資料の電子化 予備知識(1)〜スキャナ編

【印刷会社社員によるコラム 第5回】ご要望に合わせて最適な機器や作業を組み合わせ、専門の担当者がワンストップでスキャン〜後加工〜納品を進めていきます。基本的にはお任せいただければ問題ありませんが、「いったいどんなことをしているのか」と気になるお客さまもいらっしゃるかもしれません。そこで、今回から数回に亘り、私たちがどのような作業を、どのような判断に基づいて行っているのか、その一端をご紹介していきます。予備知識があると事前の商談がよりスムーズになることもありますので、ぜひご一読ください。


POINT

このコラムのポイント

  • 対象物の形状によって変わる使用スキャナ
  • 「破壊」か「非破壊」かもポイントに
  • 印刷事業で培った豊富なノウハウが活きる対応力

イメージ図

業務の舞台裏を少しだけご紹介

一回目となる今回は、デジタル化に欠かせない機器「スキャナ」についてご説明します。代表的なものとしては、一般のオフィスにある複合機のような「フラットベッドスキャナ」をはじめ、上方から撮影する「オーバーヘッドスキャナ」、B0大(1030 × 1456 ミリ)の大きな対象物をスキャンできる「大判スキャナ」などがあり、ご依頼の内容や用途に合わせて使い分けます。

スキャナ選びの分かれ道は、対象物の形状

スキャナを選ぶ際、最初に注目するのが、スキャンする対象物がどのような形状のものであるかという点です。シート状のものであれば、一般的な「フラットベッドスキャナ」を利用することができます。フタで密閉した状態で下から光を当ててスキャンするタイプで、高解像度かつ安定した品質で取り込むことができます。

フラットベッドスキャナ

シート状であることに加え、ビジネス文書や帳票など文字が読めればよいという対象物であれば、連続して高速なスキャンができる「オートフィーダースキャナ」を利用し、時間とコストを抑えます。DNPでは、ある程度高解像度のものにも対応できる機器も揃えているので、カラー原稿に利用するケースも少なくありません。

オートフィーダースキャナ

逆に、美術品の複製などハイエンドな再現性を求められるものであれば、一枚一枚を高解像度のカメラで撮影する「カメラ撮影」方式を採用します。この方式は、掛け軸や壁画などを縦置きのまま撮影できるメリットもあります。

カメラ撮影

また、ポスターや地図などの大きな対象物であれば、B0大の大きさまで取り込める「大判スキャナ」を利用します。

大判スキャナ

「非破壊」対象は、オーバーヘッドスキャナかカメラ撮影で対応

もし、ページものの冊子や書籍などであれば、対象物を破壊してよいかどうかをお尋ねします。「破壊」というと何事かと思われるかもしれませんが、要はページごとに断裁してシート状にしてもよいかということ。以前に流行った“自炊本”のイメージが近いかもしれませんね。多くは元通りに復元することができないので、希少本などの場合は「非破壊で」と依頼されるケースが多いです。
「非破壊」の際に利用するのが、上方の読み取り部で原稿を読み取る「オーバーヘッドスキャナ」です。冊子や書籍など厚みがあるものをそのまま読み込み出来るのが特長ですが、厚さによってはひずみが出てしまうので画像補正が必要になること、一枚一枚手作業でセッティングと撮影をしていくので、非常に時間がかかることが弱点です。対応する解像度もあまり高くないのですが、高い解像度での取り込みが必要な際は、先にご紹介した「カメラ撮影」に切り替えます。

オーバーヘッドスキャナ

こうしたスキャナの選び方や使い方には、DNPが長年に亘り手がけてきた印刷事業において、印刷に使用する“はんこ”(版)を作る際、写真や図版を取り込む工程で培われたノウハウが活かされています。今回ご紹介した内容以外にもご要望に合わせてさまざまな対応ができますので、ぜひお気軽にご相談いただければと思います。



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古い書物や資料を所蔵する公的機関等では、電子化を積極的に進めており、そのデータを活用してオンライン上で公開している機関もあります。

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対象物のスキャニング後、保存する際のカラーモードを選択。カラーとモノクロ、それぞれの特徴を紹介していきます。

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