山梨県笛吹市立八代小学校

子ども同士のコミュニケーションから「本への興味」を自然に引き出す
「DNP子ども読書活動支援キット 小学生版」モニターレポート

「お題に合った本を探す」「自分の読みたい本を言葉にする」「友だちの探しているタイプの本をおすすめする」…そんなワークショップを通じて、DNP子ども読書活動支援キット 小学生版を子どもたちに使ってもらうモニターを実施しました。
子どもたちはどんな体験をしたのでしょうか。そして、先生が新たに見つけた気づきとは?現場の先生のコメントも交えてご紹介します。(2024年8月公開)

DNP子ども読書活動支援キット小学生版とは

子どもたちの読書への関心や興味を高め、自発的な読書活動を支援するツールです。校内や図書室内に置くだけ・貼るだけの簡便性の高いものから、図書の授業内で活用できるコミュニケーションや探究活動を促すものまで、各種セットでお届けし、継続的に子どもたちが本に触れ、自発的に本を楽しむ機会を提供します。

監修:NPO法人「読書の時間」田口幹人さん/筑波大学附属小学校国語科教諭 白坂洋一先生

モニター概要

山梨県笛吹市立八代小学校

モニター協力校:山梨県笛吹市立八代小学校
教職員数:44名(うち司書1名)
児童数:19学級、409人
蔵書数:15,600冊/新刊冊数月60冊程度
毎月図書委員による読書イベントを行うなど、読書活動は盛ん。

モニター参加の背景

山梨県笛吹市立八代小学校 学校司書 原 未央先生 の声

山梨県笛吹市立八代小学校 学校司書 原 未央 先生

新しい本に出合うきっかけづくりは常に考えているのですが、特に高学年になると自己形成の過程で「自分の興味以外のことに触れる」ことに抵抗を持つ傾向があり、今まで読んだことのない本への気づきをどう促すかは常に考えています。

本校では、図書委員が月ごとのイベントを実施するなど、読書推進の活動が比較的盛んだと思います。とはいえ展示や掲示にかけられる時間が少なく、学校活動や授業数確保で多忙な中で、連携と準備の上で実践的な読書推進活動に臨むことにはまだまだ課題感を持っています。

いろいろな仕掛けをやってみて子どもたちの反応を見ることをいつも大切にしているので、このキットを知った時も「読書推進活動を応援してくれるツールを開発している会社があるんだ」と感銘を受け、モニターに協力したいと思いました。

モニター実施概要

実施日:2023年11月10日
場所:山梨県笛吹市立八代小学校
対象学年:6年生
参加人数:60人(1クラス目28人 2クラス目32人)

モニター実施の様子

「DNP子ども読書活動支援キット」の7つの中から「本結び」と「本の紹介カード」を提供し、DNPが実際に授業で使っていただく場合を想定したワークショップを行いました。

〇本結び

質問に答えていくことで、その時の気持ちにぴったりな本と出合えるチャートポスター
楽しんで本と出合う体験をしてもらうために、「本結び」のチャートで「はい/いいえ」に答え、結果に沿った本を図書館の中で探すワークを行いました。クラスメイトと一緒に楽しみながら本に触れ、普段自分だけでは選ばないような本との出合いを体験してもらいました。

「本結び」を使ったワークの様子

〇本の紹介カード

読みたい本のイメージを記入するカードと、それを読んでおすすめの本を紹介するカード
自分の好きな本や好きなこと、読みたい本のイメージについてカードに書き込むワークを行いました。自分の気持ちをアウトプットすること、それを友だちへ共有する体験をしてもらいました。

「本の紹介カード」を使ったワークの様子

モニター結果

読書推進については、すでに多くの取り組みをしている八代小学校ですが、今回のモニターを終えて、原先生から新たな気づきを得られたとの評価をいただきました。

<事前の課題>

授業だから仕方なく読むのではなく、自発的に興味を持って「読みたい」と思ってもらいたい

<モニター結果>

これまで興味のなかったジャンルに出合う楽しさから「読みたい」につながった

「本結び」:教える前から子どもたち自らやり始め、チャートの結果からその本を探す・興味を持つというきっかけに繋がっていました。本棚の前で、こんな面白い本があったんだという子どもたち同士の会話も生まれ、新しい本を発見するきっかけになりました。
「本の紹介カード」:友達が紹介してくれた本なんだと言って喜んで持ってきて来る子がたくさんいました。友だちを通して新たな本に気づき、自然に手に取れるのは大切なことだと感じました。

<事前の課題>

先生方は普段の授業や学校活動に追われ、読書指導としてより踏み込んだ活動まで手を伸ばせない

<モニター結果>

子どもたちに内在化している「本への興味」をアウトプットする新しい取り組みとなった

「本の紹介カード」を子どもたちが楽しそうに書いていたのが印象的でした。
子どもたちの中に内在化しているものをアウトプットするという時間は、これまで図書の時間ではやったことがない取り組みです。
実際に子どもたちが書いた内容や、丸を付けた興味ジャンルをみると、こちらにとっても新たな気づきが多く、子どもへの声掛けや今後の活動のヒントにもつながりました。

継続的に本に触れてもらえるよう、利用したキットはワークショップ後も校内で活用してもらいました。その後の子どもたちの様子を原先生に教えていただきました。

紹介された本を喜んで持ってきてくれる子どもたち

「本の紹介カード」を貼っておくと、喜んで「紹介してくれた本を持ってきたよ!」と私の所に来てくれる子どもも多いんです。そのようなアクションにつなげてくれる子どもが増えた印象もありますね。子どもたちにとって「刺激」はとても大事なきっかけだと思います。けれども、自分たちで刺激を生み出すことは難しい。だからこそ、このようなキットも含めて、学校側で仕掛けをどんどん作っていくことが大切だと思っています。

卒業生に「本をおすすめする」イベントにも発展

この「本の紹介カード」、実は6年生に卒業前にカードを書いてもらって、その内容をもとに在校生がおすすめの本、ピッタリだと思う本を紹介するというイベントを3月に行いました。本を通した活動がコミュニケーションを促進していることもうれしいです。

モニターで使用した製品について

「DNP子ども読書活動支援キット 小学生版」は、子どもたちに楽しみながら本を手に取る機会を提供し、豊かな読書体験を通じて“大人になっても活きる読書習慣”につなげられることを願って開発したものです。開発にあたっては、今回のようなモニターを繰り返し、先生や子どもたちの意見を反映させた内容となっています。
ご興味、ご関心のある方はぜひお問い合わせください。

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