コロナ禍で模倣品被害に変化!今、対策すべきこととは?
模倣品被害は深刻な状況にあります。
コロナ禍でECの利用が増えていることもあり、被害の傾向にも変化が生じています。本稿では、コロナ禍をふまえた模倣品被害の状況に加え各社の事例も参考に、ホログラムを用いた模倣品対策方法を紹介します。
※2022年12月時点の情報です
模倣品被害の現状
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まず、模倣品被害の現状とコロナ禍による変化について整理します。
模倣品被害額
特許庁が2021年に実施した調査※1によれば、2019年の世界全体のグローバル貿易取引のうち2.5%が模倣品で占められています。日本企業においては、グローバルでの総輸出額のうち約9.6%、金額にして約3.2兆円/年(推計)もの模倣品被害が発生しているとされています。
主なカテゴリーの2020年の模造品被害額は以下の通りです。
・医薬品:3,635億円
・衣類:989億円
・食品:741億円
・小型家電:538億円
・コスメティック:460億円
模倣品が、看過できない重要な問題として認識されている企業も多いのではないでしょうか。
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※1 参考:特許庁「令和3年度我が国法人の産業別模倣被害推計調査」
https://www.jpo.go.jp/resources/report/mohohin/document/sonota/mohouhigai_suikei.pdf
コロナ禍において変化する模倣品被害
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コロナ禍においては、ロックダウンや外出自粛の影響により生活様式は大きく変化しました。結果として、模倣品被害の傾向も変わりつつあります。
経済協力開発機構(OECD)および欧州連合知的財産庁(EUIPO)が2021年に発表した報告書※2によれば、生活様式の変化に伴うECの利用増により、オンライン取引を悪用した模倣品被害が増加していることが指摘されています。
また、医薬品や高性能マスク・防護眼鏡などの個人用保護具など、コロナ禍により需要が急増した製品は特に被害が深刻です。同調査によれば、医療品の模倣品取引はコロナ禍前後で約25ポイント増加したと推計されています。さらに同報告書では、近年被害が増加した品目として玩具・ゲーム・香水・化粧品などを挙げています。特に中国においてこれらの模倣品が流通している状況にあります。
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※2 参考:OECD「Global Trade in Fakes A Worrying Threat」
https://www.oecd.org/publications/global-trade-in-fakes-74c81154-en.htm
模倣品被害を受けやすい製品の特徴とは
上述した特許庁による「我が国法人の産業別模倣被害推計調査」によれば、模倣品被害を受けやすい製品には「動かしやすく」「すぐに売れ」「人気かつ高価格である」という特徴があるとされています。
具体的には、飲食料品、化粧品・トイレタリー、カバン・衣類、医療器具、小型家電などが「模倣されやすい産業」として特定されています。
模倣品による二次被害のリスクとは
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模倣品により二次的な被害を引き起こすリスクもあります。以下で詳細を解説します。
模倣品被害は波及する
模倣品による被害は、企業の販売機会損失や価格の低下、消費者の誤認による逸失利益といった一次的な被害にとどまりません。例えば、企業にとっては品質の悪い模倣品が原因で風評被害を受けたり、ブランド力の低下を引き起こしたりするリスクがあります。
また、消費者にとっては模倣品の利用により、健康被害や機器の故障などを引き起こす危険性もあります。これらのリスクは、模倣品の二次被害と呼ばれています。
模倣品対策の重要性
模倣品被害を防ぐためには、そもそも模倣品を消費者が購入しないようにするための対策が重要となります。対策の方法はさまざまな手段が考えられますが、例えば製品管理ナンバーをパッケージなどに付与し正規品を識別する方法も検討できます。
また、識別マークとしてホログラムシールを製品に付与することで、誰でも容易に正規品を判断できるようにする対策も有効でしょう。
各社の模倣品対策事例
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各社では、どのように模倣品対策を行っているのでしょうか。以下で、主な事例を紹介します。
事例①:SNS監視事例
家電メーカー大手のA社では、2022年4月からSNSで不正な広告や投稿の監視を始めています。同社の模倣品被害は世界で年間数十万件に上ると推計されており、電池やドライヤーなど多くの模倣品がECサイトで売られてきました。
最近では、SNSを入り口として模倣品を販売するECサイトに誘導するという手口も増えています。そこでA社では、機械学習で画像データなどを分析する技術により、SNSを監視。不正な広告や投稿と思われるものを対象に削除申請を行うなど、SNSを経由した模倣品被害の対策を進めています。
事例②:QRコードによる正規品確認事例
化粧品大手のB社では、自社のスキンケア製品を対象に、化粧箱に製品管理ナンバーを含むQRコードラベルを貼付し、正規品であるかを確認できる仕組みを導入。製品の購入者は、アプリをインストールの上QRコードを読み取ることで、製品が正規品であるかを知ることができます。
同社では模倣品被害が深刻である中国における販売量も多く、またスキンケアという直接肌に触れる製品であるという点も考慮し、このような仕組みを導入しています。
模倣品対策に有効なリップマンホログラムとは
製品の購入者が正規品であるかを確認できる仕組みとしてQRコードを利用した事例を紹介しましたが、当社では専用アプリなどを使わずとも消費者が目視で確認でき、かつ模倣行為を抑止する対策として、「リップマンホログラム」を提供しています。
以下では、リップマンホログラムについて紹介します。
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まねされにくい技術
リップマンホログラムとは、フィルム上に特殊なフォトポリマー層を塗布し、ホログラムにしたい物体から反射させた光の情報に応じて、材料内部の構造を変化させ記録したホログラムのことです。
奥行きのある立体感の表現や、複数の立体画像の切り替え、アニメーションの表現などが可能です。
リップマンホログラムの製造には高度な複製技術を要するため、量産可能なメーカーは世界でも限られており、偽造は極めて困難です。
当社は、40年にわたり最先端のホログラムを開発してきた実績から、国内で唯一リップマンホログラムを量産できるメーカーです。
わかりやすさというメリットも
真贋判定を行う際に重要なのがわかりやすさです。消費者・流通関係者・税関などにおいて、特殊な判定器具がなくても正規品を識別できることがポイントとなります。
リップマンホログラムのメリットは、目視で正規品を判別できる点にあります。
なお、ホログラムを利用した対策を行う場合は、自社が採用しているホログラムのデザインを広く消費者や関係者に告知することも重要です。カタログやインターネットなどで、製品購入時にホログラムの有無を確認するよう消費者に伝えることで、模倣事業者に対するけん制にもなります。
さまざまな製品への導入実績も
リップマンホログラムは模倣品対策として自動車部品、電子部品、バッテリー製品、医薬品、プリンターサプライ品など、国内外の多くの製品に採用されています。模倣品の減少や消費者へ安心感を提供するなどの効果を実現しています。
また、上述した通り中国においては模倣品被害が多く報告されていますが、中国では偽造・模倣等違法行為を予防し取り締まるべく「製品偽造防止監督管理弁法」が定められています。
リップマンホログラムは同法にもとづく認証である「防偽技術評審証書」を取得済みですので、中国での模倣品対策としても活用できます。
まとめ
本稿では、最新の模倣品被害状況やその対策事例、さらに模倣品対策に有効なリップマンホログラムについて紹介しました。模倣品被害は深刻な状況であり、喫緊の課題としてとらえている企業も多いのではないでしょうか。
現在、当社では本稿でご紹介したリップマンホログラムのサンプルをご提供しています。ぜひ一度、実物を確認してみてください。