SMC（Salesforce Marketing Cloud®）運用のツボ
Contact数が急増　その理由は？

重い。とにかく重い空気なのだ。
面前には、システム部の重鎮である、大日本花子部長が鎮座している。

導入から1年が経過したマーケティングオートメーションツール「SMC（Salesforce Marketing Cloud®）」のContact数が、契約上限値である100万件を超えそうになっているということで、システム部とマーケティング部の緊急会議が開催されていた。

私は大日本太郎　30歳。
○○株式会社でマーケティングを担当している。
自社に導入された、Salesforce Marketing Cloud（以下SMC）というMAを使ってメール配信を担当している。

先ほど、SMCを知っている人間として課長にチャットで呼ばれて、意気揚々と会議室に入ったら、花子部長の目の前に座らされてこの重い雰囲気を感じている。

「先々月から急にContact数が増えているのですが、どうしてですかね？」
花子部長はご立腹のご様子。

「ですから、われわれは、日々CX向上に向けたシナリオ企画と配信を行っているだけで、Contact数を増やした覚えはありません。」
課長も言っていることは正しい。

「MAで使うデータはこちらで管理していますが、会員数は80万件であると部下から報告を受けています。それなのになぜか、Contact数が95万件にまで増えているのです。」
そう言いながら手元の報告資料に目を落としている。
マーケティング部の課長が、そっと私の耳元でささやく。
「太郎、何か心当たりあるか？」

「先々月というと、ちょうどアプリユーザー向けにPush配信ができるようになったころですよね。おそらくですが、その時にすべての連絡先の登録者数が増えたのかと思います。」

「すべての連絡先ってなに？」

「結論から申し上げますと、Contact数と同じです。Contact数をSMC（Salesforce Marketing Cloud®）の画面上で確認する時には、すべての連絡先というところを確認します。」

「あ～」
ご納得のご様子。

「そうなると、実際はアプリユーザー向けのPush配信を実装してもContact数は増えないということだよね？どうして今回は、Push配信後にContact数が増えたんだろうか？」

「それはですね。」
と言いながら私は、図１を近くのホワイトボードに書きなぐった。

「まず、元々の会員数80万人、アプリをダウンロードして、アプリを起動したユーザーが25万人いました。その内、25万人のアプリユーザーのなかで10万人は既存会員だということがわかっているので、会員になっていないアプリのみのユーザーが15万人になります。」

「ほ～う。」

「会員の全数と会員になっていないアプリのみのユーザーが15万人になりますので、Contact数（すべての連絡先に入っている数）は合計で95万人となります。」

「会員数はメールアドレスがわかっていますので、メール配信可能とした時に、チャネル別の配信可能数でまとめますと」
私は、そう言ってホワイトボードの端に続けて下記のような内容をまとめた。

メール配信のみ：70万人
メール配信＆アプリPush：10万人
アプリPushのみ：15万人
「ということになります。」

一通りの説明を終えると、すでに問題が解決されたかのような顔をして花子部長と課長がうなずいている。その後システム部の担当者と協力して[すべての連絡先]からデータを削除していくことになるのだが、それはまた後日。

本コラムは、執筆時点のSMC（Salesforce Marketing Cloud®）の仕様にもとづいて執筆しております。執筆後に仕様変更が入る場合がございます。
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※2022年4月時点の情報です。