積水化学工業株式会社 様
国内外従業員のエンゲージメントを高める
インナーコミュニケーション
「創立75周年記念 従業員向けコンテンツ」
住まい、ライフサイエンス、エレクトロニクス/モビリティ、社会インフラの領域で幅広い製品を展開している積水化学工業株式会社(以下、積水化学)様は、2022年に創立75周年を迎えられました。DNPでは、この記念に企画された従業員向けコンテンツ、「社会課題への貢献やグローバルでの活躍を伝えるコンセプト動画」と「社会課題の解決に寄与している製品への理解を深める動画」16本などの制作をご支援しました。
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同プロジェクトに携わった積水化学 経営戦略部の津熊秀樹様、コーポレートコミュニケーション部の佐藤裕毅様、ESG経営推進部の野澤育子様の3名に、「創立75周年記念 従業員向けコンテンツ」の制作背景や工夫した点を語っていただきました。また、DNPからはプロジェクトを担当したDNPコミュニケーションデザイン(以下、DCD)の多賀丈太がインタビューに参加し、ご支援内容について語りました。
※所属・肩書などは、2024年4月(本記事制作時)のものです。
幅広い事業展開で希薄になりがちな
部門間連携やグローバル従業員のエンゲージメント向上をめざす
——「創立75周年記念 従業員向けコンテンツ」の企画が始まった経緯を教えてください。
津熊様: 積水化学では以前から10年ごとの節目で外部ステークホルダー向けの記念事業を、その間の5年の節目で従業員に感謝を伝え、インナーコミュニケーションを強化する記念施策を行ってきました。
創立75周年を迎えた2022年はコロナ禍ということもあり、コロナ禍を乗り越えつつある状況に対して、従業員に感謝を伝えることをコンセプトに企画を検討していました。また、積水化学は幅広い事業を展開しているため、他部門や海外の事業についてよく知らない従業員もいます。そのため、今回の企画を通じて希薄になりがちな横の連携を深め、グループ従業員のエンゲージメントを高めたいという狙いもありました。
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——具体的にはどのようなコンセプトで企画を検討したのでしょうか?
津熊様: 当社は2020年に策定した長期ビジョン「Vision 2030」で「Innovation for the Earth」をビジョンステートメントとして掲げており、「サステナブルな社会の実現に向けて、LIFEの基盤を支え、“未来につづく安心”を創造していく」というメッセージを発信しています。こうした背景もあり、今回の記念事業の企画では「事業を通して社会課題を解決する」という当社の姿勢を表現したいと考えました。
また、グローバル従業員にも共感してもらいやすい方法を検討した結果、今回は記念誌ではなく、コンテンツとして届けやすい動画を制作することにしました。
——制作パートナーにDNPを選んだ理由を教えてください。
津熊様: DNPさんには、これまでも当社の会社案内や創立70周年記念誌の制作などをお願いしていました。そのため、当社の事業内容について深く理解してもらっているという安心感がありました。
加えて、数多くの企業で周年記念事業を支援されていることや、インナーコミュニケーション施策支援や動画制作の実績も豊富だったことから、今回の記念事業をご依頼することになりました。
製品の価値をわかりやすく伝え、理解・興味を深める
——積水化学様では具体的にコンテンツの企画を立てるにあたり、どのような点を意識したのでしょうか?
佐藤様: 企画を立てる際に重視したのは、「積水化学の製品がどのように社会課題の解決に役立っているのか」について従業員が理解を深められる動画をつくることです。
また、多くの従業員に興味をもってもらいたいので、さまざまな社会課題を取り上げ、それらを解決する製品と、それに携わる従業員やお客様の声を紹介することにしました。その前提で現場の意見や提案を取り入れながら製品を選定し、最終的に16本の動画を制作しました。
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野澤様: 当社は自然環境や社会環境の課題への貢献度が高い製品を「サステナビリティ貢献製品」として定めており、それらを中心に選定しました。また、社会課題解決という点から、最先端エレクトロニクス領域の製品もカバーしています。
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——積水化学様からのご依頼を受けて、DNPではどのような提案をしたのでしょうか?
多賀: 津熊様がおっしゃったように、事業が多岐にわたる企業では従業員が他部門の仕事についてよく知らないことが珍しくありません。そうした意味で節目となる周年のタイミングは、情報をわかりやすく整理し、会社のビジョンやメッセージをインナー向けに伝えるチャンスです。
積水化学様から「事業を通して社会課題を解決するという姿勢をグローバル従業員に伝えたい」と話を伺った際に最初に感じたのは、「単なる事業紹介や製品・サービス紹介では、多くの従業員に見てもらうことはできないだろう」という点でした。
そこで、コンセプトを練るにあたって重視したのが「人の想い」を伝えることです。どういう従業員がいて、どういう想いで日々の仕事に取り組んでいるのか。また、その働きがどのように集積して積水化学という会社を成り立たせているのか。これらにフォーカスし、エモーショナルに訴える動画をつくることをご提案しました。動画は、情報をコンパクトに整理し、熱量を伝えやすいという点で、近年採用されるケースが増えている手法のひとつです。
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津熊様: DNPさんにご提案いただいた「人の想い」にフォーカスすることの価値は、できあがった動画を見て改めて実感できました。従業員やお客様の言葉に説得力があり、当社の製品がどういう価値を生んでいるのかに腹落ち感があります。結果的に多くの従業員に見てもらい、事業に関心をもってもらうきっかけになりました。
多賀: コンテンツの内容としては、冒頭に社会課題を提起するパートを設け、その後に課題解決につながる製品づくりに携わる従業員へのインタビューが流れるという構成です。社会課題への貢献度を客観的に伝えるため、従業員だけでなく、協業しているパートナー企業や実際に製品を使っている一般の生活者にも可能な限り出演していただきました。
16本の動画を上記の構成をフォーマット化して制作することで、コストや作業日数の圧縮も図りました。
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社会課題に向き合う姿勢を伝えるコンセプトムービー
——制作する中で大変だったことはなんでしょうか?
佐藤様: 16本のうち5本は海外拠点の従業員にインタビューを行ったのですが、コロナ禍だったため現地に行くことができず、オンラインでのインタビューとなりました。動画の素材は画面録画を使ったのですが、写り具合や音声の入り具合の調整はかなり難航しました。
多賀: インタビュー動画とは別に、今回の企画全体を通して伝えたいメッセージを込めたコンセプトムービーを作成したのですが、そのメッセージを抽象化して表現する必要があったため、企画決定までには積水化学様と何度もディスカッションを重ねました。
最終的には、積水化学様のキャッチコピー「世界に、また新しい世界を」という言葉の世界観を、社会課題のイラストや従業員をイメージした「人の手」を用いて表現。課題解決に向き合う積水化学様の従業員の姿をコンセプチュアルに伝え、共感へと導く動画を作成しました。
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津熊様: 多様な人材がいることが動画の中で表現されていて、当社が大切にしているダイバーシティをうまく伝えることができました。グローバル従業員に発信したいという意図をうまくくみ取っていただけたと思います。
閲覧数が伸びると変化するメインビジュアルを作成
——コンテンツを公開後、社内からどのような反響がありましたか? また、どのような手応えを感じていますか?
佐藤様: 一連のコンテンツをインナー向けの特設サイトで公開したところ、のべ2万アクセス以上の閲覧がありました。当社の従業員数はグローバルで約2万7000人ですので、われわれが当初想定していたよりもかなり多くの従業員が見てくれたようです。
動画は順次公開していったのですが、新しい動画が公開されたときはイントラのトップページで告知をするなどの社内広報活動にも力を入れました。
また、DNPさんからのご提案で、多くの従業員に見てもらう仕掛けとして、閲覧数に応じてトップページのメインビジュアルを変化させるなどの工夫もしました。
多賀: インナーコミュニケーションの動画はつくって終わりではなく、「つくった動画をどうやって視聴してもらうか」までを設計することが大切です。言い換えれば、「視聴する動機」をきちんと用意する作業です。
今回は公開先のサイトに制限があったため、HTML5を使った派手な演出のコンテンツをつくることはできません。そこで、閲覧数が伸びると街が段階的に成長していくメインビジュアルをご提案しました。未来の街を創造したビジュアルということもあり制作は大変でしたが、従業員の皆様の興味を引く仕掛けができたと思います。
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津熊様: 動画を公開後、「お客様に見せたい」「展示会で流してもいいですか」といったお問合わせを多くいただきました。今回はインナー用として制作しているため外部流用はできないのですが、「多くの方に見てもらいたい」と思ってくれた従業員がたくさんいたことはとてもうれしいですし、われわれが伝えたかったメッセージがしっかり届いたという手応えを感じています。
今回の施策をきっかけに、社内のコミュニケーションがより活性化し、異なる事業部間でのコラボレーションが数多く生まれることを期待しています。
野澤様: 動画には当社の事業や現場で働く従業員の想いがコンパクトにまとまっているので、翌年の新入社員研修でもURLを紹介しました。社員研修教材としても有効だと思います。
多賀: 一般に動画コンテンツには“鮮度”があるうえ、周年記念関連のものは一定期間が終わると見られなくなってしまうことが多いため、今回のように社内のいろいろな場面で活用されているというのはうれしいですね。
インナーコミュニケーションは継続的な施策が必要
——創立75周年記念の従業員向けコンテンツは一区切りがついた段階ですが、今後の展望についてお聞かせください。
津熊様: 2024年度から次の節目である80周年に向けた企画検討が動きはじめています。今度は外部の多様なステークホルダーを対象にした記念事業となるため、現在、何のためにこの事業をするのか、どういったメッセージを発信していくのかを丁寧に議論している段階です。今回の経験を活かし、80周年の記念事業においてもより良い企画を実施できればと考えています。
野澤様: 今回は社会課題の解決につながったテーマで展開しましたが、次は「事業創出に向けてチャレンジしている従業員」にフォーカスするのも一案ですよね。
佐藤様: インナーコミュニケーションを深める施策は今後も継続していく予定です。例えば、工場勤務の従業員は業務でパソコンに触れる機会が少ないので、イントラを見る機会も少ない。こうした従業員に対してどのような形でメッセージを届けていくかなど、今後も検討すべき課題は残っています。
多賀: ビジョンへのコミットメント形成などをめざしたインナーコミュニケーションは、ひとつの施策によって即結果が出るものではなく、長期的な視点で継続的に取り組むことでじわじわと効いてくるものです。そのため、今回の記念事業も今すぐに大きな成果が出るものではないだろうと考えています。われわれとしては、10年後くらいに振り返ったとき、「75周年のときの企画は良かったよね」と語っていただけているように、一歩一歩着実に進めていくつもりです。
積水化学様には今後も中長期にわたって継続的に伴走支援をさせていただきたいと考えています。そのために、今後もDNPとして幅広い知見を結集し、多様なご提案ができるようにしていきたいと考えています。
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DNPの企業ブランドコミュニケーション支援、周年事業支援
周年事業や企業アーカイブ、空間プロデュース、企業ブランディングをはじめ企業のコミュニケーション活動の支援を通して長年の蓄積を活かし、対話による見えにくい課題の抽出を含め、お客さまにとって最適なコーポレート・コミュニケーション活動を提案し、社会における企業の価値を高めていきます。
企業ブランドコミュニケーション支援
周年事業ソリューション
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この事例で導入した製品・サービスについて
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経験豊富な映像専門チームが“響く”周年映像を作り上げます。
DNP周年事業ソリューション(記念映像)
周年事業の施策として、記念映像を検討するケースは多くあります。 それは、企業の歴史というストーリーを映像化することで、流れをわかりやすく、読むよりも短い時間で、エモーショナルに伝えることができるからです。 DNPは周年事業をトータルで考えることで、映像化するべきポイントを洗い出し、心に響くエモーショナルな周年映像をご提案いたします。 -
周年を機にさまざまなステークホルダーに企業ブランドを発信
DNP周年事業ソリューション(記念サイト)
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関連製品・サービス
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周年事業全体の戦略立案から施策実行までをサポートいたします。
DNP周年事業ソリューション(コンサルティング)
周年事業は多くの企業担当者が未経験です。DNPは体制づくりからサポートいたします。
・前回の周年の担当者が不在
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上記のようなご相談をいただくことが多くなっています。
DNPでは数々な周年事業を手掛けてきたノウハウから、最適な体制づくりのご提案から戦略策定、施策実行までトータルにサポートいたします。