デジタルアーカイブ時代の幕開け!? 『e-文書法』ってなんだろう?

【印刷会社社員によるコラム 第3回】 会社法や税法などで保存義務が定められている一部の文書について、デジタルデータでの保存を認める法律『e-文書法』。 いわば企業のデジタル化に「お墨付き」がもらえたともいえるこの法律ですが、適用範囲が複雑でとても難しいのです・・・


このコラムのポイント

  • ターニングポイントは、2004年の「e-文書法」
  • 求められる要件は、見読性・完全性・機密性・検索性の4つ
  • ただし運用面で課題も。まずは部分的な導入を

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e-文書法とは?

e-文書法とは、2004年に制定された、「民間事業者等が行う書面の保存等における情報通信の技術の利用に関する法律」(平成16年法律第149号)と、「民間事業者等が行う書面の保存等における情報通信の技術の利用に関する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律」(平成16年法律第150号)の総称です。

簡単にいうと、会社法や税法などで保存義務が定められている一部の文書について、デジタルデータでの保存等を認める法律になります。これによって企業のデジタル化に「お墨付き」がもらえたともいえます。しかし、この法律、適用範囲が複雑でとても難しいのです。


すぐに手を出すには複雑で難しい適用範囲

e-文書法が求めるデジタル文書のガイドラインによれば、求められる要件は基本的には以下の4つです。

モニター上ではっきり読めること

改ざん、消失等の防止が図られていること
(保存している電磁波的記録へのアクセス、修正、改ざんの記録のログが残るような措置等)

アクセス権を持った人しか閲覧できないこと

必要に応じて検索タグを付けておくこと
スキャンして保存するところまでは決して難しい事ではないように思えます。しかし、この法律で注意すべき点は、その後に活用する際の基準が複雑なところにあります。

例えば、法令によって税務署への提出が定められている「帳簿」は、すべての「帳簿」がデジタル文書での提出が許可されているわけではありません。社内にあふれる書類を片付ける救世主となりそうな法律ではありますが、運用面についてはこれから詰められていくべき部分も存在しています。つまり、コスト削減のためにデジタル化したのに、結局は多くの手間を取らされてしまうことも十分ありえます。現段階では、デジタル保存が認められた文書であっても完全にデジタル化へ移行しないほうが無難かもしれません。

ただし、見守っているだけではコストは増えていくばかりです。まずは、稟議書などの社内文書のデジタル処理システムを構築するなど、来るべきデジタル文書時代に向け、デジタル改革を進めていきましょう。また、対象とする文書の選定は、この法律に詳しい専門家とともに行うことをおすすめします。





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紙とデジタルデータでは、紙のほうが圧倒的に長期間の保存に向いています。しかし、それにも勝る利便性がデジタルデータにはあります。

古い書物や資料を所蔵する公的機関等では、デジタルアーカイブ化を積極的に進めており、そのデータを活用してオンライン上で公開している機関もあります。


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