拡大)
乳幼児など健診情報の閲覧 2020年6月~
マイナポータルにて閲覧開始
■2021年
健康保険証としての利用 2021年10月~
本格運用開始
薬剤情報・特定健診情報の閲覧 2021年10月~
マイナポータルにて閲覧開始
医療費通知情報の閲覧 2021年11月~
マイナポータルにて閲覧開始
■2022年
大学の職員証・ 学生証としての利用 2022年度~
国立大学での利用促進の検討開始
スマートフォンへの搭載 2022年度中
Androidスマートフォンへの搭載予定
(iPhoneについても早期実現をめざす)
在留カードとしての利用 2022年度中
必要な措置の実施を開始
ハローワークカードとしての利用 2022年度以降
本格運用予定
ジョブ・カードとしての利用 2022年度以降
本格運用予定
■2023年
処方箋の電子化 2023年1月~
本格運用予定
taspo(タスポ)カードとしての利用 2023年度~
自動販売機に順次導入予定
介護保険被保険者証としての利用 2023年度中
本格運用予定
企業健康診断の電子化 2023年度中
マイナポータルにて閲覧可能予定
■2024年
学校健康診断の電子化 2024年度中
マイナポータルにて閲覧可能予定
運転免許証との一体化 2024年度末
実施予定

9.まとめ

利用者イメージ

現在マイナンバーカードは、行政サービスを中心に各種申請や書類の発行時に利用されていますが、政府は健康保険証の機能を付与するなど民間サービスでの利用拡大を推進しています。運転免許証との一体化や学生証・ハローワークカードとしての利用など、今後マイナンバーカードの利活用はさらに進み、それにあわせてマイナンバーカードはさらに国民に普及していくでしょう。

マイナンバーカードは、アナログでもデジタルでも今後の本人確認時のスタンダートになっていくかもしれません。eKYCにおいても、現在は運転免許証を使った「ホ」方式が主流となっていますが、今後はマイナンバーカードのICチップを使った「ワ」方式が増えていくことが見込まれます。DNPは、マイナンバーカードや運転免許証を使ったオンライン本人確認(eKYC)を提供しています。サービスの導入を検討の際には、お気軽にお問合わせください。

最後にマイナンバー制度は、政府のデジタル推進・IT基盤においてキーとなるものです。マイナンバーカードにいろいろな機能が付くことで便利になる半面、1枚にまとまることで紛失や持ち歩くリスクを心配する人も出てきます。諸外国を見てみても、個人情報管理・セキュリティなどのプライバシー問題が議論されることが多くあります。生活面での便利さとの兼ね合いをかんがみながら、日本に適した形でマイナンバー制度が浸透していくことを期待したいと思います。



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