なぜ今動画マーケティングなのか? ~最新事例とAIで進化する動画マーケティングの未来~
近年、企業のWebサイトやFacebookなどで、動画広告や説明動画を見かけることが多くなっています。文字情報以上の情報量があり、かつ理解しやすい、動画を用いたマーケティングは主流になりつつあるといえます。
このコラムでは、動画を顧客ごとにパーソナライズすることで、より効果をあげる方法と最新事例、そして、近い将来、AIによって動画マーケティングがどのように進化するのかについて、紹介します。
目次
1.なぜ今動画マーケティングなのか
1-1.科学的にも実証された動画の効果
1-2.インターネットインフラ環境の改善
1-3.動画制作期間の短縮、制作コストの改善
2.動画マーケティング最新事例
3.動画マーケティングの未来
3-1.動画マーケティング市場の急成長
3-2.DAM(デジタルアセットマネジメント)との連携
3-3.AIによる動画コンテンツの自動作成
3-4.AIによる動画コンテンツの自動配信
4.まとめ
1.なぜ今動画マーケティングなのか
1-1.科学的にも実証された動画の効果
人はコミュニケーションにおいて視覚情報を重視する傾向にあります。これは、「動き」に対して注意を払う危険を察知する本能であり、日常生活においても動くものに対して目が奪われやすい性質があるためです。つまり、多くの広告やコンテンツのなかで、より人々の目を引くためには静止したコンテンツではなく、動画を活用するというのは有効です。
理解のしやすさという観点でも、文字だけの資料よりも図の入った資料の方が、小説よりも映画の方が、わかりやすいと感じるのではないでしょうか。動画マーケティングでは、十分な情報量を聴覚・視覚情報によって提示することで、短い時間で、伝えたい内容を端的に伝えることができます。
また、動画で示す内容と、動画内のストーリー、音楽のすべてが調和することで、非常に強い印象を与えることができます。人は、他人の行動を自分の行動のように認識、共感し、感情的なつながりを生み出すことが科学的にも証明されています。このように動画を通して感動が動くと、より深く記憶に残り、内容を定着化させることができるのです。
アメリカ国立訓練研究所が提唱する「ラーニングピラミッド」においても、文字を読んだ際の記憶定着率が10%なのに対し、動画を視聴した場合の定着率は20%であり、2倍の効果があるとされています。
近年、多くの企業で、顧客ごとに最適なタイミングで、パーソナライズされたコンテンツやDMを配信するパーソナライズド・コミュニケーションが導入されています。この際、顧客の理解や感情に大きな影響を及ぼす動画コンテンツを用いれば、顧客の感動体験を創出し、自社のイメージやロイヤルティを高めるのに効果的です。説明が必要なサービスや商品においても、短時間で理解を促すことができます。
1-2.インターネットインフラ環境の改善
インターネットインフラの環境が急速に成長したことも動画活用が進んでいるひとつの理由です。
動画は、画像に比べて情報量が多いため、多くのパケットを必要とします。3Gや以前の環境では通信能力に限界がありましたが、4G時代になり快適に動画を見られる時代になりました。
2020年頃に実用化される見込みの5Gになると、さらに大容量の動画を手軽に見られるようになるでしょう。
1-3.動画制作期間の短縮、制作コストの改善
また、動画制作期間の短縮と制作コストの改善も大きな要因のひとつです。
動画制作は、従来はクリエイターが専門ツールを使って制作していました。人の処理能力には限界があるため、どうしても制作期間が長くなりコストも高くなりがちでした。近年では、動画制作を効率化させるさまざまなサービスが登場しており、短期間・低コストで動画を制作できるようになっています。
たとえば、主にチラシでプロモーションしていた企業がWebサイトで動画を使ったプロモーションをはじめたいとします。通常動画制作に数ヶ月の期間がかかりますが、最新のサービスを活用すると最短48時間で訴求力の高い動画を制作することができます。
企業側は、以下3点を行うだけですので労力をとられることもありません。
・チラシデータの提供
・動画フォーマットの選択
・訴求ポイントの指示
このような3つの背景から、動画活用が急速に拡大しているのです。
2.最新動画マーケティング事例
パーソナライズド動画を用いたOne to Oneマーケティングは既に広がりつつあります。具体的な事例として、大同生命の事例を取り上げます。
この事例では、顧客の契約内容や状況に応じて、契約内容や想定されるリスクを伝える動画を個々にカスタマイズして提示します。これにより、顧客は、自身の保障内容やリスクへの対処法を端的に理解することができるようになります。保険商品は複雑で、紙資料だけでは営業担当にとっても説明しづらく、顧客にとっても、自分の保障内容や他にどのようなリスクがあるのかの理解や、保障内容の再確認・見直しが難しいという課題がありました。個人に合わせてカスタマイズされた動画を利用することにより、これらの課題が解決するようになります。
3.動画マーケティングの未来
3-1.動画マーケティング市場の急成長
スマートフォンの性能改善・普及により、通勤・通学中などの空き時間に、手軽に動画を視聴できる環境になりました。それに伴い、動画マーケティングは急速に普及しています。サイバーエージェントが発表した調査によると、2018年の動画広告市場は、対前年比134%拡大し、2024年には4,957億円にまで到達する見込みです。
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(参考:株式会社サイバーエージェント 2018年国内動画広告の市場調査)
これまで、コンテンツマーケティングは、メールやebookなどの静的コンテンツを利用するのが主流でした。しかし、動画コンテンツを用いることで、より顧客の興味・関心を惹き、理解を得ることができます。今後、動画コンテンツによるマーケティングを行う時代が、本格的に到来すると考えられます。
3-2.DAM(デジタルアセットマネジメント)との連携
動画マーケティングを効率的に進めるためには、作成した動画を管理し、配信する仕組みがより重要になります。DAMと呼ばれるコンテンツ管理システムを用いれば、タグを利用し必要な動画データを容易に管理・検索することができるようになります。
また、動画コンテンツのメリットを活用するには、MA(マーケティングオートメーション)ツールを利用して、顧客の興味・動向を把握した上で、最適なコンテンツを最適なタイミングで配信することも必要です。
3-3.AIによる動画コンテンツの自動作成
AIが、素材を元に動画コンテンツを自動で作成することさえも可能となりつつあります。実際に、消費財メーカーなど一部の大手企業でもAIを使った動画コンテンツの自動作成の導入検証がはじまっています。
動画の作成は、内容の検討から絵コンテの作成、撮影やBGMの選定・編集など、多くの時間や費用がかかり、手を出しにくい側面がありました。今後、技術が発展・浸透することにより、これらの障壁が下がり、多くの企業で、動画マーケティングがより一層取り入れられるでしょう。
3-4.AIによる動画コンテンツの自動配信
AIの進歩により、顧客ごとの最適な動画コンテンツの配信を自動で行える時代が来ると考えられます。たとえば、DAMシステム上に保存されたコンテンツのタグを参照して、顧客ごとに最適なコンテンツを自動で選択、MAを通じて配信することが可能になります。これにより、動画コンテンツの数が充実しても、手間をかけることなく、顧客に応じた配信を行うことができます。
ただし、自動化を行うには、AIが自動選択・送信ができる環境が整っていることが前提となります。メタデータなどのタグ付けにより、動画の種類や内容を選別できるようにDAM等のシステムで管理されていること、MAなど自動配信のシステム利用と仕組みが整っていることが必要です。
4.まとめ
このコラムでは、動画マーケティングについて、普及が進む背景とメリット、最新事例、AIによる自動化について説明しました。パーソナライズド・コミュニケーションと、動画マーケティングは親和性が高く、より高い効果を得られます。動画コンテンツの制作・管理は手間がかかるものでしたが、近い将来、DAMやMAなどのシステム連携、AI技術連携により自動化が進み、効率的に行えるようになります。さらにその先の未来では、顧客が行動を起こせば起こすほど、動画コンテンツのパーソナライゼーションの精度が自動的に上がっていく仕組みになっていくでしょう。しかしながら、それはまだ先の話です。まずは、マーケティングの効果をあげるために、パーソナライズド動画を利用した、動画マーケティングを検討してみてはいかがでしょうか。
※2019年6月時点の情報です。