オフラインでの顧客行動情報を収集する、Beacon(ビーコン)マーケティングの最新手法とは

実店舗で販売を行っている企業のマーケターにとっては、オンラインでのデジタルマーケティングと同様に、オフラインでも顧客行動の情報を収集しマーケティング施策を行うことと、オンラインとオフラインの両方を融合させることは重要な成功要因のひとつです。
近年、Beaconを活用したマーケティングに、新しい潮流が見えはじめています。
このコラムでは、そのようなO2Oマーケティングには欠かすことのできない、Beaconによるマーケティングを取り上げ、実際の事例とともに、最新のサービスをご紹介します。

目次

1.今、Beaconが注目される理由 とは
 1-1.Beaconのデメリットとして挙げられていた点が解消した
 1-2.スマホの普及に伴い、Beaconの活用がしやすくなった
 1-3.自社でBeaconを買わなくても良い時代になり、導入の障壁が下がった
2.Beacon マーケティングの具体的な利用場面とその効果
 2-1.デジタルサイネージなどと連動した販促
 2-2.アプリ・SNSと連携したリターゲティング広告
 2-3.購買行動のパターンや嗜好の把握による、CLOの向上
3.まとめ

1.今、Beaconが注目される理由 とは

Beacon(ビーコン)とは、店舗等に設置された、発信機能を持つ端末を指します。Beaconは、Bluetooth Low Energy (BLE) による近距離無線技術を用いて、位置情報を取得したり、プッシュ型の通知を送ったりすることができます。
このBeaconを活用したマーケティングが、急速に注目を集めています。なぜなのでしょうか。

1-1.従来Beaconのデメリットとして挙げられていた点が解消した

位置情報サービスとしては、一般的にはGPSの方が広く知られています。しかし、GPSは人工衛星から発せられる電波を利用するため、地下など電波の届かない場所では位置情報を取得することはできません。一方で、設置された端末から、近距離無線を発信するBeaconは電波の届かない場所でも、正確に位置を特定することができます。しかし、近距離無線である以上、端末が設置された建物内など特定の距離内でしか情報を取得することができません。そのため、屋外や自社の店舗外では、情報取得ができませんでした。
しかし、近年では、自動販売機などの屋外にも、多くのBeaconが設置されるようになりました。このことにより、屋内や自社店舗以外でも情報の取得が可能になり、ユーザーに対してアクションを起こせる機会が格段に広がりました。

1-2.スマホの普及に伴い、Beaconの活用がしやすくなった

また、Beaconが情報を取得・送信する受け手の端末として、スマートフォンが普及したことも大きな要因のひとつです。特に、Apple社が提供するiBeaconがiOS7以降に標準搭載されるようになってから、一層普及が進んだと考えられています。

1-3.自社でBeaconを買わなくても良い時代になり、導入の障壁が下がった

unerry(ウネリー)社の提供するBeacon Bankのように、自社でBeacon端末を持たなくても、他社によって設置された数多くのBeaconからの情報を活用できるプラットフォームサービスが登場したことも大きな理由です。
例えば、unerry社は、全国に100万個設置されたBeaconを共有利用することができるサービスを提供しています。これにより、自社でコストをかけなくても、大量のBeaconから情報収集を行うことが可能になりました。

2.Beacon マーケティングの具体的な利用場面とその効果

それでは、Beaconを使ってどのようなマーケティングを行うことができるのか、具体的な利用場面を紹介します。

2-1.デジタルサイネージなどと連動した販促

店内にスマホサイネージを設置している場合、通常はユーザー共通の汎用的な動画を流しておき、ターゲットのユーザーがサイネージの前を通る際にだけ、プッシュ通知を送信したり、属性にあわせた最適な動画をサイネージに流したりすることができます。このように、ユーザーの属性にあわせた効果的な広告配信が可能となり、客単価を上げることにつながります。
また、屋外に設置されたBeaconから通知を行ったり、SNS上で広告を配信したりすることで、店舗の近くにいるユーザーの来店数を増加させる効果も期待できます。

2-2.アプリ・SNSと連携したリターゲティング広告

SNS広告と相互利用すれば、広告の効果を高めることが可能です。
例えば、Beaconと連動可能なアプリを利用して、アプリのダウンロード者が来店したことをBeaconによって検知し、その後関連するSNSのリターゲティング広告を配信することが可能です。来店という購買に近い行動をベースにした広告配信は、通常の販促に比べて効率的で費用対効果も高く、不特定多数に配信するメルマガやWeb広告の費用を削減させてもより高い効果が得られます。

2-3.購買行動のパターンや嗜好の把握による、CLOの向上

モバイル決済の増加により、CLO(Card Linked Offer)と呼ばれる、決済情報から得られる購買行動をベースにし、ユーザーごとに適したクーポン券を発行するマーケティング施策が注目されています。一方で、通常のCLOでは、購買していないオフラインでの日常行動のデータを収集することはできないため、活用できる情報が限定的である、という課題もあります。
Beaconを利用すれば、購買行動ではない日常行動の情報も収集することができます。例えば、情報収集のためだけに複数の家電量販店に訪れているような行動を把握し、家電量販店向けのクーポン券を発行するようなことが可能となります。unerry社によると、通常のCLOと比較して、10倍以上の店舗訪問数につながったケースもあるようです。

Beaconを利用したマーケティングを成功させるには、数多くのBeaconを利用し、より多くの情報を収集できる環境になっていることが重要となります。Beaconのオープンプラットフォームを利用し、Beacon情報を共有利用すれば、自社での設置のみでは拾い上げることのできない多くの情報を収集し、効果的な施策を行うことが可能です。

3.まとめ

この記事では、オフラインでのユーザー行動を収集し、マーケティング施策を行うことのできるBeaconマーケティングについて、最新のトレンドとサービスを紹介しました。
デジタルマーケティングに追加して、Beaconマーケティングを取り入れれば、販促の費用対効果を大きく高めることができます。unerryのBeacon Bankはシェアリングエコノミーの視点を取り入れ、特定のアプリに依存しない中立的なオープンプラットフォームサービスです。そのために、利用可能なBeacon数が100万台と国内最大規模にも関わらず、サービスを低コストで利用することができます。精度の高い位置情報マーケティングが可能になることによって、より顧客を深く、正確に知ることができます。さらにそのデータを顧客体験提供に活用することで、顧客体験を改善し、競合他社と差をつけることができます。顧客体験改善の手段としてBeaconを活用した位置情報マーケティングを検討してみてはいかがでしょうか。

※2020年1月時点の内容です。

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