金属製品の輸送・輸出時における防錆包装選びのポイント
金属製品・部品の保管や輸送をする上で錆は切っても切れない課題の一つ。本コラムでは、輸送・輸出(輸入)時における防錆梱包(防錆包装)を検討するにあたって注意すべき3つのポイントを整理します。
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お客様の製品・部品、包装方法、保管・輸送条件に応じた形状提案、見積が可能です。 DNP防錆性フィルムに関する各種データ提供や、DNPのフィルムによるお客様製品・部品での防錆試験も可能ですので、ぜひ気軽にお問合わせください。
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錆発生のメカニズム
そもそも錆とは、
- ① 水分
- ② 酸素
- ③ 硫黄などの腐食性物質
- ④ 人の汗や海水などの汚れ
などによって、金属が電気化学反応によって酸化・腐食する現象のことを指します。
これらの中で、主に製品の保管や輸送の際にトリガーとなるのが水分と酸素ですが、まざまな要因によって錆の反応速度は増減します。次項より、輸送・輸出時に防錆包装を検討する上でチェックすべき3つのポイントをご紹介します。
ポイント1.製品・部品の特徴を理解する
製品・部品の特徴・特性によって錆対策が必要なレベルが分かれます。
材質
金属といっても、さまざまな材質が存在しています。
特に錆のリスクが高い材質として、ステンレス鋼を除いた精密な表面のマグネシウム合金やマグネシウム、鉄鋼、鉄鋼合金があります。またステンレス鋼を除いた精密ではない鉄鋼、マグネシウム、その合金や銅、銀、錫をめっきした鉄鋼なども錆リスクの高い材質といえます。
表面仕上げ
表面仕上げには金属表面への精密加工や塗装やめっき、化成処理などの表面処理がありますが、金属の材質と表面仕上げの組み合わせによって錆のリスクは異なってきます。例えば、表面に精密加工を施していても、ステンレス鋼の場合はリスクは低く、マグネシウムやマグネシウム合金、鉄鋼などは錆びやすい傾向にあります。
製品の仕様とその錆のリスクを的確に認識することが重要です。
清浄、脱脂方法
清浄は金属の表面に付着する異物を取り除き、その異物により金属に錆が生じるのを防ぐことにつながり、非常に重要なポイントです。清浄や脱脂の方法は金属の材質などによって適切なものが存在します。ここでは、JIS規格(JIS Z 0303 さび止め包装方法通則)に規定されているものをご紹介します。
・清浄:溶剤清浄、蒸気清浄、乳剤清浄、電解清浄、熱水蒸気製造、超音波清浄など
・脱脂:蒸気脱脂など
・その他:液体ホーニング、ブラスト、酸除せい、アルカリ除せい、電解除せい
ポイント2.保管・輸送条件を確認する
温度
温度が高くなると、その大気中に含まれる水蒸気量、また金属材料が接触する水分の量が増加します。これに伴い、腐食速度が増大し錆びるスピードが増します。鉄の場合、一般的に温度が10℃上昇すると錆びるスピードは1.5倍増えるといわれています。
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湿度
湿度の低い乾燥した空気中だと錆はほとんど発生しない一方、湿度が高い空気中では著しく錆が進行していきます。これは金属の表面に形成された水膜中で電気化学反応が発生し、錆となるためです。
錆びやすさ(腐食速度)は湿度の上昇に応じて等速度的に高まるわけではなく、およそ相対湿度50~60%を境として、急激に腐食速度が高まります。
防錆対策を考えるにあたっては、いかに湿度50~60%を超えないようにするか、を考えていく必要があります。
空気汚染物質
腐食に関連する汚染物質の代表例
・ガス体(二酸化硫黄、二酸化窒素、窒化水素)
・個体(海塩粒子、降下煤塵、一般の塵埃など)
輸送中にどのような汚染物質に晒される可能性があるのかを予測することは困難です。ある程度の密封包装にすることによって、製品の汚染リスクをコントロールする必要があります。
ポイント3.輸送中リスクを洗い出す
保管場所でのリスク
保税倉庫や港での滞留場所なども確認しなければならない重要なポイントです。
例えば人為的な要因として、現地の税関での荷扱いも見落としがちなリスク。製品が見えない梱包だと無断で開封されてしまうケースも散見され、出荷時はしっかりと梱包されていてもユーザーの手に渡る際には開梱され錆びていた…といったことも十分考えられます。
防錆包装を検討する際には、こうしたリスクを理解した上で、中身が見える透明な包装材を用いるなどの対策も必要になってきます。
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温度と湿度の変化リスク
製品や部品の輸出は船によるものが全体の99%を占めます。船による輸出は温度と湿度の変動が大きく、赤道付近を通過する場合、製品や部品は高い温度・湿度環境に長時間晒され続けることとなります。
シップスイート
通過する地域の気候に影響を受ける一例としてシップスイートがあります。
シップスイートとは、南米の西岸など冷たい海の流れ(寒流)が赤道の付近まで北上している地域において、船が赤道付近に到達した際に船自体がこの寒流によって急激に冷やされること。それにより船内の暖かかった空気も冷やされて、壁や天井に結露が発生する場合があります。こうした急激な温度の変化は結露の発生につながり、結露は錆を誘因するため大きなリスクとなります。
急激な温度の変化は船だけではなく航空貨物でも発生するため、輸出の際は結露を見込んだ対策が必須といえます。
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さまざまな輸送リスクをカバーするDNP防錆性フィルム
以上のような注意点・リスクを考慮した輸送梱包材としてDNP防錆性フィルムをおすすめします。
DNP防錆性フィルムは、独自の蒸着技術とコーティング技術を組み合わせた透明蒸着バリアフィルム「IB-FILM®(DNP製品)」を使用しており、酸素、水蒸気の透過を防ぐ高いガスバリア性を備えています。
温湿度の影響が少なく内容物の劣化を防止するとともに、透明であることで内容物の状態を確認することも容易なため、食品、医療、ディスプレイなどさまざまな分野で応用されています。
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DNP防錆性フィルムのポイント
- ガスバリアフィルムが酸素と水蒸気をブロック、船や飛行機での急激な温度変化、輸送中環境に左右されることなく錆の発生を抑制
- 透明で中身が見えることで、出荷検査や税関、納入側での受入検査が容易に
- お客様の製品形状・出荷の荷姿に合わせオーダーメイド生産のため最適な包装形状を実現
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DNP防錆性フィルムが適しているシーン
DNP防錆性フィルムは「透明」で「清潔」に製品を輸出中の過酷な環境変化から守ることが可能です。特に以下の様なシーンではDNP防錆性フィルムのご使用が最適です。
- 防錆は必要だが、防錆油や防錆剤は極力使いたくない(塗布や脱脂・洗浄をしたくない)
- 製品・部品が受ける湿度の影響を少なくしたい
- 外から製品が見える包装形態にしたい
参考文献
・防錆技術学校教科書基礎課程/日本防錆技術協会
・防錆技術学校 防錆包装科教科書/日本防錆技術協会
※IB-FILMは、DNP大日本印刷の登録商標です。
※本ページの内容は2023年2月現在の情報です。
オンラインセミナー アーカイブ
2023年8月7日に実施したオンラインセミナー『DNP P&Iセミナー 新しい防錆包装とリサイクルについて』では、日本防錆技術協会の講師で、弁理士でもある土屋 博隆様をお招きしご講演いただきました。また「DNP防錆性フィルム」についてもご紹介しました。こちらから動画がご覧になれます。
動画:DNP P&Iセミナー 新しい防錆包装とリサイクルについて(46分57秒)
【INDEX】
0:50~ 講師紹介
◇新しい防錆包装とリサイクル (土屋様ご講演)
2:50~ 錆のメカニズムと防錆方法
11:40~ 防錆フィルムとは
18:00~ プラスチック容器・包装の環境対応
◇製品紹介/質疑応答
31:45~ DNP防錆性フィルムのご紹介
38:15~ 質疑応答
- 【講師:土屋博隆様プロフィール】
1978年DNP入社。一貫して包装材料の加工技術及び新規包装材料の開発に従事、具体的にはフレキシブル包装材料・液体紙容器・透明蒸着等の開発やフレキシブルパッケージのLCA評価を行った。この間1998~2004年は包装研究所所長を務める。
2015年退社後、日本包装コンサルタント協会に入会、2016年弁理士登録を行い現在弁理士として特許関連業務を行いながら、日本防錆技術協会の講師として講演や各種包装関連講習会の講演を精力的に行っている。
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