現場レポート あのアイテムをデジタル化せよ!vol.2
「ネガ・ポジフィルム」編

第二回目の対象物は、「ネガ・ポジフィルム」です。ネガ・ポジフィルムとは、銀塩カメラに使われるフィルムのことです。業務資料やイベントの記録などを撮影し、そのままフィルムをしまいこんでいる企業も多いのでは…
今回は、劣化・退色しているケースも多い昔のフィルムに、適切な補正を加えつつデジタル化する現場に潜入してきました。

今回のアイテム「ネガ・ポジフィルム」

ネガ・ポジフィルム修正前

デジタル化における対象物の特性

  • 透過原稿のため、対応するスキャン機器が必要である。
  • 古い年代のフィルムが多く、劣化・退色しているケースがある。
  • ネガフィルム(画像:左)は、現像時に色や明暗が反転した状態になるため、フィルムを見ただけでは退色が分からない。一方ポジフィルム(画像:右)は、現像時に同じ色調で表現される。
調査員

それではいよいよ、ネガ・ポジフィルムをデジタル化する現場に潜入!
プロフェッショナルなノウハウの一端をご紹介します。

フォトレポート

STEP1 スキャン方法の選択

スキャナー

透過原稿をスキャンする場合は、通常は高速にスキャンできる「フレックスタイト(写真:上)」という機器を使います。A3以上のサイズや、より高い精度が必要な場合は、「ドラムスキャナ(写真:下)」を選択します。
ドラムスキャナは最大16000ピクセルで画像を読み込めるため、高精細なカラー原本にも対応できます。また、フィルムを専用のオイルに浸す「オイル巻き」をすることで、フィルムのまわりにオイルの膜ができ、ドラムの高速回転による摩擦などからフィルムを守るほか、ニュートンリング(滲み)がなく、フィルム上の薄い傷なら目立たなくなるメリットが。ただし、オイルなどの備品にコストがかかるため、対象物の目的にあったスキャン方法を選択することが大切です。
今回は、ドラムスキャナによるスキャンをレポートします。

STEP2 スキャン

ドラムスキャナーオイル巻き

まずはプレスキャンをし、本スキャン時の発色のベースとなるカラープロファイルを作成します。フィルムをオイルに浸し、ドラムスキャナの筒部分にフィルムを貼り付けていく「オイル巻き」を行い、スキャン作業をしていきます。

調査員

お客さまによっては、劣化や退色はそのまま表現してほしいという方もいるのだとか。お客様のご希望に合わせてカラープロファイルを作成していきます。

スキャン準備

カラープロファイルが出来上がったら、いよいよ本スキャンを行います。オイル巻きのときに気泡が入らないよう細心の注意を払いつつ、スキャン作業をしていきます。

セット起動

フィルムを貼り付けた筒をドラムスキャナにセットし起動させると、筒が高速回転し、スキャンが開始されます。

STEP3 基本補正

色味補正

スキャンが終わるとすぐに、橫にあるパソコン上でデータを確認し、基本補正を行います。オイルを落としたフィルムをパソコンの隣に並べ、原本と比較しながら調整していきます。ちなみにこのフロアはLED電球を使わず、美術館でも用いられるような、色みが正しく表現される電球を使っているため、正確な色味を確認できます。

STEP4 追加補正

専門チーム

お客様からご要望があれば、肌の色を明るくしたり、不要なものを削除したりといった追加補正を専門のチームが担当します。中でも、印刷物で利用される場合は、インクの発色を想定した微妙な調整を行うなど、長年にわたり印刷物を取り扱ってきたDNPのノウハウが活かされています。

説明員

約100名が在籍する画像補整の専門チームは、さまざまな印刷物の画像補正のノウハウ・実績を持っており、高度な補整を短納期で対応することが可能だそうです。

データ完成

ネガ・ポジフィルム修正後

調査報告

調査員

以前は、印刷に欠かせない原稿のひとつだったこともあって、印刷会社としてネガ・ポジフィルムに関して豊富な知識を持っています。現在では、社史や周年イベント向けのほか、劣化のリスクを回避するためにネガ・ポジフィルムのデジタル化を依頼されるお客様も多いそうです。

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ちりめん本

限られた社員しか入れない高セキュリティエリアで行われている作業の一旦を特別に写真付きでレポート。今回は、独特の風合いが特徴の「ちりめん本」です。

大判図面

第三回目の対象物は「大判設計図」をデジタル化する現場に潜入。大きいサイズに対応するだけで無く、図面や文字を鮮明にするための工夫もしています。

関連サイト

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