金属製品・材料を錆から守る防錆方法の種類と比較
おすすめの防錆包装材

金属材料や金属を含む機器・製品にとって錆は大敵、商品価値を大きく下げてしまいます。 近年、製造業のグローバル化とともに、金属製品のサプライチェーンはますます多様化しており、製品の輸送・保管環境はより過酷になる一方です。従来では問題のなかったものも、温度や湿度環境が過酷になることで「錆」として品質問題に繋がることもあります。こうした状況から、金属製品を長期間保管したり、輸出などの長距離輸送をする際には、こうした「錆」のリスクを考慮した防錆包装が必要となっています。

錆とは

一般的に空気や湿度などで金属表面が酸化、腐食されてできるものを錆といいます。錆は金属が劣化していることを示すため、保管時、輸送時に錆の発生を防ぐことが重要です。

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主な防錆技術の種類・メカニズムと比較

主に包装材で防錆の予防措置をとる場合、以下の方法があります。

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防錆技術比較表
※インヒビター:金属の錆または腐食を抑制する性質をもった添加剤のこと。

防錆紙

防錆紙は、錆を防止する機能を付与した包装紙です。一般的に、クラフト紙などに気化性の防錆剤を塗布、または含侵させて製造されます。一定の防錆効果を発揮しますが、包装する製品・部品側と防錆紙から起因する紙粉による作業環境の汚染や気化性防錆剤のブリードアウト(溶出)などのデメリットがあります。

主な防錆紙の構造・仕組み



防錆フィルム

防錆フィルムは、一般的にはフィルムに気化性の防錆剤を混合または塗布して製造されたフィルムです。こちらも防錆性を有しますが、包装する製品・部品に気化性防錆剤がブリードアウト(溶出)し、匂いや防錆成分が付着するデメリットがあります。

主な防錆フィルムの構造・仕組み



可剥性プラスチック

製品の表面にプラスチックの被膜を作り錆から守る方法です。スプレーコートや熱間浸漬によりプラスチック被膜を構成する必要があり、使用前にはそのプラスチックを剥がして使用します。

主な可剥性プラスチックの構造・仕組み



バリア包装(アルミ・透明)

アルミ箔やバリアフィルムを貼り合わせることで、錆の要因となる外部からの水分・酸素を抑制する機能を持つフィルムです。一般的な食品包装にも使用する材料のため、気化性防錆剤を添加しておらず、製品・部品を汚染することが無く、安全性に優れています。
一般的に、PETやナイロンなど外部からの耐突刺性を付与する最外装フィルム、PEなど密封する際のシール性能を付与するシーラントフィルムを貼り合わせ、ラミネートフィルムとして製造します。


バリア包装(アルミタイプ)
アルミタイプはアルミ箔やアルミ蒸着フィルムを用いたタイプです。
外部からの水分・酸素を抑制する優れた機能を持ち、遮光性がありますが、外部から中身を見ることが出来ません。また金属由来のフィルムのため、輸出や受入検査などの際に金属探知機に反応してしまうことがあります。

主なバリア包装(アルミタイプ)の構造・仕組み



バリア包装(透明タイプ)
透明タイプは透明蒸着フィルムを用いたフィルムです。
透明蒸着フィルムが外部からの水分・酸素を抑制する機能を持ちます。フィルムは透明のため、外部から中身を視認することが可能です。また金属由来ではなくフィルムのため、輸出や受入検査などの際に金属探知機することもありません。

主なバリア包装(透明タイプ)の構造・仕組み

DNPは、この透明タイプのバリア包装である「DNP防錆性フィルム」を提供しています。詳細を次の章で説明します。

DNPの防錆性フィルムとは

おすすめの防錆包装材料、DNP防錆性フィルムについてご紹介します。

技術と特長

DNP防錆性フィルムは、独自の蒸着技術とコーティング技術を組み合わせた透明蒸着バリアフィルム「IB-FILM(DNP製品)」を使用しています。
酸素、水蒸気の透過を防ぐ高いガスバリア性を備え、温湿度の影響も少なく内容物の劣化を防止することができます。また、透明であることで内容物の状態を確認することも容易なため、食品、医療、ディスプレイなどさまざまな分野で応用されています。

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IB-FILMと他のバリアフィルム性能比較表


防錆性能実験の結果

一般的なフィルム包装材とDNPのIB-FILM(透明蒸着バリアフィルム)を用いたラミネート包装材に金属材料(SPCC)を封入、40℃90%RHの恒温恒湿庫に9週間保管した結果、IB-FILM仕様に封入した金属は錆を抑制出来ていることが確認されました。

防錆性能の比較実験結果


環境に配慮したカスタマイズが可能

要望にあわせて環境配慮型製品(易リサイクル性、プラスチックの減量、バイオプラスチックやリサイクルプラスチックなど)からLCA比較まで対応することができます。

参考情報:【ニュースリリース】パッケージのライフサイクルCO2を算定するシステムの第三者認証取得へ
参考情報:【製品】DNP環境配慮パッケージング GREEN PACKAGING




※本ページの内容は、2022年4月時点の情報です。



オンラインセミナー アーカイブ

2023年8月7日に実施したオンラインセミナー『DNP P&Iセミナー 新しい防錆包装とリサイクルについて』では、日本防錆技術協会の講師で、弁理士でもある土屋 博隆様をお招きしご講演いただきました。また「DNP防錆性フィルム」についてもご紹介しました。こちらから動画がご覧になれます。


動画:DNP P&Iセミナー 新しい防錆包装とリサイクルについて(46分57秒)


【INDEX】
  0:50~ 講師紹介
◇新しい防錆包装とリサイクル (土屋様ご講演)
  2:50~ 錆のメカニズムと防錆方法
 11:40~ 防錆フィルムとは
 18:00~ プラスチック容器・包装の環境対応
◇製品紹介/質疑応答
 31:45~ DNP防錆性フィルムのご紹介
 38:15~ 質疑応答


講師:土屋博隆様

1978年DNP入社。一貫して包装材料の加工技術及び新規包装材料の開発に従事、具体的にはフレキシブル包装材料・液体紙容器・透明蒸着等の開発やフレキシブルパッケージのLCA評価を行った。この間1998~2004年は包装研究所所長を務める。
2015年退社後、日本包装コンサルタント協会に入会、2016年弁理士登録を行い現在弁理士として特許関連業務を行いながら、日本防錆技術協会の講師として講演や各種包装関連講習会の講演を精力的に行っている。

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