マンションインテリア動向レポート 2021

DNPでは、長年にわたりマンションのインテリアトレンドの調査を行い、WSシリーズの開発を行ってまいりました。 本コラムは2021年7月に行った「DNP Design Days 2021 SUMMER」におけるマンションインテリアセミナー内容を抜粋してご紹介いたします。

最近のトレンドに至る変遷の一情報として、今後のインテリア開発の参考にしていただけたら幸いです。
*各グラフは小数点以下の端数処理により、合計が100%とならない場合がございます。

調査の概要

調査対象としたモデルルームの立地

調査期間:2021年1月~6月
対象エリア:首都圏(都心部、都心近郊、郊外部)および近畿圏(大阪、阪神間、京都)
調査物件数:首都圏46物件59モデル、近畿圏56物件69モデル

インテリアイメージの分類

調査結果をもとに、建具と床のカラーを基準にインテリアを5つのグループに分類しご紹介していきます。

インテリアカラーマップ

柔らか⇔重厚、穏やか⇔スマートの軸を設けて、インテリアのグルーピングを行いました。

ペール・ライト、オフホワイト、ミディアム、グレー・ディープ、ダークの5種類

各カラーグループの意味合い

ホワイトからライトグレーの木目を中心とした、すっきりとした空間

オフホワイトカラーの室内

グレーやディープ(黒)の木目を中心とした、スタイリッシュでかっこいい空間

グレー・ディープカラーの室内

ペール・ライトといった明るめの木目を中心とした、ナチュラル質感の空間

ペール・ライトカラーの室内

ミディアムカラー領域の木目を中心とした、穏やかな中に上質感のある空間

ミディアムカラーの室内

ダークカラーの木目を中心とした、木質の味わいのあるオーセンティックな空間

ダークカラーの室内

調査結果

2021年 インテリアカラーマップ

首都圏

首都圏のカラーマップ

※数字は2019年と2021年との比較






近畿圏

近畿圏のカラーマップ

※数字は2019年と2021年との比較



首都圏、近畿圏ともにグレー・ディープゾーン、ペール・ライトゾーンにボリュームがあり、逆にダークゾーンについては前回よりもボリュームが激減しました。これは物件数、物件の偏り、調査物件の規模やタイプによる影響も考えられます。




最近のリビングルームを中心としたインテリアカラーはグレーにシフトしてきているといえます。いわゆる従来のグレーのイメージとは関係の薄かったライト・ペール ミディアム ダークでもファブリックや家具・調度品だけでなく、空間全体としてグレーニュアンスのインテリアが増加しつつあります。

ぺール・ライト系

2015年と2021年でのペール・ライト系カラーの変化

ミディアム系

2015年と2021年でのミディアム系カラーの変化

ダーク系

2015年と2021年でのダーク系カラーの変化


インテリアカラーの変化

カラーのポジション変化



オフホワイトゾーンの白はライトグレーやペールに近いベージュの方向に変化してきています。またペール・ライトゾーンの色味は、彩度が落ちてマップの中心の方向に、いわゆるグレージュといった色味に近づいてきています。これはミディアムゾーンにも同じ動きを示しています。ダークゾーンのダークブラウンは、一つ目の変化は、明度が高くなってミディアムゾーンに近づいていく方向、もう一つの変化は、彩度が落ちて、隣のグレー・ディープゾーンに近づいてきています。

建具のカラー動向

首都圏

グラフ:首都圏の建具カラーの割合 2021年はダークカラーが減少、グレーやライトカラーが増える


ダークインテリアの減少に伴い、ダークの建具の比率が下がっています。グレー・ディープのインテリアのボリュームを考慮すると、そこには黒に近いディープカラーの建具よりもグレーの建具が多く存在していることが推測できます。またペール・ライトのインテリアの増加でライトカラーの建具が増加しています。

近畿圏

グラフ:近畿圏の建具カラーの割合 2021年はダークやグレーカラーが増加。


近畿圏でもダークのインテリアが減少傾向でしたが、ダークの建具は増加しています。またミディアムインテリアの増加に対して、ミディアムカラーの建具は減少傾向です。ミディアムのインテリアやグレー・ディープのインテリアなどにダークの建具が使われていると推測されます。

床のカラー動向

首都圏

グラフ:首都圏の床カラーの割合 2021年はグレーカラーが増加


ここ数年、黒に近いディープカラーのフローリングは姿を見せなくなりました。ミディアムカラーのフローリングは減少傾向です。ただしミディアムインテリアは一定量存在しているので、ミディアムインテリアには他のカラー領域のフローリングが使われていると想像できます。

近畿圏

グラフ:近畿圏の建具カラーの割合 2021年はグレーカラーが増加


近畿圏では、ダークのインテリアが減少傾向なのに対して、ダークのフローリングが増加しています。グレー・ディープのインテリアやミディアムのインテリアなどにもコントラストの関係でつかわれているものと推測されます。

床と建具のコントラスト動向

首都圏

グラフ:首都圏の床と建具のコントラスト動向


床と建具のコントラストの関係は、首都圏においては、ここ数年建具よりも淡い・半淡いという、建具が床よりも濃いアクセントとなるバランスが主流です。

近畿圏

グラフ:近畿圏の床と建具のコントラスト動向


床と建具のコントラストの関係は、近畿圏においても、ここ数年建具よりも淡い・半淡いという、建具が床よりも濃いアクセントとなるバランスが主流です。近畿圏においては、床と建具が同じトーンのものがひところは多かったものの最近では、インテリアカラーの傾向を反映して、首都圏と同じバランスになってきています。

各カラーグループの傾向

ホワイトからライトグレーの木目を中心とした、すっきりとした空間。最近では質感の深みのある明るいグレー、北欧風やそれに和が融合したジャパンディなインテリアが新鮮です。

オフホワイトカラーの室内

最近はクールグレーからウォームグレーまで、幅広いグレーのバリエーションが見られます。

グレー・ディープカラーの室内

ペール・ライトといった明るめの木目を中心とした、ナチュラルな空間。和感覚のインテリアやファミリーを意識した有機的なインテリアが見られます。

ペール・ライトカラーの室内

ミディアムカラー領域の木目を中心とした、穏やかな中に上質感のある空間。従来の彩度の高いミディアムではなく、彩度を抑えた落ち着きや渋めの印象のミディアムへと変化しています。

ミディアムカラーの室内

ダークカラーの木目を中心とした、木質の味わいのあるオーセンティックな空間。新しい方向性としては、明度を一段上げたヘビー過ぎないダークカラーへ、またダークの彩度が落ちてスタイリッシな方向にシフトしてきています。

ダークカラーの室内




おわりに

2021年8月に行ったDNP DESIGN DAYSマンションインテリアセミナーのダイジェストをご紹介してまいりました。インテリアデザインや空間開発に関わる方々の今後の企画・提案活動にお役立ていただけましたら幸いです。




ライター紹介

1983年DNPに入社し、住宅内装材やホテル内装材等の企画デザインを担当。1996年よりマンションモデルルームの内装調査を開始、建具・床材のデザイン開発とともに、長年にわたり各種セミナーにてトレンド情報の発信業務を担当。

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